9日午後9時50分ごろ、神奈川県内を走行中の東京発新大阪行きの東海道新幹線「のぞみ265号」(16両編成)内の男性乗客から「包丁を持った男がいる。

1人がけがをしている」との110番があった。
新幹線は緊急に小田原駅で停車し、駆けつけた県警小田原署の署員が、切りつけたとみられる男を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。
3人が刺されて小田原市内の病院に運ばれ、男性1人が首の右側を切られて死亡し、20代とみられる女性2人が頭や肩に重傷を負った。
神奈川県内を走行中だった東海道新幹線の車内で9日、乗客が刃物で切りつけられ、男性1人が死亡し、女性2人がけがをした事件で、死亡した男性には上半身を中心に数十か所の傷があったことが、警察への取材でわかりました。
男性は直前に近くにいた女性が襲われるのを制止しようとしていて、警察は、逮捕した男が逆上して強い殺意を抱いたとみて調べてい
ます。

新横浜駅と小田原駅の間を走行していた東京発・新大阪行きの東海道新幹線「のぞみ265号」の車内で、9日夜、乗客3人がなたのような刃物で切りつけられ、兵庫県尼崎市の会社員、梅田耕太郎さんが死亡したほか、20代の女性2人がけがをしました。




殺人未遂の疑いで逮捕された愛知県岡崎市の無職、小島一朗容疑者は、警察の調べに対して、「むしゃくしゃしていた。
誰でもよかった」と容疑を認めているという。
JR東海によると、のぞみ265号は新横浜駅を出発した直後の午後9時47分ごろ、車内の非常ブザーが鳴り、神奈川県綾瀬市落合南付近で緊急停車。
その後、小田原駅に移動した。
この列車は新大阪に向かう最終列車で、約880人が乗車していた。
10日午前0時50分過ぎ、小田原駅を離れた。
 現場は12号車とみられる。
上り列車の乗客によると、県警は新幹線の12号車の乗客を11号車と13号車に移動させ、12号車を調べていたという。
東海道新幹線では2015年6月30日、神奈川県の新横浜-小田原間を走行していた東京発新大阪行きのぞみ225号の車内で、男(当時71歳)がガソリンをかぶって自ら火をつけ、約43平方メートルを焼損。
男を含む乗客2人が死亡、28人が重軽傷を負った。
事件も起きていた。
その後の調べで、死亡した梅田さんには上半身を中心に数十か所の傷があり、このうち、首付近の傷が最も深かったことが警察への取材でわかりました。
梅田さんは、近くにいた女性2人が襲われるのを制止しようとして小島容疑者ともみ合いになり、その後、馬乗りになられて何度も切りつけられたということです。
警察は、小島容疑者が制止されたことに逆上し、強い殺意を抱いた
とみて詳しい状況を調べています。
 「キャー」「助けて」。
週末夜の新幹線車内で突然、悲鳴が響き、乗客はパニック状態で逃げ惑った。
東海道新幹線「のぞみ」で、刃物を持った男に襲われ乗客3人が死傷した事件。
同じ車両に乗り合わせた乗客が恐怖の瞬間を振り返った。
 神奈川県警によると、現場はのぞみ265号の12号車。
進行方向に向かって最後列の2人掛け席の通路側「20D」に亡くなった男性、その2列前の「18D」に小島一朗容疑者が座っていた。
 列車が新横浜駅を出発したのは9日午後9時40分過ぎ。
小島容疑者はその直後、なたを持って立ち上がり、右隣の「18E」にいた女性に襲いかかった。
この女性はしゃがむようにして逃げたが、肩を切られた。
さらに通路を挟んで容疑者の左隣「18C」にいた別の女性も背中などを切られ、梅田さんは騒ぎに気づいて止めようとして小島容疑者に刺された。
12号車の中央付近に座り、スマホを見ていた(ひかり)さんは突然、後方からの「キャー」という悲鳴で振り向いた。
続いて「だれかー」「ワー」という声が重なり、静かだった車内は一転パニック状態に。
「突然、後ろの車両から大勢の乗客が走ってなだれ込んできた。車内はパニックになった」。
旅行の帰りに事件のあった東海道新幹線「のぞみ265号」の9号車に乗っていたという兵庫県の男性は、事件直後の車内の様子についてこう振り返った。
「最初は、芸能人のイベントでもしているのかと思ったが、みんな緊張し、泣いている人もいたので大変なことが起きたと思った」と説明した。
また、2号車に乗っていたという自営業の男性は「12号車の乗客
とみられる人たちが2号車まで流れ込んで来て、『どうしたのか』と尋ねると、『人が刺された』と答えた」と話した。
 一方、小田原駅にいた男性によると、容疑者とみられる男は午後
10時過ぎ、警察官に連れられ駅を出ていった。
続いて、担架に乗せられた被害者とみられる3人が運ばれていった
という。
この男性は「男は手錠をされ、大勢の警察官に囲まれて抵抗する様子もなく連行されていった。
メガネをかけ、茶色いズボンには血がべっとり付いていた」と話し
た。
車内で緊急ブザーが鳴ったのは午後9時47分ごろ。
その後、新幹線は小田原駅で緊急停車。
車内アナウンスで警察が容疑者の男を確保したことが伝えられたという。
男性は「被害者とみられる2人の方がブルーシートに覆われて車外に運ばれていった。
乗客が落ち着くまでかなりの時間がかかった」と話した。
男は無表情で無言のまま。
一方、男性の衣服は血だらけで、抵抗する力もないようだったとい
う。
菱沼さんは前の11号車へ逃げようとしたが、通路は逃げる乗客で
ふさがれて進めない状態。
靴を履いていない人もいた。
「逃げるのに必死だった。
(被害者の)男性も逃げ場がなかったと思う。
これ以上こういう事件が起きてほしくない」と語った。
 12号車の前方にいた60代女性は、後方からの悲鳴で振り向く
と、11号車に駆け込もうとする大勢の乗客が目に入った。
状況をのみ込めないまま女性も逃げた。
「もう少し後ろにいたら自分も襲われたかもしれない。
もう新幹線に乗るのが怖い」と涙ぐんだ。
 亡くなった梅田さんの家族は10日、代理人の弁護士を通じ「突
然、家族を奪われたこの悲しみは、言葉では言い尽くせません。
今はそっとしておいてもらいたいです」とのコメントを発表した。
 
梅田さんの勤務先の会社は11日、「強い憤りを感じる。被害女性を助けようとしたのは大変勇敢な行動で、会社としても誇りに思う」などとコメントした。
同社によると、梅田さんは大阪市の職場で樹脂事業の新規用途開発などを担当。
明るく温厚で、慕われる人柄だったという。

容疑者「価値ない人間」殺人未遂容疑で現行犯逮捕された小島一朗容疑者は今年1月、「旅に出る」と家人に言い残し自宅を出ていた。