体の感覚を通して心が納得する

 

 昨秋、蜂窩織炎と診断されたリンパ浮腫の患者さんが、
おいでになった時のことです。

その方は、「蜂窩織炎にマッサージが禁忌」 ということをご存知なく、

病院で処方された抗生物質の服薬に加えて、

ドレナージュをしてリンパ液を流せば、

回復が早まると期待されご来院されました。

翌日から海外出張を控えていたことも

「何とかしたい」の気持ちに拍車をかけていたようでした。

その時の私の応対は、

セラピストとしては全くマニュアル通りで、

「蜂窩織炎の時はドレナージュできないんです」

と蜂窩織炎の説明をして、

ご出張中に取れそうな対策をいくつかご提案しました。

私としては良心的な対応をさせていただいた、

と思っていました。

数か月間ずっと。

ところが今回自分がぎっくり腰になってみて、

ちょっと待てよ、

と思ったのです。

「たとえドレナージュしないにしても、お体のどこかを触るべきだった。」

という後悔です。

蜂窩織炎を起こすということは

免疫力が落ちているということで、

それだけ身体が疲れている。

に間違いありません。

その疲れを実感できるポイントを

触るなり

押すなり

して、

「気づかなかったけど、私はこんなに疲れていたんだ」

と、触感を通して患者さんに気づかせてあげるべきだった

治療は技術だけじゃない。

心を動かすこと。

患者さんに「自分で養生する必要を認識してもらうこと」

そのこともとても大切です。

私のぎっくり腰は

神からの啓示だったのでないか?

再発に気をつけながら、

貴重な体験を感謝しているこの頃です。