一面ススキの世界・・
日頃の疲れも
癒されましたこちらから・・どうぞ
ご覧下さい
癒されました
ご覧下さいその夜はなかなか寝付けなかった。
夜中になりようやく眠りに入り夜が明ける頃には目が覚めた。
6時頃だろうか、もう辺りはすっかり明るくなっていた。
寝床から起き出し伸びをして朝の空気を腹いっぱい吸っているとお父さんの声が聞こえた。
「コロ、眠れたか。散歩だぞ」
玄関を開けて出てきたお父さんはボクの首輪にリードをつけて門扉を開けた。
続いてリョウ兄ちゃんがチビ君を連れてやってきてボクとチビ君はお互いに鼻をくっけたりお尻の匂いを嗅ぎ合ったりして朝の挨拶ををした。
お父さんんはボクをリョウ兄ちゃんはチビ君を引っ張って朝の散歩が始まった。
チビ君にとっては毎朝の行事だがボクにとっては初めての本格的な町内散歩だ。、
5分ほども歩いて町内を出ると、そこには大きな池があって真ん中に樹木が繁った島があった。
あとで、お父さんに聞いたところによると、それは古墳で池と思ったのは垂仁天皇陵のお濠らしい。周囲は2キロもあるデッカイ御陵だ。
毎朝その周りを散歩するのがこれからの日課になるようだ。
きょろきょろしながら歩いていると、ジョキングや犬を連れて散歩中の人達に出会い、お父さんとリョウ兄ちゃんはその人たちと朝の挨拶を交わし、ボクたちは犬同士じゃれ合ったり吠え合ったりした。
そうして30分ほどの散歩を終えて帰宅すると、お母さんが手作りの朝ごはんを用意して待っていた。
食器の中を見ると細かく刻んだキャベツにドッグフードが混ぜられ、その上に犬用のフリカケが振られて竹輪まで入っていた。
お母さんが言った。
「お腹か空いたやろ。よく噛んでゆっくり食べるんやで」
ボクは食器に鼻を突っ込んで匂いを嗅ぎ一口食べた。
美味い!ひとくちひとくち味わいながら食事を楽しんでいる時に事件が起きた。
突然、チビ君が食器に鼻先を突っ込んで来てボクのご馳走をがつがつ食べ始めたのだ。
チビ君の食器を見ると空っぽだ。
何という早食い野郎だ!
ボクはチビ君の首筋に噛みついて止めさせようとしたが彼はお構いなしに食器を空にして庭の隅へと逃げ込んだ。
そんなことがあって次の食事からは彼はリードでテラスの柱に繋がれることになった。
そうして数日が過ぎ新しい生活にも慣れてきて、ボクはM家の人達をじっくり観察することにした。
お世話になっている人達の性格や趣味を知っておくのは大切なことだと思ったのだ。
まずお父さんは、お酒が好き。趣味は短歌や俳句や川柳を作って新聞や雑誌に投稿しているようだ。毎朝、真っ先に新聞を開いては「よし!今日は入選してるぞ」と騒いだり「今日は、ボツや」と憮然としたりしている。
お母さんはテレビ大好き人間だ。
刑事ドラマやサスペンスドラマを観て犯人当てをしたりNHKの朝ドラを観たり、おやつを食べながらダイエット番組を観るのも大好きのようだ。
そして、やたらとボクやチビ君におやつを食べさせるんだ。
そのせいかチビ君は相当なメタボ犬だ。
リョウ兄ちゃんは、いい歳をして鉄道マニヤだ。休日になると電車に乗って遠出をしたり電車の模型を買ってきたり。
どうもボクには???だ
チビ君は大食い犬だ。
何でもよく食べる。肉や魚は犬族だから許せるとしても、果物や野菜もバリバリ食べる。
スイカは皮まで食べるし柿やリンゴも大好物だ。キュウリまで食べるのには驚いた。
そしてもう一つの楽しみは、お父さんの休日には車に乗せてもらってのドライブ。
ボクが来てからは、お父さんが運転する車にお母さんとボクら二匹で色んな所に連れてもらうようになった。
助手席はチビ君の定席だったようだけど強引にボクが席を譲って貰った。近所にも飼われている犬達が居てボクと同じ名前のコロと言う雄の柴犬が居た。
同じ名前でも痩せっぽちなヤツで体型も顔もオレの方が勝っていた。(と、自分では思っている)
そいつは、何時もはおとなしいけどご主人に連れられて我が家の前を通る時は、空威張りしてぎゃんぎゃん吠えるのでボクも負けずに吠え返した。
相性が悪かったかのかな。
やがてその年も12月となりボクの小屋にも寒風が吹き込むようになってきた。
お母さんは毛布を増やしたり夜は湯たんぽを入れてくれたりしてくれたが、リョウ兄ちゃんが可哀想だと言い出してチビ君と同じように室内に入れてもらえることになり、晴れてM家の室内犬となった。
チビ君の左脚に腫瘍が出来て徐々に大きくなっていった。
もうチビ君は老犬となり身体のあちこちを病魔に蝕ばまれるようになっていたのだ。
お父さんとお母さんは数日置きに病院に連れて行き点滴を受けさていたけれど病状が進行して、あれほど好きだった散歩も無理になってしまった。
チビ君は頑張ったけれどついにお別れの時が来てしまった。
3月のまだ肌寒い夜、お父さんとお母さんが目を離した僅かな隙にチビ君は何時もお父さんと寝ていた布団の中で永眠についていた。
さようならチビ君いろいろ楽しかったね。
それから7年、ボクも14歳となりすっかり老犬となってしまった。
左足の付け根にチビ君と同じような腫瘍が出来て、お父さんに連れられて行った病院の先生には手術は無理な状態と診断された。
何だか息苦しい時があり一日中寝ている事が多くなってきた。
お父さんやお母さんと出会った時の夢をよく見るようになった。
お父さんが庭でスリッパを投げそれをボクがキャッチして遊んだこと。
チビ君と喧嘩してお父さんに怒鳴られたこと。
お父さんお母さんボクとチビ君でドライブに行った日のこと。
いろんな所に連れて行ってもらったな~
飛鳥や平城京跡や吉野や鴻池公園でお母さんが作った弁当を皆で食べたこと。
リョウ兄ちゃんが彼女を連れてきた日のこと。
彼女と結婚したリョウ兄ちゃんが近くのマンションに引っ越して行ったこと。
そしてボクにもチビ君がいる天国に行く日がやって来た。
だんだんと衰弱していくボクを心配したお父さんが依頼した往診の獣医さんによると病名は肺水腫で余命は一週間と診断された。
肺に水が溜まる病気だそうだ。
その日からボクは日に何度も水を吐き意識が遠のくようになった。
一週間後、自分で死期の訪れを悟った。
水を吐いた後、背中をさすってくれているお母さんの手の感覚が遠のき苦しさが無くなり呼吸が止まったのが分かった。
身体から魂が抜けだして天井から自分の亡骸を見つめているボクがいた。
お母さんがボクの名を呼びながら泣いているのが見えた。
これを幽体離脱と言うのだろうか。
「お母さん、泣かなくていいよ。ボクはもう苦しくないよ」そう吠えたけれどもお母さんには聞こえていないようだった。
しばらくして、お母さんの電話でボクの臨終を知ったお父さんが会社から帰ってきて、ボクの身体をゆすりながら「コロ、コロ起きろ!起きろ」と叫んでいるのをボクの魂は天井から見つめていた。
その夜、お父さんお母さんリョウ兄ちゃん囲まれてボクの通夜が営まれた。
翌朝、リョウ兄ちゃんのお嫁さんがお花をボクの身体の横に供えてくれた。
ボクを荼毘に付すため動物霊園へと向かう途中リョウ兄ちゃんは車をボクが大好きだった散歩コースの平城宮跡に回して一周してくれた。
そうして動物霊園で荼毘に付されたボクは煙となって天国へと旅立って行った。
煙になったボクに向かって何時までも手を振り続ける、お父さんお母さんリョウ兄ちゃん夫婦の姿が豆粒のようになりやがて見えなくなった。
おわり。
夕食後、毛布に寝転がっているとリビングのほうから話し声が聞こえてきた。
お父さん「こんどの休みにはコロに狂犬病の注射を受けさせなければ」
お母さん「そうやね、万一近所の人に嚙み付いたりしたら大変だから」
(ボク、そんなことしないよ。注射はイヤだな)
翌朝、リョウ兄ちゃんに連れられてチビ君が家から出てきた。
どうやら散歩の時間らしい。
続いて、お父さんがリードをボクの首輪につけて「さあ、オマエもチビも一緒に散歩に行くか」と言いながら門扉を開けて外に出ようとした時、突然チビ君が吠えながらボクに組み付いてきて首筋のあたりにガブリと嚙みついた。
首輪の上からだったから何ともなかったが、ボクも反撃してチビ君を押し倒して嚙みつこうとした瞬間、頭上から大きな声が降ってきた。
「こらっ、オマエら何をしているんだっ」お父さんはボクの首輪を掴んでチビ君から引き離すと地面に放り投げた。
キャンとボクは悲鳴を上げた。
「チビもチビだ!新入りと仲良くしないとアカンやろっ」
この日以来ボクとチビ君は兄弟のように仲良くなったし、二度とお父さんの雷も落ちることはなかった。
その日の夜、リョウ兄ちゃんが立派な犬小屋を買って来てくれた。
以前に作って貰ったのは和風造りだったが、今度のは洋風造りだ。その上、立派な革の黒い首輪も買ってきてくれ赤い百均の首輪と取り替えてくれた。
数日後、いよいよ狂犬病の予防注射を受ける日が来た。
お父さんの運転する車で、お母さんとボクらは三人で病院へと向かった。
そこはチビ君が定期的にワクチン注射や健康診断を受けている動物病院で、ボクんちから車で15分ほどの所にあるこの地域では有名なN獣医院だ。
入り口の自動ドアが開いて中に入ると広い待合室があり片側に診察室が五つ並んでいた。
既に何匹かの犬や猫たちが診察を待っていた。
その中に、よぼよぼの高齢の柴犬を連れた男の子がいて、しきりにボクのほうを見ていたが、やがて立ち上がりこちらへとやって来ると「オマエあの時のほら、病院の駐車場にいた犬じゃないのか?オレだよオレ」
(あっ、そうだあの時ボクにアンパンをくれたあの男の子だ)
男の子「オマエ、誰かに引き取ってもらったのか?よかったな~。心配してたんや。オマエの尻尾の先っぽ白いからすぐに分かったで」「うちの犬すっかり齢をとって病気なんや」
そしてお父さんに向かって「おじさんがこの犬引き取ってけれたんですか。ありがとうございます。よろしくおねがいします」と頭を下げた。
お父さん「うちのコロがお世話になったようやね。こちらこそありがとう」
嬉しかったな~。ここであの子に会えるとは思わなかった。
そうこうしているうちに「コロちゃん、5番の診察室にお入り下さい」と受付のお姉ちゃんから声があり、ボクは男の子の手の甲をペロペロと舐めてからお父さんとお母さんに連れられて5番診察室に入った。
中に入ると体重計と一体になった診察台があって横に若い女性の獣医さんが待っていた。
その獣医さんは綾瀬はるか似のキレイな人で嫌々診察室に入ったボクは嬉しくなって尻尾を振りまくった。
お父さんも何故だか嬉しそうな顔でボクを引き取った経緯を説明していた。
そんなお父さんをお母さんはジロリと睨みつけていた。
獣医さんはボクを診察台に載せて優しく首筋を撫ぜたあと口をグイと開けて覗き込み歯を観察して「このワンちゃんの年齢は1歳から2歳位ですね。人間で言えば高校生位で一番やんちゃな年頃です」と言った。それから聴診器を身体のあちこちに当てたあと尻尾を持ち上げたかと思うといきなり肛門に何かの物体をブスリと差し込んだ。(ゲゲッ、なな何をするんだよ)
やや間を置きその物体を引き抜き「体温は平熱です」(なんだ体温計かよ、やれやれ)
「体重は、12キロです」と言いながらカルテに書き込んでいった。
そして最後はいよいよ狂犬病の予防注射だ。
獣医さんは、注射器をボクに見せないようにして背後に回りこみ肩口のあたりにプスリと刺した。
これは心配していたほど痛くはなかった。
(そうしてようやく診察室から解放された。ボクにとって、人間の女性はキレイで優しく見えても油断をしてはいけないと学習した一日となった。)
もう待合室に、あの男の子と老犬は見えなかった。
いつの日かまた会いたいな。
明日からは、またどんな暮らしが待っているだろうか。
お父さんやお母さんやリョウ兄ちゃんやチビ君のこともっともっと知りたいな。
そんなことを思いながら、新しい部屋(小屋)で眠りについた。
乗せられた車は10分ほど走った後、とある建物の駐車場に停まりMさんはボクを車内に残してその建物の中へと入っていった。
どうやらそこは警察署の駐車場のようでパトーカーが何台か駐車していた。
暫らくしてMさんがお巡りさんとこちらに向かってやって来た。
Mさんはボクを車から降ろしてお座りをさせた後、お巡りさんに向かって言った。
Mさん「そうするとこの犬は遺失物と言うことですか」
お巡りさん「そうです犬は法律上は物なんです。遺失物拾得の届を出してください」
Mさん「分かりました。届を出しましょう」
(どうやらボクは人間の法律では〈物〉らしい)
お巡りさん「その前にこの犬の写真を撮ります」
そう言ってお巡りさんはデジカメを取り出すとボクを前後左右から何枚か撮った。
お巡りさん「では遺失物係の方で事情聴取しますからこちらへどうぞ」
ボクはまた車に乗せられて、Mさんとお巡りさんんは建物の中に入って行った」
2、30分して又、こちらにMさんとお巡りさんがやって来た。
お巡りさん「これで手続きは終わりました。こちらで保健所にも連絡をしておきます。6ケ月経っても落とし主、飼い主のことですが現れなければ、この犬はあなたが所有権を取得することになります。
Mさん「えっ、その間わたしがこの犬の面倒を見るんですか?こちらの署で見てくれないのですか」
お巡りさん「そこまではやれません。よろしく面倒見てやって下さい」
Mさんは、再びボクを車に乗せて会社に帰り社長に経過を報告した。
社長「そうか。そう言う事やったら飼い主が現れるまでウチで面倒を見てやるか。役に立つかどうか分からんが事務所の番犬でもやらせるか」
ボクはほっとした。元の飼い主が現れることは絶対にないだろうが、その時はきっとMさんが面倒を見てくれるだろう。
翌日、社員のみんなの間でボクのことをどう呼ぶかが話題になり、それぞれに思いついた名前を発表することになった。
ラッキー、ジョン、ポチ、太郎、コロ、チビetc
まず、ラッキーやジョンは日本犬である柴犬には変だとMさんが却下。
ポチも太郎も平凡でダメ。
コロも平凡だが今は痩せっぽちのこの子が将来はコロコロとした健康な犬になるようにとMさんが提案をして全員異議なく可決した。
ボクにはもともと別の名があったけれど嬉しかった。
次は、犬小屋が必要だとなり、会社に出入りの工務店の棟梁にお願いして現場の残材を利用して作って貰うこととなった。
その日からボクはその会社(オークホーム)の準社員となった。
職名は警備犬だ。
みんなが帰った後、夜中に一度は事務所の回りを一巡して不審者がいないか変わった事はないかを確認することにした。
3日後に犬小屋がきた。
木の香りがするピカピカの切妻造りの新築ハウスだ。
そうして一週間、10日と過ぎて行ったが困ったことがあった。
会社の休日のボクの食事の事だ。
近くに住むMさんんが日に一度はやって来てくれたが、、、
でもやっぱり一人ぽっちは寂しくて、Mさんが来てくれる度に飛びついて思い切り尻尾を振った。
そんなボクを見ていてMさんはある決心をした。
「どうだコロ、俺んちに来るか。ウチにはもう一匹犬がいるけど仲良くやれるかな。それと女房の許可も貰わないとな。それが一番の問題だ」
ボクはMさんの顔を見上げて何度も吠えた。
次の休日、Mさんは奥さんと一匹のビーグル犬を連れて会社にやって来た。
Mさんの奥さんは、社長夫人には負けるがメダボ体型の50代半ばの人だった。
ビーグル犬は7才か8才位で人間で言えば中年のこれもメタボな雄だった。
Mさんと奥さんからはチビと呼ばれていた。
そして、いよいよ奥さんの面接試験が始まった。
緊張していたけれど、それはアット言う間に終わった。
奥さんはボクの顔を見ながら言った。
「コロちゃんのことはお父さんに聞いてるよ。チビ君と仲良くできるならウチにおいで。仲良くできる自信はあるかな?」
それから横に座ってボクのことをジロジロ見ているビーグル犬に向かって「チビお前はどうや」と尋ねた。
犬のくせに奥さんに猫可愛がりされてることが一目で分かるチビは、自分の地位がアブナクなるのではと警戒の目でボクを見ていたけれど、しぶしぶ尻尾を2,3度振った。
奥さんは言った「合格。合格。あした会社の皆さんにお別れの挨拶をしたらウチにおいで。おまえの寝床を作っておくからね」
Mさんも言った「よかった。よかった。コロは明日から俺んちの家族や」
ボクはその時から、Mさんのことをお父さん、奥さんのことをお母さんと呼ぶことにした。
先輩のビーグル犬のチビのことは敬意を表してチビ君とクン付けで呼ぶことにした。
翌日、出社して来た社長にお父さんは言った。
「社長、コロはウチで引き取ることにしました。きょう連れて帰ります」
社長「そうか、それはよかった」
そして「コロよかったな。しっかり可愛がってもらえよ」と背中をポンポンと軽く叩いてくれた。
「あの犬小屋はオマエが遊びに来た時のためにここに置いておけばどうや」
(ありがとうございます。ボク可愛がってもらえるようにしっかり頑張ります)
夕方、仕事を終えて帰宅して行くみんなに一声吠えてお別れをした後、車に乗せられてお父さん
ちへと向かった。
今夜からどんな生活がボクを待っているのだろうかと思いつつ。
お父さんちに着くと玄関の土間に毛布が敷いてあった。
お母さんが言った「とりあえず今夜はここで休みなさい。明日になればリョウ兄ちゃんが犬小屋を買ってくれるからね」
リョウ兄ちゃんとは同居している息子さんのことらしい。
夕食のドッグフードと新鮮な水をたっぷり貰った後、チビ君と改めて対面した。
猫可愛がりされている彼は屋内で飼われていてベランダのガラス戸越しの対面となった。
自分の地位が脅かされるのではと、警戒気味の彼は吠え立てたけれどボクは無視をした。
ここでケンカなどをしてトラブルを起こすと面倒なことになるかも知れない。
そうこうしているうちにリョウ兄ちゃんが帰って来た。
年の頃なら30才過ぎだろうか。
彼女はいるのかいないのかそこのところは分からない。
お腹のあたりが少々出ている。
ここの家族はどうやらメタボ系と見たが、ボクも将来このスリムな体型が肥満体となるのではと嫌な予感がした。
この予感は当たりとなったトホホ・・・
つづく (次回は思わぬ人との出会いが、、、) 前田でした。
先日、近畿地方が梅雨入りしましたね(>_<)
毎年の事ですが、この時期は早く梅雨が明けるよう日々祈っております(;・∀・)
早く夏よ来い(o ̄∇ ̄o)♪
さて、住宅金融支援機構 より6月のフラットの金利が発表されました。
・ フラット20 1.31%(▲0.08%)
・ フラット35 1.54%(▲0.08%)
・ フラット50 2.38%(▲0.03%)
融資率が9割を越す場合
・ フラット20 1.44%(▲0.08%)
・ フラット35 1.67%(▲0.08%)
・ フラット50 2.51%(▲0.03%)
フラット35S [優遇金利適用後( Aタイプは当初10年間・Bタイプは当初5年間適用)]
・ フラット20 0.71%
・ フラット35 0.94%
融資率が9割を越す場合
・ フラット20 0.84%
・ フラット35 1.07%
金利は先月よりわずかですが上昇しております。
また来月にお伝えしたいと思います。
株式会社 オークホーム 営業 馬場
しばらくすると、建物の横手に軽自動車が止まり中から一人の女性が降りてきて駐車場のゲートを開けてこちらへと向かって来た。
年齢は頃は20才代の・・・いや女性の年齢のことはやめておこう。
これは後で知ったのだが、その女性はこの会社の事務員さんでOさんだった
ボクは、Oさんを驚かせないように、静かに前に回り顔を見上げて愛想笑い?をしながら尻尾を振ってみた。
Oさんは、ちょっとビックリした様子を見せたけれどボクを無視して事務所の入り口の鍵を開けて中へと入って行った。
その後、次々と車や自転車で男の人や女の人が出勤してきた。
これも後で知ったのだが、Oさんの次に出勤してきたのパンチパーマをかけた40才過ぎの男性はTさんで営業部長(パンチパーマが似合っていない)
そして体のデッカイ60才代半ばの経理部長のMさん。
30才前の男性は営業のSさん。同じく営業のM・Sさん。自転車に乗って出勤して来たのは女子事務員のNさん。アルバイトの女子事務員のKさんは軽自動車で出勤。最後に歩いて来た50才代半ばの男の人は設計担当のHさんでこの人は、何だか恐ろしく不機嫌な顔をしていた。(どうやら地顔のようだ)
それぞれ、ボクを見た時のリアクションは、Tさんはボクを蹴飛ばす仕草をし、Sさんは無視、M・Sさんは犬が苦手なのか2,3歩後ろに退いた。
声を掛けてくれたのは、Mさんで「何や、オマエ迷い子か?それとも捨て犬か?
腹が減ってるようやな。後で何か食べさてやるからな」
そして、ボクの目線にしゃがみ込んで、首筋を撫ぜてくれた。
Nさんも{迷子かな~」と言いながら背筋を撫でてくれた。
ボクは思わず涙が出そうになって、クイーンと鳴いた。
Hさんは不機嫌な顔のまま無言で事務所に入って行った。
それから、全員での事務所の掃除が終わった頃、大型の乗用車が入ってきて中から初老の男性と中年の女性が降りてきた。
ボクは一目でこの会社の社長(現会長)夫妻だと分かった。
社長の髪はカツラだとすぐに分かった。
社長夫人は典型的なメタボ体型だ。
社長は駐車場にいたMさんに問いかけた。
社長「なんや、この犬は野良か?」
Mさん「いや~、野良とは違うみたいです。首輪の跡がありますから、多分迷い犬と違いますか」
社長「そうか、飼い犬やったら仕付けれてるやろ」
Mさん「そうですね、何かやらして見ますか」
Mさんはボクの方を向き「オマエ何か芸できるか?」と言ってお座りやお手や伏せ、お回りを次々と命じた。
その様子を見ていた社長が言った。
社長「うん、迷い犬のようやな。飼主が探しているかも知れんな」
Mさん「保健所や警察に届けて見ようと思うのですが、その間会社で面倒見てやりたいんですがいいでしょうか」
社長「ええやろう、オレも犬すきやし。ええやろう?」と社長夫人の方を向いて夫人に同意を求めた。
社長夫人「そうやね。このままやったら可哀相やし」
助かったとボクは思った。
でも、元の飼主が現れることは絶対にないだろう。
その後、どうなるのか不安で胸が一杯になった。
社長夫妻のお許しが出たと言う事で、あのパンチパーマのT営業部長が百均に走って首輪とリードを買ってきてくれた。
その首輪を見てビックリした。
なんと真っ赤ではではないか(ボク男の子なのに)
女子事務員のOさんは、ホームセンターまで行ってドッグフードを買ってきてくれた。
Mさんは駐車場にある水道の蛇口をひねって新鮮な水を腹一杯飲ませてくれた。水がこんなに美味しいものだったとは。
昼休みになると、Mさんは近くの自宅から古毛布を一枚持ってきて事務所横の庇の下に敷いてくれた。
「オイ、オマエ疲れてるんと違うか。この上で休めや。明日からオマエの飼主さん探しや」
二晩、病院の駐車場の冷たいアスファルトの上で寝ていたボクは暖かい毛布の上で夕方までグッスリと眠った。
夜になり、事務所の明かりが消え皆それぞれ帰って行った。
Mさんが言った。
「また明日な。しっかり留守番するんやで」
ボクはまた一人ぽっちになったけれど、明日の朝になれば皆に会えると思うと寂しさをこらえて毛布で上に横になった。
やがて夜が明け、しばらくすると昨日と同じようにOさんが一番にやって来て駐車場のゲート開けた。
ボクは思わずOさんに飛びついて尻尾を振ったが、Oさんは何だか迷惑そうだった。
そして次々と社員の人達が出勤してきてMさんの顔も見えた。
Mさんはボクの前にくると「寂しかったか」と言いながら首筋や頭を撫ぜてくれた。ボクは嬉しくなってMさんの手をペロペロと舐めた。
暫らくして朝礼を終えたMさんがやって来て首輪にリードをつけ車の後部座席にボクを座らせた。
駐車場を出た車は何処かへと向かって走り出した。
また、この前のように遠い所に連れて行かれて置いてきぼりにされるのでは。
ボクは、不安に襲われだした。
つづく 前田でした。


模様でしたが、久しぶりに自然に触れリフレッシュ出来ました

翌日は、朝から小雨が降ったり止んだりの天気でボクの身体は濡れ鼠のような、みすぼらしい姿になっていたと思う。
ボクは空腹を抱えて、食べ物と新鮮な水を探して病院の回りをうろつき回ったが、それらの物を見つけることはできなかった。
途中でバイクに乗った若い男にしつこく追い回されたが、狭い路地に逃げ込んで何とか振り切った。
多分、あの男にすれば面白半分だったのだろうがボクにとっては物凄く恐ろしい体験となり、それからの人(犬)生で一番嫌いなものはバイクのエンジン音になってしまった。
そんなこんなで、ボクは再びあの病院の駐車場に舞い戻り濡れたアスファルトの上に座り込んでしまった。
そんな時、病院から出てきたひとりの男の子が僕の前に来てアンパンを差し出して「ほら、食べろよ。腹へってるんとちゃうか」と話しかけてきた。
ボクは、もともと肉や魚が好きでパン類はあまり好きではなかったが、あまりの空腹には勝てずパクリと差し出されたアンパンにかぶりつた。
あの時のアンパンは美味しかったな~
あの時の嬉しさとアンパンの味は今でも忘れることは出来ない。
アリガトウ。キミの未来が幸せでありますように。
できたら水も欲しかったな~(笑)
その日の夜も用水路のドブ臭い水を飲み駐車場の車の下に潜り込んで眠った。
翌朝、目覚めると今日は昨日とは違う所に行って見ることにした。
この病院と道路を隔てて向こう側にも駐車場があって、そこに会社の事務所らいしい建物があるのが昨日から気になっていた。
そうだ、あそこに行って見よう。
しかし、その道路を渡ってあそこに行くのは至難のことと思われた
何しろ、その道路はこの街でも幹線道路の一つらしく、乗用車やバス、トラックそしてあのボクが嫌いになったバイクなどが轟音を立ててひっきりなしに通過していた。
ボクは、注意深く左右を確認して一歩を踏み出そうとしたその時、遥か向こうにいたと思ったトラックが物凄い勢いで突進してきてブウォーとクラクションを鳴らした。
助手席から顔を出したオッちゃんがボクを睨みつけて「バカヤロー」と怒鳴った。
あの時は本当に怖かった。
その次には、乗用車がこれも凄いスピードで渡ろうとしていたボクの目の前を走り抜けて行った。
そんな事が何度かあった後、気が付いた。
そうだ、人間について一緒に渡ればいいんだと。
しばらく観察していると、ひとりのお婆さんがゼブラ模様に塗られた道路の上を手を上げて渡って行くのが見えた。
ボクは、あわててそのお婆さんに駆け寄り一緒に向こう側へと渡ることに成功した。
そして、ボクは目的の駐車場のゲートをすり抜けて恐る恐る中へと入り込んだ。
まだ早朝だったせいか、駐車場に停まっている車は無く事務所の中にも人影は見えなかった。
そのうち、会社の人達が出勤してくる事になるのだろうが、いったいどんな人達だろうか。
こっぴどく叱れて追い出されるのではないだろうか。
不安と好奇心で胸の動悸が早くなるのが自分でも分かった。
とりあえず建物の陰に身を隠して駐車場の入り口を窺った。
そして、その日、ボクは一生を共にする大切な人に出会うことになるのだった。
それでは続きは次回に。
きょうの犬川柳は
振り向けばむこうも見てた迷い犬 前田でした。