イタリア警察、「中国銀行」ミラノ支店を捜索ー297人の口座から45億ユーロの不正送金疑惑、
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)4月12日(火曜日)弐
通算第4872号
イタリア警察、「中国銀行」ミラノ支店を捜索
297人の口座から45億ユーロの不正送金疑惑、
*********************イタリア中央銀行は沈黙し、捜査当局も具体的な捜査内容を明らかにしていないが、イタリア警察は中国銀行ミラノ支店を捜索し、297人の口座から合計45億ユーロが不正に中国に送金された容疑で、関係者の取り調べに踏み切った。
中国銀行は容疑を否定している。
ロイター電によれば、この不正送金は2006年から2010年に亘って行われていたもので、銀行監査委員会などは、これらがマネーロンダリングに使われたと見ている。
実態はフィレンツェに近いプラト市などで、不法労働者が偽ブランド製造に働いており、かれらの賃金を地下銀行ルートを通じて本国へ送金していた嫌疑がもっとも強く、イタリア検察は近く中国銀行ミラノ支店の関係者を起訴する方針という。
いずれにしても、こらは中国が世界的規模で行っている「銭の河」と言われる地下ネットワークの氷山の一角にすぎない。
◆ 書評 ◎ しょひょう
国内でも高いリスクを背負いながら政権運営をしているが
「もしかすると習近平は本当に軽率なのかもしれない」
♪
エドワード・ルトワック、奥山真司訳『中国4・0』(文春新書)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
この夥しい箴言がちりばめられ、幾つか有益な示唆を日本の戦略構築のうえで与えてくれる本書は日本外交の政策立案に参考意見以上の価値がある。
評者は、本書を二回読んだ。
ルトワックのいう中国の四段階とは、
第一に『平和的台頭』
第二に『対外強硬路線』
第三が『選択的攻撃』にあり、いま第四段階(これが表題の4・0)の選択肢を模索しているとする。
「中国の対外政策は十五年間で三度も変わったのだ。これがまさに不安定」の原因であり、独裁という制度的弊害がその不安定の中枢に位置する。
全体主義の国家にありがちなことは、独裁者が死ぬと、次の後継者は何をしでかすか判らないという不安定要素であり、これが加わる。
ここで日本が留意するべきことはロシアの方向性にあるとルトワックは力説する。
すなわち「中国の強大化によってもたらされるのは、中国が日本を支配する事態である前に、ロシアが仲間を変えるという事態だ。この時点でロシアには他に選択肢はない。日本および日米同盟と、歩調をあわせるほかがない」(147p)
米国で中国尊重,G2を主張した人々はもはや影響力を失った。その典型がキッシンジャーだろう。
G2は、基本的にアメリカ人が「受け入れがたい」ものであり、「そこには単なる民族感情とは異なる戦略的な理由もある。一言で言えば、『G2』ができると、双方が抱える同盟国のパワーがカウントされなくなるからだ」(103p)
さて習近平の権力基盤だが、これまた不安定の典型だとルトワックは断言する。
「なぜなら国内的にもかなり高いリスクを背負いながら政権運営をしている」からで、それは反腐敗で敵を作りすぎたことによる」
「もしかすると彼は本当に軽率なのかもしれない。なぜなら(反腐敗キャンペーンで)何千人も逮捕してしまえば、それだけ敵対勢力の敵愾心を煽ることになるからだ」(70p)。
習近平は日本に対しても計算違いをやらかした。
「『金は力なり』という幻想を抱いた中国のリーダー達は、もし北京が日本政府といざこざを起こしたとしても、腐敗した(つまり中国の金に目がくらんだ)日本の財界は自国の政治家に圧力を駆けて中国側の要求に屈するはずだと勘違いしていた」
中国はほかの国々とも軋轢をあちこちで表面化させ戦略的には世界に孤立して習主席は『裸の王様』となっているのが現状ではないか。ただしい情報が彼のもとにあがっていないようであるとルトワックも推測している。
そして「大成功を収めてきた中国の経済政策も、いまや大規模かつ信じられないほど愚かな失敗になりつつあるのだ。中国は破滅的な反腐敗運動を含む『改革』を、あまりにも一気に、しかも急激におこなっている」からである。
ルトワックは中国経済の未曾有の破綻、金融政策の破産に関しては言葉少なく、しかし全体的流れを的確に掴み、辛辣な表現を用いつつも、多くの真相を浮き彫りにしているのである。
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「革命輸出型」から「経済情報獲得型」への戦略シフトがおきた
経済発展の後ろ盾となる科学技術や経済情報の価値の上昇も重大原因
上田篤盛『中国が仕掛けるインテリジェンス戦争(並木書房)
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敵のコンピュータ・ネットワークに悪性のウィルスを送り込む。HPを改竄する。偽情報を流す。陽動作戦で敵のシステムをずたずたに寸断する。ハイテク技術を盗み出す。
ともかくありとあらゆる悪辣な手段を実行し、軍事的ハッカー戦争では優位に立った中国!
彼らが仕掛けている情報戦争の実態をしらないことは危険である。
本書は中国の情報戦争の歴史、その情報機関の概要、情報活動の役割と工作活動を体系的に演繹し、さらには中国の軍事インテリジェンス戦争、対日インテリジェンス戦争、日中インテリジェンス戦争、そして中国が仕掛けるインテリジェンス戦争への対処法について詳細に亘って述べた、おそらく我が国では初めての書籍である。
資料には情報戦争の歴史と沿革、情報関連機関一覧、そして過去のインテリジェンス戦争の事件簿ならびに中国による文書発禁などが並ぶ。
中国のインテリジャンス機関の歴史を解いた本はロジェ・ファリゴの『中国諜報機関』(黄昭堂訳、光文社、1990年)で、評者はこの原文も海賊版を台湾で買って持っていたが、誰かが『是非読みたい』というので貸したまま。
とくに本書が力説しているのは「革命輸出型」から「経済情報獲得型」への、中国のインテリジェンス機構が変質を遂げている点である。
第一に国際環境の変化による転換である。
「1970年代の米中国交成獣かにより国際情勢は劇的に汎化し、安全保障上の敵対国家が米国からソ連に移り、科学技術の最先端をリードする米国から最新技術の取得が公然と行われるようになった」。
第二に『改革開放が目指す経済発展の後ろ盾となる科学技術や経済情報の価値の上昇』が事由である。
第三が『中越戦争を教訓に軍の近代化が本格化』し先進国の軍事ハイテクの取得に重点を移行した中国は「米国がソ連に対するミサイル監視網や通信情傍受基地を中国国内に設置することを容認し、その見返りに米国から軍事技術の支援を受けた」のである。
かくして「中国情報機関はかつての共産主義革命を輸出する謀略型の情報機関から経済情報重視型への転換した」という分析は納得がいく。
http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%8C%E4%BB%95%E6%8E%9B%E3%81%91%E3%82%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B9%E6%88%A6%E4%BA%89-%E4%B8%8A%E7%94%B0-%E7%AF%A4%E7%9B%9B/dp/4890633383
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1396回】
――「佛具散亂蛛網充滿寺僧洋烟に沈醉して佛道影なし」(原田14)
原田藤一郎『亜細亜大陸旅行日誌?清韓露三國評論』(嵩山堂 明治二十七年)
△
「掛賣の姿」が商売の基本で、「數千円の商業家も其信用に由て數万円の取引を爲す」。つまり信用によって取り扱い量は予想を遥かに超えて大きい。店舗の規模では考えられないような大規模な取り引きも見られる。「帳簿の金高に至りては頗る大なるものあり」。だから彼らを見た目で判断すると、しっぺ返しを喰らう。ナメタラアカンゼよ、である。
第3は「信用確實」であったとしても、価格交渉では油断は禁物。「譬へば百円に賣らんと云へば先ず貳三拾円より直段を付し漸く四五拾円にて賣収を爲す」。これは、北方では見られない。「山東以南の常状」とか。徹底して「荷主を困難の地に陥れ而して后百円を五拾円とし五拾円を貳拾円に投げ賣りするを待つ」というのが、彼らの商法だ。要するに売り手の足元を見透かして徹底して買い叩くわけだ。この商法を得意とするのが広東人であり、であればこそ「清人の廣東人を評する或は人外と云ひ盗賊と罵る」。
「清國は官民の區別なく四億の人衆農工を除けば皆商人なるが故に商業の競爭は極点に達」すると原田は語るが、これは誤りだ。やはり原田によって除かれた「農工」もまた商業の民として振る舞うというもの。そう考えなければ、?小平の「向銭看(儲けよ、ひたすら儲けよ)」の号令一下、全土を挙げてカネ儲けに狂奔するわけがない。もちろん、そうすることを潔しとしない奇特な「人衆」もいないわけはないだろうが、そういった変わり者を探すのはゴビの砂漠で数10年も前に落とした1本の針を探すより難しいだろう。
ここで原田は奇妙な体験を記す。
彼が上海で知った商人は、日本から買った原価千円の磁器を「他の商人に同じく一千円に賣却する」というのだ。その説明によれば、原価千円に儲けを上乗せして売ろうとすれば当然のように商売敵が現れる。だが、原価で売れば必ず売れる。それでは儲けはないじゃないかと口にすると、彼は「ありますあります」と。日本から製品は木箱に入って来る。そこで「箱數十個壹個貳拾五錢拾個の價貳円五拾錢之私の利益」という計算になるというのだから、抜け目ないというか合理的というか。ともかくもマケマス。奇想天外なカネ儲け方法だが合理的。どんな商売頭があれば、こういったカラクリを捻り出すのか。
第4は「清人の事業は都て氣永き事何に譬へんものなし」。あたかも彼らは「時は即ち金なりとの譬えを知らず」。だから「彼等の商業も决して時間を爭ふが如き事を爲さず」。
たとえば「材木業は親の代に初めて子の代に利をみる」。長江の上流から「木材を天津に輸するに大概貳ヶ年の時日を要す」が、筏の上に組んだ小屋で寝泊まりし、「甚しきは畑を造り自用の野菜を取」りながらの商売だ。確かに気長で悠長。だが抜け目なし。
悠長の商法として、こんな例も示す。
不足する商品が外国商人の手で輸入されたとして、「清商人は心中には之を競爭して買はんとの意志ある」。だが、慌てて発注しない。気長に待つ。荷主の焦りを見届けて、やおら動き出す。荷主が千円の売り値を提示したら、500円でなら買うと。それでは商売にならないと他の清国商人に口を掛けると、400円でなら引き受けると。ならば500円でも致し方なし。荷主の外国商人は、泣く泣く元値の半額で売り捌かざるをえない羽目に陥る。
かくて「外人に對する商業は暗に強固なる鞏結あつて然るかと思はしむ」。とどのつまり外国商人は清国商人のアコギな連携プレー、いわば出来レースに泣かされることとなる。
第6は「巨萬の財寶を貯蓄する」ために僅かな利益すら血眼になって争い、「商利を得るより寧ろ其得たる利?を失はざらん事」を求める。また「清國四億の人衆上下皆商家なる」から、「官吏自ら商業を營」むなど、「人間は商事に據り一身を立つるものと覺悟」している。公共の事には興味を示さないが、こと商売となると誰もが「目を覺せり」。
《QED》
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(読者の声1)広島のG7の外相会合の初日、ドイツの外相が欠席しました。中国二泊三日の滞在からの日本入り、公式には専用機のトラブルとされていますが本当でしょうか。中国に入れ込み過ぎたドイツ、フォルクスワーゲンにドイツ銀行、さらにはイスラム難民問題と前途多難。なにやら勘ぐりたくなりますね。
G7の外相会合後、各国外相が原爆資料館を訪問しました。ぼくが原爆資料館を見たのは
1980年(昭和55年)、長崎と比べるとずいぶん悲惨さを抑えた印象でした。
広島を観光バスで廻って驚いたのがバスのアナウンス。原爆の話は出てこないのに日清
戦争で広島に大本営が置かれたことを誇っている。今にして思えば近親者に原爆被災者
がいるだけで婚約が破談になったという事例もあったといいますから原爆の悲惨さは極
力なかったことにしたかったのかもしれません。
広島大本営は明治天皇・皇太子親王(後の大正天皇)が行幸・行啓されたのですから誇ら
しい気持ちはわかるものの、当時の左翼教育脳はいつの時代の話なんだと呆れたもので
した。
左傾化教育の酷い今の広島ではどうなっているのかわかりませんが、呉の海軍カ
レーを自慢しているくらいですから多分大丈夫。NHKの番組でもバラエティ系なら呉
・横須賀・その他、海軍カレーや海軍シチューの本家はどこか、など当たり前に制作し
ています。おそらく共産党・民進党・社民党・公明党支持者をのぞけば自衛隊が軍を名
乗ることに抵抗はないでしょう。
つくづく思うのが歴史は勝者が書き換えるものだということ。
貴誌メルマガや「黒田官兵衛の情報学」その他の著書には、戦国武将の実像を合戦跡や
武将の菩提寺まで訪れ、「敗軍の将」「謀反の輩」などが歴史書や小説とは異なり、地
元では今でも敬愛されていることが幾度となくでてきます。原爆投下から70年など日本
の歴史から見ればごく最近の話。どこかのブログで、あまりに自己主張の強いアメリカ
人に対して「日本は2000年の歴史を誇るエンペラーの国、300年の歴史しかない新興国
とは違う」といえば相手はおとなしくなるのだとか。
戦後70年を過ぎ中国の脅威が増すなか、「敗軍」の日本なりの主張が「歴史修正主義」と罵られることもなくなっていくのでしょうか。
(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)拙著『黒田官兵衛の情報学』をお読みいただいているとは、まことに戦国武将から日露戦争まで、日本にもインテリジェンス戦争の本質を理解する人たちがいたのです。
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宮崎正弘 v 石 平『私たちの予測した通りいよいよ自壊する中国』(ワック)
宮崎正弘 v 渡邊哲也『激動する世界経済!』(ワック、994円)
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宮崎正弘 v 小川榮太郎『保守の原点』(海竜社。1620円)
宮崎正弘 v 室谷克実『仲良く自滅する中国と韓国』(徳間書店、1080円)
宮崎正弘 v 川口マーン惠美『なぜ中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
宮崎正弘 v 石 平『2015年 中国の真実』(ワック、シリーズ第五弾)
宮崎正弘 v 大竹慎一『中国崩壊で日本はこうなる』(1512円。徳間書店)
宮崎正弘 v 西部 遭『日米安保五十年』(海竜社)
宮崎正弘 v 黄 文雄『世界が知らない中国人の野蛮』(徳間書店)
宮崎正弘 v 佐藤 優『猛毒国家に囲まれた日本』(海竜社)
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2016 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示
平成28年(2016)4月12日(火曜日)弐
通算第4872号
イタリア警察、「中国銀行」ミラノ支店を捜索
297人の口座から45億ユーロの不正送金疑惑、
*********************イタリア中央銀行は沈黙し、捜査当局も具体的な捜査内容を明らかにしていないが、イタリア警察は中国銀行ミラノ支店を捜索し、297人の口座から合計45億ユーロが不正に中国に送金された容疑で、関係者の取り調べに踏み切った。
中国銀行は容疑を否定している。
ロイター電によれば、この不正送金は2006年から2010年に亘って行われていたもので、銀行監査委員会などは、これらがマネーロンダリングに使われたと見ている。
実態はフィレンツェに近いプラト市などで、不法労働者が偽ブランド製造に働いており、かれらの賃金を地下銀行ルートを通じて本国へ送金していた嫌疑がもっとも強く、イタリア検察は近く中国銀行ミラノ支店の関係者を起訴する方針という。
いずれにしても、こらは中国が世界的規模で行っている「銭の河」と言われる地下ネットワークの氷山の一角にすぎない。
◆ 書評 ◎ しょひょう
国内でも高いリスクを背負いながら政権運営をしているが
「もしかすると習近平は本当に軽率なのかもしれない」
♪
エドワード・ルトワック、奥山真司訳『中国4・0』(文春新書)
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この夥しい箴言がちりばめられ、幾つか有益な示唆を日本の戦略構築のうえで与えてくれる本書は日本外交の政策立案に参考意見以上の価値がある。
評者は、本書を二回読んだ。
ルトワックのいう中国の四段階とは、
第一に『平和的台頭』
第二に『対外強硬路線』
第三が『選択的攻撃』にあり、いま第四段階(これが表題の4・0)の選択肢を模索しているとする。
「中国の対外政策は十五年間で三度も変わったのだ。これがまさに不安定」の原因であり、独裁という制度的弊害がその不安定の中枢に位置する。
全体主義の国家にありがちなことは、独裁者が死ぬと、次の後継者は何をしでかすか判らないという不安定要素であり、これが加わる。
ここで日本が留意するべきことはロシアの方向性にあるとルトワックは力説する。
すなわち「中国の強大化によってもたらされるのは、中国が日本を支配する事態である前に、ロシアが仲間を変えるという事態だ。この時点でロシアには他に選択肢はない。日本および日米同盟と、歩調をあわせるほかがない」(147p)
米国で中国尊重,G2を主張した人々はもはや影響力を失った。その典型がキッシンジャーだろう。
G2は、基本的にアメリカ人が「受け入れがたい」ものであり、「そこには単なる民族感情とは異なる戦略的な理由もある。一言で言えば、『G2』ができると、双方が抱える同盟国のパワーがカウントされなくなるからだ」(103p)
さて習近平の権力基盤だが、これまた不安定の典型だとルトワックは断言する。
「なぜなら国内的にもかなり高いリスクを背負いながら政権運営をしている」からで、それは反腐敗で敵を作りすぎたことによる」
「もしかすると彼は本当に軽率なのかもしれない。なぜなら(反腐敗キャンペーンで)何千人も逮捕してしまえば、それだけ敵対勢力の敵愾心を煽ることになるからだ」(70p)。
習近平は日本に対しても計算違いをやらかした。
「『金は力なり』という幻想を抱いた中国のリーダー達は、もし北京が日本政府といざこざを起こしたとしても、腐敗した(つまり中国の金に目がくらんだ)日本の財界は自国の政治家に圧力を駆けて中国側の要求に屈するはずだと勘違いしていた」
中国はほかの国々とも軋轢をあちこちで表面化させ戦略的には世界に孤立して習主席は『裸の王様』となっているのが現状ではないか。ただしい情報が彼のもとにあがっていないようであるとルトワックも推測している。
そして「大成功を収めてきた中国の経済政策も、いまや大規模かつ信じられないほど愚かな失敗になりつつあるのだ。中国は破滅的な反腐敗運動を含む『改革』を、あまりにも一気に、しかも急激におこなっている」からである。
ルトワックは中国経済の未曾有の破綻、金融政策の破産に関しては言葉少なく、しかし全体的流れを的確に掴み、辛辣な表現を用いつつも、多くの真相を浮き彫りにしているのである。
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「革命輸出型」から「経済情報獲得型」への戦略シフトがおきた
経済発展の後ろ盾となる科学技術や経済情報の価値の上昇も重大原因
上田篤盛『中国が仕掛けるインテリジェンス戦争(並木書房)
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敵のコンピュータ・ネットワークに悪性のウィルスを送り込む。HPを改竄する。偽情報を流す。陽動作戦で敵のシステムをずたずたに寸断する。ハイテク技術を盗み出す。
ともかくありとあらゆる悪辣な手段を実行し、軍事的ハッカー戦争では優位に立った中国!
彼らが仕掛けている情報戦争の実態をしらないことは危険である。
本書は中国の情報戦争の歴史、その情報機関の概要、情報活動の役割と工作活動を体系的に演繹し、さらには中国の軍事インテリジェンス戦争、対日インテリジェンス戦争、日中インテリジェンス戦争、そして中国が仕掛けるインテリジェンス戦争への対処法について詳細に亘って述べた、おそらく我が国では初めての書籍である。
資料には情報戦争の歴史と沿革、情報関連機関一覧、そして過去のインテリジェンス戦争の事件簿ならびに中国による文書発禁などが並ぶ。
中国のインテリジャンス機関の歴史を解いた本はロジェ・ファリゴの『中国諜報機関』(黄昭堂訳、光文社、1990年)で、評者はこの原文も海賊版を台湾で買って持っていたが、誰かが『是非読みたい』というので貸したまま。
とくに本書が力説しているのは「革命輸出型」から「経済情報獲得型」への、中国のインテリジェンス機構が変質を遂げている点である。
第一に国際環境の変化による転換である。
「1970年代の米中国交成獣かにより国際情勢は劇的に汎化し、安全保障上の敵対国家が米国からソ連に移り、科学技術の最先端をリードする米国から最新技術の取得が公然と行われるようになった」。
第二に『改革開放が目指す経済発展の後ろ盾となる科学技術や経済情報の価値の上昇』が事由である。
第三が『中越戦争を教訓に軍の近代化が本格化』し先進国の軍事ハイテクの取得に重点を移行した中国は「米国がソ連に対するミサイル監視網や通信情傍受基地を中国国内に設置することを容認し、その見返りに米国から軍事技術の支援を受けた」のである。
かくして「中国情報機関はかつての共産主義革命を輸出する謀略型の情報機関から経済情報重視型への転換した」という分析は納得がいく。
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1396回】
――「佛具散亂蛛網充滿寺僧洋烟に沈醉して佛道影なし」(原田14)
原田藤一郎『亜細亜大陸旅行日誌?清韓露三國評論』(嵩山堂 明治二十七年)
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「掛賣の姿」が商売の基本で、「數千円の商業家も其信用に由て數万円の取引を爲す」。つまり信用によって取り扱い量は予想を遥かに超えて大きい。店舗の規模では考えられないような大規模な取り引きも見られる。「帳簿の金高に至りては頗る大なるものあり」。だから彼らを見た目で判断すると、しっぺ返しを喰らう。ナメタラアカンゼよ、である。
第3は「信用確實」であったとしても、価格交渉では油断は禁物。「譬へば百円に賣らんと云へば先ず貳三拾円より直段を付し漸く四五拾円にて賣収を爲す」。これは、北方では見られない。「山東以南の常状」とか。徹底して「荷主を困難の地に陥れ而して后百円を五拾円とし五拾円を貳拾円に投げ賣りするを待つ」というのが、彼らの商法だ。要するに売り手の足元を見透かして徹底して買い叩くわけだ。この商法を得意とするのが広東人であり、であればこそ「清人の廣東人を評する或は人外と云ひ盗賊と罵る」。
「清國は官民の區別なく四億の人衆農工を除けば皆商人なるが故に商業の競爭は極点に達」すると原田は語るが、これは誤りだ。やはり原田によって除かれた「農工」もまた商業の民として振る舞うというもの。そう考えなければ、?小平の「向銭看(儲けよ、ひたすら儲けよ)」の号令一下、全土を挙げてカネ儲けに狂奔するわけがない。もちろん、そうすることを潔しとしない奇特な「人衆」もいないわけはないだろうが、そういった変わり者を探すのはゴビの砂漠で数10年も前に落とした1本の針を探すより難しいだろう。
ここで原田は奇妙な体験を記す。
彼が上海で知った商人は、日本から買った原価千円の磁器を「他の商人に同じく一千円に賣却する」というのだ。その説明によれば、原価千円に儲けを上乗せして売ろうとすれば当然のように商売敵が現れる。だが、原価で売れば必ず売れる。それでは儲けはないじゃないかと口にすると、彼は「ありますあります」と。日本から製品は木箱に入って来る。そこで「箱數十個壹個貳拾五錢拾個の價貳円五拾錢之私の利益」という計算になるというのだから、抜け目ないというか合理的というか。ともかくもマケマス。奇想天外なカネ儲け方法だが合理的。どんな商売頭があれば、こういったカラクリを捻り出すのか。
第4は「清人の事業は都て氣永き事何に譬へんものなし」。あたかも彼らは「時は即ち金なりとの譬えを知らず」。だから「彼等の商業も决して時間を爭ふが如き事を爲さず」。
たとえば「材木業は親の代に初めて子の代に利をみる」。長江の上流から「木材を天津に輸するに大概貳ヶ年の時日を要す」が、筏の上に組んだ小屋で寝泊まりし、「甚しきは畑を造り自用の野菜を取」りながらの商売だ。確かに気長で悠長。だが抜け目なし。
悠長の商法として、こんな例も示す。
不足する商品が外国商人の手で輸入されたとして、「清商人は心中には之を競爭して買はんとの意志ある」。だが、慌てて発注しない。気長に待つ。荷主の焦りを見届けて、やおら動き出す。荷主が千円の売り値を提示したら、500円でなら買うと。それでは商売にならないと他の清国商人に口を掛けると、400円でなら引き受けると。ならば500円でも致し方なし。荷主の外国商人は、泣く泣く元値の半額で売り捌かざるをえない羽目に陥る。
かくて「外人に對する商業は暗に強固なる鞏結あつて然るかと思はしむ」。とどのつまり外国商人は清国商人のアコギな連携プレー、いわば出来レースに泣かされることとなる。
第6は「巨萬の財寶を貯蓄する」ために僅かな利益すら血眼になって争い、「商利を得るより寧ろ其得たる利?を失はざらん事」を求める。また「清國四億の人衆上下皆商家なる」から、「官吏自ら商業を營」むなど、「人間は商事に據り一身を立つるものと覺悟」している。公共の事には興味を示さないが、こと商売となると誰もが「目を覺せり」。
《QED》
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(読者の声1)広島のG7の外相会合の初日、ドイツの外相が欠席しました。中国二泊三日の滞在からの日本入り、公式には専用機のトラブルとされていますが本当でしょうか。中国に入れ込み過ぎたドイツ、フォルクスワーゲンにドイツ銀行、さらにはイスラム難民問題と前途多難。なにやら勘ぐりたくなりますね。
G7の外相会合後、各国外相が原爆資料館を訪問しました。ぼくが原爆資料館を見たのは
1980年(昭和55年)、長崎と比べるとずいぶん悲惨さを抑えた印象でした。
広島を観光バスで廻って驚いたのがバスのアナウンス。原爆の話は出てこないのに日清
戦争で広島に大本営が置かれたことを誇っている。今にして思えば近親者に原爆被災者
がいるだけで婚約が破談になったという事例もあったといいますから原爆の悲惨さは極
力なかったことにしたかったのかもしれません。
広島大本営は明治天皇・皇太子親王(後の大正天皇)が行幸・行啓されたのですから誇ら
しい気持ちはわかるものの、当時の左翼教育脳はいつの時代の話なんだと呆れたもので
した。
左傾化教育の酷い今の広島ではどうなっているのかわかりませんが、呉の海軍カ
レーを自慢しているくらいですから多分大丈夫。NHKの番組でもバラエティ系なら呉
・横須賀・その他、海軍カレーや海軍シチューの本家はどこか、など当たり前に制作し
ています。おそらく共産党・民進党・社民党・公明党支持者をのぞけば自衛隊が軍を名
乗ることに抵抗はないでしょう。
つくづく思うのが歴史は勝者が書き換えるものだということ。
貴誌メルマガや「黒田官兵衛の情報学」その他の著書には、戦国武将の実像を合戦跡や
武将の菩提寺まで訪れ、「敗軍の将」「謀反の輩」などが歴史書や小説とは異なり、地
元では今でも敬愛されていることが幾度となくでてきます。原爆投下から70年など日本
の歴史から見ればごく最近の話。どこかのブログで、あまりに自己主張の強いアメリカ
人に対して「日本は2000年の歴史を誇るエンペラーの国、300年の歴史しかない新興国
とは違う」といえば相手はおとなしくなるのだとか。
戦後70年を過ぎ中国の脅威が増すなか、「敗軍」の日本なりの主張が「歴史修正主義」と罵られることもなくなっていくのでしょうか。
(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)拙著『黒田官兵衛の情報学』をお読みいただいているとは、まことに戦国武将から日露戦争まで、日本にもインテリジェンス戦争の本質を理解する人たちがいたのです。
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