1人のベガサポが天国へ旅立ちました・・・

生きている。この当たり前のことに、こんなにも感謝する日が40代で来るとは思いもしませんでした。

地震当日、私は仕事をサボって仙台港のアウトレットモールで、ゴルフ用品を物色していました。

目当ての物を購入したのち、1500円の寿司ランチを食し、満足して車に戻った直後

未曾有の大地震が私たちを襲ったのです。

私は直後に会社へ戻ったのですが、そのまま多賀城方面へ

営業しに行った仲間は残念にも大津波を喰らってしまって行方不明・・・。

翌日から私たちは独力で仲間の捜索。

車では入れないので、私たちは自転車を使って彼が行ったであろうエリアを懸命に捜索しました。

その過程で何名もの遺体に出くわしましたが、結局は仲間とは出逢えず、無念さばかりが頭をよぎりました。

そして今日、仲間の家族から「グランディに遺体があった」との連絡を受けたのです。

彼とは「ベガサポ」という絆で結ばれており、アウエーの柏戦も一緒に行く予定でした。

その彼は、家族を残して32才という若さで天国へ旅立ってしまったのです。

その彼との最後の会話は寿司ランチを食しながらの「名古屋戦、勝っちゃいましょうね」でした。

同じ場所でランチをしたのに、どうして私だけが助かって彼は助からなかったのでしょうか。

そんな漠然とした良心の呵責にさいなまれながら、今、これを書き込んでいます。

そして、ネットで聖書を閲覧し、この一節を発見することで、ほんの少しだけ心が安らかになりました。

新約聖書の中の1節――コリント人への手紙第1 10章13節

あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。

神は真実な方です。

あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう

逃れる道をも備えていてくださいます。

この試練という敵は強大です。

しかし、神は「試練に耐えられる人のみ」その試練をお与えになったはずです。

そう信じて、前に進むしかありません。

そして、彼の分まで生きなければならないし、彼の分までベガルタを応援しなければなりません。

何故なら、彼と私を結ぶ絆は「ベガルタ」だったからです。

彼がこの世から居なくなっても、彼との絆は生涯途切れることはありません。絶対に切らしません。

切らしてなるもんか・・。

いずれ私が彼の元に行った時、ベガルタについての「四方山(よもやま)話」に花を咲かせます。

その時のために、私は彼の分まで応援しなければならないのです。

今回の地震では、多くの人が亡くなりました。心より御冥福をお祈り致します。




一人のベガサポが天国へ旅立ちました エピソード2

多くの方に、励ましのメッセージを頂きました。

本来ならば、その全てに返事をしたいところなのですが、今はそんな心境にはなれません。

そこで、今さっき、本当に今さっき、あったばかりの出来事を書き込むことによって

皆様への御返事とさせていただきます。

昨日の夜、天国へと旅立った仲間のカミさんから連絡が入った。

仲間のカミさん「先ほど知人から連絡が入って、うちの人の車が発見されたそうなんです。

お忙しい最中に、こんな事をお願いするのは気が引けるのですが

明日、一緒に発見された車の場所へ行っていただけませんか?」

自分「あ、そうなんですか、あいつの車が・・・。

分かりました、支店長の許可を貰って、一緒に行けるようにします。

なぁ~に、支店長には「アイツの車に、大切な仕事の書類が残っているかもしれないので・・」とでも

言えば問題ないでしょう」

仲間のカミさん「本当に申し訳ありません。一人では、怖くって・・」

自分の車に仲間のカミさんを乗せ、車が発見された場所に到着。

一応、発見してくれた知人からは簡単な略図を書いてもらったのだが、

津浪に流されて屍となっている車の数は尋常じゃなく、結局1時間程かけて

仲間の車をようやく見つける事が出来ました。

自分「で、何か、探し物でもあったのですか?」

仲間のカミさん「はい、この車には大切な物が絶対に残されているんです。

それを彼に渡さないと、あの世から彼に叱られてしまいます・・」

仲間のカミさんは、その大切な物のありかを事前に知っていたらしく、

ダッシュボードを明けると簡単に目的のものを見つけ出した。

仲間のカミさん「あった、あった、やっぱりあった!!これこれ、これがないと、入れないもんね・・。

あとは、そうそう、これもあった。やっぱり几帳面だわ、うちの人は・・」

自分「何なんですか?探し物って?・・・」

すると、仲間のカミさんは、クリアーファイルの中に保管されていた

チケットとドライブの行程表が記してある簡単なメモ紙を私に見せてくれた。

そのチケットとは、私と一緒に行くことになっていた柏戦の物で、

行程表は私のリクエストである「柏へ行ったら、試合前に美味しいトンカツを食べて気合をいれ、

試合後はスーパー銭湯にでも行って汗と疲れを流してから仙台へ帰りたい」という我侭をカバーすべく、

アイツなりにネットで調べた店舗が記入してあった・・・・。

lll

お昼頃に柏へ着いたら、千葉県柏市明原の「とんかつ 塩梅(あんばい)」で昼食。
試合後は、柏天然温泉 白金の湯でリラックス

「アイツ、真面目なフリして仕事もしないでこんな事を調べていたんだな」

そんな事を思いながら感傷に浸っていると・・・仲間のカミさんが話しかけてきた。

仲間のカミさん「このチケットは、払い戻しの為に探していた訳ではないんです。

うちの人は柏戦へ行くことを楽しみにしていたので、絶対に、あの世へ行っても

日立台のスタジアムに入ろうとすると思うんですよ。

だから、まだ、火葬になるか土葬になるのか分からないんですけど、

あの人に・・・このチケットを渡しておかないと・・。

チケットが無いと、スタジアムへは入れないじゃないですか?

「お前、なんで、ポケットへ入れといてくれないんだ!」って、あの世から叱られちゃうので・・・」

仲間のカミさんが、なんとか搾り出した言葉を聴いた瞬間、私は涙が出るのを我慢する事が出来ませんでした。私の前には、ヘタな恋愛ドラマなんて足元にも及ばないくらいの愛情で結ばれていた強い女性が居たのです。生前、アイツは酔っ払うと「うちの嫁さんは日本一です」ってウザイくらい俺たちに言っていたけど、その意味がようやく分かりました。

残念だけど、死んでから分かりました。

「美香さんは、お前にはもったいないくらいの素晴らしい女性だったよ。

せっかく、美香さんがお前の為にチケットを探し出したんだから、お前さー、あの世へ行ったら忘れんなよ。

試合は延期になったから、日時とかは美香さんから聞いておくんだぞ」

そんな独り言を心の中で呟いていたら、ついに感情の波に耐え切れず美香さんは号泣。

それを見た私も号泣。俺にも、こんなに涙が流せるんだ・・。

伸行、お前の嫁さんは、本当に日本一だったんだな。そして、一緒に行こうな、柏へ。


チームの垣根を越えて、清水エスパルスのサポとして尚更胸の詰まるものでした。

故人もの冥福を祈ると共に良い仲間・友達、奥さまを持った方だと思いました。




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