INFJ9
INFJは、16のタイプの中で、最も神秘的で複雑だ。情熱的でありながらも冷静で、空想的でありながらも現実的だ。INFJの意識は、この世界のあらゆる存在を見ては、分析と統合を繰り返す。INFJの主観的な世界観は、成長とともに洗練されて、あるがままの宇宙と一致していく。人との絆を求めて、自然と人と一体感を感じる。相手が一人であれ、大勢であれ、その雰囲気を肌と心で感じる。それゆえ、恐ろしいまでの推理力と読心術を身につけている。それは、ほかの人であれば、見逃してしまうような、かすかなサインから気がつく。気がつかなくていいことまで気がついて、気が滅入ってしまう。それは、あまりにも現実を超越して、卓越した直感力であるがために、それを理解できない大多数の人々からは、極端に敏感で精神的だと責められる。INFJの認識は、思考と感情、全体と細部の認識において、バランスのとれたものとなって、一見すると相反する象徴を持ったものの、自然な統合が起こり続けている。それゆえ、不可思議に思われる統一的な意識が、ひたすらに成長していく。それは、この世のものとは思えない、至上の意識とつながっている。INFJの主観的な世界観は、成長とともに、あるがままの宇宙と一致するが、それと同時に、現れるべき世界をも見てとる。INFJは、個性的でありながら、普遍的で深遠な内なる世界を、感性に訴えるかたちで表現する。自分の思いは、人々の思いと重なる。その人々は、身近な人々から世界中の人々まで、もっと言えば、全宇宙の人々の中にもあるものだ。しかし、INFJの多くは、自分が何者なのか、いまだに気がついていない。そして、もったいないことに、その他大勢の人達と同じように生きて死んでしまう。INFJ諸君!数多の人生を繰り返して老成した、選ばれし魂達よ!目を覚ませ!俗世間の卑しい価値観に染まることなく、ひたすらに真実を追求せよ!自己を表現せよ!あなた自身の人生で、内なる理想を表現せよ!そうすることによって、暗い道を照らして人々を導け!大勢の人々は、本当はどこから来て、どこへ行くべきかを知らず、飼い慣らされて安心するか、右も左も分からず右往左往するのみである。INFJよ、自ら精神の進化をうながして、人々を導くのだ。ほかのタイプには悪いが、INFJのバランスのとれた意識とポテンシャルは、いくら協調しても足りないくらいだ。INFJは、大きな影響力を持ち得る。INFJが選ばれし魂と言える理由は多くある。まず、全体的なバランスがとれていて、無意識の働きを意識できる。人類総体の無意識をのぞきこむチャンスが豊富なのは、INFJにおいて、ほかにはない。ENTJが現実社会における百獣の王というならば、INFJは精神世界の深淵をのぞきこんで道を照らす、人類のカウンセラーと成り得るだろう。謙虚で控えめなINFJのことだから、そんなことを言われても、「そんな滅相もない。私はただのヘタレですよ。」と答えるだろう。しかし、INFJ諸君!自信を持ってほしい!本来、そんな能力を持ち得るINFJだが、現代社会では適切な教育がなされていないため、INFJの精神と能力を伸ばして発揮する場所が与えられず、宝の持ち腐れとなってしまうことがほとんどだ。残念ながら、INFJは極めて少ない。ゆえに、INFJの心理機能の発達にそった学校教育が用意されることはない。皆さんがご存じの通り、義務教育による典型的かつ画一的な教育は、SJタイプ向けなのだ。さらに、この人間社会には、良い心根を持つINFJを苦しめる要因が、無数に存在するために、まだ幼く柔肌で敏感な頃に、心ない人に傷つけられて、悪質な人間関係にとらわれ、悩んで迷ってしまう。人間の無理解、無神経、傲慢さ、野蛮さ、そして狂気に触れて、適切なロールモデルを見つけることができないまま、人間を愛したいという思いは踏みにじられる。そして、INFJは心の苦しみを感じて、自分は穢れたと思いこみ、ついには病んでしまう。たとえそうでなくても、人と分かち合いたいはずの思いを、分かち合うことのできる相手を見つけられず、ただ傷つくだけ傷ついた挙げ句、人を避けて、一人内に閉じこもってしまう。そうなると、せっかくの第二の心理機能であるFeの働きを、積極的に活かす機会が失われて、人との温かみのある礼儀と社会性を学ぶのではなく、自分と他人のあいだにある境界を強く意識するようになってしまう。Feの働きによって境界を引き、一人になると何が始まるか?NiとTiのループだ。NiとTiのループ 理知的で冷静かつ厳格。温かみのある感情は希薄で、 幻想的でありながらも、矛盾を排し、意味によってつなぎ合わせた世界が広がる。 しかし、ループが過度に続くと、狂気じみて、それゆえにストレスフルなものになる。 INFJは極めて直感力が高く、人のサインを見て、その意味するところをくみとる。 しかし、人のちょっとした噂話や、手がかりとなる行動パターンを見て、 自分が裏で批判されているのではないか、 悪巧みをされているのではないかと、変に疑ってしまう。 一人で考え、不安と恐怖を増幅させて、 その影響をもろに受け、精神的なダメージを被ってしまう。 「そんなこと、その人に聞いてみればすむではないか。」と、Eタイプは思うだろう。 しかし、内向性の強いINFJにとって、それは容易なことではない。 傷つき悩み、Feによる感情の機会を失ったINFJにとっては、なおさらだ。 それでも、一度内に引きこもってしまうと、ループによって、 現実と非現実、分析と統合の織り混ざった、奇妙な循環が始まる。 そして、それを止めるのは難しい。 気がつかないうちに、迷妄の坂を転げ落ちていってしまう。 このループから抜け出す方法を述べる前に、NiとTiのループの特徴について話しておこう。 INFJは、外界の情報をSeによって取りこむ。 すなわち、身体の感覚器官である五感を用いて、物事の様子を取りこむ。 しかし、それは第四の心理機能であるがゆえ、 未分化でじゅうぶんに楽しむことができない。 すぐに、第一の心理機能であるNiにとって代わる。 Niは現実を解釈した世界観を提示する。 それは、取り入れた情報を統合した、内なる世界観だ。 そして、あらゆる物事の意味と結びつきをとらえて、ひとつのシンボルへと結束させる。 そこにあるのは、最早物質的な世界とは違う、高次の精神的な世界だ。 とはいうものの、幼い頃から現実味のあるビジョンがあるわけではない。 若い頃は、不完全な認識にもとづいて、内面において、 非現実で極めて主観的かつ閉鎖的な世界観をつくりあげてしまう。 一方、Tiは得られた情報を分類かつ分析して、理論的な説明を行う。 また、ちょっとしたニュアンスにこだわって、厳密な理解を求める。 冷酷で大胆なかたちで、表面的なものをそぎとって、真実を明らかにする。 INFJにとって、Niの働きは、かなりの精神的なエネルギーを消耗する。 そこに加えて、Tiという、かなり厄介な心理機能の働きが入りこむのだから、 NiとTiのループは、かなり神経をすり減らす。 Tiの働きによって、人に対する配慮と、人間関係の温かなつながりは遠ざかり、 理性的で理屈による理解と問題解決が当面の課題になる。 Niによって点と点を結び、できあがった心象風景において欠落した一貫性を, Tiによって理性を付与する。 パズルのピースをはめるように、順を追って理論的に説明するのだ。 しかし、内なるビジョンが非現実的であったとして、 それに気がつかないまま、分析と一貫性を求めた推論が始まると、 手に負えない代物になる。 極端な例で言うと、たとえば、茶碗が何らかの拍子に割れて砕けたとする。 この場合、INFJにとってそれは、何か不吉なことのサインであると思われる。 そして、この茶碗の持ち主の現在と未来を心配してしまう。 また、たとえば、神社で賽銭を投げてお祈りをした帰りに、 鳥居を出るとき、黒猫が前を横切ったとする。 この場合、INFJにとってそれは、何か不吉なことのサインであると思われる。 そして、自分とまわりの行く末に、暗い影を投げかけているように感じられる。 これらは極端な例だが、挙げようとすればキリがない。 ほかのタイプから見れば、このようなことはナンセンスだと思うだろう。 しかし、NiとTiのループにはまりこんだINFJが、 外界を観察することなく、じゅうぶんに情報をとらえようとしないならば、 このような偏執妄想が本物だと確信して、そこから抜け出せなくなってしまう。 そして、その認識が行動の指針に影響する。 INFJ本人も、現実ではないと気がついているため、何とかして抜け出そうともがく。 これは、INFJにとって憂鬱なことだ。 Tiがじゅうぶんに発達していないうちは、 このように、まったくナンセンスな前提から推論を始めて、推論に飛躍がある。 これが内なる象徴的な世界観と相まって、極めて独特な心象風景を生み出すことになる。 NiとTiのループが人間関係に利用される場合、 人のちょっとした仕草や声のトーンから、深読みしすぎるほど深読みして、 良くない想像がふくらむ。