虹 作品として撮る



「バイバイポラロイド」の搬入日、森山大道さんが受けたインタビューの中で当時(2008年)亡くなった同世代の著名人の話をされました。

いつかは誰でも死を迎えるわけだけども、その出来事がリアルに自分に起こり得る事と感じ、これからの人生を改めて考えたそうです。


その話を同じ空間で聞きながら私も考えました。今あるこの瞬間は二度とない瞬間の連続で、次々と時間の流れと共に起きては消えていきます。この世に誰一人価値の無い人間はいませんが、特に森山さんは写真史に残る人だから、活動記録を残さないといけないのではとその時に気づきました。

展示する内容、場所が違えば、関わる人も違い毎回違う出来事が起きます。少しでも多く写真で残したいと思いました。



後日、出来上がった写真を森山さんにお渡しした時に「今まで森山さんに差し上げる為だけに撮影していましたが、これから作品として撮影してもいいですか?」とお願いしました。

森山さんは少し考えてから「何もしないからね。それからいいというまで発表はしないこと。」と言い、撮影を許して頂けました。

こうしてこの日から作品としての撮影が始まったのです。