「朝日の若宮氏を知っていますか」
「朝日の若宮氏を知っていますか」
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黒田 勝弘
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉をコラムで傷つけたとして在宅 起訴された産経新聞の加藤前支局長は昨年末、ソウル中央地裁から無罪判 決を受けま した。その裁判を振り返る記述に次の
ような下りがあります。。
「証人は、若宮(啓文)朝日新聞元主筆を知っていますか」
これは8回目の公判で、弁護側の証人として法廷に立った西日本新聞のソ ウル支局長に検察側が尋ねた質問なのですが、なぜ無関係の元朝日記者の 名前が登場したのでしょうか
実は、この若宮氏、韓国の「東亜日報」という新聞にコラムを連載してお り、その中で加藤前支局長のコラムについて起訴直後の2014年10月、「一 国の元首に対して何とも失礼」「まるでゴシップ週刊
誌の記事」「産経が 発行する夕刊紙は『嫌韓』の先頭を走っている」などと嬉々として書いて いるのです。
若宮氏は朝日新聞の政治部長、論説主幹、主筆などを歴任し、現在は韓国 の大学で教鞭も執る「ミスター朝日」のような方です。
検察側の質問の意 図は、「日本の一流紙である朝日新聞の一流ジャーナリストでさえ、この ように書いているのだから、加藤や産経はやっぱり悪い奴らだ」と印象付 けた
かったわけですが、弁護側はこれを逆手に取り、「若宮氏は、独島 (竹島)を韓国にあげてしまおう、と発言するほど韓国の肩を持つ人だと 知られていることは事実ですか」と質問するのです。
この若宮氏をめぐる「法廷論争」の詳細は本書を読んでいただければ、と 思いますが、彼は以前に朝日新聞のコラムで、「いっそのこと竹島を譲っ てしまったら、と夢想する」と書いた方でもあり
ます。
竹島への「夢想」は勝手ですし、韓国に相当なシンパシーを感じているの はよくわかりますが、今回の事件は、外国人ジャーナリストが言論の自由 をめぐる問題で起訴され、出国禁止の憂き目に遭
うという前代未聞の出来 事だったのです。
韓国の名誉毀損罪の懲役刑は最高7年にも及びます。加藤前支局長は堂々 と無罪を勝ち取ることができましたが、その心労は相当なものだったはず です。
「外野」から、それも「同じ日本人ジャーナリスト」がまさか後ろ から石を投げていたとは…。
こんな方に味方してほしいとは思いませんが、せめて黙っていてほしかっ たと思います。
本書の読者もあきれていました。
「朝日の若宮という人はひどい。そんな に韓国が好きなのか」「この方の言論の自由に対する考えを聞いてみた い」「若宮氏は韓国に弱みでも握られているのでしょうか」……。
本書では、韓国や朝日新聞が言う「産経は嫌韓の新聞」という中傷につい ても、完膚なきまでに論破しています。
加藤前支局長は指摘します。
「若 宮氏のコラムは、私を訴えた韓国の右翼団体の理屈と何ら変わりはありま せん」。(産経新聞出版社長、皆川豪志)
ソウル中心部に光化門(クァンファムン)広場がある。
旧王宮、景福宮 (キョンボククン)の光化門前なのでそういう。
景福宮の背後には大統領 官邸があり、広場に面しては政府総合庁舎や外務省、米国大使館などがあ る。
米国大使館裏には日本大使館もある。
広場にはその昔、豊臣秀吉軍の侵攻と戦った“救国の英雄、李舜臣 (イ・スンシン)”と、韓国が誇るハングルを制定した世宗(セジョン) 大王のでっかい銅像が立っている。
2人は文武それぞれの偉人伝中の人物 である。
したがって光化門広場は韓国を代表する広場であり、ソウルの観 光スポットにもなっている。
日本でいえば皇居前、米国ではホワイトハウ ス前といったところだ。
広場の入り口がソウルの東西と南北をつなぐ大通りの鍾路(チョンノ) と世宗路の交差点になっている。
ここは今は横断歩道があるが以前は地下 歩道だけだった。
この地下歩道にいつも雑貨やビデオ、CDなどを売る屋 台や風呂敷を広げた露天商が座り込んでいる。
外国人の往来も多い韓国の表玄関だけに見苦しい。
そこで以前、ソウル市 長の記者会見の際、「あれは無許可の路上商売のようだが何とかならない のか?」と質問したことがある。
答えは「貧しい生計型の露天商は黙認し ている」というものだった。
実 態は荷車で商品を運び込んでいるから生計 型より企業型といった印象な のだが、業者の既得権として放置されている。
一方、地上の広場には無許可のテント村ができている。
一昨年、大量の 犠牲者が出て韓国を揺るがした「セウォル号沈没事故」の犠牲者支援団体 が政府批判キャンペーンのため、勝手に設置したものだ。
テント数は十数 個で、今や窓ガラスや冷暖房付きの事務所風で活動家たちが寝泊まりして いる。
野党系の反政府運動のちょっとした拠点になっているため保守派は撤去 を要求しているが、野党系のソウル市長はそれを拒否している。
政府も内 心、大いに迷惑しているが、「セウォル号犠牲者の心情」を看板にした支
援団体の主張や世論の同情に気を使い、不法施設なのに撤去できないでいる。
これが大韓民国の表玄関の風景である。
日本大使館前の慰安婦像の問題も この延長線上にある。
慰安婦像も支援団体が地元の鍾路区役所の許可なし に、勝手に公道である歩道のブロックを引っぱがしコンクリートを流し込 んで建ててしまった無許可施設である。
区役所も政府もその無許可、不法 ぶりを放置したままなのだ。
韓国外務省は「民間団体が建てたものなのに政府があれこれいえない」 などと公式に発言しているが、国家として法治を否定したとんでもない無 責任ぶりだ。
外国公館に対する“侮辱施設”や至近距離での集会・デモと いった“脅威”は国際法でも違法である。
慰安婦像問題の背景には国内での不法・違法の蔓延(まんえん)に加 え、日本相手なら何でも許されるという“反日無罪”の無責任感覚がある。
朴槿恵(パク・クネ)大統領は就任に際し「非正常の正常化」を公約した がこれは国家としての秩序の立て直しのことである。
韓国は慰安婦像問題 で“放置国家”ではない法治国家としての「国のかたち」を問われている。 (ソウル駐在客員論説委員)
から(韓)くに便り 黒田勝弘】産経ニュース【iRONNA発】
2016.2.20
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黒田 勝弘
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉をコラムで傷つけたとして在宅 起訴された産経新聞の加藤前支局長は昨年末、ソウル中央地裁から無罪判 決を受けま した。その裁判を振り返る記述に次の
ような下りがあります。。
「証人は、若宮(啓文)朝日新聞元主筆を知っていますか」
これは8回目の公判で、弁護側の証人として法廷に立った西日本新聞のソ ウル支局長に検察側が尋ねた質問なのですが、なぜ無関係の元朝日記者の 名前が登場したのでしょうか
実は、この若宮氏、韓国の「東亜日報」という新聞にコラムを連載してお り、その中で加藤前支局長のコラムについて起訴直後の2014年10月、「一 国の元首に対して何とも失礼」「まるでゴシップ週刊
誌の記事」「産経が 発行する夕刊紙は『嫌韓』の先頭を走っている」などと嬉々として書いて いるのです。
若宮氏は朝日新聞の政治部長、論説主幹、主筆などを歴任し、現在は韓国 の大学で教鞭も執る「ミスター朝日」のような方です。
検察側の質問の意 図は、「日本の一流紙である朝日新聞の一流ジャーナリストでさえ、この ように書いているのだから、加藤や産経はやっぱり悪い奴らだ」と印象付 けた
かったわけですが、弁護側はこれを逆手に取り、「若宮氏は、独島 (竹島)を韓国にあげてしまおう、と発言するほど韓国の肩を持つ人だと 知られていることは事実ですか」と質問するのです。
この若宮氏をめぐる「法廷論争」の詳細は本書を読んでいただければ、と 思いますが、彼は以前に朝日新聞のコラムで、「いっそのこと竹島を譲っ てしまったら、と夢想する」と書いた方でもあり
ます。
竹島への「夢想」は勝手ですし、韓国に相当なシンパシーを感じているの はよくわかりますが、今回の事件は、外国人ジャーナリストが言論の自由 をめぐる問題で起訴され、出国禁止の憂き目に遭
うという前代未聞の出来 事だったのです。
韓国の名誉毀損罪の懲役刑は最高7年にも及びます。加藤前支局長は堂々 と無罪を勝ち取ることができましたが、その心労は相当なものだったはず です。
「外野」から、それも「同じ日本人ジャーナリスト」がまさか後ろ から石を投げていたとは…。
こんな方に味方してほしいとは思いませんが、せめて黙っていてほしかっ たと思います。
本書の読者もあきれていました。
「朝日の若宮という人はひどい。そんな に韓国が好きなのか」「この方の言論の自由に対する考えを聞いてみた い」「若宮氏は韓国に弱みでも握られているのでしょうか」……。
本書では、韓国や朝日新聞が言う「産経は嫌韓の新聞」という中傷につい ても、完膚なきまでに論破しています。
加藤前支局長は指摘します。
「若 宮氏のコラムは、私を訴えた韓国の右翼団体の理屈と何ら変わりはありま せん」。(産経新聞出版社長、皆川豪志)
ソウル中心部に光化門(クァンファムン)広場がある。
旧王宮、景福宮 (キョンボククン)の光化門前なのでそういう。
景福宮の背後には大統領 官邸があり、広場に面しては政府総合庁舎や外務省、米国大使館などがあ る。
米国大使館裏には日本大使館もある。
広場にはその昔、豊臣秀吉軍の侵攻と戦った“救国の英雄、李舜臣 (イ・スンシン)”と、韓国が誇るハングルを制定した世宗(セジョン) 大王のでっかい銅像が立っている。
2人は文武それぞれの偉人伝中の人物 である。
したがって光化門広場は韓国を代表する広場であり、ソウルの観 光スポットにもなっている。
日本でいえば皇居前、米国ではホワイトハウ ス前といったところだ。
広場の入り口がソウルの東西と南北をつなぐ大通りの鍾路(チョンノ) と世宗路の交差点になっている。
ここは今は横断歩道があるが以前は地下 歩道だけだった。
この地下歩道にいつも雑貨やビデオ、CDなどを売る屋 台や風呂敷を広げた露天商が座り込んでいる。
外国人の往来も多い韓国の表玄関だけに見苦しい。
そこで以前、ソウル市 長の記者会見の際、「あれは無許可の路上商売のようだが何とかならない のか?」と質問したことがある。
答えは「貧しい生計型の露天商は黙認し ている」というものだった。
実 態は荷車で商品を運び込んでいるから生計 型より企業型といった印象な のだが、業者の既得権として放置されている。
一方、地上の広場には無許可のテント村ができている。
一昨年、大量の 犠牲者が出て韓国を揺るがした「セウォル号沈没事故」の犠牲者支援団体 が政府批判キャンペーンのため、勝手に設置したものだ。
テント数は十数 個で、今や窓ガラスや冷暖房付きの事務所風で活動家たちが寝泊まりして いる。
野党系の反政府運動のちょっとした拠点になっているため保守派は撤去 を要求しているが、野党系のソウル市長はそれを拒否している。
政府も内 心、大いに迷惑しているが、「セウォル号犠牲者の心情」を看板にした支
援団体の主張や世論の同情に気を使い、不法施設なのに撤去できないでいる。
これが大韓民国の表玄関の風景である。
日本大使館前の慰安婦像の問題も この延長線上にある。
慰安婦像も支援団体が地元の鍾路区役所の許可なし に、勝手に公道である歩道のブロックを引っぱがしコンクリートを流し込 んで建ててしまった無許可施設である。
区役所も政府もその無許可、不法 ぶりを放置したままなのだ。
韓国外務省は「民間団体が建てたものなのに政府があれこれいえない」 などと公式に発言しているが、国家として法治を否定したとんでもない無 責任ぶりだ。
外国公館に対する“侮辱施設”や至近距離での集会・デモと いった“脅威”は国際法でも違法である。
慰安婦像問題の背景には国内での不法・違法の蔓延(まんえん)に加 え、日本相手なら何でも許されるという“反日無罪”の無責任感覚がある。
朴槿恵(パク・クネ)大統領は就任に際し「非正常の正常化」を公約した がこれは国家としての秩序の立て直しのことである。
韓国は慰安婦像問題 で“放置国家”ではない法治国家としての「国のかたち」を問われている。 (ソウル駐在客員論説委員)
から(韓)くに便り 黒田勝弘】産経ニュース【iRONNA発】
2016.2.20