以下、記事のコピペにて失礼
場所によって、日数経過で閲覧不可能に陥る為です。
屈指の強豪クラブ・ガンバ大阪がJリーグ最終節の磐田戦に敗れて17位となり、J2に陥落した。
いったい、誰がこんな結末を想像しただろうか。遠藤保仁と今野泰幸という日本代表選手が2人おり、個の高い能力を誇る高い倉田秋、家長昭博、レアンドロ、さらにベテランで元代表の明神智和、加地亮がいる。戦力が足りていないのではなく、むしろ他チームが羨むような選手が多数、プレーしているのだ。そんなチームが、なぜ坂道を転がるようにJ2に転落して行ったのか。
「今日の試合が今季のガンバを象徴しているような気がします」
磐田戦後、キャプテンの明神智和は、力なくそう言った。
「早い時間に相手に先制され、追い付いても2点目がなかなか取れない。点を取ろうといい流れで攻撃しても、その途中でポンと点を取られてしまう。そういうのが、何回もあった。これじゃ勝ち点3は取れないし、それが降格という結果に繋がったと思います」
この試合も前半5分という早い時間帯に失点した。後半8分に倉田の個人技で同点に追い付いたものの後半40分に失点。結局、1-2で敗れたのである。
「点を取られても点を取れば勝てる」はずだったが……。
今シーズンのガンバは、先制されると極端に脆かった。先制された試合は2勝12敗という成績が示すように、引っ繰り返すことができなかったのだ。
「以前は、1点取られてもって感じだったけど、今年はバタバタしてしまった。しかも攻撃してても守備が気になって。今日も終盤、やられるかもっていう不安はあった。やっぱり、失点がかなり多かったんで」
明神の言葉通り、ガンバは今年リーグワースト2位となる失点65(得点67)だった。昨年が78得点、51失点。優勝した2005年は、58失点しているが、得点は驚異的な82点だった。遠藤は、「点を取られても点を取れば勝てるから得失点は気にしない」と以前から言っていたが、いかんせん65失点は多すぎた。これは、どうにもならなかったことなのだろうか。
「全体の守備がどうとかよりも、結局……選手の意識の問題でしょ」
磐田戦、怪我から復帰してプレーした加地は、そう言った。
「厳しいところをなぁなぁにしたのが積み重なって」
「磐田戦の最初のサイドからの失点もGKとDFがしっかりコミュニケーションを取れば何も問題はなかったと思うし、あそこでサイドがもう1歩詰めていればクロスも防げたかもしれない。そういう厳しいところをなぁなぁにしたのが積み重なって失点になっていった。ガンバの選手はいい意味で大人で自立しているけど、そういう部分は全員で突き詰めて、厳しく行く必要があったと思う」
加地の言う「最後に厳しく行く」、「1歩足を伸ばして頑張る」というプレーは、意識と危機感があれば自然と出てくるものだ。
最後の磐田戦でさえもそういうプレーが見られず、結局J2に降格してしまったのは、選手の危機感がどこか稀薄だったことが大きな要因だったのは間違いないだろう。
監督就任騒動、外国人選手の不発、ケガ……続いた負のスパイラル。
もちろん、この事態に至ったのには、他にも要因はある。
フロントが呂比須ワグナーの監督資格問題で失態を演じ、お飾り的なセホーンを据えたが全く機能せず、シーズン開始1カ月で解任する羽目になった。
後を継いだ松波正信監督が5月、6月と結果を出せなかった時、残留を目標として経験豊富な監督に切り替えるチャンスもあったが先延ばしした。
ラフィーニャ、イ・スンヨルら外国人選手はフィットせず、加地や佐藤晃大ら主力の怪我も相次いだ。
夏にレアンドロ、家長など攻撃的な選手を獲得したが、サイドバックやGKを含め、昨年、退団した山口智のようなDFのリーダーとなり得る選手を補強できなかった。
そのため最後の最後まで攻守が安定せず、監督の不可解な采配もあって勝ち点を失った。
これだけ負の連鎖が続けば、落ちるべくして落ちたと言えるかもしれない。
新監督選び、主力選手の契約など不安材料は尽きない。
さて、来季はJ2がステージになる。
ガンバの戦力があれば、J2でも優勝できるだろうと思いがちだが、事はそれほど簡単ではない。
最大の懸念は、チーム編成だ。
まず、監督をどうするのか。日本人、外国人に関係なく、ガンバのスタイルを継承し、過渡期にあるチームを進化させる指導力と将来のヴィジョンを描ける指揮官が必要とされる。今シーズンは、ここで大きく躓いただけに、同じ失敗を繰り返すわけにはいかない。
選手編成も見直しが求められるだろう。
選手年俸の総額が推定20億円とJ1でもトップクラスのガンバだが、J2となれば当然、予算は削減される。高額年俸の外国人選手を始め、遠藤や今野を維持できるのか。今シーズンで契約が切れる明神と加地、さらに期限付きの移籍の家長、岩下敬輔の処遇をどうするのか。
進む主力レギュラー陣の高齢化と若手の伸び悩み。
また、遠藤を始め、明神、加地、二川孝広、藤ヶ谷陽介、佐々木勇人は30歳を越え、今野も来年は30歳になるなど、ガンバはレギュラー陣の高齢化が進んでいる。だが、若手に切り替えようにも倉田秋と藤春廣輝以外に目立った選手が見つからない。
その倉田にはセレッソから完全移籍のオファーが届いているという。来季は、ユースからの昇格組もない。GK、サイドバック、センターバックの補強を含め、長丁場のJ2を戦い、J1昇格後のチームを視野に入れた戦力を保持することができるのか、課題は山積だ。
さらにJ2でのサッカーの質に苦しむ可能性も十分ある。
今シーズンもガンバはパスを繋いでくるチームには勝てたが、守備のブロックを作ってカウンターを狙うチームには、苦戦を強いられた。J2の各チームも当然、それは考えてくるだろう。
遠藤、今野らが代表で抜けても試合があるJ2の日程。
しかも、遠藤と今野は日本代表としてチームを離れることが多くなるが、その間、J2はJ1のようにリーグ戦が中断することがない。主力不在での戦いを強いられることになる。そこで取りこぼしを続ければ、J2優勝はもちろん、1年で昇格という目標達成すら危うくなる。
加えて全国各地への長距離の移動、スタジアムの環境面など、不安は尽きない。
「落とした責任は感じている。自分らが頑張って優勝して昇格させ、再来年、J1に戻ってこれるように頑張るしかない」
遠藤は、そう言った。
名門復活か、それとも凋落の一途を辿るのか。J2に落ちた今、ガンバ大阪の本当のクラブ力が問われることになる。