ハーレムに行ってみてわかった「ソウル(SOUL)」の意味 | 裸のニューヨーク

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ユー・ドント・ノウ・ニューヨーク・ザ・ウェイ・アイ・ドゥ...これは私のアンビバレントでパーソナルなニューヨーク・ストーリー。

ジャズのスタンダードに「BODY AND SOUL(身も心も)」という曲がある。東京都港区南青山にあるジャズクラブ名にもなっている。「心」は「ハート/heart」ではないのか、ソウルと ハートはどう違うのか?と疑問を持ったまま長い時間が過ぎた。それが最近わかりかけて来たのだ。

英語を学んでいる時に「ソウル」という単語を学んだ覚えがない。知ったのは、1960年代のR&B(リズム・アンド・ブルース)から発展したソウル・ミュージックのおかげである。

「ソウルとは何か?」この質問には英語の辞書がいともカンタンに答を提供してくれる。ソウルミュージック、ソウルフル、ソウルトレイン、ソウルフードな ど、ソウルが付く言葉には黒人が関係していることからもわかるように、形容詞に「米国黒人特有の」とある。名詞としては「魂、精神、情熱」などとある。訳 してしまえば簡単だが、ではその魂とは、精神とはいかなるものか、と問われればなかなか説明が付かない。私もソウルとは何なのか、改まって考えた事がな い。黒人に宿った独特の精神、という程度に考えていた。アメリカにもはっきりした定義はないらしく、2007年1月のCNNの看板番組である「ラリー・キ ング・ライブ」に出演した人気音楽番組「アメリカンアイドル」のシーズン5の勝者で白人であるテイラー・ヒックスは、「SOULとは何か」と質問されて、 それはフィーリングであり、楽しい、悲しい、すべての形容詞を表す、”It's in your heart.(心の中にあるもの)”と答えている。シーズン3の優勝者、黒人のファンテージアはアレサ・フランクリンのコンサートで感じるもの、外に向っ て表現するもの、と答えている。ファンテージアの歌は黒人の歌そのものであり、テイラーの歌は「黒っぽい」。ファンテージアはソウルを獲得しようと努力す る必要はなかっただろうが、テイラーは後天的にソウルを会得したと私は思っている。

私は横田米空軍基地に配属された黒人兵をたくさん 知っている。ロスアンゼルスやシカゴ、ニューヨークといった大都市の出身者は少なく、南部出身者が多かった。彼らと接していて「ソウル」をひしひしと感じ た事はなかったが、昨年秋にニューヨークのハーレムをひんぱんに訪れ、黒人の住民と話し、一緒に行動しているうちに、うっすらと私なりに「ソウル」とはこ ういうものであろうとわかるようになった。(この項つづく)