今年もあと4ヶ月で終わり。


あと3ヶ月ちょいで私も35歳を終えてしまう。


35歳になった時点ですでに高齢出産の域に


入っているので、そんなに変わりはないのだけど


どの本を読んでも出産のリスクについて書いている


わけで。自分に障害を持った子供が出来たとわかったら


私はどう思うのかな?どうやって育てるのかな?って


読むたびに思う。




おとつい部屋のかたづけをしていたら何のときにもらった


のかすっかり忘れたけど一枚の紙を見つけた。


そこには中学校2年生の女の子の作文が書いてあった。


文章にはまだ少女らしいあどけなさが残っているけど、


本質は成熟した大人のようなものを感じる。


もし障害を持つ子が生まれたら、ということについてだけ


でなく、周りがどんどん妊娠、出産していく中で


私だけ・・・という思いとか、焦りとかないわけじゃないから


「大丈夫、あなたはあなた。ゆっくり行こうよ。」って


言われてる気がして精神的にも励まされてしまった。


偶然見つけたこの一枚の紙に感謝です。






「本当の幸せとは」




私には弟がいます。弟は小学校5年生ですが、みんなとちょっと


違います。それはなぜかというと、弟はダウン症という障害を


持っているからです。




私の弟は、相手の言うことは理解できますが、上手に言葉を


伝えることが苦手です。私達にとっては簡単なことでも、


弟にとっては難しいことがたくさんあります。でも、何もできない


のではなくて、ちょっとした手助けができることや、日々の努力や


積み重ねによりできるようになることがいっぱいあるのです。


確かに弟は、私たちに比べるとその成長はとてもゆっくりかも


しれません。しかし、時間がかかる分、できたときの喜びは


私達家族も弟もとても大きなものです。




弟はよく笑います。それもとびっきりの笑顔で・・・。そんな時、


弟を本当に可愛いなと思います。その笑顔に励まされ、母も


私も強くなれたのだと思います。弟には、こんな優しいところも


あります。私が元気がないと、心配そうに顔を覗き込み、


「大丈夫」と言って、頭をなでてくれるのです。




弟には純粋で温かい心があり、人を和ませてくれる不思議な


力があるように思います。だけど、可愛いときばかりでは


ありません。弟はとても自己主張が強く、頑固なので、素直に


私のいう事が聞けないことがあります。そんな時は、本当に


腹が立って、「こんな弟はいらない。」と思うことがあります。


が、やっぱり私にとって弟は、かけがえのない存在なのです。




このように私達家族は、弟との生活を当たり前に過ごしています。




弟が生まれるまで、障害を持った人たちとは全く縁がなく、


別の世界のこととしてかわいそうだと思っても、本当の意味で


その人のことを思いやることなどなかったように思います。




共に生活してみると、障害イコール特別なことではないという


ことに気付かされました私にしてみれば、たまたま自分の


弟が障害児というそれだけのこと・・・。





しかし、障害を持っているということだけで人と違う見方を


されてしまうことがあるのです。





例えば、弟と歩いていると時々好奇な目でじっと見てくる人が


います。そんな時、私は同じ人間としてとても悲しい気持ちに


なってしまいます。家の外に出たとたん弟は「私の弟」ではなく


障害をもった私の弟になってしまうのです。





世の中には様々な障害と闘っている人がいます。


一人一人が私達と同じように、いえそれ以上に精一杯生きて


いるのです。





私はみなさんにお願いがあります。障害があるのはその人の


一部であって全体ではないということを知ってほしいのです。


ですから、かわいそうだと何もできないとは思わず、一緒に


歩んで欲しいのです。歩くのが遅い、言葉が出るのが遅い、


勉強ができない、それはみな個性であると思うのです。


確かに弟の歩みは人より遅いかもしれません。





しかし、弟は弟。ゆっくり歩んでいけばいい。私もこんな弟と


成長していきたいと思っています。





弟は私達が忘れかけていた大切なものを届けにきてくれた


ように思います。歩くことが出来るということ、喋ることが出来ると


いうこと、そんな当たり前のことが実はとてもありがたいのだと


いうことを弟から教えられました。





本当の幸せの意味を教えてくれた弟に「生まれてきてくれて


ありがとう。」と言いたいと思います。





弟から受け取った目には見えない心のバトンを私はしっかりと


持って走って行こう。弟が一生懸命生きていることを、みんなに


伝えていこう。





いつかバトンを次の誰かに渡すことが出来るように。