中国は、「田中上奏文」が存在しない「偽書」であることを知りながら、それを全世界にばらまいた | 日本のお姉さん

中国は、「田中上奏文」が存在しない「偽書」であることを知りながら、それを全世界にばらまいた

★洗脳されない情報の読み方
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。

去年、「これは歴史的だ!」という本に出会いました。
メルマガで何度もご紹介している、マイケル・ピルズベリーさんの
●China2049
(詳細は→ https://hec.su/bWqL )

です。
まず、著者の経歴がすごい。
ピルズベリーは現在、ハドソン研究所中国戦略センターの所長。
アメリカ国防総省の顧問も務めている。
また、同国の政策に大きな影響力を持つ、「外交問題評議会」「国際戦略研究所」のメンバーでもある。

そうした「表の顔」の他に「裏の顔」も存在しています。

本に書いてしまっているので、「裏の顔」ともいえませんが、ピルズベリーは24歳の時から、アメリカのスパイとして働いてきた(40p)。

次にすごいのは、その「内容」です。

これを読むと、「米中関係に関する真実」がはっきり理解できます。

日本人につきまとってきたアメリカに対する「疑念」「不安」とはなんでしょうか?

そう、「アメリカは、同盟国の日本以上に、中国を重視している
のではないか?」です。
この本を読むと、「そのとおりであった」ことがよくわかります。

▼米中癒着40年
アメリカと中国が緊密になったのは、1970年代はじめでした。
ニクソン大統領とキッシンジャー大統領補佐官が、「ソ連に対抗するために、中国と組む」ことを決断した。
そこから、両国の良好な関係がスタートしました。

しかし、80年代末から90年代初めにかけて、米中関係に危機がおとずれます。

理由は二つありました。

一つは、89年の「天安門事件」。
二つ目は、91年末の「ソ連崩壊」。

米中和解のロジックは、「ソ連と対抗するため」だった。

ソ連がなくなった今、「なんで共産党の一党独裁国家・中国と仲よくする必要があるのか?」

アメリカ側から、当然こういう疑問がでてきた。
そして、クリントンは当初、非常に「反中」の大統領だったのです。

なぜアメリカは、再び親中に戻ったのでしょうか?

驚きの裏話が出てきます。

アメリカが反中に転じることを恐れた中国は、なんとアメリカ政府内に「強力な親中派グループ」を組織し、クリントンの「反中政策」を転換させることにした。

ピルズベリーによると、「親中派グループ」には、


国家安全保障担当補佐官トニー・レイク、

副補佐官サンディ・バーガー、

国家経済会議議長ロバート・ルービン、

財務次官ローレンス・サマーズ


などが含まれていた。

ルービンは、元ゴールドマンサックスの会長で、後に財務長官になっています。
サマーズは、ハーバード大学の経済学者で、ルービンの後に財務長官になった。

確かに「強力」ですね。

「親中派グループ」は、政治家の味方を増やしていきました。

そして、何が起こったのか?

<ついに1993年末、中国が現在、「クリントン・クーデター」と呼ぶものが起きた。

中国に同調する面々が大統領に反中姿勢の緩和を認めさせたのだ。

クリントンがかつて約束したダライ・ラマとの新たな会談は実現しなかった。

対中制裁は緩和され、後に解除された。>(143p)

驚くべき事実です。

中国はなんと、アメリカの外交政策を180度転換させることに成功したのです。

この部分を読んで、私は非常に納得しました。

こういう「裏話」満載なのが、この本の大きな魅力です。

▼「ホント」「ウソ」よりも大事な「読み方」
私がこの本を絶賛し推薦した後、とても多くの読者さんが実際に読んでくださったようです。

そして、この本に関して、大変多くのメールをいただきました。

一番多かったのは、「この本に書かれているのは、【ホント】なのでしょうか?」というもの。
受け取った情報を鵜呑みにせずに、「疑っている」わけです。

すばらしいです。

この世に流れている情報には、「ウソ」も多いですから。

ところで、「China2049」について、読者さんが「ホントなのでしょうか?」と質問するとき、

「特定の話」をしています。

この本の原題は 「100年マラソン」 という。
なんだかパッとしないネーミングですが。
「100年マラソンってなんですか?」ですね。
中国は1949年に建国されました。

そして、建国100周年にあたる2049年までに、「世界の覇権を握る」という「計画」があると。

この主要テーマについて、読者さんは、「中国には、本当にそんな野望、計画があるのですか?」と質問してくる。

「ホント」「ウソ」を見極めることはもちろん大事です。

しかし、この本について私が「歴史的」と思うのは、この本が

「ホントだから」、あるいは「ウソだから」ではありません。

私はこの本を読みながら、「ホントなのだろうか?」とはあまり考えません。

(正直いえば、「ホントか、ウソか」は、中国のトップしかわからないでしょう。

そして、中国のトップが、「俺たちには世界征服の野望がある!」とは、口が裂けてもいわないはずです。)

それよりも、この本によってピルズベリーさんは、

「何を信じさせようとしているのか???」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
と考えます。
結論は、明らかですね。

彼は、「中国には世界制覇の野望がある!!!」ことを信じさせようとしている。

そして、この本は、刊行前に、CIA,FBI、国防長官府、国防総省に、

「機密の漏えいがないように、査読を受けた」とあります。

こういう件で、ウソはつけないでしょう。
CIA、FBI、国防総省から、「ピルズベリーはウソつきだ!」と訴えられてしまいます。

つまり、中国「100年マラソン」については、CIA,FBI、国防総省も承認している。


で、アメリカは「中国には世界制覇の野望がある!」という情報を世界にばらまいて、

「何をさせたい」

のでしょうか?

そう、「俺たち(アメリカ)と組んで、中国の野望を阻止しようぜ!」
と訴えているわけです。

▼「China2049」と「田中上奏文」

1930年代はじめ、日本と中国は「満州国問題」で争っていました。

この時、中国は、「田中上奏文」(田中メモリアル)を全世界にばらまきました。

「田中上奏文」とはなんでしょうか?


時の総理大臣・田中義一が1927年、昭和天皇に上奏したとされる、

日本の【世界征服計画書】。


【偽書】です。


中国は、「田中上奏文」が存在しない「偽書」であることを知りながら、それを全世界にばらまいた。

そして、世界は、「日本には、世界征服の野望がある!」と信じたのです。

(ちなみに「田中メモリアル」をいまだに信じているロシア人も多い。)

「China20149」も、「情報戦」の視点から見ると、「田中上奏文」と変わりません。

つまりアメリカは、「中国には世界制覇の野望がある!」

だから、「俺たちと一緒に、その野望を阻止しよう!」

と訴えている。

その内容がホントかウソかは別として、

アメリカが「それを信じさせようとしている」ことは、絶対的事実です。

もう一度。

ピルズベリーと、CIA,FBI、国防総省などは、

「中国には、世界制覇の野望があることを、信じさせようとしている」

「そして、共に戦う仲間を増やそうとしている」

もちろんそのベースには、「アメリカが中国の野望を阻止する」という決意があることでしょう。

だから私はこの本を「歴史的」というのですね。

▼洗脳されない情報の読み方


日本人は、何かの情報に接すると、「真贋論」(ホント?ウソ?)

あるいは「善悪論」に走りがりです。

もちろん、受け取る情報をそのまま無条件で信じるより、ずっといいですが。

しかし、洗脳されないためには、もうひとつの視点をもっておくことが必要です。

それは、

「情報発信主体は、私に『何を信じさせようとしているのか?』」という視点。


これをいつも意識していれば、情報発信主体の意図が正確に見えてくるようになるでしょう。
洗脳から逃れることができ、情報発信者の意図を知ったうえで、行動するべきか、しないべきか

を判断できるようになります。

是非意識してみてください。

ところで、こちらの歴史的本。

まだの方は、是非ご一読ください。

●China2049

(詳細は→ https://hec.su/bWqL )

●PS
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北野 幸伯
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