「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 | 日本のお姉さん

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)4月11日(月曜日)弐
通算第4870号

「北の核は中国にとって脅威である」と人民日報
たちまちネットから削除されるハプニングがあった
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人民日報の海外デジタル版に「北朝鮮の核は中国にとって脅威である」という意見が掲載され、つかの間に削除されるというハプニングが起きていたことが判った。
「北の不安定化はシリアの政治的混迷と比較できる。朝鮮半島には8000万人が暮らし、シリアの2000万人より、将来の災禍のおよぶ範囲は広い」。

「したがって平壌は核武装がむしろ北朝鮮の安定を毀損している現実を踏まえ、考え直すべきだ」というコメントは人民日報海外デジタル版(4月7日)に現れ、こうした認識が現実に中国当局の強迫観念として拡大している背景を推定させる。

中朝の二国関係は中国が国連の制裁に同調して、北からの石炭、チタン、鉄鉱石、金、レアアースなどの輸入を差し止め、またジェット燃料の輸出を禁止したことから、さらに悪化した。国連決議による制裁の強化は北朝鮮が2月に行った四回目の核実験への対応である。

「北は戦争する態勢になく、それを決定する能力にも欠け、単に感情的なレベルで反米を訴えることによって国民を糾合してようとしているのだが、その無策こそが戦争を引き起こしかねない危険性を帯びている」と同コメントには書かれていたという(サウスチャイナモーニングポスト、4月8日)。

「米軍に追随して愚かな選択をした中国は血の友誼をわすれたのだ」などと北朝鮮は叫んでいるが、中国がシリアの内戦混乱状況に比較したことは、近未来の危機により数百万の難民が鴨緑江を渡る、あるいは三十八度線をこえて南下する事態を想定してのことであろう。
こうなると中国にとっては、尖閣諸島、南シナ海の問題ではなく、目の前の危機の出現ということである。

◆ 書評 ◎ しょひょう ▼ BOOKREVIEW ▽
中国経済予測の田中氏も将来に匙を投げたようだ
クレジットクランチではなく、キャピタルクランチが実態


田中直毅『中国大停滞』(日本経済新聞社)
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「隠れパンダ・ハガー」の田中直毅氏も随分と中国に厳しい目をむけるようになった。
評者は「つぎに中国が『失われる二十年』をむかえることになる」と前から予見してきたが、田中氏も「大停滞はながびくだろう」と、時間を切ってはいないがほぼ悲観的である。
ただし氏は「悲観」とか「絶望」とかの言葉を巧妙に回避しながら、じつは同じことを言っている。
まず氏が指摘するのは「中国社会が全体として債務過多に陥った」ことだ。
したがってデレバレッジ(債務削減)が必要。理由の一端には企業債務、地方政府債務に加えて「巨額の投資プロジェクトとその後のバブル崩壊にある」と分析している。
はやくから欧米の銀行筋は、中国の行き詰まりを読んでいて、たとえばゴールドマンサックスは中国工商銀行への出資額全額を引き上げていた。
李嘉誠は、その先を読んで中国どころか香港も危なくなるとして不動産、資源投資を欧米にシフトさせ、もはや中国の未来は絶望的だ。HSBCも、香港へのカムバックを止めた。
田中氏は慎重な語彙に終始させつつも、「バブルの崩壊により、中国経済の生産・販売現場におけるカネづまりはより本格的になった」
と概括し、信用収縮の実態に迫る。
比喩論として「19世紀末の欧州でおきたことが中国で起きている」とし、『過剰生産能力の積み上がりが企業の経営破綻をまねき、やがて不均衡の累積は信用不安を通じて金融恐慌に到る』(117p)の指摘へといたるとされる。
そもそも中国の市場は自由主義にもとづくものでもなければ、株式は情報の透明性がない博打場でしかなく、結社の自由、言論の自由、司法の独立などがなければ、欧米日のような資本主義自由市場へ近づくことさえ不可能なのである。
情報の透明性が担保されない市場に国際金融マーケットは成立しない。

すなわち「一党独裁の仕組みに於いては、結局のところ、結社の自由を欠く、というそもそも論に突き当たる」(中略)、だからロータリークラブのような友好事前の団体さえ、「メンバーが定期に集まり、金も人も情報も動くとなれば、一党支配に反することはないのか、という猜疑心が諸方面に生まれる」。
そうだ、災害救助にあたってのNPO組織さえ、中国では監視対象、大学に構内に警察署があり、パトカーが常駐している。『大学の自治』とはなんのことか、中国の大学生が理解することは不可能である。
そして、770万大学新卒の多くに就職先がなくなった。かれらは早熟の「失われた世代」となって大量に中国に出現しているのである。
昨今、中国では新規融資が難しくなっており「銀行与信が伸びないクレジットクランチ(信用の逼迫)ではなく、銀行の資本が不良債権の大量発生によって毀損し、このことが銀行の融資対応にきわめて後退的な影響を与えているというキャピタルクランチ(資本逼迫)の可能性が無視できない」(313p)としている。
後半部で田中氏は、習近平を擁正帝にたとえたり、いまは誰も顧みない「京都学派」の中国礼讃のたぐいを用いての幻覚症状が散見されるが、日本の経済論壇のなかで、田中直毅氏さえとうとう中国の悲惨な現実を直言するようになった。
その微妙な変化を感じ取ることができる。

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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)「トランンプ大統領」に備えよ。 -TPP、米露同盟、および核武装-
●トランプの主張するTPP参加破棄は、別の方法で中国包囲網機能が補完されるならば日本にとってウェルカムである。
●トランプとプーチンは、公言し合っているように肌が合う。「米露同盟」が結ばれる場合には、日本は可能なら3国同盟化、少なくとも仲介等により優位な立場で絡まなければならない。
●トランプであろうが無かろうが、ファイナンスに行き詰まった米国は日本により防衛負担増を求める。日本はこれを、自主防衛を高める契機とすべきである。
ただし、核武装は別次元の問題であり、切り離して駆け引きしなければならない。

◆ジュリアーニ副大統領?◆

米大統領選挙の行方は予断を許さないが、共和党予備選挙の焦点は、ドナルド・トランプ候補の副大統領候補選定に焦点が移った感がある。
4月7日に、ジュリアーニ元ニューヨーク市長がトランプ支持を正式に表明した。
もしジュリアーニを副大統領候補とするなら、本選挙で民主党のヒラリー・クリントンを本拠地のニューヨークにある程度釘付けする効果があるだろう。
また市長在任中に治安対策等で確実な成果を上げた手堅い行政手段が、共和党主流派のアンチ・トランプ感情を宥めるのに多少役立つ。
トランプは、不法移民対策やテロ対策である意味現実離れした過激な主張をする一方、自分は政治家ではないので、実際の行政はプロの政治家に任せるとも発言しており、副大統領候補選び(ペイリン元アラスカ州知事となる場合は、国務長官選び)が実際の「トランプ政権」を性格付けるだろう。
何れにしても、大統領予備選挙および本選挙の結果は、様々な要素、なかんずく今後大なり小なり起こる可能性のある米国内外のテロの規模、背景、タイミングにより、米国世論がどちらに転ぶかによって大きく左右されると思われる。

◆TPP参加破棄◆

さて前置きが長くなったが、米国「トランプ政権」が成立する蓋然性が相当程度ある以上、我が国日本としても、その備えをして置く事は当然に必要である。
外務省が情報収集を始めたと既に公式に発表したが、それと並行して国家レベルでの対応基本戦略を今から検討して置かねばならない。
まず、トランプは「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は米国民の利益にならず参加を破棄する」と公言しているように、もしトランプ政権が成立すれば恐らく破棄するであろう。
そもそもTPPには、次の3つの機能がある。(1)自由貿易の理想の実現、(2)中国包囲網の構築、(3)米国(グローバル)企業による日本からの収奪である。
(1)と(2)は、日本の利益になるが、(3)についてはISDS条項(投資家対国家間の紛争解決条項)や、ラチェット規定 (自由化不可逆規定)のような強力な武器がTPPに組み込まれており、丁々発止の米国(グローバル)企業・弁護士・ロビーに動かされる米議会により日本企業・政府・国民が手玉に取られ毟り取られる可能性が高い。
もし、TPPの持つ中国包囲網の機能が別の方法で補完されるならば、米国のTPP参加破棄は日本にとってウェルカムである。
ただしトランプは誤解も含めて中国と並んで日本を貿易不均衡国として名指ししており、更に過酷な要求をしてくる可能性は想定して置かねばならない。

◆「米露同盟」と日本◆

「トランプ政権」となった場合に、「米露同盟」が締結される可能性も相当程度ある。
トランプとプーチンは、公言し合っているように肌が合う。
トランプが「米国の復活」を本気で進めるならば、「米露同盟」締結で中国を牽制し、中東関与を薄め、軍事予算を減らすのは合理的な選択肢だろう。
これまで、その選択を阻害していたのには、中国贔屓のキッシンジャーと、オバマの外交指南役にしてポーランド難民で旧ソ連に恨みを持つブレジンスキーという米外交戦略の2大巨頭の力が大きかった。
しかし、東欧・中東での度重なる失策と中国の台頭で2人の発言力も低下し、若しくは微妙に方向転換しており、ハードルは下がって来ている。

「米露同盟」が結ばれる場合には、日本は北方領土問題に筋道を付けて置き可能なら3国同盟化、少なくとも仲介等により優位な立場で絡まなければならない。
米露が日本の頭越しで同盟を結ぶ場合、日本の関与する余地は少ないが大国同士の面子維持のため調印式は第三国で行う等で、最悪象徴的な意味だけでも日本が絡むことは可能である。

◆防衛負担増と核武装、および新秩序◆

トランプであろうが無かろうが、ファイナンスに行き詰まった米国は日本により防衛負担増を求めて来る。

トランプ等の言う、日本安保ただ乗り論は、日本が相当額の米軍駐留経費を負担しているとしても、ある意味正しい。
米軍が日本を守っても、昨年成立した安保関連法によっても基本的には日本は米国を守らないのが日米安保条約の内容である。
トランプ等の主張する防衛負担増への対応には、日本が米軍駐留経費等を増額する選択と日本がより自主防衛を高める選択の2つがある。
筆者は、前者は選択すべきでないと考える。
理由として、トランプは大きく吹っかけて来るだろう。第一、それにより日本がより主体性を失って行く事になる。日本はこれを、自主防衛を高める契機とすべきである。
場合によっては、米国や米軍が危機に在るとき日本が助けに行ってもよい。
しかし例えばイラク戦争のような筋の悪い戦争に、従属的に付き合うべきではない。
兵を出す際には、国際的大義を伴い、かつ長期的国益に適う場合にのみ主体的に出さねばならない。その原則を具体化するために、日本は安全保障基本法を成立させ、進んでは憲法改正をすべきである。
ただし、トランプの言う、日韓から米軍が撤退した場合、両国の核武装を容認するという発言には飛躍がある。

米軍が撤退しても、米国の西向きおよび太平洋等の潜水艦搭載の核ミサイルは、中国と北朝鮮とロシアに向いている事は変わらないので、米軍の核配備費用が削減される訳ではない。(ただし、日韓が中・北に攻撃されたとき、米軍核ミサイル使用で米国が反撃されるリスクは減る。)
トランプの日韓核武装容認発言は、不動産王としての交渉術の側面が強いだろう。
日本にとって、核武装は別次元の問題であり、切り離して駆け引きしなければならない。

核拡散の危険性(残念ながら日本の現在の核管理能力の不足も含めて)を考えれば、費用負担の引き換えに米国管理の核ミサイルの発射ボタンを日本がシェアリングする、所謂「レンタル核」が現実的だろう。

もちろん、米国が日本の永遠の味方である保証はなく、そのために核の自主開発を出来る能力と核物質を(核管理能力を高めて)、国際社会を説得しつつ保持して置く必要もある。
よく言われるように、モンロー主義的に米国が他国への軍事的関与を減らして行くというのは、トランプもオバマも同じである。
ただ、オバマは負け犬風に、トランプは吠えながら撤退戦を行おうとしている。
米国が覇権を降りたら、米国の衰退は止まらず、世界も多極化し大混乱するとの恐れが外交軍事の専門家から語られており、筆者も賛同する。
しかし、米国も無い袖は振れまい。

筆者は、米露同盟に日本が加わり世界の安全保障体制の基軸を為す一方、イスラムを世俗化穏健化して統一させキリスト教はこれと和解し、他国も合わせ中国包囲網を完成させてその牙を抜く事が、今後の世界秩序の大戦略であらねばならないと考える。
これは、次期米大統領が誰になっても変わらない。

しかし、トランプ政権となった場合、事態は加速する。
日本はタフな交渉で国益を確保しつつ、この画を実現させるべく、より主体的に動く事が必要となるだろう。
(佐藤鴻全)
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本当に日本人はイスラムのことが解かってないね。

イスラムを世俗化穏健化させるのは無理だし、なんでキリスト教がこれと和解しないといけないなどと書くの?和解もクソも、キリスト教会は、決してイスラム教徒を殺したりレイプしたり、イスラム寺院を焼いたりしないけど、イスラム教徒は世界的に、キリスト教徒を迫害して殺している。レイプもする。女性を拉致して性奴隷にもしている。教会も焼くし、新しい教会を作らせないように、キリスト教会を立てたくても建築の許可を出さない。
出しても、イスラム寺院の横に建てるという条件付き。そんなうるさくて危険な場所に建てることができるわけがない。しかも、新しくキリスト教会を建てると、すぐ隣にイスラム寺院を建てる許可を出してきて、キリスト教会を圧迫する。
インドネシでもそうだし、スーダンでもそうです。
現地のクリスチャンに話を聞いたから本当ですよ。

それでも、キリスト教徒は、復讐しないで、じっと耐えて赦してきているんですよ。
中には、若い自称キリスト教徒で、イエス・キリストを信じていない人がたまに復讐しているようだけど、キリスト教徒は常に敵を赦しているんですよ。