「犬を叱る」「犬を褒める」 2 ゴミ箱のイタズラから考える | わんこも、そして飼い主さんも

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「犬を叱る」「犬を褒める」というエントリの第二弾です。
これまで「褒める」と「叱る」について、色々と書いてきています。
まだお読みでない方は、「しつけ、問題行動改善について」のテーマ にある、これまでのエントリをお読みいただければと思います。
それらが前提となっての、このエントリです。

さて、「犬を叱る」「犬を褒める」というエントリ の最後に、このように書きました。


では、この「いいところを伸ばす」ためにやる「褒める」だけでやっていくには、どう考えればいいのでしょうか?
「叱る」という行為と、「褒める」という行為をよくよく考えると、そこに実はヒントが隠れています。

それは「禁止」と「代替案」です。


近年「犬を褒めてしつけましょう」ということは、本当によく言われるようになってきました。
しかし、ただ闇雲に褒めているだけでは、やはりうまくいきません。
だからでしょうか。
叱ることも、ときには必要だ」という意見も、やはり見られます。
この「叱る」という行為の目的は、「やめさせる」「制止する」「禁止する」と考えることができます
時折、「反省させる」という意見も目にしますが、多分犬は反省しません(反省しているように見えることはありますが)。

さて、少し具体的に考えてみましょう。

たとえば家のリビングに、1頭の犬がいるとします。
のんびり寝ていたと思ったら、むくりと起き上がり、そわそわし始めました。
そして、近くにあったゴミ箱に顔をつっこみ、中身を出して遊び始めてしまいました。
飼い主さんは、「あー!コラ!ダメ!」と言いながら、止めに入ります。
しかし、犬は捨てられていたビニールを咥え、家の中を逃げ回ります。
飼い主さんは何とか捕まえようとしますが、逃げ回ってなかなか捕まりません。
捕まえたら捕まえたで、なかなかビニールを離しません。
飼い主さんはやれやれといった表情でオヤツを取り出し、「ちょうだい」と言いながらビニールとオヤツを交換します。
犬は、なんだか満足そうです。

これは、いわゆる「イタズラ」の問題ですね。

この問題への対応には、いくつかのパターンがあります。

イタズラへの対応一つ目:叱って止めさせる

しかし、この「叱って止めさせる」という対応では、うまくいかないことがあります。
それがまさに、↑に挙げたようなパターンです。
飼い主さんとしては「叱ること」で、すぐにイタズラを止めさせようとするわけですが、この犬のように「逃げ回る」という行動から、「追いかけっこ」という遊びに発展してしまうことがあります。


イタズラへの対応二つ目:オヤツを出して交換

この対応なら「口に咥えているものを出させる」ということは可能ですね。

しかし、この二つの対応はある意味で「犬の思うツボ」になっていることがあります。
勘のよい方なら、もうおわかりでしょう。
犬の行動と、その後の結果の流れを見てみましょう。

  イタズラをする → (結果的に)追いかけっこが始まる
  咥え続ける → 「ちょうだい」とオヤツが出てくる

どちらも、犬にとっての「いいこと」が、行動の後に起こっています。
これでは、「イタズラ」と「咥え続ける」という行動は、増えるいっぽうです。

そこで、こうした問題への対応として、このようなことを勧められることが多いです。


イタズラへの対応三つ目:イタズラするような物は片付けておく

これは、「イタズラをしてからの対応」では、↑に挙げたようなパターンにはまることが多い。
だから、「事後の対処」ではなく「事前の予防」として、「噛まれて困るような物は、片付けておく」ということになりますね。

しかし、人間だって動物です。
常に100%片付けておくというのは、なかなか難しいです。
あるいは、お母さんは一生懸命片付けているけど、子供さんがオモチャや帽子、あるいは文房具などを置きっぱなしにしてしまい、それを犬が咥えてしまうなんていうことも、多々あります。
そうなると、やはり上のパターンにはまりこんでしまうことになります。
そこで「やっぱり、ちゃんと叱って、やってはダメなんだということをわからせないと」と、思ってしまいたくなりますね。

しかし、それはやはりよくないわけです。
じゃあ、どうしましょう?


続きます。




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