「何を幸せ、ハッピーと思うか?」
これは、本当に人それぞれです。
でも、実はその「それぞれ」には共通点があって、それは「やりたいなぁということが、できるとき」てなことを、前回のエントリに書きました。
「やりたいことが、できる」
これって、とっても幸せなことですよね。
一方、「しつけ」っていうのは、どちらかというと「我慢」なイメージがあるような気がします。
やりたいことを、好き勝手に、好き放題やるんじゃなくて、周りのことも考えて動きなさい的な。
この「やりたいことが、できる」ということと、「しつけ」というものを、どうにかうまく繋げることはできないだろうか?
僕の仕事の大きなテーマです。
「イヌのしつけ」あるいは「ドッグトレーニング」というのは、とどのつまり「飼い主がイヌにやって欲しいと思ってることを、イヌにやってもらう」ということです。
「ペットシーツの上で、排泄して欲しい」
「来客中は、静かにして欲しい」
「散歩中は、横について歩いて欲しい」
「私の手とか足とか服とか家具とかではなく、自分のオモチャで遊んで欲しい」
「先住犬と仲良くして欲しい」
「色んな人にかわいがってもらえる子になって欲しい」
ドッグトレーニングの文脈でいえば「色んなコマンドに、必ず従って欲しい」という感じでしょうか。
この「イヌにして欲しいこと」も、飼い主さんそれぞれです。
ときどき「アイコンタクトばっちりで歩けるようになったイヌ」を見て、「肩がこりそう……」ということで、「斜めに飼い主を見上げながら歩くのではなく、真っ直ぐ前を見て歩く」という目標を立てる飼い主さんもいらっしゃいます。
あるいは「チャイムが鳴ったら吠えてもらった方が、確実に来客がわかる」ということで、むしろ「チャイム吠え」をやって欲しいという方もいらっしゃいます。
こんな具合に、「ヒトからのイヌへの要望」というのは、たくさんあるんですね。
でも、それらの「要望」を、一方的に押し付けるというのも、ちょっとね……っていう方も増えてきているように思います。
僕も、そう思います。
できたら「私がやって欲しいと思ってることを、イヌも喜んでやってもらえたら」っていう。
むむむ?
こんな風に考えていくと、なんとなく見えてくるような気がしませんか?
「しつけ」と「ハッピー」を繋ぐ。
これね、もしもね、仮に「飼い主のやって欲しいこと=イヌのやりたいこと」ってことができたらどうでしょう?
イヌもヒトも、お互いにハッピーな感じがしますよね。
でもって、なんか素敵な感じがしませんか?
この素敵な感じを目指す上で大事なことが、実は「褒める」なんです。
もうちょっと違う言い方をすれば、「イヌが喜ぶものをプレゼントする」です。
以前のエントリで「褒める」ということについて、たくさん書きました。
興味のある方は、是非過去ログも読んでいただけると嬉しいんですけれど。
「褒める」ことの本質は、あくまでも「イヌが嬉しい、楽しい、ハッピーと感じるものを渡す」ことです。
こちら側が一方的に「これで喜びなさい」と押し付けるものではありません。
「食べ物がないと喜ばないのはダメ」なんてのは、大きな間違いです。
私たち人間が、嬉しい、楽しい、ハッピーと感じるものが違うように、イヌだってそれぞれで違います。
ですから「たった一つの正しい褒め方」なんてものは、存在しないわけです。
「イヌの数だけ正しい褒め方が存在する」とも言えます。
で。
その「うちの子が喜ぶもの」を、「私がやって欲しいと思ってること」をしたときに、必ず渡していたらどうでしょう?
ちょっと視点を変えて考えてみましょうか。
あなたの「やりたいこと」って、なんで「やりたい」んでしょうか?
多分、「やったら楽しいんやもん」ってことだと思うんです。
楽しくないことなんて、やりたくないですもんね。
そして、「ハッピー」っていうのは「やりたいことが、できる」だと。
むむむむむ?
ハッピー=やりたいことが、できる
しつけ=やって欲しいことをやってもらう
褒める=イヌが喜ぶものを渡す
やりたいこと=やったら楽しいこと
お?
なんか繋がってきそうな感じがしませんか?
「しつけ」ってね、こういうことだと思うんですよね。
我慢を教えるとか、ルールを教えるとか、マナーを教えるとか、そういう側面も確かにあります。
でも、それよりもなによりも、根底にあるのは「ヒトとイヌのハッピーのため」だと思うんです。
「飼い主さんが、やって欲しいと思ってること」
「イヌが、もらって嬉しい、楽しい、ハッピーと思うもの」
ここを繋げていくと「わんこも、そして飼い主さんも、ハッピー」ってことになるんじゃないでしょうか?
「しつけ」は、「イヌに我慢を教える」ことでも、ましてや「押さえつける」ことでもありません。
「わんこと、飼い主さん、お互いのハッピーを増やすこと」なんです。
続きます