今日は健診日だった。先生は私の顔を見るなり

「まずはとにかく見せてね。」と内診へ。

超音波をみながら

「やっぱり・・・・。心配していたとおりだったわ。」

と言った。

「残念だけど胞状奇胎です。先週、9割方そうだろうと

思ったんだけどとにかく心拍が見えてなかったし

希望を持ちたかったのだけどね。」

という。

先週エコーの写真を先生は私の分を用意していなかった。

その時点で流産だろうと直感していたらしい。

ただ理由のわかっていない私が写真をもらえないことを

不信に思ってはいけないと慌てて「コピー差し上げます

からね。」とコピーしたのをくれた。その時点で私も事態が

あんまりよくないらしいことに気がついた。

待合室で写真をじっとみていると袋の左上に白い丸があった

ので助産師さんを捕まえて「これはなんですか?」と尋ねた。

「子宮の細胞ですよ。」とあっさり答えられたのでそんなに

たいしたものでもないのかな?と肩すかしをくらった気分だった。


なぜこんなところにこんなものがあるのかな?これがあるせいで

赤ちゃんが見えないんじゃないの??こいつめ!どけ!どけ!

と思っていた。先生は先週私がそういう質問をしていたことも

知っていた。助産師さんもそれが何であるかを知っていたの

だろう。それが胞状奇胎だっただなんて。今は黒い袋の

部分はわずかで白い小さなボールだった物体はどんどん

増殖していて大きなお化けのようにも見える。


私は大学病院にて摘出手術を受けることになった。

先生の話を聞きながら私は涙を流さなかった。

なんとなく覚悟はあったのだ。だから今回は産院まで

車で行った。帰り道に泣きながら電車に乗るのは

こりごりだったし、車の中なら思う存分泣けるからだ。


最初の妊娠にして流産。赤ちゃんの姿がないだけまだ

ましなのか。それとも赤ちゃんになるはずだった塊を

見るときにはそんなこと関係なくなるのか。

今はまだわからない。


ただ相変わらずつわりもあれば胸も張っている。

それだけは何も変わらない。何も。