遠い国の、とある青年の話し
あるきっかけで、青年の家に訪れた少女は
どこか寂しげな顔で微笑んでいた
気にかかった青年は少女と関わり
やがてふたりは、互いを求めあった
それからの青年には
日々が光に満ちていて
他には何もいらないと感じていた
けれど、少女にはあの寂しげな顔が
未だ消えないままに
青年は願った
少女を取り巻く寂しさを取り除く事を
しかし運命は、ある日、突然にやってきて
ふたりの関係を壊してしまう
青年はひとり、悲しみに崩れた
時に神さえも恨んでいた
もう、戻れないのかと
ある夕暮れの帰り道
青年は少女の姿を見つけてしまう
少女も一瞬、気付いたと同時に
迎えらしい馬車が到着する
馬車に乗っていたのは
青年の知らない年配の男性だった
少女はその馬車に乗り込んでいく
青年は嫌な予感を感じていた
数日前に聞いた話し
少女はお金に困っていたと
青年はその馬車を見つめたまま
やりきれない思いを感じている
そして馬車も見えなくなってしまい
気が付いた時には、すでに遅かった
青年は色んな感情にあおられて
無力さえも感じていた
何も言えない気持ちを殺すしかなかった
そして青年の心は疲れ果ててしまい
長い年月を苦しんで行く
遠い国の、とある青年の話し