私の世界とあなたの世界
今日は認知論について書いていきたいと思います。認知論とは、誰もが自分だけのメガネ(価値観)を通して物事を見ているという考え方です。この認知論を語るうえで、そしてアドラー心理学を説明していくのに忘れられないのが個人の【ライフスタイル】についてです。ライフスタイルとは、個人の「生き方」や「生活のスタイル」のこと指しています。このライフスタイルでは「自分についての概念」や「まわりの世界に対する信念」、「個人特有の生き方のクセ」というようなニュアンスを大切にしたいためライフスタイル=性格とは考えておりません。アドラーはライフスタイルを二種類の言い方で定義しました。・静的(認知心理学的)な定義:自分自身と人生の諸問題についての意見・動的(力動心理学的)な定義:人生の運動の法則よりライフスタイルの本質に近いのは動的な定義ですが、アドラーは静的な定義を採用しています。この2つは矛盾するものではなくコインの裏と表のように共存するものだと考えられています。このことから、現代アドラー心理学での定義ではライフスタイルとは、自己の世界の現状と理想とについての信念の体系であると考えます。わかりやすく言うと、人間は自分の見えている世界とこうなってほしいという理想で生きているということです。そこでライフスタイルを実用的にするためにアドラー心理学では3つの要素で考えました。・自己概念:自分の現状についての概念「私は~である」という考え方・世界像:世界の現状についての信念「世界は(社会、人々)~である」という考え方・自己理想:自己の理想状態「私は~であるべきである」という考え方ここで質問です。【夢についてどう思いますか?】「私は~である」「人々は(世界は)~である」「私は~であるべきである」この3つで答えてみてください。もし近くに誰かいるなら答え合わせをしてみてください。たぶん全く同じ答えの人はいないと思います。これが私たち人間のライフスタイルの基本になっています。ライフスタイルはその人個人だけの辞書であり、地図という方もいます。私たちはこのライフスタイルを通して物事をとらえています。そしてこのライフスタイルは誰一人として同じ人はいません。ということは、自分の価値観は自分だけのものでしかないということです。ライフスタイルは自分を作るだけものであり、他人のライフスタイルの介入していいものではないということです。上司と部下、友達、特に親子関係ですね。親はたびたび子どものためと言いながら自分のライフスタイルを押しつけがちです。しかし子どもにも子どものライフスタイルがあり、自己決定性もあります。子どもの自己決定性を尊重しない子育ては、子どもの選択する力を伸ばすことができなくなります。親が子どもにできるのは幸福になるための【補助】であり、その人生に【介入】はしてはいけないとアドラー心理学では考えています。まとめ認知論は、自分のメガネ(価値観、ライフスタイル)を通して物事をとらえていると気づくことで、相手を理解する心を持つことができ、良好な人間関係を作れるとともに相手との適切な距離をとることで問題や悩みを回避することができるということです。