2.  入院初期

 

入院して1週間は点滴されながら、寝て、起きて、食べての生活です。

再発の予防のためもあり、血圧の管理が中心です。

 

尿の排泄はカテーテルで。

排便はほぼなし、です。

おかゆなど、流動食に近い食事のためかもしれません。

 

この時期、私はそれ以外のことはしませんでしたが

後日にきいた話では、リハビリの開始時期は早いほうがよいとのこと。

 

また経験者の話では「正常な側の手で麻痺側の手足をさすると血行がよくなる。

それがその後の体の回復にもよい影響があるかもしれない」という話でした。

 

麻痺をするというのは、動かさなくなるということ。

宇宙にいった宇宙飛行士が、地球にかえって来た時に、自分の力では立つことができなくなっていた

という話があるように、負荷をかけない生活がつづくと、骨からはカルシウムが溶けだし、筋肉はやせてきて

力もおとろえ、簡単なことでも怪我をしやすくなります。

 

また手には速筋(大きいちからを出すのに向いている)、足には遅筋(持久力に優れている)が多く含まれていますが

これを動かさない生活が長く続くと、足の遅筋が速筋へとかわり、その後の歩行も困難になるという話もあります。

 

わたしがこれらのことを知ったのは、あとになって調べてからのことで、いまこのときに戻れたら何をするかといえば、

歩行訓練をするのは再発防止のために少しあとだとしても、まずは麻痺側の手足をさすって血行をよくする、鏡をみながら

麻痺側の顔面を口角をあげるようにして上にうごかす、看護婦さんの名前や今日の日付を覚える、クロスワードパズルや

数独などを解く、といったことでしょう。これは記憶力や判断力を働かせることで、脳細胞を刺激するためです。

 

わたしは最初の病院で命を助けてもらい、1週間後にリハビリ専門の病院に転院することになります。

これはリハビリ開始の時期としては早いほうだそうです。

 

リハビリ病院では、血圧が170をこえていればリハビリは中止。

150ならば負荷のかかる歩行はやめて体に負担のかからないメニューに変えるといったものでした。

 

早い時期にリハビリに移ることができたのは、運や周りの方々の助けもあり、あるいは若い方が回復力もより見込めるから

ということもあるかもしれません。

誰かの話では、発症から数週間を急せい期、その後の6カ月目までを回復期、以降を維持期と呼ぶとあります。

 

脳に出血をするとレントゲンにはその影が映ります。

お医者さんによると「脳が腫れている状態」だそうで、その腫れがひいていくのが急性期かもしれません。

容体の変化を意識する時期です。

 

ただし断わっておきますが、わたしは医療の専門家ではありません。

あくまでわたしの体験と、調べた範囲内のことを書いているだけで、ここに至る記述が正確かどうかは、確信はありません。

 

患者さんは当たり前ですが、脳梗塞か脳出血かによっても違いがあるかもしれませんし、

患部の脳の箇所の違いによっても、出てくる症状が違って当然だと思います。

 

年齢、体力、性別などの条件も様々だと思います。

 

ご本人さんや看護されている親しい方、病院関係者の皆さんも、ベストを尽くされていると思います。

私の体験が脳卒中を発症された方の参考になることを祈ります。

 

つづきます。