確かに憂愁という言葉は、
常に僕を支配していたあの堪え難い悩みを表現するのには不十分だ。
この悩みは突如として我々をとらえる。
これは時が持っている特性によってはっきりさせられる。
…つまり我々は認識はするが、もはや感動はさせられないのだ。
確かに憂愁という言葉は、
常に僕を支配していたあの堪え難い悩みを表現するのには不十分だ。
この悩みは突如として我々をとらえる。
これは時が持っている特性によってはっきりさせられる。
…つまり我々は認識はするが、もはや感動はさせられないのだ。
むしろ、暗い衝動で一杯で、
然るべき時が来れば、何か深い立派なものを作り出し、
思いのままにならぬ人生から
せめて一掴みの幸福を奪い取ることが出来るだろう、
と思った。
生活するのに止むを得ず多くの時間を費やしている。
その残りの時間がいくらもないのに無駄に過ごすだけではなく、
遂には一日を、一月を、一生を送ってしまうことは、実に愚かなことだ。
世界は改良される為に存在しているのではない。
君達も又改良される為に存在しているのではない。
君達は、自分自身である為に存在しているのだ。
…君が自分自身でなく、嘘吐きで有り、卑怯者であれば、
世界は貧しく、改良を必要とする様に思われる
自然というものは、誰か一人に独占されることを好まず、
一旦一人の所有に帰したかに見えると、
たちまち毒物と化してしまいます。
すると人の心から平安が追い払われ、
代りに、あらゆる物を己が手中に収めようとする貪欲がおびき寄せられ、
果てしない心配と激情がそのお供としてやってきます。
こうして自然は、持ち主の足元をこっそり掘り、
やがてぱっくり口を開けた深淵に、その持ち主を埋めた後、
人の手から手へと渡り歩き、
万人のものでありたいという願いを、ゆっくりと満足させるのです。
人間は、所詮似たり寄ったり、
知性の相違、人種の違いといったところで、
病人と健康人程にも違わないのじゃなかろうか
僕は三十なんですよ
…自分に嘘をついて、それを名誉と称するには、
五つ程年を取り過ぎました。
女は自分の生活を腕に抱きかかえているのさ、
男は生活をすっかり頭の中にもっている。
男ってものは一区切り一区切りの中に生活しているのさ
…ところが、女はね、おしまいまで一つの流れなんだよ
人間は、所詮似たり寄ったり、
知性の相違、人種の違いといったところで、
病人と健康人程にも違わないのじゃなかろうか
当節ときたらありとあらゆる事が技術的になりすぎているのだ。
秩序や規律に対する愛情などどこにもありはしない。