戦わずして中国に勝つ方法。カギを握るのはロシア | 日本のお姉さん

戦わずして中国に勝つ方法。カギを握るのはロシア

暴発する中華帝国、なぜ彼らは世界で「強欲化」しているのか?
2016年3月16日2016年3月15日 5

「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」とは言うまでもなく孫子の兵法の一節ですが、その兵法を用いて「日本は中国とどう対峙すべきか」を分析するのはメルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さん。「習近平になったつもりで中国にとってベストの戦略を考えた上で、それに対して日本はどうするべきか対策を練る」という手法で導かれた答えは説得力が違います。

中国4.0の行方

奥山真司さんが訳されたルトワックの『中国4.0 暴発する中華帝国』を読んで、中国の今後の動きを私が習近平国家主席ならどうするかを考えた。このため、ルトワック氏が推奨する中国の行動とは違うことになる。

中国の行動

日本の戦略を立てるときには、中国のリーダーになったつもりで、中国にとってベストな戦略を考え、その戦略で日本はどのような影響を受けるかを見て、それに対する戦略を作ることが求められている。まず、現在までの中国の行動を見る。

『中国4.0』の内容は、文春新書を読んでもらうとして、中国は2008年までは国際的な規則に従っていたのですが、2009年から、特に習近平が国家主席になった2012年からは、中国の復活を目指して、攻撃的になり国際条約を破り始めた。しかし、2015年から、周辺諸国からの反発が強くなり、選択的に少し攻撃的な外交を控えている。

今後の中国の行動がどうなるか。もし、私が現時点で習近平になったら、中国の復活を述べて攻撃的な外交をした事実があり、それにより中国国民は愛国心を燃やしたので、その攻撃的な外交を突然止めることはできない。

このため、中国は「一帯一路」という軍事的な面より経済的な側面を強調した外交にシフトした。このソフトな進出に対して、欧州が乗ってきた。しかし、軍事的な側面を出さないと、今後は国民が納得しない。

私なら、中国の経済援助+軍事基地借用で、まず世界的な海軍ネットワークを作る。現時点でパキスタン、スリランカ、ジプチなどに海軍軍事基地を作れる状態であり、この拠点を増やすことである。

中国の海軍の問題は、寄港できる友好国の港が少なく、中国人労働者や中国企業を守れていない。常時、進出国の周辺で企業や労働者を守るという名目で、海軍基地を作り、そこに常備兵を多数置いておくことが必要である。中国拡大戦略である。


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テリトリーの確保

中国はGDPが大きくなり、自国資源だけでは産業が回らないし、まだ付加価値産業での雇用は少なく、まだ重化学工業を維持することが必要である。このためには、その売り先確保と資源確保の両面で、中国の拡大は避けて通れない。

しかし、拡大するにしても日米欧との摩擦を起こすと経済制裁などになるので、この諸国とは摩擦を起こさない地域へ進出することになる。そうすると、中東、アフリカであり、資源も豊富であり、中国の経済的な需要とマッチしている。今までは、企業や労働者だけで行動していたが、保護の名目で軍も一緒に付けて行く。

そして、徐々に米国の領域と中国の領域を分けていく。太平洋での行動は、日米との摩擦を生むので避けてインド洋を中心に行動する。そして、先に中東とアフリカを押さえる。また、鉄道網の整備で中央アジアも押さえる。ロシアとの摩擦は考慮しない。ロシアへの経済援助等で黙らせる。

そして、東南アジアのタイ、カンボジア、シンガポール、マレーシアなどを味方にする。インド洋に出る航路を確保することである。

基軸通貨を人民元に

その地域を人民元を基軸にする地域にして、徐々にドル通貨基軸体制を崩壊させる。特に石油資源国の人民元化を進める。とすると、サウジアラビアを中国人民元圏に取り込むことが重要である。

サウジは、今米国のドルと自国通貨をリンクしているが、人民元にして、石油主要国のリンクをドルから人民元にすることで、ドル基軸通貨制度は世界的に崩壊することになる。

このためには、サウジの安全保障を中国が担保することで、サウジはイランに対して優位な位置になる。米国は中立を維持するので、サウジの安全保障上では、頼りにならない。

また、パキスタンと中国は現時点でも最重要な同盟国であり、同じスンニ派国であるパキスタンとサウジも重要な同盟国であり、核兵器を必要な時にはパキスタンはサウジに提供することになっている。このため、中国がサウジと同盟国化するのは、見た目より簡単である。

中国はスンニ派諸国の守り神になる。対して、シーア派の守り神はロシアとなる。ロシアの南下政策と中国の一帯一路がぶつかる事になる。ここでもロシアに経済援助をして、ロシアを黙らせることである。中東では欧米諸国は中立を守り、イラク戦争からの一連の失敗で出てこない。この地域はロシアと中国が仕切るしかない。ロシアがシーア派につき、中国がスンニ派について、利害調整をすることである。

世界覇権の確保

中国人民元が世界的な基軸通貨になると、欧州などは中国との同盟関係を望み、中国の独裁体制をあまり問題視しない可能性がある。中国の独裁体制を問題視するのは、日米とフィリピン、ベトナム、インド、オーストラリアなど紛争を抱えた国だけになる。それ以外の国は中国になびく事になる。

このように民主化を問題にする国が世界的にも少数になったら、その時点から世界制覇が始まる。国際的な機関のトップの多くを中国が占めて、中国の欲しい条約を作ることである。これで世界の中心になることができたことになる。


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米国はどうなるのか?

米国の引きこもりは、始まる可能性が高い。クリントンが大統領になっても、米国の保護主義は強まる。米国の安全保障に関わる太平洋や大西洋に中国が出てくると警戒するが、インド洋では、米国の安全保障には、あまり影響がない。中東の石油確保にも興味がないので、中国の行動を規制しようとはしないはず。

ということで、中東やアフリカで中国が行動しても、米国は無関心な状態が続くことになる。

日本はどうするのか?

中国の国力は、米国の半分、将来的には同等になる可能性が有り、日本だけでは対抗できない。日本はロシアを含めて中国封じ込めをしないと無理である。

米国も中国が太平洋に出てくると、それは安全保障上問題であり、日米同盟は機能することになる。中国拡大戦略は止めることはできないが、中国が進出する国に対しては、中国の独善的な行動を忠告はできる。

しかし、中国進出国のインフラは整備されるので、日本企業も行動しやすくなるので、平和的な進出をすることである。

日本は、中国が太平洋に出てこないなら、中国との互恵関係は続けていくことであるが、尖閣諸島への攻撃には反撃しないといけないので、中国が、そのような行動をとらないように日本自体の防衛能力を上げておくことが必要である。

さあ、どうなりますか?

『国際戦略コラム有料版』より一部抜粋
著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
http://www.mag2.com/p/news/157367


戦わずして中国に勝つ方法。カギを握るのはロシア
2016年3月15日

読者からたびたび寄せられる「あなたは中国と戦争をするつもりか?」との質問にハッキリNOという、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さん。しかし「情報戦」を戦争に含めるのなら、すでに日中間で戦争は始まっているとも語ります。これを知ってか知らずか、アメリカと韓国を味方につけた安倍総理。今後の日中、そして日ロ関係はどのように変わって行くのでしょうか?

孫子の教え~戦わずして中国に勝つ方法

時々、「あなたは、中国と戦争をするつもりですか!?」というメールをいただきます。この質問に対する私の回答は2つです。

1.「軍事力」を使った戦争について

私は、日本の自衛隊と中国人民解放軍が実際に戦闘するような、軍事力を使った戦争に、絶対反対しています。私の言論活動、主な目的は、2012年以降「日中戦争阻止」にあります。ですから、私は「中国と戦争をする気」なのではなく、「中国と戦争しないつもり」なのです。

RPEで書かれていることと、日本政府の行動が一致することがあります(たとえば、日米関係強化、集団自衛権行使容認など)。それによって、日中関係は悪化するどころか、逆に改善しつつあります。あれだけアグレッシブだった習近平も、最近は「朋有り遠方よりきたる」などといって微笑んでいるではないですか?

2.戦争に「情報戦争」も含めた場合

軍事力を使うだけでなく、「情報戦」も戦争に含める場合があります。このケースでは、「戦争はすでに始まっている」と考えられます。もちろん、始めたのは日本ではなく、中国です。日本は「情報戦=戦争」を考えないので、「サンドバック状態」にある(例えば、中国は最近、国連で、「女帝を認めない日本の皇室は、女性差別だ!」という運動を開始しています)。

では、いつ「情報戦争」は、始まったのでしょうか? 2012年11月に始まったのです。なぜ始まったのでしょうか? 2012年9月、日本政府は、尖閣を「国有化」しました。これに中国が激怒して、「情報戦」を開始したのです。

とはいえ、目標は、情報戦にとどまらず、「尖閣のみならず沖縄を中国領にすること」にあります。昔からの読者さんは、もう聞き飽きていますね。そう、「反日統一共同戦線」戦略のことです。2012年11月、モスクワを訪問した中国代表団は、今後の「対日戦略」を明らかにしました。「平和ボケ」している日本人には、まったく想像もできない驚愕の戦略です。骨子は、
1.中国、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくりましょう。
2.中国、ロシア、韓国で、日本の領土要求を断念させましょう。
日本に断念させる領土とは、「北方4島」「竹島」「沖縄」。日本に「沖縄」の領有権はない!
3.中国、ロシア、韓国にとどまらず、「アメリカ」を「反日統一共同戦線」にひきいれましょう。

これ、新しい読者さんは、「トンデモ陰謀論」と思うでしょう? 証拠のページを貼付けておきますので、必ずご一読ください。いえ、日本人には想像もできない内容ですから、10回ぐらい読んで「事の重大さ」を理解してください。証拠はこちら。

● 反日統一共同戦線を呼びかける中国

そして、中国は2013年から、全世界で本格的に「反日プロパガンダ」を開始しました。そう、彼らは「情報戦争」を開始したのです。皆さん、奇妙だと思いませんか? 2011年3月11日、「東日本大震災」が起こった。その後、日本では暴動も起こらず、食糧の配給時も皆整然と並んでいた。全世界が日本に同情しただけでなく、大不幸の中でも冷静さと人間性を失わない日本人を尊敬していました。

ところが、2013年12月に安倍総理が靖国を参拝した。すると、中韓のみならず、アメリカ、イギリス、ドイツ、EU、ロシア、オーストラリア、シンガポール、台湾などなど、それこそ世界中がこれを非難した。「そりゃあ安倍さんが悪い」という人もいるでしょう。しかし、小泉さんは在任期間中6回も靖国を参拝しました。それを問題視したのは、中国、韓国だけだったのです。

つまり、日本がバッシングされたのは、安倍総理の靖国参拝が根本原因ではない。根本原因は、「反日統一共同戦線」戦略に基づく、「反日プロパガンダ」だったのです。まったくプロパガンダは強力ですね。2011年には、世界から尊敬されていた日本が、わずか2年後には「軍国主義を復活させたい危険な国」にされてしまった。

この戦略、幸い、うまくいっているとはいえません。2013年12月、中国は、見事に日本を孤立させることに成功しました。しかし、それは長続きしなかった。2014年3月、ロシアがクリミアを併合した。それでオバマは、「対ロシア制裁」をさせるために安倍さんと和解した。日本は、プーチンに救われました。2015年3月、「AIIB事件」が起こった。日本は、アメリカ以外の大国で唯一「AIIB不参加」を表明。これで日米関係は、とても良好になった。同年4月、安倍総理、「希望の同盟」演説。結果、オバマが、「日米関係がこれほどまで強固だったことは、かつてなかった!」と言うほどになります。

こうして、「アメリカを反日統一共同戦線に引き入れる」という中国の戦略は、現状挫折状態にある。しかし、私たちは、中国の「反日統一共同戦線」戦略が、今も続いていることを、決して忘れてはいけないのです。


次ページ>>中国の「謀略」を無力化させたあの国との和解
孫子の教えで、戦わずして中国に勝つ

孫子はいいます。


最上の戦い方は、敵の謀略、策謀を読んで無力化することであり、その次は、敵の同盟や友好関係を断ち切って孤立化させることである。

孫子は、「これができなければ、実際の戦争になる」といっている。つまり、「これができれば、軍事力を使った戦争を防ぐことができる」ということでもあります。

もう一度。


最上の戦い方は、敵の謀略、策謀を読んで無力化することであり、その次は、敵の同盟や友好関係を断ち切って孤立化させることである。

どうやって?

私たちは、すでに中国の謀略、策謀を知っています。骨子は、
1.中国、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくりましょう。
2.中国、ロシア、韓国で、日本の領土要求を断念させましょう。
日本に断念させる領土とは、「北方4島」「竹島」「沖縄」。日本には【沖縄】の領有権はない!
3.中国、ロシア、韓国にとどまらず、「アメリカ」を「反日統一共同戦線」にひきいれましょう。

これは、中国の「戦略」であり、「謀略」「策謀」です。無力化させる方法は、簡単ですね。中国が「反日統一共同戦線」を作りたい、アメリカ、ロシア、韓国と強固な関係を築いていけばいい。本当に簡単でしょう?

上にも書きましたが、皆さん、最近中国、少し大人しくなったでしょう? 「景気が悪くなってきたから」と思うでしょうが、実際は2015年5月から良くなってきました。3,000人の訪中団が大歓迎された。なぜか? 安倍さんが、知ってか知らずか「孫子の教え」に従い、「アメリカを反日統一共同戦線に引き入れる」という中国の「謀略」「策謀」を「無力化させた」からなんです。これで、日中戦争(実戦)の可能性は、だいぶ減りました(中国も、日米と戦争するほど馬鹿ではない)。

そして、韓国との電撃和解。さまざまな問題はありますが、孫子の観点からすると、中国の「謀略」「策謀」を「無力化させた」ともいえます。

残るはロシアですね。日本と米韓の関係はよくなっていますが、日ロ関係は、ますます悪化しています。会うたび会うたび「島返せコラ!」などといわず、もっと戦略的に考えてほしいと思います。

「島返せ! というのは当然」と皆さん思うでしょう。そのとおりです。しかし、日本政府は、世界有数の「反日国家」韓国に対し、「竹島返せコラ!」とは決していわない。その一方で、世界有数の「親日国家」ロシアに対しては、「島返せ!」以外の話はほとんどしない。だから、ロシア政府は、どんどん反日になっているのです。

実際、ロシアが日米側につけば、中国と戦争が起こる可能性はほぼゼロになることでしょう。

『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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