安倍首相の訪ロは、前向きに評価したいと思います。(宮崎正弘のコメント) | 日本のお姉さん

安倍首相の訪ロは、前向きに評価したいと思います。(宮崎正弘のコメント)

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)4月21日(木曜日)弐
通算第4886号

ただならぬ緊張漂うサウジアラビアへオバマ到着
リヤドの反米感情。米沙関係はいったいどうなるのか
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4月20日、オバマ大統領は、緊張感ただようサウジアラビアへ到着した。サウジ王家は簡単な儀式による出迎え行事のあと、ただちに国王との面談に入った。

サウジアラビアはオバマ政権のすすめたイラン政策に基本的な疑念と不満を表明しているうえ、米議会の「911法案」が、サウジの911テロとの関与を疑っている動きにも、露骨に反対の意思を表明してきた。

空港からエルガ宮殿までのハイウエイは、誰もいないという異様な警戒ぶりだった。
サウジが米国の議会が上程を予定している911法に正面から反対している理由は、サウジアラビア政府は「911テロに一切関与していない」という立場を繰り返し述べてきたにもかかわらず、米国議会がユダヤ・ロビィに突き動かされて、サウジへの疑惑を強めていることへの不快感だ。

くわえてイランの核武装をいずれ容認するかのような核合意と、対イラン制裁解除が、そのままサウジの国家安全保障の脅威となって跳ね返ってくるからである。

オバマ大統領は個人的に911法案の上程に反対しているものの、議会は野党・共和党が多数派であり、オバマはすでにレイムダック入りしているので、議会を通過する可能性が高い。

サウジアラビアでの国王との会談のあと、オバマは東欧諸国歴訪をすませ、最後の訪問国ドイツで、スピーチを行う予定。
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(読者の声1)貴誌の連続的な報道によりますと、東欧諸国がNATO入りを果たし、戦車旅団を配置する動き、対してロシアがセルビアに軍事基地を設ける動き、バルト海でも米軍駆逐艦へ異常接近をみせるなど、戦雲がただようかのような雰囲気です。
このようなとき、安倍首相が訪ロして、ソチで5月6日にプーチンと会談をすると言いますが、日本の立場は微妙ではありませんか?
(GH生、浜松)

(宮崎正弘のコメント)ロシアからすれば、大混乱の最中に、旧ソ連圏だった東欧、ならびにバルト三国が、一転して軍事的敵対陣営に走ったわけですから、その焦燥感は並大抵ではないでしょう。
クリミア併合に国民は歓喜し、ウクライナで一喜一憂していたときにシリア空爆で生かをあげて、プーチンはまた得点をあげたわけですから、次の作戦を誇示する必要があります。
なにしろ、ルーブル下落、インフレという国民の不満は、シリア空爆で支持率82%、この現象は、ロシア人の「大祖国」という独特の愛国心をくすぐるからでもありますが、ジェスチャーとしても強いロシアを演じる。

その点でプーチンは千両役者かも知れません。

セルビアへの軍事基地というのは世論操作で、本気とは思えませんが、実際にキルギスには首都ビシュケク郊外カントのロシア軍基地があります。
もし弐国間で安全保障条約を締結し、その条約に基づくとすれば、米軍基地は世界各地にあるわけですから、ロシアが進出することを阻止する制限はない。

まして中国軍はジブチに海外基地を建設します。

安倍首相の訪ロは、前向きに評価したいと思います。