更年期女性に,しばしば起こる狭心症
狭心症は,左右いずれか,あるいは
両方に発生する冠動脈内の狭窄によって発症し,血管の比較的上流側で引き起こされるものであるが,最近では,冠動脈の末梢側(微小血管)の狭窄によって引き起こされる微小血管狭心症が知られている。しかも,この病気が女性で,特に更年期に多いことが特徴とされている。
*この原因は,女性ホルモン(エス
トロゲン)のバランスの変化と
されており,特に閉経期以降では
女性ホルモンの低下によって血管
収縮が起こり易くなることで,
それが特に冠動脈の微小血管狭窄
を引き起こし,この病気を発症さ
せると考えられている。
*また,この微小血管狭心症は,
通常,狭心症治療に用いられる
硝酸薬が効きにくいことも特徴で
ある。
*症状
一般の狭心症の「胸が痛く,締め
つけられる」というものより,肩
やあご,腕の痛みであったり背中
の痛みなど,必ずしも典型的な
狭心症とは異なる場合がある。
さらに痛みの持続時間が一般的な
狭心症では数分程度のタイプが
多いところが,微小血管狭心症
では20分,30分,あるいはそれ
以上,数時間にわたることもあり
,そのため,通常の狭心症という
診断がつかず,単なる更年期障害
などと一括されてしまい適切な
治療を受けることができない場合
がある。
*診断
心電図検査だけでは不十分で,
負荷超音波心臓検査や負荷心筋
シンチグラムなどが有用である。
*ニトログリセリンはあまり効かな
いがカルシウム拮抗薬は有効!