★情報戦争と巨大なウソ
★情報戦争と巨大なウソ
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
慰安婦問題などで日本が抱えているフラストレーションは、「完全な証拠を提示しても、日本側の主張をほとんどきいてもらえないこと」
です。
たとえば、
・アメリカ政府が7年かけて調査したが、【強制連行】のケースは一件もなかった。
マイケル・ヨン氏の記事
http://ameblo.jp/workingkent/entry-11958461771.html
IWG報告書2007年
http://www.archives.gov/iwg/reports/final-report-2007.pdf
もちろん、日本政府がこの証拠を積極的に使っていないこともありますが・・・。
この「事実、真実をスルーされる状況」はなぜ起こるのでしょうか?
日本人は、「事実、真実だと理解してもらえれば、相手の態度は変わるはずだ」と信じています。
これが通用するのは、「相手が事実、真実を求めている場合」に限られます。
もし相手が「確信犯」で「ウソ」をついていたら、「事実、真実」を話しても、「スルー」されることでしょう。
実際、日本人は、「情報戦」についてナイーブすぎます。
この世界では、「ウソと知りながらウソを拡散し、場合によっては戦争までしてしまうケース」があふれている。
「中韓がウソをついている」といったら、「普遍的なケース」にあてはまらないでしょう。
「いや、ウソをつくのは中韓だけですよ」と。
では、私たちが「正義の味方」と信じているアメリカは、ウソをつかないのでしょうか?
いくつか、「絶対的な証拠」がある、「衝撃的」といっていいケースをあげておきましょう。
▼イラク戦争、開戦時のウソ
アメリカは03年、イラク戦争を開始しました。
理由は、
1、フセイン・イラクは大量兵器を保有している
2、フセイン・イラクは、アルカイダを支援している
でした。
この二つ、両方とも「ウソ」だったこと、皆さんご存知でしたか?
<米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定
[ワシントン=貞広貴志]米上院情報特別委員会は八日、イラク戦争の開戦前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画や、国際テロ組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した報告書を発表した。>(読売新聞2006年9月9日)
<報告書は『フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビンラーディンと関係を築こうとした証拠はない』と断定、大量破壊兵器計画についても、少なくとも一九九六年以降、存在しなかったと結論付けた>(同前)
このウソで、イラクでは10万人以上の人が亡くなったといいます。
▼ロシア─グルジア戦争、先に攻めたのはどっち?
08年8月、ロシアーグルジア戦争が起こりました。
グルジアは当時、親米傀儡のサアカシビリ大統領。
03年のバラ革命で、政権についた人です。
この戦争、日本ではほぼ100%の人が、「大国ロシアが、哀れな小国グルジアを先に攻撃した」
と信じているでしょう。
しかしこれ、事実として先に攻めたのはグルジアだったのです。
こちら、熟読してください。
↓
<グルジアの南オセチヤ進攻に対抗、ロシアも戦車部隊投入
【モスクワ=瀬口利一】タス通信などによると、グルジア軍が7日夜から8日にかけて、同国からの分離独立を求める南オセチヤ自治州の州都ツヒンバリに進攻し、同自治州で平和維持活動を行うロシア軍司令部や兵舎などを空爆、戦車による砲撃も行った。
ロイター通信などによると、これに対抗して、ロシア軍がトビリシ郊外のグルジア空軍基地を報復空爆し、戦車部隊など地上軍もツヒンバリに向かっている。>
(読売新聞2008年8月8日)
グルジア軍が、ロシア軍を攻撃した。
それで、「これに対抗して」ロシアが「報復」したと、はっきり書いてあります。
03年のクーデター(バラ革命)で、サアカシビリ大統領(当時)に失脚させられたシェワルナゼ元大統領は、この戦争について何と言っているでしょうか?
<─今回、グルジア紛争が起きた原因をどうみるか
「南オセチア自治州でロシアより先に一か八かの軍事行動を起こしたグルジアのサーカシビリ大統領の誤りだ。この紛争は起こすべきではなかった」
─その前にロシアの挑発行為はなかったのか
「南オセチア自治州やロシア側にグルジアに対する挑発行為はなかった。
われわれのミスだ。
グルジア側が南オセチア自治州に侵攻するという最初の間違いを犯した。>(産経新聞08年8月24日)
ところで、なぜコーカサスの小国グルジアは、大国ロシアを攻撃したのでしょうか?
わかりません。
しかし、常識的に考えれば、
「アメリカがそそのかしたのではないか?」と思えますね。
この戦争の結果、グルジアは、「南オセチア」「アプハジア」、二つの自治体を失いました。
ロシアがこの二つを「国家承認」したからです。
日本も、アメリカにそそのかされて中国と破滅的な戦争をしないよう、気をつける必要があります。
▼イラン、「核兵器開発問題」のウソ
アメリカは02年頃から、イランが「核兵器を開発している!」と非難しつづけてきました。
それで、経済制裁も課していた。
しかし、アメリカ政府は、「イランは核兵器を開発していない」と、何年も前に結論づけていたこと、ご存知でしたか?
<〈イラン核〉米が機密報告の一部公表 「脅威」を下方修正
[ワシントン笠原敏彦]マコネル米国家情報長官は3日、イラン核開発に関する最新の機密報告書「国家情報評価」(NIE)の一部を公表し、イランが03年秋に核兵器開発計画を停止させたとの分析結果を明らかにした。>
(毎日新聞2007年12月4日 )
どうですか、これ?
NIEは、「イランは2003年秋に核兵器開発計画を停止させた」と分析していた。
アメリカだけではありません。
世界の原子力、核エネルギーを管理、監視、監督する国際機関といえば、IAEA(国際原子力機関)。
そこのトップ、日本人・天野之弥(あまのゆきや)氏は、09年12月就任直前になんと言っていたか?
<イランが核開発目指している証拠ない=IAEA次期事務局長
[ウィーン 3日 ロイター] 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥次期事務局長は3日、イランが核兵器開発能力の取得を目指していることを示す確固たる証拠はみられないとの見解を示した。
ロイターに対して述べた。
天野氏は、イランが核兵器開発能力を持とうとしていると確信しているかとの問いに対し「IAEAの公的文書にはいかなる証拠もみられない」と答えた。>(ロイター2009年7月4日)
どうですか、これ?
09年半ば時点で、IAEAの次期トップが「イランは核兵器開発を目指していない」と断言しているのです。
アメリカは、07年時点で「イランは核兵器開発していない」と発表していました。
ところが、制裁が解除されたのは2016年です。
▼シリア、「化学兵器」を使ったのは誰だ?!
長くなってきたので、最後の例にしましょう。
オバマは2013年8月、「アサド軍が化学兵器を使った」ことを理由に、「シリアを攻撃する!」と宣言しました。
「アサド軍が化学兵器を使った」
日本ではほぼ100%の人が信じているでしょう?
では、国連は「誰が化学兵器を使ったか?」について、どんな報告をしていたのでしょうか?
一字一字、熟読してください。
↓
<シリア反体制派がサリン使用か、国連調査官
AFP=時事5月5日(月)配信
[AFP=時事]シリア問題に関する国連(UN)調査委員会のカーラ・デルポンテ調査官は5日夜、シリアの反体制派が致死性の神経ガス「サリン」を使った可能性があると述べた。
スイスのラジオ番組のインタビューでデルポンテ氏は、「われわれが収集した証言によると、反体制派が化学兵器を、サリンガスを使用した」とし、
「新たな目撃証言を通じて調査をさらに掘り下げ、検証し、確証をえる必要があるが、これまでに確立されたところによれば、サリンガスを使っているのは反体制派だ」と述べた。>
どうですか、これ?
国連が調査した結果、化学兵器を使っていたのは、「アサド派」ではなく、「反アサド派だ!」と。
そろそろうんざりしてきましたね。
私は何がいいたいのか?
これらの例でもわかるように、
「情報戦では、『ウソ』をつくのが日常茶飯事」
だから、日本が、
「真実であることを証明できれば、すべてうまくいく」と信じているのは、「あまい!」ということ。
フセインは、「イラクには大量破壊兵器はない!」と真実を語っていました。
しかし、彼は処刑された。
イランは、「核兵器開発などしていない!」と真実を語っていました。
しかし、アメリカはそれを知りながらイランを非難しつづけた。
アサドは、「化学兵器を使ったのは反体制派だ!」といっていました。
しかし、いまだに欧米は、「アサドを追放せよ!」と主張しています。
こんな世界で、「真実であることを証明できれば、すべてうまくいく」というのは、ナイーブすぎるのです。
(●もちろん、真実、事実を拡散しつづけるのは、とても大事です。
ここでは、「それだけでは不十分」という話をしています。)
今回の話、「知らなかった!」という人。
世界には、まだまだ「驚愕の事実」があふれています。
詳しく知りたい方は、↓をご一読ください。
(心臓の弱い方は、ご遠慮ください。刺激が強すぎます。)
●PS
北野が「世界情勢分析する方法」を完全暴露しています。
これを読むと、あなた自身で、日本と世界の未来を予測でき
るようになります。
政治家、経営者、起業家、ビジネスマン必読。
↓
【3刷決定!】
●日本人の知らない「クレムリン・メソッド」
~ 世界 を動かす11の原理 (集英社インターナショナル)
北野 幸伯
(詳細は→ http://hec.su/hHN )
●面白かったら、拡散お願いいたします。>
↓●おたよりコーナーへ
================================================================
●Haruさまからのメール
英国営放送BBCや米国調査会社ビュー・リサーチ・センターの『各国好感度調査』結果を知らない日本人も多いと思う。
特に英国BBCの調査は、毎年同じ時期に行われてるし、25ヶ国26000人のデータだから、年次毎の変化比較も行い易い。
近隣同士で互いに嫌い合う関係は良く判る。
何しろ領土境界線を争ったり、宗教を含めたイデオロギーや民族的価値観の相違など、対立して当然の背景は多いのだから。
日本人がロシアに対して抱くイメージは『北で国境を接する隣国』であって、かつては帝政ロシア時代の南下政策に抗した東アジアの雄日本と言う歴史背景もある上に、70年 前の出来事「日ソ不可侵条約の一方的破棄・シベリア抑留・北方領土問題」これらでの不信感が根強く残ってしまってる。
一方のロシア人はヨーロッパの一員的な主観を持ってるから、『東アジアの小さな隣国ながら優れた工業技術を持ってる』程度の認識でしか、日本の事は考えて無い。
国境を接してる他の国々との関係の方が、対日関係などより余程重要案件だと言う点も大きい。
ロシアにとっての東側の隣国と言えば、米・中が大き過ぎて『あァそう言えば、日本も東の隣国だったねェ』程度の事だ。
ここで判るのは、日本人の多くがロシアの文化風土を知らない点。
『ロシアは欧州の一員だ』と言 う視点で見てる日本人は少ないし『ロシアの東側隣国とは米中という認識が大きい』と言う事すら、日本人にはちょっと判り難い地政学的観念の相違ががある。
(多くの日本人にとってロシアは北にある国と捉えがちだから)
日ロ間の国民感情の相違と逆の関係となってるのが『日独国民間の相互好感度』の相違だろう。
日本人はドイツに親近感を持ってる人が多い反面、ドイツ国民の多くで、日本に対しての好感度が低い。
(この事実を知らない日本人は案外多い)
ドイツ企業の多くが、『日本企業は最大のライバル』となってる、
そういう事も大きく影響してると思うが
ドイツ国民にとって は欧州方面での2国間関係が重要過ぎてアジアの島国との関係は、貿易(商取引)だけの希薄な関係。
つまり、日本マネーには興味あっても、日本文化には興味薄い。
日本人がロシアに対して好感度低いのは、日本人がロシア側視点で見て無い事に起因する様に、
ドイツ人が日本に対する好感度が薄いのも、ドイツ国民の多くが日本文化に接する機会が少ないからでは?(つまり、ドイツ国民の多くにとって日本なんてどうでも良いのだろう)
ドイツの一般大衆に地球儀を見せて「日本はドコ?」って質問してみたらフィリピンや朝鮮半島を指さす人が多い気がする。
私の予想では日本列島を指さす人は3 0%前後だと思う。
反対に、日本人一般大衆にヨーロッパの白地図を見せて「ドイツはドコ?」と質問したら、ドイツを正しく指させる人は約半数で25%程度はポーランドを指さすんじゃなかろうか。
現在のヨーロッパ経済を支えてるのは紛れも無くドイツですが、日本とドイツの国民同士は、余りにも互いの事を知らない気がする。
日本人はドイツに対して高い好感度を持ってるが、ドイツ人の日本に対する好感度は意外と低い。
以下、(古くて済みませんが)手元に入手できてる資料の抜粋です。
<BBC2013年ワールドパブリックオピニオン>
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/2013%20Country%20Rating%20Poll.pdf
<日本に対する好感度>
ロシア国民: 好感度高い45%、好感度低い(悪い)14%
ドイツ国民: 好感度高い28%、好感度低い(悪い)46%
<日本人が持つ好感度>
ロシア: 好感度高い14%、好感度低い(悪い)28%
ドイツ: 好感度高い64%、好感度低い(悪い)3%
<日本に対する好感度悪いが好いを上回った国>
中国国民: 好感度高い17%、好感度低い(悪い)74%
韓国国民: 好感度高い21%、好感度低い(悪い)67%
ドイツ国民: 好感度高い28%、好感度低い(悪い)46%
<上記以 外で日本に対する好感度悪いが平均を上回った主な国>
トルコ国民: 好感度高い46%、好感度低い(悪い)41%
メキシコ国民: 好感度高い42%、好感度低い(悪い)38%
オーストラリア国民: 好感度高い53%、好感度低い(悪い)36%
スペイン国民: 好感度高い36%、好感度低い(悪い)32%
フランス国民: 好感度高い56%、好感度低い(悪い)32%
イギリス国民: 好感度高い59%、好感度低い(悪い)27%
パキスタン国民: 好感度高い45%、好感度低い(悪い)26%
日本を除く調査平均: 好感度高い52%、好感度低い(悪い)26%
何だか、日本のロビー活動の下手さ加減が判るデータだと思います。
↓●編集後記へ
================================================================
【無料】
●世界一わかりやすいアメリカ没落の真実【北野幸伯著】
RPE発行者・北野幸伯が、「アメリカ没落の真実」を世界一
わかりやすく解説します。
「住宅バブル崩壊」「サブプライム問題」
「リーマン・ショック」
等、一般的な説明ではありません。
「アメリカは、ドイツ、フランス、ロシア、中国等 『多極主 義陣営』
に『意図的』に『没落させられた』」
山盛り資料 ・証拠つきで、真実を暴露していきます。
おかげさまで、「メルぞう」ニュース・情報源部門、【歴代NO1】。
第10回、11回Eブック大賞・優秀賞連続受賞。
第12回Eブック大賞・最優秀賞受賞。
まだ読んでいない方、いますぐ歴史の真実を知ってください。
【完全無料】です。
ダウンロードは↓
http://tinyurl.com/pnx6e2m
★編集後記
モスクワはこれを書いてる時点で0度だそうです。
暖かくはないですが、晴れているので、「春だな」と感じます。
RPEジャーナル
北野幸伯
◎ロシア政治経済ジャーナル のバックナンバーはこちら
⇒ http://archives.mag2.com/0000012950/index.html
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
慰安婦問題などで日本が抱えているフラストレーションは、「完全な証拠を提示しても、日本側の主張をほとんどきいてもらえないこと」
です。
たとえば、
・アメリカ政府が7年かけて調査したが、【強制連行】のケースは一件もなかった。
マイケル・ヨン氏の記事
http://ameblo.jp/workingkent/entry-11958461771.html
IWG報告書2007年
http://www.archives.gov/iwg/reports/final-report-2007.pdf
もちろん、日本政府がこの証拠を積極的に使っていないこともありますが・・・。
この「事実、真実をスルーされる状況」はなぜ起こるのでしょうか?
日本人は、「事実、真実だと理解してもらえれば、相手の態度は変わるはずだ」と信じています。
これが通用するのは、「相手が事実、真実を求めている場合」に限られます。
もし相手が「確信犯」で「ウソ」をついていたら、「事実、真実」を話しても、「スルー」されることでしょう。
実際、日本人は、「情報戦」についてナイーブすぎます。
この世界では、「ウソと知りながらウソを拡散し、場合によっては戦争までしてしまうケース」があふれている。
「中韓がウソをついている」といったら、「普遍的なケース」にあてはまらないでしょう。
「いや、ウソをつくのは中韓だけですよ」と。
では、私たちが「正義の味方」と信じているアメリカは、ウソをつかないのでしょうか?
いくつか、「絶対的な証拠」がある、「衝撃的」といっていいケースをあげておきましょう。
▼イラク戦争、開戦時のウソ
アメリカは03年、イラク戦争を開始しました。
理由は、
1、フセイン・イラクは大量兵器を保有している
2、フセイン・イラクは、アルカイダを支援している
でした。
この二つ、両方とも「ウソ」だったこと、皆さんご存知でしたか?
<米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定
[ワシントン=貞広貴志]米上院情報特別委員会は八日、イラク戦争の開戦前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画や、国際テロ組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した報告書を発表した。>(読売新聞2006年9月9日)
<報告書は『フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビンラーディンと関係を築こうとした証拠はない』と断定、大量破壊兵器計画についても、少なくとも一九九六年以降、存在しなかったと結論付けた>(同前)
このウソで、イラクでは10万人以上の人が亡くなったといいます。
▼ロシア─グルジア戦争、先に攻めたのはどっち?
08年8月、ロシアーグルジア戦争が起こりました。
グルジアは当時、親米傀儡のサアカシビリ大統領。
03年のバラ革命で、政権についた人です。
この戦争、日本ではほぼ100%の人が、「大国ロシアが、哀れな小国グルジアを先に攻撃した」
と信じているでしょう。
しかしこれ、事実として先に攻めたのはグルジアだったのです。
こちら、熟読してください。
↓
<グルジアの南オセチヤ進攻に対抗、ロシアも戦車部隊投入
【モスクワ=瀬口利一】タス通信などによると、グルジア軍が7日夜から8日にかけて、同国からの分離独立を求める南オセチヤ自治州の州都ツヒンバリに進攻し、同自治州で平和維持活動を行うロシア軍司令部や兵舎などを空爆、戦車による砲撃も行った。
ロイター通信などによると、これに対抗して、ロシア軍がトビリシ郊外のグルジア空軍基地を報復空爆し、戦車部隊など地上軍もツヒンバリに向かっている。>
(読売新聞2008年8月8日)
グルジア軍が、ロシア軍を攻撃した。
それで、「これに対抗して」ロシアが「報復」したと、はっきり書いてあります。
03年のクーデター(バラ革命)で、サアカシビリ大統領(当時)に失脚させられたシェワルナゼ元大統領は、この戦争について何と言っているでしょうか?
<─今回、グルジア紛争が起きた原因をどうみるか
「南オセチア自治州でロシアより先に一か八かの軍事行動を起こしたグルジアのサーカシビリ大統領の誤りだ。この紛争は起こすべきではなかった」
─その前にロシアの挑発行為はなかったのか
「南オセチア自治州やロシア側にグルジアに対する挑発行為はなかった。
われわれのミスだ。
グルジア側が南オセチア自治州に侵攻するという最初の間違いを犯した。>(産経新聞08年8月24日)
ところで、なぜコーカサスの小国グルジアは、大国ロシアを攻撃したのでしょうか?
わかりません。
しかし、常識的に考えれば、
「アメリカがそそのかしたのではないか?」と思えますね。
この戦争の結果、グルジアは、「南オセチア」「アプハジア」、二つの自治体を失いました。
ロシアがこの二つを「国家承認」したからです。
日本も、アメリカにそそのかされて中国と破滅的な戦争をしないよう、気をつける必要があります。
▼イラン、「核兵器開発問題」のウソ
アメリカは02年頃から、イランが「核兵器を開発している!」と非難しつづけてきました。
それで、経済制裁も課していた。
しかし、アメリカ政府は、「イランは核兵器を開発していない」と、何年も前に結論づけていたこと、ご存知でしたか?
<〈イラン核〉米が機密報告の一部公表 「脅威」を下方修正
[ワシントン笠原敏彦]マコネル米国家情報長官は3日、イラン核開発に関する最新の機密報告書「国家情報評価」(NIE)の一部を公表し、イランが03年秋に核兵器開発計画を停止させたとの分析結果を明らかにした。>
(毎日新聞2007年12月4日 )
どうですか、これ?
NIEは、「イランは2003年秋に核兵器開発計画を停止させた」と分析していた。
アメリカだけではありません。
世界の原子力、核エネルギーを管理、監視、監督する国際機関といえば、IAEA(国際原子力機関)。
そこのトップ、日本人・天野之弥(あまのゆきや)氏は、09年12月就任直前になんと言っていたか?
<イランが核開発目指している証拠ない=IAEA次期事務局長
[ウィーン 3日 ロイター] 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥次期事務局長は3日、イランが核兵器開発能力の取得を目指していることを示す確固たる証拠はみられないとの見解を示した。
ロイターに対して述べた。
天野氏は、イランが核兵器開発能力を持とうとしていると確信しているかとの問いに対し「IAEAの公的文書にはいかなる証拠もみられない」と答えた。>(ロイター2009年7月4日)
どうですか、これ?
09年半ば時点で、IAEAの次期トップが「イランは核兵器開発を目指していない」と断言しているのです。
アメリカは、07年時点で「イランは核兵器開発していない」と発表していました。
ところが、制裁が解除されたのは2016年です。
▼シリア、「化学兵器」を使ったのは誰だ?!
長くなってきたので、最後の例にしましょう。
オバマは2013年8月、「アサド軍が化学兵器を使った」ことを理由に、「シリアを攻撃する!」と宣言しました。
「アサド軍が化学兵器を使った」
日本ではほぼ100%の人が信じているでしょう?
では、国連は「誰が化学兵器を使ったか?」について、どんな報告をしていたのでしょうか?
一字一字、熟読してください。
↓
<シリア反体制派がサリン使用か、国連調査官
AFP=時事5月5日(月)配信
[AFP=時事]シリア問題に関する国連(UN)調査委員会のカーラ・デルポンテ調査官は5日夜、シリアの反体制派が致死性の神経ガス「サリン」を使った可能性があると述べた。
スイスのラジオ番組のインタビューでデルポンテ氏は、「われわれが収集した証言によると、反体制派が化学兵器を、サリンガスを使用した」とし、
「新たな目撃証言を通じて調査をさらに掘り下げ、検証し、確証をえる必要があるが、これまでに確立されたところによれば、サリンガスを使っているのは反体制派だ」と述べた。>
どうですか、これ?
国連が調査した結果、化学兵器を使っていたのは、「アサド派」ではなく、「反アサド派だ!」と。
そろそろうんざりしてきましたね。
私は何がいいたいのか?
これらの例でもわかるように、
「情報戦では、『ウソ』をつくのが日常茶飯事」
だから、日本が、
「真実であることを証明できれば、すべてうまくいく」と信じているのは、「あまい!」ということ。
フセインは、「イラクには大量破壊兵器はない!」と真実を語っていました。
しかし、彼は処刑された。
イランは、「核兵器開発などしていない!」と真実を語っていました。
しかし、アメリカはそれを知りながらイランを非難しつづけた。
アサドは、「化学兵器を使ったのは反体制派だ!」といっていました。
しかし、いまだに欧米は、「アサドを追放せよ!」と主張しています。
こんな世界で、「真実であることを証明できれば、すべてうまくいく」というのは、ナイーブすぎるのです。
(●もちろん、真実、事実を拡散しつづけるのは、とても大事です。
ここでは、「それだけでは不十分」という話をしています。)
今回の話、「知らなかった!」という人。
世界には、まだまだ「驚愕の事実」があふれています。
詳しく知りたい方は、↓をご一読ください。
(心臓の弱い方は、ご遠慮ください。刺激が強すぎます。)
●PS
北野が「世界情勢分析する方法」を完全暴露しています。
これを読むと、あなた自身で、日本と世界の未来を予測でき
るようになります。
政治家、経営者、起業家、ビジネスマン必読。
↓
【3刷決定!】
●日本人の知らない「クレムリン・メソッド」
~ 世界 を動かす11の原理 (集英社インターナショナル)
北野 幸伯
(詳細は→ http://hec.su/hHN )
●面白かったら、拡散お願いいたします。>
↓●おたよりコーナーへ
================================================================
●Haruさまからのメール
英国営放送BBCや米国調査会社ビュー・リサーチ・センターの『各国好感度調査』結果を知らない日本人も多いと思う。
特に英国BBCの調査は、毎年同じ時期に行われてるし、25ヶ国26000人のデータだから、年次毎の変化比較も行い易い。
近隣同士で互いに嫌い合う関係は良く判る。
何しろ領土境界線を争ったり、宗教を含めたイデオロギーや民族的価値観の相違など、対立して当然の背景は多いのだから。
日本人がロシアに対して抱くイメージは『北で国境を接する隣国』であって、かつては帝政ロシア時代の南下政策に抗した東アジアの雄日本と言う歴史背景もある上に、70年 前の出来事「日ソ不可侵条約の一方的破棄・シベリア抑留・北方領土問題」これらでの不信感が根強く残ってしまってる。
一方のロシア人はヨーロッパの一員的な主観を持ってるから、『東アジアの小さな隣国ながら優れた工業技術を持ってる』程度の認識でしか、日本の事は考えて無い。
国境を接してる他の国々との関係の方が、対日関係などより余程重要案件だと言う点も大きい。
ロシアにとっての東側の隣国と言えば、米・中が大き過ぎて『あァそう言えば、日本も東の隣国だったねェ』程度の事だ。
ここで判るのは、日本人の多くがロシアの文化風土を知らない点。
『ロシアは欧州の一員だ』と言 う視点で見てる日本人は少ないし『ロシアの東側隣国とは米中という認識が大きい』と言う事すら、日本人にはちょっと判り難い地政学的観念の相違ががある。
(多くの日本人にとってロシアは北にある国と捉えがちだから)
日ロ間の国民感情の相違と逆の関係となってるのが『日独国民間の相互好感度』の相違だろう。
日本人はドイツに親近感を持ってる人が多い反面、ドイツ国民の多くで、日本に対しての好感度が低い。
(この事実を知らない日本人は案外多い)
ドイツ企業の多くが、『日本企業は最大のライバル』となってる、
そういう事も大きく影響してると思うが
ドイツ国民にとって は欧州方面での2国間関係が重要過ぎてアジアの島国との関係は、貿易(商取引)だけの希薄な関係。
つまり、日本マネーには興味あっても、日本文化には興味薄い。
日本人がロシアに対して好感度低いのは、日本人がロシア側視点で見て無い事に起因する様に、
ドイツ人が日本に対する好感度が薄いのも、ドイツ国民の多くが日本文化に接する機会が少ないからでは?(つまり、ドイツ国民の多くにとって日本なんてどうでも良いのだろう)
ドイツの一般大衆に地球儀を見せて「日本はドコ?」って質問してみたらフィリピンや朝鮮半島を指さす人が多い気がする。
私の予想では日本列島を指さす人は3 0%前後だと思う。
反対に、日本人一般大衆にヨーロッパの白地図を見せて「ドイツはドコ?」と質問したら、ドイツを正しく指させる人は約半数で25%程度はポーランドを指さすんじゃなかろうか。
現在のヨーロッパ経済を支えてるのは紛れも無くドイツですが、日本とドイツの国民同士は、余りにも互いの事を知らない気がする。
日本人はドイツに対して高い好感度を持ってるが、ドイツ人の日本に対する好感度は意外と低い。
以下、(古くて済みませんが)手元に入手できてる資料の抜粋です。
<BBC2013年ワールドパブリックオピニオン>
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/2013%20Country%20Rating%20Poll.pdf
<日本に対する好感度>
ロシア国民: 好感度高い45%、好感度低い(悪い)14%
ドイツ国民: 好感度高い28%、好感度低い(悪い)46%
<日本人が持つ好感度>
ロシア: 好感度高い14%、好感度低い(悪い)28%
ドイツ: 好感度高い64%、好感度低い(悪い)3%
<日本に対する好感度悪いが好いを上回った国>
中国国民: 好感度高い17%、好感度低い(悪い)74%
韓国国民: 好感度高い21%、好感度低い(悪い)67%
ドイツ国民: 好感度高い28%、好感度低い(悪い)46%
<上記以 外で日本に対する好感度悪いが平均を上回った主な国>
トルコ国民: 好感度高い46%、好感度低い(悪い)41%
メキシコ国民: 好感度高い42%、好感度低い(悪い)38%
オーストラリア国民: 好感度高い53%、好感度低い(悪い)36%
スペイン国民: 好感度高い36%、好感度低い(悪い)32%
フランス国民: 好感度高い56%、好感度低い(悪い)32%
イギリス国民: 好感度高い59%、好感度低い(悪い)27%
パキスタン国民: 好感度高い45%、好感度低い(悪い)26%
日本を除く調査平均: 好感度高い52%、好感度低い(悪い)26%
何だか、日本のロビー活動の下手さ加減が判るデータだと思います。
↓●編集後記へ
================================================================
【無料】
●世界一わかりやすいアメリカ没落の真実【北野幸伯著】
RPE発行者・北野幸伯が、「アメリカ没落の真実」を世界一
わかりやすく解説します。
「住宅バブル崩壊」「サブプライム問題」
「リーマン・ショック」
等、一般的な説明ではありません。
「アメリカは、ドイツ、フランス、ロシア、中国等 『多極主 義陣営』
に『意図的』に『没落させられた』」
山盛り資料 ・証拠つきで、真実を暴露していきます。
おかげさまで、「メルぞう」ニュース・情報源部門、【歴代NO1】。
第10回、11回Eブック大賞・優秀賞連続受賞。
第12回Eブック大賞・最優秀賞受賞。
まだ読んでいない方、いますぐ歴史の真実を知ってください。
【完全無料】です。
ダウンロードは↓
http://tinyurl.com/pnx6e2m
★編集後記
モスクワはこれを書いてる時点で0度だそうです。
暖かくはないですが、晴れているので、「春だな」と感じます。
RPEジャーナル
北野幸伯
◎ロシア政治経済ジャーナル のバックナンバーはこちら
⇒ http://archives.mag2.com/0000012950/index.html