<通信制高>クラーク国際、63人不正編入 無認可校から | 日本のお姉さん

<通信制高>クラーク国際、63人不正編入 無認可校から

<通信制高>クラーク国際、63人不正編入 無認可校から

自宅学習で高校卒業資格が得られる通信制の「クラーク記念国際高校」 (本校・北海道深川市)が、提携先のサポート校「四谷インターナショナ ルスクール」(東京都新宿区)の生徒を編入学させていたことが、関係者 への取材で分かった。

「四谷」は学校教育法上の認可がない無認可校で、同法施行規則などは無 認可校からの高校編入を認めておらず、文部科学省はこうした例を違法と 判断している。北海道学事課は既にクラーク、四谷に調査して不正を把握 しており、早ければ7日にもクラークに是正指導する。

無認可校は学校教育法上の学校ではなく、無認可校の生徒が高校に入る 場合は1年生として入学しなければならない。

北海道などによると、クラークは全国に約1万2000人の生徒がいる広域 通信制高校。四谷は英語を重視したカリキュラムの無認可校で、2004年ご ろからクラークのサポート校として添削や面接指導をしていた。関係者に よると、四谷は高校卒業資格を希望する生徒をクラークに途中編入させて いた。クラークは四谷がつけた成績を自校の単位として認定し、高校卒業 資格も与えていた。

編入生は11~15年度の5年間で63」人に上り、現在も5人が在籍する。編 入した生徒の中には、推薦で都内の有名大学に進学した例もあるという。

更に、四谷に1年間しか在籍していないのに、2年分の成績がつけられ たケースもあったという。四谷の関係者は毎日新聞の取材に「数年前から クラークに編入させ高卒資格を得させるために成績を捏造(ねつぞう)し ていた」と話している。

文科省教育制度改革室は「正規の教育機関ではない無認可校からの編入 は学校教育法の規定に抵触している」と話している。北海道はクラークに 対して是正指導するとともに、在籍する5人の不足単位を速やかに回復す る措置を取るよう求める。

クラークの大塚敏弘・学園長は毎日新聞の取材に「海外のインターナショ ナルスクールと同様に四谷も単位認定できると誤認していた。認識が甘 かった」と釈明。編入生について「なるべく早く補習をして、進路に影響 が出ないようにしたい」とする一方、四谷による成績捏造について「知ら なかった。信用を根底から覆された」として損害賠償を請求することも検 討している。クラークは他に4校の無認可のサポート校があるが、四谷の ような編入はないとしている。

一方、四谷の運営会社「総合文化企画」の経営トップである吉積和成取 締役は毎日新聞の取材に応じていない。四谷側は北海道の調査に対し生徒 の成績について「つけた成績と同等の能力が生徒にあると判断した」など と説明したという。

◇公平性阻害の恐れ

通信制高校の教育問題に詳しい坂本将暢・愛知工業大准教授(教育学)の 話 学びの機会や場が多様化する中で、サポート校の意義は十分にある。 しかし、そこでの教育活動については文科省なども把握できておらず、無 認可校であれば行政として介入もできない。通信制高校側にサポート校の 実態を把握する義務を負わせるか、認可校しかサポート校として認めない などの制度変更が求められる。違法な編入学は、大学入試制度の公平性を 阻害する恐れがある。

【ことば】広域通信制高校

自宅学習を基本とする通信制高校の中で、3都道府県以上から生徒を集 めている学校。私立83校、国の特区制度を利用した株式会社立19校の 計102校があり、計約10万人が在籍している。

「サポート校」とは通信制高校と提携し、添削や面接指導を担う教育施設 で、学習塾や予備校が母体になるケースが多い。文科省が昨年12月~今年 2月に実施した調査では、52校がサポート校を置き、1204施設に上ること が判明した。毎日新聞 7月7日(木)7時0分配信