私は20代を男がいなくても楽しく過ごしていた。

それなりの仕事をこなして、それなりの収入を得て、

それなりの地位まで昇って楽しく過ごしていた。


好きな事はライブに行く事で、

20代の収入やお休みを遠征などに費やしていた。

ネットやファンの中では私の名前が少しだけ知れ渡り、

会場でお友達になる子やネット上でお友達になる子も増えていた。


親からは「いいかげん結婚の事とか考えたら?」と言われた20代半ば。

それが嫌で実家を出て1人暮らしを始めた20代後半。

1人暮らしをすると生活費にお金がかかり、

遠征に行くお金もほとんどなくなってしまったけれど、

それなりにライブはちょくちょく行って楽しんでいた。


30代突入。


このままでいいのか?と思って転職を考えた春。

その頃友人に招待されたのがmixi。

転職の事で頭が一杯になるはずだったのに・・・・・・。

この先どうしようか?と考えるはずの予定だったのに・・・・・・。


ある日私は1人のミュージシャンに出会った。

相手が名前も知らない人だったらここまで好きにならなかった。

私のメッセージの相手はあの人なんだ。

ファンの子がたくさんいるあの人なんだ。


人は文章だけで人を好きになってしまうのか。

恋愛はこりごりだった私が、文章だけでその人に惹かれてしまうのか。

他のファンの子には内緒でメッセージのやり取りをしている。

このドキドキ感は一体なんだろう。

他の子にはバレないように、

ログアウトの時間も向こうとずらしている私は何なんだろう。

電源を落としてしまうと終わってしまう言葉のやり取り。

画面を見ながら「あなたに会いたい」と思う夜。


結局は2人、会う事も無くサヨウナラ。


1年に2度もメールの文章だけで恋に落ちてしまった女の片想い話。

これは本当にあったお話。


前編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・mixi王子への片想い。