いつも使う近所のATMはまず先にお金が出てあとから
カードが出てくる。
この条件反射で失敗してしまったことがある。
7月にある駅ビルでお中元を買おうと思って、その駅のATMで
1万円をおろした。そのとき、領収書発行の有無をみて、
いらない、を選んでしまい、カードをとってすぐにお店に向かった。

そう。そのATMはまずカードが出てあとからお金が出てきたのだ。
私はいつもの習慣でカードを取ったものだからてっきりお金は
すでに持っていると勘違いしてそのまま出て行ってしまったのだ。

二件のお中元を買ってさあ支払いを・・・と財布を開いた時、
千円札の束しかないことに初めて気がついた。
ギョッとして記憶を反芻する。
お金を取った記憶がないといえばない。でもうっかり間違えて
実は1000円をおろしてしまったのか?という疑いもぬけない。

あわてて現場に戻るが、残された形跡はなし。
駅の窓口でそういう届けがなかったか確認したがそれもなし。
振り返るとアホなんだけど、そのATMでコールしてチェックすれば
よかったのに、領収書をとらなかったばかりに、自分の記憶に
自信がなく、まず帰って通帳記帳をしなくては、とそればかりが
頭をグルグルしていた。
遠い場所にいたので、すぐには確認も出来ず・・・。

とにかく戻って記帳したら確かに1万円をおろしていた。
さっそく派出所に向かって届けを出したが、紛失か盗難かで
書類が違うという。そして防犯カメラで確認することも出来るかも
しれないので銀行でまず調べてみてくださいといわれた。
ところがすでに銀行は閉まっていて、金曜だったので土日を
はさんで待つしかなかった。
で、週明けに銀行に電話すると、取り忘れたお金は一定の時間が
あくと自動的に回収されるらしいが、私の場合はその形跡はないと
いうことだった。で、防犯カメラのチェックは警察の許可がないと
出来ないから警察に届けてくださいと言われる。

それでまた派出所へ。すると、管轄が違うからなくした場所の
警察署で手続きを踏んでくださいという。
こっちでも出来なくないけど、結局その警察署に書類送付とかで
やたら時間がかかって、あんまり間が空きすぎると防犯カメラの
データも消されて見れなくなってしまうかもしれないし、などと
言いくるめられて、結局はその駅前の派出所に出向くことになった。
なんだかんだとたらいまわしのようになって、やたらと時間がかかった。

昔、18万くらいおろしたお金の袋をATMに忘れていった人がいて、
忘れ物の届けをしたことがあったけど、そのときの手続きさえものの
10分程度だった。
なので、盗難手続きもその程度だろうと思っていたのに、軽く1時間は
越えた。その警察官のおじさん、こういう手続きが初めてだったようで
手続きマニュアルをごそご紐解いて確認したり、ATMの正式名称が
わからないって調べたり銀行に電話したりやたらめったら時間がかかった。
ちょっとでも間違うと再提出になるらしいのでおそろしく慎重に書くのだ。
文章がどうも苦手らしく、頭で長い時間かけて作成し、それから書くときも
一字一字考えながら時間をかけて丁寧に書き、何度も話したっていうのに
念押しのように状況説明を細かく求めるものだから、私のストレスは
相当なものだった。
まあ、親切な方だったのが救いだろうか。
「時間がかかってごめんなさいね~。」と最後に言ってくれたけど、
心の中で「ホントウニネ・・・。」とため息をついてしまった。

それからしばらくして警察と銀行から電話がきて状況確認されたけど、
それ以来まったく音沙汰がなかったので、もう駄目だったんだろうと
あきらめていた。だいたい駅改札近くのATMなんて出入りが激しいし、
盗まれても仕方ないよね・・・って思った。
そしたら一昨日警察から連絡があって、「犯人を突き止めました。」という
報告を受けた。

ここ最近振り込め詐欺が多いから防犯カメラの設置が
充実してるんですかね。本当にありがたいことです。
私の後に入ってきた人が犯人だった。
ただ気がついて出ていった私を探そうとはしてくれたみたい
なんです。パフォーマンスだけかもしれないけども・・・。
で、結局見失ったからそのまま持っているってことらしくて。
おかしかったのが、警察から電話を受けた時に犯人は
「そのお金は使わずに今もちゃんと保管してます。」と答えたらしい。
保管するくらいならなんで警察届けてくれないわけ?って
そのベタな言い訳に笑ってしまった。
絶対につかったでしょって感じですが。
保身に走ると人はとっさに不思議なことを言うんですね~。
警察は私に「その人に罰を受けて刑務所に入ってほしいですか?」
と聞いてきた。
きちんと反省はしてほしいと思ったけど、別に刑務所に入るとか
そこまでは考えてなかったのでびっくりした。
「まあ、次回こんなことがあったらちゃんと届け出をするように
してください。」とだけお願いした。
きっと盗んだ人もちょっとした出来心でラッキー、いただき!くらいの
気持ちでいただろうから、警察から連絡があったときには
さそがし驚いたことだろう。

しかし、警察はすごいなあと思うと同時に防犯カメラもすごいねって
感心した。
手続きにまだ時間がかかるらしいけど、確実に1万円はお手元に
戻りますということだった。
防犯カメラがあるってことすら意識にまったくなかったため、
そこから割り出せるとも考えてもみなかったので、本当に助かった。

もとはといえば私が悪いんだけど、あきらめずに手続きしておいてよかったと
心から思った。