事故物件公示サイト「大島てる」が語る苦情内容と風評被害 | 日本のお姉さん

事故物件公示サイト「大島てる」が語る苦情内容と風評被害

世界びっくりニュース世界中の仰天ニュースをお届け!2016年3月27日
事故物件近くに住む人間の心理がヤバすぎる! 事故物件公示サイト「大島てる」が語る苦情内容と風評被害

今や好奇心に煽られたネット民だけにとどまらず、実用サイトとしても絶大な人気を誇る事故物件サイト『大島てる』。これから賃貸住宅を借りようとしている人からすると、とても便利なサイトだが、貸主からすると、非常に目障りな存在にもなりうる。『大島てる』に、苦情などは来ないのだろうか?

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2016/03/post_9079.html】

――苦情ってだいたいどのくらいの頻度であるものなんですか?

大島「弁護士名の書面なんかは今はほとんどないですね。『大島てる』に投稿された情報が間違っていたら、指摘さえすれば削除なり訂正なりしてもらえるということを皆さん知っていますから。名古屋での女子大生による殺人事件にしても、NHKから週刊誌まで、たくさんのメディアが報じているわけですから、今さら『大島てる』を黙らせても意味がないわけです。

ですから、傾向としては、『大島てる』の特ダネというか独自ネタに対しての方が『コイツさえ黙らせれば世の中から消せる』と思われて苦情が来ることが多いです。もちろん絶対折れませんけど」

――どちらかというと有名な事件の方が、苦情がありそうな気がしますけど、実情はその逆ということなんですね。

大島「はい。『大島てる』から削除させても無意味なほどに世に知られているという場合の話です。それでもアパートの場合、部屋番号まではテレビなどで報じられることはあまりないですよね? 一方『大島てる』では部屋番号まで載せています。…
把握できているなら、ですが。ただ、そのことへの苦情はあまりないですね。そもそも普通のアパートですと、ひとりの大家さんが全部屋を所有しているわけです。そうすると、部屋番号が出ても出なくても、正しくても間違っていても、階が間違っていたりさえしても、大家さんからすればどうでもいいのです。アパート名が報じられた時点で負けなんです。分譲マンションの場合は間違っていたら大変なことになりますけどね」

――なるほど。全部持っている人からすれば、確かに、あまり関係ないですね。

大島「あと、ここがおもしろいんですけど、分譲マンションの場合、マンション内からのタレコミが結構あるんですよ。詳細がわからないときは、まずわかっているところまで書くんです。例えば『自殺』とだけ。そして、後から何階かがわかったら、例えば『3階』と補充して、さらに『310号室』だと判明したらそう書き換えていく。あるいは『ガス自殺』などと。ネットの特性の補充性ですよね。紙媒体とは違って、リリースしたあとに回収しなくても簡単に情報を補充できる」

多くの人間が集合体として正確な情報を形作っていくのだ。

大島「では、どうしてそんなにどんどん後から補充していけるかというと、マンション住民から『俺の部屋じゃない』という情報が寄せられるからなのです」

――ええっ、それはすごくおもしろい心理ですね……。

大島「普通に『載せるな』って言えばいいのに…」

■「福島原発」というネーミングの罪

――「載せるな」って言えばいいのにって(笑)。…
大島「いや~、あれはホントにビックリしますよ。たとえば3階建てのマンションで、事件が起きたのが310号室なら、無関係の101号室はかなり離れているわけですよね。なのに、マンション全体が白い眼で見られるのは嫌だから、101号室の所有者は『310号室なんだよ!』って言ってくるんです。自身は101号室で、事件現場の310号室とは離れていることをハッキリさせたいということなのだろうと思います。

話は変わりますが、3.11の原発事故でまさに同じような現象が起きました。我が国の原発は『川内』だとか『泊』だとか、だいたいどこもマイナーな地名が付いていますよね。東京で言うと『市ヶ谷』くらいの」

――まあ、そうですね(笑)。

大島「ですが、『福島』は、あちこち跨っていたり第一と第二があったりなどで、『福島』というメジャーな地名が使われています。あそこが『大熊原発』とか『双葉原発』だったら(福島第一原発の所在地は福島県双葉郡大熊町・同双葉町)、たぶん印象がかなり変わっていたと思うんです。しかも福島県はものすごく大きな県だから、県西部の会津地方なら茨城県北部の方が原発に近いんですよね。なのに海外の、日本の地理なんかわからない人は、北海道産の作物まで危ないと思ってしまった。細かくて詳しい情報を発信しないと、メイド・イン・ジャパン全体が迷惑を受けるんです。『福島県全体でなく、この地点なのだ』と言うべきなのに。

事故物件に話を戻すと、大メディアは配慮のつもりで、たとえば『以前、足立区内の民家で女子高生がコンクリート詰めにされる事件がありました』などと言うわけですが、それだと足立区全体のイメージが悪くなってしまいかねません。…
本当は『何々町の何丁目何番地のこの家で』と言うべきなのです。足立区は大きな区なので、区全体が風評被害を受けるんですよ」

――ああ、それって“北九州でまた殺人”っていうようなことですね。

大島「そうなんです(笑)。現場近くの人であればあるほど、事件のことを気にして、『うちはあそことは違う』ということを力説してくるのが、人間臭いというか面白いですよね。絶対に『サイトを閉鎖しろ』とまでは言ってこないんです。自分さえよければそれでいいので」

――ここまでバレてるんだったら、『ウチじゃない』とだけは言っておきたいってことでしょうね。

大島「当初は、その種のタレコミがここまで頼りになるとは思っていなかったんです。今はガセがなくて本当に驚いています」

――なるほど。確かに、「ウチじゃない」って情報は滅茶苦茶正確な感じがしますからね。

大島「それをどんどん集めていけばかなり絞れるわけです。記者へのリークと共通点がありますよね。自分からは何も言わないけれども、ぶつけられたら否定はしないとか。記者さんからすれば、初歩の初歩ですけどね」

――でもそれがプロの記者ではなく、一般の人が勝手にやっているというところがおもしろいですね。

■世の中が動くのは死人が出てから

一般人という無数の事件記者が周辺情報を固めてゆく――これは、『2ちゃんねる』でしばしば見られるものすごい特定力と同じことなのだろう。つまり、事故物件サイト『大島てる』の取材力は、恐ろしく高いということなのだ。…
大島「ところで、さまざまなインタビューの際に必ずといっていいほど繰り返し述べてきたにもかかわらず、いつもカットされていたのが、『世の中が動くのは死人が出てから』という私の主張です。たとえば、ある焼き肉屋が出したユッケのせいでお客さんが食中毒で亡くなってしまったがために、ユッケとかレバー関連のルールが変わったのです。他にも、ストーカー規制法はある殺人事件が契機となっていますし、誰かが犠牲になってやっと、政治家や役所が重い腰を上げたという例はいくらでもあります。ごく最近でもそういうことがあったはずなのですが…ちょっと今思い出せません。

また原発の話に戻ると、犠牲者はゼロじゃないかということで今もまだ原発が稼働しているわけですが、もし原発事故でたとえば10万人もが死んだりしていたら、もうとっくに脱原発していたはずなんですよ」

――だから「死」を声高に言い続けたいというのが大島さんがサイトを運営している理由ですよね。

大島「そうです。人の生死に関わらない程度の問題の場合は、大したことないねとスルーされがちですよね。でも、もっと重大な問題の場合でも、ひっそりと亡くなってしまっていたら誰も何とも思いようがないのです。だからこそ、『死人が出てるんだぞ!』と世間に対して大声で叫ぶ必要があると思っています。過労死もそうです。みんなが我慢してるレベルだと、特に問題ないじゃないかと軽く捉えられてしまう」

――やっぱり、過労自殺があったワタミくらいのレベルじゃないと社会問題にはならないということですね。

大島「そのとおりです。ちなみに、もちろんその現場となった横須賀のマンションも『大島てる』に載っています」

――格安バスの事故もそうですよね。

大島「最近の具体例としてはそれがありましたね! 全員軽傷だったら何も変わらないでしょうが、あんなに亡くなってしまうと…」
(取材=福田光睦)
http://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201603_post_9079.html