NYLON―――――――――――B -2ページ目

会いたかった

生まれて初めて

 

「どうしようもない悲しみ」というものを味わった

 

 

 

電車は

ただただ前へ進んでゆく

 

不規則なリズムが心地良く

目を閉じた

 

ウォークマンから流れてくる

彼の歌声は

 

私を

 

悲しみの海へ追い遣る

 

車窓の隙間から吹き込む風が

涙を乾かしてゆく

 

電車は

ただただ前へ進んでゆく

 

 

 

 

真夜中の訪問者

誰かが私を呼んでいる

 

 

 

目が覚めた

 

やすいっぽい蛍光灯の光が目に染み

意識を今に戻し (今思えば戻りきってはなかったのだろうか)

付けたままのその電気を消し

窓を開ける

 

ひら ひら  ひらひら ひら ひら

 

 

風と共に頬に触れる

一枚の  

桜の花びら

 

手にとり 眺めていると、

―それは暗闇の中で白く光っていたのだ

 自分の存在を主張するように―  何故か優しい気持ちになる

 

 

 

 

 

 

 

光のない場所で最高の暇つぶし

その枠から決してはみ出ることはできない形式の中で

 

傲慢なフリして

文字で自由に表現してやる

 

 

 

始まりも終わりもない、今から