拝啓、朴槿恵大統 領閣下 「そんなに憎いならなぜ日本を頼るのでしょう」 | 日本のお姉さん

拝啓、朴槿恵大統 領閣下 「そんなに憎いならなぜ日本を頼るのでしょう」

話 の 福 袋
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◎【前ソウル支局長・加藤達也の虎穴に入らずんば】拝啓、朴槿恵大統 領閣下 「そんなに憎いならなぜ日本を頼るのでしょう」と問われたので すが…2016.4.3

拝啓 朴槿恵(パク・クネ)大統領閣下

毎日のようにミサイルを発射しながら「ソウルを火の海にする」などと恫 喝(どうかつ)する北朝鮮に向き合う一方、課題山積の国政の先頭に立た れている姿に頭が下がります。最近は、総選挙の
結果と来年の大統領選に 向けた後継者問題も気になるところでしょうか。

初めてお便りしますが私、日本の産経新聞社会部で編集委員をしておりま す。韓国では「産経前ソウル支局長」の方が通りがよいかもしれません。

2014(平成26)年、閣下の名誉を毀損(きそん)したとして最高で懲役7 年となる
「情報通信網法の名誉毀損罪」で起訴されましたが昨年末、無罪となりま した。

判決は当然のことではありましたが、事態は終結まで約500日を要し、そ のうち8カ月間は出国が禁じられていました。韓国の“異常さ”が世界に拡 散し、国際社会の批判を浴びたこの間、閣下はご
自身の足元で何があった かご存じでしょうか。

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こんなことを申し上げるのは他でもありません。閣下と大統領府高官、閣 僚らとの意思疎通が極めて貧弱で「不通政権」と批判されたことや、閣下 の胸中をめぐる忖度(そんたく)がなされ、その
結果、人事や重要な政策 で大小の失敗が相次いでいると聞いてきたからです。

昨年4月には私の出国禁止解除に関する報告に際し、閣下は「その記者 (加藤)はまだわが国にいたのか」と下問されたとも聞きました。

実は私は閣下に数回、お目にかかったことがあります。最後は大統領就任 から約10カ月が経過した14年1月6日でした。大統領府の記者会見場で開か れた初の記者会見後、直接、言葉を交わし握手を
させていただきました。

柔らかく小ぶりの手で軽く握りかえしてくださった感覚や、小柄でやや猫 背気味ながらも気品を感じさせる姿に見入ったのを記憶しています。

ただ会見では残念なことに、質問者から日本特派員を排除。外国メディア の質問枠はあらかじめロイター通信と中国の中央テレビに割り振られてい ました。

後に「大統領は日本メディアの質問はお受けになりたくないだろう」との 忖度が働いたと韓国政府職員から聞かされたとき、この政権は大丈夫なの だろうかと、他国のことながら心配になりまし
た。

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ところで昨年12月28日、日韓で慰安婦問題をめぐり「最終的かつ不可逆 的」な合意がなされて以降、閣下は諸外国首脳らとの会談で歴史認識や慰 安婦問題を取りあげては日本側を批判する「告げ
口」外交を控えておられ ますね。

閣下だけでなく、特有のキャラクターで有名な尹炳世(ユン・ビョンセ) 外相らも、反日に口をつぐんでいるようにみえます。

遅きに失したとはいえ一国の首脳の外交姿勢として、常識を取り戻したこ とについて日本では一応、評価されています。

私は今年に入り、「韓国での体験を聞きたい」とおっしゃる方々のご要望 に応じる形で、国内十数カ所で、お話をしてきました。その際「朴大統領 はなぜ、急に反日的言動をやめたのか」「告げ口
外交の休止はいつまで持 つのか」という質問を多く受けます。

私は「朴大統領は北朝鮮の軍事挑発と経済などの内政問題に追われて反日 どころではない。その2つの懸案で日本から協力を得たい考えもあるので はないか」とお答えすることにしていますが、先日
は若い方から「でも朴 大統領は加害者(日本)と被害者(韓国)の立場は1000年の時が流れても 変わらないと言ってました。

そんなに憎いならなぜ日本を頼るのでしょうね」と突っ込まれました。

この問いに私はどう答えたらよいでしょう。いつか、ご教示いただけまし たら幸甚です。敬具 (このコラムは毎月第1日曜日に掲載予定です)
(採録:松本市 久保田 康文)