憲法を装った不平等条約である。 | 日本のお姉さん

憲法を装った不平等条約である。

■「加瀬英明のコラム」メールマガジン

ご主人にやさしくしてください


5月に喜界島に講師として、招かれた。

人口が7000人、車で一周して38キロ、砂糖黍が主な産業の南の島だ。

ここで、奄美群島市町村議会議員大会が開かれて、300人あまりの議員が集まった。

舞台の脇の垂れ幕に、「激動する国際情勢と日本の進路」という演題が書かれていた。

私は開口一番、「もう40年以上も、今日いただいた演題でお話してきましたが、これから世界だけでなく、日本が激動することになります」と、警告した。

アメリカが世界秩序を守ることに疲れて、日本を守る意志を萎えさせていると説明したうえで、日本を守るために日本国憲法を改めたいと、訴えた。

質疑応答に移ったところ、50代の女性が手を挙げた。マイクを握ると、「現行憲法はアメリカが強要したものではありません。日本国憲法は世界に平和憲法として、知られています。この憲法を守ることによって、私たちの平和が守られます」と、述べた。

私は「たいへん、よい質問をいただきました」と感謝してから、「まことに残念ですが、古(いにしえ)の昔から国際社会は悪の社会でした。自国を守る意志がない国は、例外なく滅ぼされてきました。ところで、テレビのニュースを見ると、このところ、DV――家庭内暴力によって、家族を危(あや)める事件が頻発しています。まず日本国憲法の精神を、家庭のなかで実現しましよう」と答えて、「今晩、お帰りになったら、ご主人にやさしくしてあげて下さい」と、お願いした。

すると、質問した女性が「わたくしは、独身です!」と叫んだので、会場が拍手と爆笑によって包まれた。

休憩ののちに、会場に机が並べられて、懇親会になった。

議員の先生がたが列をつくって、コップに黒糖焼酎を注いでくれた。先の質問した女性が、徳之島の日本共産党の議員だと、教えてくれた。

私は瓶を持つと、女性議員のところまでいって、お酌した。容姿が美しい人だった。よい質問をもらった礼を述べて、「この国を守るために、ご一緒に頑張りましよう」といって、握手を交わした。

全国で憲法改正について講演することが多いが、しばしば、聴衆から「安倍内閣が中国を刺激しているのが悪い」とか、「日本の安全を外交努力で守れるはずだ」と、反論される。

幕末に、日本はアメリカをはじめとする西洋列強から、不平等条約を強いられた。日本の独立を守るために、何としてでも不平等条約を改正しなければならなかった。先人たちは歯を食いしばって、血が滲む努力を重ねた。

現行憲法はアメリカが占領下で、日本が再び自立することができないように押し付けた、憲法を装った不平等条約である。

現行憲法を一日も早く改正しなければ、私たちは幕末から明治までの歴史を語る資格がない。