祝詞
久しぶりの音信メールには
いつものように当たり障りの無い話
いくつもの改行で隠された
追伸には寿の報告
あなたらしい演出に頬が緩む
・
フロントガラスを叩きつける
あの日は土砂降りの雨
長い沈黙の後に
搾り出すような一言
お願い、傍にいて
どうにもならない事は
お互い分かっていたのに
そして最初で最後の哀しい口づけ
フロントガラスの先にある
遠い世界をあなたは選び
前に進むことを恐れたわたしは
立ちすくむことを選んだ
・
なんでも笑い飛ばしあえた二人だから
きっといつかこの想い出さえも
笑い飛ばせるはず
ありきたりな祝詞を送った後
わたしも前に進もうと決めた
こうしていつも
あなたは背中を押してくれていた
これからは大切な人の背中を
押してあげていくあなたへ
いつまでもお幸せに