黄金風景
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スペル



普段はホラー映画は観ないのだけど、サムライミ監督ということで興味があってみてみた。

なかなか良くできた映画だったと思う。ホラー映画につき物のいきなり飛び出してきたりしてビビらせるシーンが最初は音楽を駆使して「くるぞくるぞ!」と思わせてくるパターンを使っておき、観客が慣れたところで音楽なしにいきなりガツンとくる。この間がなかなか絶妙だなぁと思わせるシーンがいくつもあり、監督が楽しんで撮ってるのが伝わってきた。

あと、怖い中に変なシーン(蠅が鼻から鼻に抜けるシーンとか、鼻血がありえない量飛び出すところとか、墓で掘るしーんとか)がたくさんあってすげー笑えた。これも狙ってるのだとしたらすごいなあと思う。

ストーリー自体は僕がイメージする古典ホラー(不条理な理由で難癖つけられた主人公が次々と不幸な目に遭い、様々な犠牲を払って解決する。。。が、最期はやっぱりダメでした的な話)のまんまだった。そこがまた良かったのかなと。監督が幼い頃に怖かったホラー映画を現代映画の技術を駆使して撮り直したようなリメイクでないけれど、ホラー映画全体に捧げるリメイクのような作品だったと思う。

そんなわけでけっこう怖くて笑って面白かった。おすぎも絶賛するわけだ!w

○点数・・・80点

イングロリアス・バスターズ



タランティーノの最新作。タランティーノは『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』とけっこう好きだった。『ジャッキー・ブラウン』どっちつかず。『キルビル』は正直あんまり・・・という感じ。

今回は宣伝も大分力を入れていて、楽しみに観に行ったのだが、期待に違わず面白い出来だった。残虐表現が多くて、そこはあんまり好きではないのだけど、『映画の常識を覆す』というコピーにもあるとおり、期待を良くも悪くも肩透かしし続ける演出の数々はけっこう好きだ。

とくにヒトラーやゲッペルス等のナチス要人の扱いは度肝を抜かれた。最初から以外にも重厚なドラマを感じさせる作りで、この流れでいくと、普通の映画は『ワルキューレ』のように最期は歴史的事実を曲げることができずに終わるのだけど、この映画はそんな常識は完全無視で、コメディでもない普通の映画風に撮っていて、こんな風にして終われるとは思ってもみなかった。なので、ジャンルとしてはSFとしてもいいような、そんな異次元の作品だった(最も僕が知識不足なだけで、こういう映画は他にも多くあるのかもしれないのだけど)。

 ブラッド・ピットはイケメン俳優から今ではすっかりキ○ガイ俳優として定着したようなw、安定した狂人ぷりだった。次も大いに期待したい。

というわけで、久しぶりにタランティーノが気に入ったので、観ていなかった『デス・プルーフ』も観てみようかなぁ。

○点数・・・85点

曲がれ!スプーン



けっこう前から予告をみていて、「くだらなそうだなぁー」と思いつつも公開を楽しみに見ていた。

そして、昨日観てきたわけだけど、思っていたよりも面白くて楽しかった。全体を通してあるほんわかとした暖かい雰囲気が良かったのだろう。5人のエスパーと普通人2人の繰り広げるゆるーい笑いが心地よかった。エスパーと言っても、よくあるイメージにあるような大それたことをするわけでなし、自販機の当たりを当てるくらいがせいぜい、という小市民なエスパーの人々の感覚が良かったんだと思う。

長澤まさみは主役なのにあまりセリフやでしゃばることがなかったのが、返って良かったのか好感の持てるキャラになっていた。最後のオチも個人的には良い意味で驚かされて心地よかった。

あと、あらためて言うほどのことではないけど、YUKIは本当天才的なボーカルだよなぁと思う。あの声の伸びは誰にも出せないよね。

○点数・・・75点

ゼロの焦点



 映画を何本か観ていたのだけどすっかりレビューを忘れていた。ゲームをやっていたり、結婚式をしていたりしたからだ。これからもマイペースで書き続けていきたいと思いますのでよろしくお願いします。とりあえず、昨日観た映画『ゼロの焦点』から。

 松本清張の有名作品の映画化。原作は読んだことがないので楽しみに観てきた。
 内容としては、モロに夜9時からやる『火曜サスペンス劇場』の内容そのまま。ただ、映画なだけにその時代風景とかの描写が細かくてすごい。田舎の漁村の風景とか撮るために韓国までロケハンに行ったらしい。それだけに、その点は良かった。

 ただ、話としては謎がわかってからの部分が蛇足のように長く感じてしまったし、演説上にあがった犯人に投げかける言葉も微妙だなぁと思った。輪をかけて微妙だったのは本当のラストの現代のシーン。どう考えてもいらないと思うんだけど。。。おばあさんになった広末が出てこなかっただけマシか。

 看板の3大女優はどれもなかなか。演技力で広末は落ちるけど、それはまあ仕方のないところ。原作があんなもんなのかがすごい気になった作品だった。でも、たしか『点と線』は読んだことあるけど、同じく「火曜サスペンスそのまんまだなぁ」と思った気がする。今となっては原作を読んでもたいしたことないのかもね。

 ○点数・・・65点

私の中のあなた



 元はアメリカでベストセラーとなった小説の映画化。白血病の姉キャサリンを救うために遺伝子操作されて生まれてきた主人公のアナ。そこそこうまくいっていた家族だが、アナは度重なる移植手術に嫌気がさし、自分は普通の人生を送りたいと9回目の移植手術を拒否。母を訴える裁判を起こす。そこから見えてきた真実とは・・・

 というのが最初のあらすじ。ここから想像できるストーリーを良い意味で裏切られてなかなか良かった。途中、何度もじわりと感動するシーンがあって、何回か涙した。映画としては素晴らしかったと思う。

 ただ、少し見方を変えると、登場人物が揃いも揃って善人過ぎて現実感がなかったかなとも思えた。特に主人公のアナは当初はその考えを無理もないと賛成してみていたけど、途中から真実がわかるにつれ、まるで聖人のような行動、言動に「さすがにそこまでするのは無理じゃない?」とついていけない気持ちもあった。そこがまた良かったのかもしれないが。兄もそうだし、姉もそう。少しものわかりが良すぎる。母はそれこそ異常と言えるくらいの前向きさとバイタリティの持ち主だ。いい映画なのだが、少し一歩引いて観てしまうと現実離れした人々ばかりで首をかしげてしまう。

 とはいえ、そんじょそこらの映画に比べたら断然にいいので見るのはオススメである。母役のキャメロン・ディアスは『メリーに首ったけ』の頃に比べて老けたなぁとショックを受けたが、演技は抜群に上手くて感激した。女優として良い年のとり方をしてきたのだね。

 ○点数・・・80点

沈まぬ太陽



原作が山崎豊子で更にその題材が話題となり、問題となった作品。映画化は困難と言われていたが、幾度の頓挫を乗り越えて映像化されたという。時間も3時間半と長く、途中に休憩まで入っている。

しかし、その長さを感じさせない良い作品だった。日本の大企業の腐敗と組織というものの理不尽さ、残酷さを的確にえぐり出している。そして、その対比としてアフリカの悠久の大地を描写しているスケールの大きい作品である。

原作は読んでいないが、その昔何かと話題になっているのはニュースか何かで見た気がする。実際に映画を観てみると、よくもまあここまで実在の企業(フィクションといいつつ、明らかにJALのことを指している)をこき下ろすことができるものだと感心したw 余程の神経とサポートがないと、こういう作品は書けないだろう。この作品が問題なのはほとんど事実である企業や事件を題材に扱っていながら、内実はかなりフィクションが入ってることである。しかも、終わった百年も前の事件でなく、記憶の生々しい数年前の事件が題材なのだ。これで問題が起こらないはずがない。よくも、まあ、と色んな意味で感心してしまう。

まあ、題材はおいといて、最期のアフリカにいく描写はジーンとなるものがあった。ただ、一緒に行った人が言ってたが、3時間半という大作を見終えたらもっとガツンと感動するものがあるかと思ったが、そうでもなかったのが少し拍子抜けした。もちろん、良い作品だとは思ったが、原作の方がやはり良いものがあるのだろうか。

○点数・・・80点


ヴィヨンの妻



 太宰治が原作の作品。個人的に太宰は高校の頃に新潮で出版されてる文庫を全部読んだくらい
 好きだったので楽しみにみてきた。
 その原作の『ヴィヨンの妻』は短編過ぎるのでどういう風に展開するのだろうと思ったら、
 他の短編の寄せ集め+オリジナルの脚色で埋めていた。
 
 実際のヴィヨンの妻の内容は前半の20分ととびとびの居酒屋のシーン、最期の10分くらい
 だろうか。そこに僕が確認できた限りでは、
 ・『燈籠』の主人公の独白シーン(映画で松たか子が万引きで捕まってしゃべっているところ)
 ・『姥捨』で、夫とその愛人が心中するシーン
 ・『桜桃』でさくらんぼをまずそうに食べては吐き出すシーン(これは唐突で無理矢理すぎて笑った)

 が追加の小説分である。あと、線路を歩くシーンとか、裁判所で夫と話すシーンとかは悉く脚色である。

 正直、すごい面白かった。といっても僕の楽しみ方は「ここは原作にあった」「ここは脚色」
 「このわざとらしいほどの『グッド・バイ』は狙ってるなぁ』「この木に斜めがけに首をくくる
 シーンはあったあった」
 など、本来の楽しみ方とは全然違うので全く参考にはならないと思う。何も知らない普通の人が
 観たら、可もなく不可もない70点の作品だろう。「私達は生きてさえいればいいのよ」という
 最後の言葉もそこまで心に響くものではないと思う。太宰に思いを馳せ、楽しむくらいがちょうど
 よい。

 ○点数・・・90点



さまよう刃



もし、この映画を観ようか迷っている人は是非、聞いて欲しい。
この映画は観ない方がいい。

理由は心の奥に響く重いテーマなのに対し、映画としての質がそれに伴っていないからだ。
原作での良いところをとことん改悪している。

具体的にはラストの主人公の選択である。これを変えることは作品の根本が関わるところであり、極言すると完全に逆の意味のメッセージ性になってしまっている。これを改悪と呼ばずして何であろう。いくら、原作と映画は別物と言ってみても、逆の意味で受け取ってしまうような作品は許しがたい。

他にも猟銃の扱いや、織部の意外な行動など、僕が違和感を感じたほとんどは原作では違っている部分であった。この改悪された映画を観るよりは原作を読んだ方が百万倍いいだろう。
まだ、映画を観てないで迷っている人は是非、僕の言葉に耳を傾けて欲しい。

○点数・・・50点

カイジ~人生逆転ゲーム~



最近で一番の話題作。僕も原作が大好きなので、楽しみに観てきた。

観てきた感想としては、よくぞ2時間でまとめたなぁと。原作を知ってるものからすると、
ありえない繋ぎ方をしているのだが、映画上ではそれを感じさせず、名場面も適度に
取り入れつつ最期はお約束の終わり方まで綺麗にまとめていた。脚本が相当頑張ったと思う。
原作好きで大分不満な人もいるようだけど、正直これ以上うまく2時間にまとめるのは困難
だろう。(3部作とか言い出すと話は変わってくるが。。。)

カイジ役の藤原竜也も「ミスキャストでは?」と危惧していたが、観ているうちに良くなって
最期のEカードのくだりでは本物のカイジとダブるまでに感じた。デスノートの光といい、
藤原竜也は嫌いじゃない。映画的にも原作を知らない人が見に来る原動力にもなったし、アップ
シーンが多いことを考えると下手にカイジに似ているブサメンより、良かったのだろう。

遠藤役の天海に関してはやっぱり女でなくて、良かったかなぁと思う。頑張っていたとは思う
けど、やはり男臭さがカイジの骨頂でもあるし。

その他、良かったのは利根川役の香川、班長役の松尾スズキ、石田さん役の人などはいい味を
出していた。おおむねキャスティングは成功だったと思う。

観る前は「どうせ原作引っ掻き回したひどい映画でしょ」と思っていたこともあり、良い意味で
裏切られた映画だった。
観終わった後は、あのコンビニの安い焼き鳥パックとビールが無性に食べたくなったw

○点数・・・80点

引き出しの中のラブレター



TOHOシネマズでいつも観てるのだけど、この度マイル(観た分数)が6000マイル貯まって、1ヶ月無料パスを手に入れた。これから、バンバン観に行くぞー。結婚式間近だけど。

そして、最初に観たのがこの映画。地味なタイトルに地味な内容の印象で、それを如実に表すように公開4日目にして客は我々を含めて3人w 来週には消えてしまいそうだ。

そんな最初の印象がイマイチ過ぎたせいなのか、内容は予想以上に感動的で、いくつも泣かせるポイントがあって、良かった。けっこう何度もうるっと来てしまった。

映画のテーマはラジオの番組を中心とした人と人との繋がりを描くという若干古臭い内容で、話の展開や小ネタとかも寒いのが多かった。ストーリーも予告を見て想像した話の流れと90%くらい同じだった。だが、何点か意表をつくところがあって、その何点かが絶妙に泣けるところで映画の印象をすごく良くしたのだった。

話題作ばかりに押されてしまって可哀想だけど、観ても全然損のない映画である。オススメ。

あ、でもフットボールアワー岩尾だけはいらなかったな。カーナビの使い方もわからない運転手って、いくらなんでもダメすぎるだろw

○点数・・・80点
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