中原中也  「湖上」

 

 

ポッカリ月がでましたら

舟を浮かべてでかけませう。

波はヒタヒタ打つでせう。

風も少しはあるでせう。

 

沖に出たらば暗いでせう。

櫂から滴垂る水の音は

眤墾(ちか) しいものに聞えませう、

あなたの言葉の杜切れ間を。

 

月は聴き耳立てるでせう、

すこしは降りても来るでせう、

われら接唇する時に

月は頭上にあるでせう。

 

あなたはなほも、語るでせう、

よしないことや拗言や

洩らさず私は聴くでせう、

ーーけれど漕ぐ手はやめないで。

 

ぽっかり月がでましたら、

舟を浮かべて出かけませう。

波はヒタヒテ打つでせう、

風もすこしはあるでせう。

 

 『あり日の歌』

 

  青空に満月の夜、湖上に舟を出し、思う人と二人

  月を眺め、照らされて、二人

  何かをかたりあう

 

  ああ、ロマンチックな情景です。

 

 勝手な想像、

 

 

  静かな湖に波が月影を揺らしていく

  二人の心も揺れる

  何も語らずとも時は心地よく流れてゆく

  

  夜なのに、青空に白い雲が風に流され

  あなたの白い指で湖に波紋ができる

  私の心もゆれる

  空には白く輝く月

  夜なのに、なぜか青空

  

  中原中也の詩を愛する友人を思い出したので取り上げました。

  世の中が色とりどりのオシャレな空間になり

  和やかな時が流れるなか、詩を読む人が増えて、

  それには、何が必要なのかな