ショーの本場ニューヨークを目指す日本のエンターテイナーは多い。
「STOMP」というオフブロードウェイショーには日本人女性が出演しているそうだし、昨年見た不条理劇のようなショーにも日本人女性が2人出ていた。ハーレムの有名な「アポロ劇場」にもヒップホップダンスの日本人男女が出場していた。
7月16日には歌舞伎俳優の中村勘三郎と平成中村座の公演がニューヨークのリンカーンセンターで開幕した。日本でもニュースになったからご覧になった方も多いだろう。リンカーンセンターでの公演は2004年に次いで今回が2度目で、「法界坊」というコメディを10回公演したという。(何でまたコメディなんだろう)と首をひねった。前回とは違う事をしたかったのだろうか。通常3時間40分のところを2時間45分に編集し、セリフの3分の1を英語にして
観客と英語でコミュニケートする場面もあったという。
私は歌舞伎には詳しくないがかつて歌舞伎座の近くの出版社で働いていた関係で何度か1幕だけを見に行った事がある。外国人団体客、おそらくヨーロッパ人のツアー客だと思うが、独特のセリフ回しがおかしいと見え、クスクスと笑っていた。私のアメリカ人の友人を連れて行った時にも途中で寝てしまった。
彼らには退屈だったり奇異だったりするのだろう、私にだって退屈なものが多かったのだから。
その点「スーパー歌舞伎」は面白かった。演目は「新・三国志」で語りが多い点は退屈だったが、途中で屋台崩しがあり、本物の水も使い、トンボをすいすい切る中国雑技団の方々が素晴らしかった。こういう歌舞伎なら外国人も居眠りしないのに、と思ったのを覚えている。ニューヨークでは初日のみ「連獅子」を舞ったそうで、これはきっと受けただろうと思う。
ニューヨーカーは外国の伝統演劇を楽しんで観るというよりは「教養」として見るような気がする。次回はコメディではなく、「飛び六方」で有名な「勧進帳」の弁慶の勇壮な引っ込みや、女形の華麗な舞など言葉が必要でない「パフォーミングアート」としての歌舞伎で彼らを魅了してはどうだろうか。
また、私が面白いと思ったのは、今回、英語はアメリカ人の喜劇俳優ポール・レイザーに師事したそうで、この人のシチュエーション・コメディ「あなたにムチュー/Mad About You」のファンとしてはなぜ彼に白羽の矢が立った
のかちょっと理由が知りたいところだ。