こんにちはニコ

重度の知的障害をともなう自閉症の息子の母です。
息子は養護学校高等部3年になり、毎日元気に学校に通っています。

幼少の頃から毎日家でピアノに触っているうちに、息子のピアノを聴いて喜んでくださる方が増えて、たまに演奏の機会を作って聴いていただいています。

音譜音譜音譜音譜音譜音譜音譜

市役所コンサートと名古屋コンサートを無事終えまして。

2つのコンサートを通じて、またたくさんの新しい出会いがありました。本当にありがたいことです。

息子は、将来、迷惑しかかけない、と思っていたのに、感謝されるとか、握手を求められるとかえーん
本当に、本当にありがたい。
もう、考えもしていなかったことです。

そして、いろいろな質問を受けることも増えました。


「よく才能を見つけられましたね」


これ、実にいろいろな方に言っていただけます。
そして、その都度、私は否定します。

「違うんです。才能じゃないんです」

才能って言われてしまうと、線を引かれてる気になってしまうのです。あなたと私は違う人。あなたのとこのお子さんには才能があってよかったねって。

実は小学校に入る前から、ピアノ教室に連れて行っていましたが、周りの人にはそれを言っていませんでした。言ったところで、悪あがきしている母親にしか見えないだろうと思ったのです。

言葉もしゃべらないのに、ピアノ!?って思われそうだし。

初めからショパンなんて弾かせようと思って始めたのではないのです。

親指がド、人差し指がレ、みたいなマッチングは得意だったので(視覚優位っていいますよね)、カエルのうたくらいは弾けるかな、くらいの気持ちで始めたんですよ。

って説明すると、「えーーーっビックリマーク」って言われちゃう。




階名を書くより、色音符がおススメですよラブラブ



はじめての休符ですほっこり
弾かない、という説明が入りにくかったので、手を上げる、という動作をする、というように教えたらできました。
最近は、手を上げなくても休めるようになりました


はじめての両手ですほっこり
右手と左手、2つの楽譜を見ることが案外難しく、同時に弾く音に印をつけたりしてみました。

どうしたら、分かってもらえるか。
こういう工夫を考えることは、私にとってはとても楽しく、苦労とか、大変とかは思ったことがなかったです。

私はピアノを習ったことがありませんが、やっぱり私もピアノの音が好きなんだと思います。


「ここまでお母さんもよく頑張られましたね」
と言っていただけるのですが、ピアノに付き合う時間は、私にとってはいつも至福の時間でしたほっこり



「嫌がらなかったんですかはてなマーク
これもよく聞かれます。

りょうへいにとっては、ひらがなよりは音符の方が分かりやすいだろうと。

りょうへいにとって、この社会は分からないことだらけなのです。人の話も、いろいろなところに書いてある日本語も。不文律も多いですよね。何をやったらほめられるのか、逆に叱られるのか。

どうしていいか分からないから、この社会の中でうずくまって自分の世界に閉じこもるしかない。
そんな様子でした。

そんな息子に、音楽は、特にバイエル教本はとても分かりやすい世界だと思ったのです。

少しずつ段階を踏むスモールステップも自然にできるようになっているし。毎日少しずつピアノの前に座るだけで、昨日よりできることが、ほんの少しずつ増えていきました。

自閉症の子は多動の場合が多いけど、衝動で動いていても、疲れない。と聞いたことがあります。

自分の頭で考えていないからでしょう。
障害のある子もない子も、自分の頭を使って考える活動が、脳の発達に必要不可欠だと思ったのです。

単純作業の繰り返しは、落ち着くことはできますが、作業に慣れた時点で頭は使ってないのだそうです。

本人にとって分かりやすくて、自分の頭で考えることができて、スモールステップでレベルアップもできて。教室に行けば、上手になったね、と褒めてもらえるラブラブ

もう、嫌がる理由が見当たらないビックリマーク
(どこかで聞いたフレーズ汗)

大好きだった手遊び歌と、「たいこの達人」。
音楽の世界では、障害児も健常児もない。

そんな世界に出会えたりょうへいは、とても幸運だったのだろう、と。


「どうしたら、このようになったのか」
ということもよく聞かれますが、

「毎日の少しずつの積み重ね」
ホント、これに尽きます。

最初は、ピアノに1日1分座っているかどうかだったのに、だんだんと宿題になる曲数が増えて、それを3回ずつ、と回数を決めて弾いているうちに、1日1時間くらいは弾いているかな、という状態になっていきました。

正直なところ、記録を残していないので、どうしてこうなったかは、もうよく分からないのです。

ただ、一緒にいて思うのですが、りょうへいは、とっても負けず嫌いです。もう、できないよね、無理だよね、と言われるほど燃えますほっこり

そんなりょうへいの性格にも、助けられているのかもしれません。

色音符などの手法を載せましたが、教室に入ったばかりのりょうへいは、先生が出してくださった鈴やタンバリンを、ピアノの椅子の上にきっちり並べるばかりだったのです。

それを先生は止めるでもなく、全力で童謡を弾き歌いしてくださいました。

それに合わせておもちゃの木琴をポンポンと叩くりょうへい。




押さえつけると音が出ないんですけど、りょうへいくん、上手に叩いていますよほっこり
りょうへいくんは、教室で1番音楽を楽しんでいますビックリマーク

そんな風に言ってくださった先生のお言葉を、今でも忘れないのです。