ちなみに我が家の初期研修医1年生は、今ターム(12-3月末)、現在最もホットな場所である呼吸器内科が勤務地です。新型コロナ旋風が吹き荒れる中、果たして院内はどんな様子なのか⁈金土日がオフだったので、三日前の様子しか聞いていませんが、ちらほらと、ちょっと怪しい患者が出始めている様です。先々週と先週の担当はA&Eでしたので、かなりのフロントラインでした。

イギリスの病院の様子を知らない方は驚かれると思いますが、日本と違って病院勤務の医師にあっても、マスクをする習慣はありません。もちろんそういった物資も全然潤沢じゃありませんし、現状ではマスクを推奨されるどころか、患者を怖がらせるからという理由もあって、少なくともうちの子の勤務病院では、やや疑わしい程度の患者の元に行く時にマスクをしたら少々問題にされるような雰囲気らしいです。N95仕様のマスクの話じゃないですよ、普通の水色のサージカルマスクがです。日本と比べたら、いえ態々比べなくとも、人工呼吸器もCT設備も圧倒的に足りません。今後が本当に思いやられます。ただ先週金曜日の時点の状況では、病院が格段に忙しいというほどではなかったとのことです。別に暇というのではなく、普段通り忙しい程度だったと。

こんな事態に早々と遭遇して、親としての私は、医者にしたことに一抹の恐さを感じないではいられません。マスクもさせてもらえないなら、せめて目の粘膜を守るようにと、大きめの素通しブルーライトカット用のメガネを購入し、今日から持たせました。内科ではスクラブを着てない医師が多いのですが、着替えた方が良いとも進言しています。この両件に関して、ずぶの素人の私に言われて二つ返事で同意したところを見ると、やはり危険と隣り合わせなのでしょう。

今日は遅番の出勤日です。首相の非情にも聞こえる会見後、初めて勤務する院内の様子は、果たしてどうなっていることでしょうか。

 

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三日間のオフを挟んだ月曜の勤務先病院の状況を聞きました。既に確定患者が2名、疑いの患者が20名程度は入院中だそうです。マスクは絶望的に不足しているので、感染疑いの人の世話程度では、この段階で既に使いまわしているとか。

 

イギリスの医療はある局面では進んでいますが、個々の局面で酷いです。時々、英国在住者のブログで、日本の医療がいかにもダメでイギリスは素晴らしい!という記述を目にすることがありますが、それは欧米贔屓の偏った視点から来たものか、イギリスの医師のプレゼンン力に幻惑されてしまったか、日本で特異な状況下で不幸なケースに当たってしまった経験からかに思えます。イギリスの医療を一方的に貶める気持ちはありませんが、リソースが圧倒的に足りていないのですから、現実的に出来ないことや、助けられない命が多くなるということです。

 

今回の新型コロナのケースでは、日本の検査件数が低いとこき下ろされることがあります。でも日本の現場にはCTが豊富ですから、医師はまずCTで迅速に肺炎の所見を確認してから、PCRの確定診断に回すことができると言います。これで検査の宿命であるエラー判定に惑わされるチャンスを減らすことができますし、検査結果が確定するまでの数日間のロスも減らせます。肺炎が即座にわかれば医療従事者の構えも変わるでしょうから、結果的に対応も慎重になり、院内感染の数も減らせるでしょう。少なくとも、やたら検査をして陥る医療崩壊の惨状よりは、賢い手法であるように見えます。一方的に日本を持ち上げるのはフェアではないですが、イギリスの現状は明るいものではありません。