ここで出世は難しいけれど「もう日本で幸せボケしてるかも」
【急募!】刑務所に代わりに入れば1億5000万円 中国のヤバすぎる「代行サービス」事情
2016年01月28日 12時04分 提供:キャリコネ
多くの日本企業にとって人件費を抑えることは最優先事項です。一部の正社員をパートや派遣に切り替えたり、最近では「代行サービス」を利用して業務を外注することで手間やコストを抑える企業もあります。
一般的によく耳にするのは秘書や経理、電話の代行でしょうか。個人が利用するものでは、オンラインゲームの「経験値稼ぎ代行」や、「友達代行」なんてものまであり、今後代行業がますます盛んになっていきそうです。
先日、中国のネットで変わった代行サービスの求人広告が話題になっていました。この代行サービスは、なんと依頼を一件受けるだけで、クライアントから数千万~1億円以上の報酬がもらえるようです。では、この一生分のお金が稼げる代行サービスは一体何でしょう。説明する前にまずその求人広告をご紹介します。(文:ラ ガイシュン)
「25~35歳の男性、前科がなければ誰でも応募可能です」
代わりに刑務所に入ってくれる人急募
刑務所に2年6か月(途中交代も可能)入ってくれる人に、260万人民元(約4800万円)を入所前に支払います。刑務所関係者には根回しをしておいたので、中は安全です。犯罪の前科がなければ誰でも応募可能です!
別の求人広告では、四川省の刑務所に5年7か月入ってくれる人を募集しています。入所日が近いのか、かなり急いでいる様子がうかがえます。
800万人民元(約1億5000万円)を支払います。場所は四川徳陽市です。25~30歳の男性で、かつ前科がない方は、お早めに連絡ください! 本当に早く見つけたいので、電話でお問い合わせください!!
この恐ろしいサービスは「囚人代行」といいます。中国だけでなく、世界で見ても有数の稼げる代行サービスでしょう。もちろん日本やアメリカなど法律制度が整っていて、国民のモラル意識が高い国なら、こんな仕事はあり得ません。
しかし、ワイロ問題や汚職事件が頻発の中国だったら、状況は全然違います。政府の要人や有名人は犯罪を起こしても、法律の裁きから逃げる方法はいくらでもあります。残念ながら、広告の番号に電話をしても誰も出ませんでしたが、実際にこうした仕事が存在している可能性は十分あるでしょう。
中国政府を賛美する「コメント代行員」、書き込み1件7.5円
次に私が紹介したい代行サービスは、一発で1億円稼げるような犯罪っぽいサービスではありません。逆に一件一件は7.5円しかもらえない地味なお仕事です。
実は十数年前から、中国政府は世論誘導のためにインターネット工作員を使っています。いわば「コメント代行員」として雇われた、彼ら彼女ら毎日のお仕事は、様々なブログや掲示板、SNSへアクセスし、政府を批判する書き込みを発見したら、コメントで当事者を中傷する、というものです。
もちろん中傷以外にも、政府を賛美したり、国民の考えを誘導したりするコメントを書き込むこともあります。コメントを1個書くと0.5人民元(約7.5円ぐらい)がもらえるのですが、中国では0.1人民元を「毛」と言うので、彼らインターネット工作員は「五毛党(ごもうとう)」とも呼ばれています。
その存在は海外でも知られていて、BBCニュースも五毛党に関して、「ネット上の不利益な情報をなくすために、政府は彼らを起用している」と指摘していました。もしこのインターネット工作集団がいなかったら、すでに革命の炎が中国全土に広がっていたかも知れませんね。
【プロフィール 】
ラ ガイシュン 香港出身。2009年に来日し、現在は都内IT企業セブンコードにデザイナーとして勤務している。本業以外にも、英語・中国語の通訳や雑誌コラムの執筆、海外貿易アドバイザーなど多岐にわたる分野で活動中。【Facebook】
http://yukan-news.ameba.jp/20160128-54/
あわせてよみたい:20代中国人に聞く「ココが変だよ日本の会社」
20代中国人に聞く「ココが変だよ日本の会社」(前編) 「トイレの回数」なんて数えてる場合じゃないでしょ?
2015.11.6
人口減少で内需が縮小し、海外市場から収益を得なければ日本が貧しくなってしまう時代が来ている。少子化による人手不足も顕在化し、新しい時代の日本人に最も求められているのは「外国人労働者をうまく使いこなせる能力」といってよいだろう。
しかし旧世代の日本人管理職は、新しい時代のマネジメントにうまく適応できず、優秀な人材に逃げられてしまうことも。外国人社員は、日本の職場をどう見ているのか。日本企業で働く20代の中国人4人に集まってもらい、話を聞いてみることにした。
来日4~5年でも日本語に不自由しない中国の若者たち
――皆さんは日本の大学や大学院に留学経験があり、来日4~5年目ですが日本語を問題なく使えるだけでなく、日本の文化にも慣れ親しんでいますね。まずは簡単に自己紹介をしてもらえますか。
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IT企業に勤務するA君
A君(25歳・男性) IT企業に入社1年目で、いまはプログラミング業務に携わっています。もともとIT系志望だったというのもあるけど、うちの会社は仕事の難易度が高く、報酬も高かったので自分を高められそうだなと。あとITって一つの言語だと思うから、身に付けたら一生モノのスキルになるかな、っていう考えもありました。
Bさん(27歳・女性) 金融機関で働き始めて2年目です。国際業務の担当で、主な業務は北米の企業の財務状況のモニタリングや分析レポートの作成です。本当はマスコミで働きたかったんだけど、正社員はやっぱり無理で。中国だと金融業界って経済学部卒とか専門じゃないと入れないんだけど、日本だと(専攻外でも)そういうプロフェッショナルな職に就けるからチャレンジしてみようかなって思いました。
Cさん(27歳・女性) コンサルティング会社の営業部門に入って2年目です。自分は人とのコミュニケーションが好きだし、問題解決にも携わりたいと思っていたので、新しい分野でコンサルを行っている今の会社に惹かれました。
Dさん(26歳・女性) メーカーの入社1年目です。現在は研修中ですが、企画部で子会社管理などを担当する予定です。内定をもらったもう1社と比べて、人と雰囲気が良かったので決めました。
「本当の日本」が知りたくて卒業後も日本企業に就職
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金融機関に勤務するBさん
――ここからは敬語をやめて話しますね(笑)。中国からの留学生は就職のときに帰国してしまう人も多いけど、どうして日本で就職しようと思ったの?
A 留学だけでは「本当の日本」を知れないと思ったから。学校って優しくて、外国人に興
味を持って話しかけてくれるけど、それって一般的ではない。目を向けてくれる人だけを介して日本を知るのではなくて、違う人の姿を見るのも大事だと気付いて、それなら社会に出ようと思ったのが就活を始めた原動力かな。
D 私もA君と似ています。日本で学生生活だけを過ごすのは「社会の芯」の部分に触れずに帰国することになってしまうと思って、就活を始めました。あと、中国の大都市で働いても日本で働くのとではストレスは変わらなさそうだけど、(中国は)生活は不便ですし。日本の方が生活環境は優しいよね。
C 私は将来、日中の間で起業したいと考えているんだけど、日本に関する知識と理解が圧倒的に足りないと感じて、日本のことをもっと勉強したいと思った。あと、中国に帰ろうと思えばいつでも帰れるから、若いうちに少しキツい道を歩いてみたいって。実は、当時日本に好きな人がいたから、それも理由の一つかな。
B 私もCさんと似ているなあ。中国にはいつでも帰れるから、若いうちにもっとチャレンジして頑張りたいと思ったんだ。
――仕事は忙しい? 残業は多いのかな。
A プロジェクトによるから波があるかな。定時が18時半なんだけど、2か月半くらい22時半から23時退社が続いたこともある。でも最近は18時にあがれる日があったりするよ。
B 定時は17時15分だけど、研修以外で帰れたことってないなあ。19時や20時で早い方で、21時や22時のときもあるよ。定時(退社)とか夢!
日本人の同僚は10分の仕事を1時間かけて残業
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営業のCさんはこの中で一番残業が多い
C 営業って目標があるから、残業多いよ。定時は18時だけど、20日間出勤するとしたら、12日くらいは22時以降の退社。夜に提案書とか作ってるよ。でも、みなし残業制を取っていて、30時間以上の残業はお金出ないんだよね。
D うちの会社の定時は17時半。私はまだ研修中だけど、(毎日)1時間くらい残業してるよ。部署によるけど、先輩たちは終電近くなる人もいるみたい。
――残業について、何か思うことってある?
C 文化が違うなって思うのは、日本人の頭の中での優先順位が「仕事、家庭」って順番になっている感じがするところ。中国だと、夕飯は家族と食べるのが当たり前だから。仕事が終わってないとしても、とりあえず家に帰って、その後にまたやる。
B 中国は、仕事と家庭が同じくらいだもんね。基本的に、日本って残業しない方がおかしいみたいな雰囲気あるね!
A 僕は、忙しかったら家族と食べれなくても別にいいんだけど、それは本当に仕事が忙しくて仕方がないとき。効率が悪いのに残業しているのは意味ないじゃんって思う。だって(日本人の同僚は)10分で片付けられる仕事に1時間かけてたりするよ。スマホいじりながらイヤホンしながらやってるからなんだけど。効率上がるならいいけど、下がるなら意味ないじゃん。
D うちの会社、夜の残業代はつくけど、朝早めに出勤して仕事をする場合はお金が出ないんですよ。「なんで?」って思います。
成果でなく「離席の時間」で評価が下がるのはおかしい
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メーカーで研修中のDさん
――残業以外に、働いていてこれ変だなってことは?
B うちの会社の雰囲気が堅いからかもしれないけど、トイレに行く回数とか数えられてる。「離席の時間が多い」って言われたり。「仕事できない」「仕事遅い」で評価されるのは分かるけど、トイレに行く回数が多いことが評価に加わるのはおかしい。ちゃんと成果は出してるのに「評価が下がる行動は取らないで欲しい」とか言われるよ。席にしょっちゅういない先輩だっているんだよ!「なんで私だけ?」って思う。
A ああ、あるね。うちの会社は日報を提出するんだけど、それが「内部告発」に使われてるらしい。「隣がしょっちゅうトイレに行ってる」とか。外に出たついでにコンビニ寄って、そのビニール持っていると日報に書かれて、翌日上司から呼ばれたり。
D え、入社のときに「トイレは控えて下さい」とか言われたりしないんだよね?
A・B それはない!
あわせてよみたい:20代中国人に聞く「ココが変だよ日本の会社」(中編)
20代中国人
「ココが変だよ日本の会社」前編では、中国人の若手社会人が日本で働く理由と、日本企業への違和感を取り上げた。続く中編でも引き続き、日本で働くうえで気になることについて様々な角度から語ってもらった。
外国人が多い職場では、日本人に近い東洋人と、見かけで大きく異なる西洋人とでは扱いが違うことが気になるようだ。厳しすぎる割に責任を果たさない上下関係や、行き過ぎた顧客第一主義についても首を傾げている。
「ガンダム」や「スラムダンク」が好きで日本に興味持つ
中国で大人気だったという「SLAM DUNK」(画像:INOUE TAKEHIKO ON THE WEB)
中国で大人気だったという「SLAM DUNK」(画像:INOUE TAKEHIKO ON THE WEB)
――話を聞いていて思うけど、みんな本当に日本語上手だよね。そもそも日本語を勉強しよう、来日しようと思ったきっかけって何?
A 中国に(普通の大学試験と別に)外国語系大学に入れるプログラムがあって、高倍率だけど受かったんだよね。専門を5か国語から選ぶことになって、親にはフランス語を勧められたんだけど、当時「(機動戦士)ガンダム」が好きだったこともあって日本語を選択したんだ。でも大学に行ってみると、4年生なのにカタコトしか日本語を話せない人がいて、話せている先輩に話を聞いたら1年間の留学経験者だっていうから「自分も行きたい」と思った。
B 中国の大学での専攻は日本語ではなかったんだけど、日本の大学との(複数の学位が取得できる)「ダブルディグリープログラム」があって。その担当が自分の論文指導の先生だったこともあって、興味が湧いて学部時代に一度留学したよ。プログラム自体は英語だったのもあって当時はあまり日本語を話せなくて、そのとき日本語を勉強し始めたんだ。
C アニメ、特に「スラムダンク」が好きなこともあって、大学で日本語専攻だったんだ。子どもの頃から(中国のテレビで)アニメがやっていたから日本語に馴染みもあったし。英語が好きだったから、もう一つ言語が出来たら世界は広がるのかなって思ったのも理由。それで、大学3年生のときに1週間、大阪にホームステイしたんだけど、みんな優しくて笑顔であいさつしてくれて。今まで日本に持っていた「堅そう」「歴史認識のズレがある」っていうイメージが変わって留学したいと思うようになった。
D 大学で日本語専攻だったんだけど、理由は日本語学部の寮がキレイだったから(笑)。来日のきっかけは、中国で大学3年生のときにインターンをしたときに「もっと世界を見たい」って思ったことかな。卒業後に留学するって決めて、色んな先輩から話を聞いたら「日本は治安が良い」って。費用もなんとかなりそうだったし。それで来日して、語学学校に半年通った後に大学院に行くことにしたんだ。
ハンコを押した人がちゃんと読んでいない不思議
押したところでちゃんと読んでるの?
押したところでちゃんと読んでるの?
――みんな結構勉強してるんだね。さっき、トイレの回数を数えられるって言ってたけど、ほかに何かおかしいところってあった?
C 上下関係が厳しいよね。それによるダブルスタンダードが、うちの会社はあるかも。打ち合わせが長引いて、次の予定に遅れたりするとき、すごい怒られる。でもその上司はバンバン(遅刻を)やってる。自分が待っていたときもいっぱいあるのに、そういうのがすごい嫌だなって思う。
B 自分が若手のときにそういう目に遭ったからって、下をいじめないで欲しいよね。
D あと、一つのことやるのにたくさんの人の承認が必要。いっぱいハンコを押さないといけないよね。紙信仰っていうか。
B ハンコを押した人が、必ずしも読んだとは限らないんだよね。後々問題があったら、結局責任を負うのは最初に書類を作った自分になる。「なんでそういう風に間違えたの?」って、でも「じゃあ読んだ人は何してたの?」って。私が押して、上司が押してって続いて行って、最後に部長のとこで引っかかって私のところに戻ってくる。で、もう一回作り直し。
A うちの会社はその点はマシかもしれないけど、効率の面でいえば確かに悪いな。例えば有休申請のシステムがあるのに活用されてない。システム上で申請しても確認していないから、総務部まで降りていって口頭でお願いしないとやってくれない。IT企業なのにね。日本企業は効率悪いのかも。
お客さんに「間違ってますよ」と言えないのはおかしい
C あと、日本って「お客さん第一主義」だよね。中国の場合はもう少し平等で、お客さんが間違っているのであれば「間違ってますよ」っていう風にやりとりできる。でも日本だと、先方の間違いでも「私たちの説明不足でした」って風に謝らないといけない。社内の人にお願いするときも謝っているから、基本毎日謝っているなぁ。
A 確かに。謝ることって多いね。
C あとは、やっぱりマナーかな。もう慣れたけど、お客さんを訪問後、絶対当日中にお礼のメールを出さなきゃいけないこと。最初分からなかったから怒られたよ。中国で半年インターンをしたことあるんだけど、中国ではそういうのは特にないんだよね。
それから去年、年賀状書くとき、3日間それぞれ3時間くらいかけて150枚の年賀状を書いたよ。それは自分が印刷の締切を過ぎちゃったから手書きっていう理由もあるんだけど(笑)。本当に礼儀正しくて、ていねいに仕事をしているからこその仕事量だけど、コア業務で本当に大事なことって半分くらいしかないんじゃないかな、って思っちゃう。年賀状は日本の文化だからしようがないとは思うんだけどね……。
西洋人が強く言うと「自己主張が強い」で通るのに
西洋人なら「自己主張が強い」で通るのに…
ヨーロッパの人には優しいよね
――外国人ということで、何か扱いが違うと思ったことってある?
B 敬語を間違えても怒られないってことはあるかも。先輩に厳しく言われることもあるけど、アドバイス的な感じ。
C え、敬語で怒られないのいいなあ! 私は基本、日本人扱い。かえって外国人扱いしてもらいたいときがあるかもしれない。仕事が営業だからだけど、コミュニケーション能力が求められて「今の言い方だとあなたの『申し訳ない』って気持ちが伝わらない」とか指摘をされる。日本人でもできてないところまで要求されることがあって、そういうとき、ちょっとイラッとするかも。
B でも、そのときのニーズによって日本人扱いや外国人扱いで分かれることはあるかも。
A そうだね! 採用のときそうだった。人事部の人はすごい海外志向強くて、「外国人採るんだ」って意気込んでて、外国人に「日本語全然喋れなくていいんですよ」って言うんだよ。だから同期に日本語カタコトな人とかいるんだけど、配属先の部署の人にはそういう思考がないから日本人扱いになって、「この人なんで日本語喋れないの? 外国人だとしてもコード書くのに日本語必要だし、ここ間違ってるんだけど」ってなる。それならそもそも、外国人採らなきゃいいじゃん、話が違うんだけどって思う。すごくムカついた。
B あと、外国人でも国籍によって扱いが違うっていうのがあるかも。西洋人が強く言うと「自己主張が強い」で通るけど、中国人が言うと「協調性がない」って言われる。
A 西洋人だと「そういう文化だから察してあげてね」っていう雰囲気があるっていうか。
C 中国人って、日本人と顔が似てるからかな。ヨーロッパの人には「外国人だからね」って優しくなったりするよね。ちょっとズルく思うときもある。
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に聞く「ココが変だよ日本の会社」(中編) なぜ私たちだけが「協調性がない」と言われるの?
2015.11.7
20代中国人に聞く「ココが変だよ日本の会社」(後編) 「まずは日本」でなく最初から世界をねらうべきだ
2015.11.8
日本企業で働く若き中国人に話を聞く「ココが変だよ日本の会社」の第3回は、日本が国際競争力を上げるために何をすればいいかについて尋ねた。これまでは日本市場にある程度の勢いがあったので、「まずは日本」という発想が主流だった。
しかし日本でうまくいったものが、世界でうまくいくとは限らない。参加者たちは「最初から世界をねらうべきだ」と指摘。社内のルールも、まずは日本流に従うべきという考え方に異論を投げかけている。
会社は本当に「新しい風」を求めているのか
――日本の会社は、外国人社員に何を求めてるんだと思う?
D 私はまだ研修中だけど、会社は外国人社員に「新しい風を吹かせてください」って言っています。
B それ、研修のときだけだから! 本当に新しい風吹かせようとすると「内部告発」(離席の回数を上司に密告されるなど。前編参照)される。入るときには人事部とかに、「自分の国の長所を生かして」って言われたんだけどね……。
A そう! 新しい風を吹かせようとすると目立つ。会社のシステムが日本のシステムだから、意味がないのかな。
C 会社は日本人の社員が当たり前に思っていることに、日本人とは違う「外国人の考え方」みたいなものを入れるのを期待して入社させたのかもしれない。でも私たちがやると「それは違うんだよ」「こういうのが当たり前だよ」って返される。期待されたとしても、日本人は自分たちのやり方が正しいと思ってるから、「それは間違ってるよ。まずは日本のやり方でやってみな」ってなるんだよね。
A 「ここは日本だから」って言われるね。人事部の思いが会社に広がっていないんだよね。
B 人事部は採って終わり。もちろん日本にいるから日本のルールに従わないと、っていう認識は持っているけど、もっと許容度を上げてくれてもいいと思うよね。当初の話と違うんじゃないっていうのはよくある。
社員食堂にはインド人が食べられるメニューがない
サラダしか食べられるものがない…
サラダしか食べられるものがない…
――社内のグローバル環境の整備って進んでないの?
A~D 進んでいない。
C 私は社に1人だけ(の外国人)だしね。
B 人だけ採って、社内の環境が整備されてないんだよ。社内用のポータルサイトとか、日本語と英語ってあるんだけど、英語の方を見てみると一部の内容しか翻訳されていなかったり。Eラーニングとかの勉強システムにも、英語の資料だけ用意されていなかったり。
A 社内用システムが翻訳されていないのは、あるある!
D 私の会社、インド人が多いけど(社員)食堂に食べられるものがないかも。
B うちの会社もないかな。言ったら準備してくれるのかもしれないけど。前、インド人のインターンを担当したら、その子がベジタリアンっていうのもあるけど、サラダしか食べていなかった。
A 採った後、放ったらかしって感じだよね。人事部と現場の意思伝達が出来てない。
――グローバル化を進めるためにはどうすればいいと思う?
C 公用語を英語にするのは一例だと思う。社内が日本語のままで、外から入ってくる人も日本語を喋っていたら何も変わらないかなって。自分たちから何か変えないといけない部分もあるんじゃないのかな。すべての業界でベストではないと思うけどね。
D 承認までを短くする。中国は結構若い頃から意思決定ができるんですよ。日本は意思決定までのプロセスが長いですよね。
「日本だけの考え方」を捨てて欲しい。保守的すぎる
B 私は言語の問題とかではなくて、社員の意識が大事だと思う。仕事では同じ扱いするけど、飲み会だけ除外されたりってあるし。でも自分が外国人を受け入れる立場だったら、同じことをやってしまうかもしれない。中国人だけで固まってしまうとか。文句っていうよりは、こういうことが起こってしまっているって言いたいかな。
A 注意喚起したいよね。すごく気にしているってわけではないけど、受け入れる側に問題があるって意識がないから。意識しないとそもそも解決できないんじゃないかなって懸念があるよ。
――日本が国際競争力を上げるためにできることってあるかな?
B 企業には日本だけのやり方を捨てて欲しい。みんな保守的すぎる。
A 確かに。まず日本市場を確保してから外に出る、ってなってるよね。
B そういう考え方ってダメだよね。日本でうまく行ったからって世界で通用するというロジックは成立しないと思うし。逆に日本でうまくいったのに、海外でうまく行かなかった例が多いんじゃないかな。もし世界で通用したいなら、「まずは日本」という考え方を捨ててもらいたい。逆に外国人が、ここ(日本)でビジネスをするのは難しいかも。考え方とか審査の水準が全然違うから。よくそれで外国人の上司と日本人の上司が議論してる。すべてにおいて「日本ルール」があるんだよね。
ここで出世は難しいけれど「もう日本で幸せボケしてるかも」
中国から日本に戻ってホッとしたそう
C あと、日本で働いても、外国人はあまり高い役職には就けなそうだよね。
B 外国人の出世は難しいよね。外部から採った人が役職高い場合はあるけど、下からどんどん昇進していく外国人って見たことがないな。
――やっぱり外国人が日本で働くのって苦労しそうだよね。将来のキャリアプランってどう考えてる? やっぱり中国に戻るのかな?
C 中国にはチャンスが多いし、給与も上がりやすいし、昇進もしやすい。今中国に帰って2年経過するのと、日本に留まって2年経過するのだったら中国の方が給料は上がると思う。でも、まだ日本にいたいかな。どこかのタイミングでは帰るかもしれないけどね。
A しばらくは日本にいるなあ。転職は当たり前の業界だから、会社は変わるかもしれないけどね。
B 私も今のところ戻るつもりはないですね。日本に残って仕事をするか、また違う国に行くかも。
D そこまで考えてないですけど、Bさんと同じで、日本から他の国に行くことはあるかもしれないです。
――みんな会社では色々あっても日本に残るんだね。それはどうして?
B 日本の生活環境が好きだからかな。もう日本人化してる、って思うことあるよね。
C そうそう!中国から戻ってきたときに、成田空港のトイレに入ってホッとしたよ! 感覚とか考え方も日本人寄りになっている。中国にいると、もっと疲れるんだよね。中国で営業やるなら、お酒飲めないと受注もらえないし。もっと複雑。日本の方がシンプルかも。
A 働くにあたって多少疲れはするけど、それは日本の卓越した生活環境で癒されてる。
D 私も環境が好きです。日本は幸せボケしているっていうか……。
C あと、ちゃんと中国で働いたことないもんね、私たち。中国で働く方がもっと大変かもしれないよね。
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2016年01月28日 12時04分 提供:キャリコネ
多くの日本企業にとって人件費を抑えることは最優先事項です。一部の正社員をパートや派遣に切り替えたり、最近では「代行サービス」を利用して業務を外注することで手間やコストを抑える企業もあります。
一般的によく耳にするのは秘書や経理、電話の代行でしょうか。個人が利用するものでは、オンラインゲームの「経験値稼ぎ代行」や、「友達代行」なんてものまであり、今後代行業がますます盛んになっていきそうです。
先日、中国のネットで変わった代行サービスの求人広告が話題になっていました。この代行サービスは、なんと依頼を一件受けるだけで、クライアントから数千万~1億円以上の報酬がもらえるようです。では、この一生分のお金が稼げる代行サービスは一体何でしょう。説明する前にまずその求人広告をご紹介します。(文:ラ ガイシュン)
「25~35歳の男性、前科がなければ誰でも応募可能です」
代わりに刑務所に入ってくれる人急募
刑務所に2年6か月(途中交代も可能)入ってくれる人に、260万人民元(約4800万円)を入所前に支払います。刑務所関係者には根回しをしておいたので、中は安全です。犯罪の前科がなければ誰でも応募可能です!
別の求人広告では、四川省の刑務所に5年7か月入ってくれる人を募集しています。入所日が近いのか、かなり急いでいる様子がうかがえます。
800万人民元(約1億5000万円)を支払います。場所は四川徳陽市です。25~30歳の男性で、かつ前科がない方は、お早めに連絡ください! 本当に早く見つけたいので、電話でお問い合わせください!!
この恐ろしいサービスは「囚人代行」といいます。中国だけでなく、世界で見ても有数の稼げる代行サービスでしょう。もちろん日本やアメリカなど法律制度が整っていて、国民のモラル意識が高い国なら、こんな仕事はあり得ません。
しかし、ワイロ問題や汚職事件が頻発の中国だったら、状況は全然違います。政府の要人や有名人は犯罪を起こしても、法律の裁きから逃げる方法はいくらでもあります。残念ながら、広告の番号に電話をしても誰も出ませんでしたが、実際にこうした仕事が存在している可能性は十分あるでしょう。
中国政府を賛美する「コメント代行員」、書き込み1件7.5円
次に私が紹介したい代行サービスは、一発で1億円稼げるような犯罪っぽいサービスではありません。逆に一件一件は7.5円しかもらえない地味なお仕事です。
実は十数年前から、中国政府は世論誘導のためにインターネット工作員を使っています。いわば「コメント代行員」として雇われた、彼ら彼女ら毎日のお仕事は、様々なブログや掲示板、SNSへアクセスし、政府を批判する書き込みを発見したら、コメントで当事者を中傷する、というものです。
もちろん中傷以外にも、政府を賛美したり、国民の考えを誘導したりするコメントを書き込むこともあります。コメントを1個書くと0.5人民元(約7.5円ぐらい)がもらえるのですが、中国では0.1人民元を「毛」と言うので、彼らインターネット工作員は「五毛党(ごもうとう)」とも呼ばれています。
その存在は海外でも知られていて、BBCニュースも五毛党に関して、「ネット上の不利益な情報をなくすために、政府は彼らを起用している」と指摘していました。もしこのインターネット工作集団がいなかったら、すでに革命の炎が中国全土に広がっていたかも知れませんね。
【プロフィール 】
ラ ガイシュン 香港出身。2009年に来日し、現在は都内IT企業セブンコードにデザイナーとして勤務している。本業以外にも、英語・中国語の通訳や雑誌コラムの執筆、海外貿易アドバイザーなど多岐にわたる分野で活動中。【Facebook】
http://yukan-news.ameba.jp/20160128-54/
あわせてよみたい:20代中国人に聞く「ココが変だよ日本の会社」
20代中国人に聞く「ココが変だよ日本の会社」(前編) 「トイレの回数」なんて数えてる場合じゃないでしょ?
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人口減少で内需が縮小し、海外市場から収益を得なければ日本が貧しくなってしまう時代が来ている。少子化による人手不足も顕在化し、新しい時代の日本人に最も求められているのは「外国人労働者をうまく使いこなせる能力」といってよいだろう。
しかし旧世代の日本人管理職は、新しい時代のマネジメントにうまく適応できず、優秀な人材に逃げられてしまうことも。外国人社員は、日本の職場をどう見ているのか。日本企業で働く20代の中国人4人に集まってもらい、話を聞いてみることにした。
来日4~5年でも日本語に不自由しない中国の若者たち
――皆さんは日本の大学や大学院に留学経験があり、来日4~5年目ですが日本語を問題なく使えるだけでなく、日本の文化にも慣れ親しんでいますね。まずは簡単に自己紹介をしてもらえますか。
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IT企業に勤務するA君
A君(25歳・男性) IT企業に入社1年目で、いまはプログラミング業務に携わっています。もともとIT系志望だったというのもあるけど、うちの会社は仕事の難易度が高く、報酬も高かったので自分を高められそうだなと。あとITって一つの言語だと思うから、身に付けたら一生モノのスキルになるかな、っていう考えもありました。
Bさん(27歳・女性) 金融機関で働き始めて2年目です。国際業務の担当で、主な業務は北米の企業の財務状況のモニタリングや分析レポートの作成です。本当はマスコミで働きたかったんだけど、正社員はやっぱり無理で。中国だと金融業界って経済学部卒とか専門じゃないと入れないんだけど、日本だと(専攻外でも)そういうプロフェッショナルな職に就けるからチャレンジしてみようかなって思いました。
Cさん(27歳・女性) コンサルティング会社の営業部門に入って2年目です。自分は人とのコミュニケーションが好きだし、問題解決にも携わりたいと思っていたので、新しい分野でコンサルを行っている今の会社に惹かれました。
Dさん(26歳・女性) メーカーの入社1年目です。現在は研修中ですが、企画部で子会社管理などを担当する予定です。内定をもらったもう1社と比べて、人と雰囲気が良かったので決めました。
「本当の日本」が知りたくて卒業後も日本企業に就職
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金融機関に勤務するBさん
――ここからは敬語をやめて話しますね(笑)。中国からの留学生は就職のときに帰国してしまう人も多いけど、どうして日本で就職しようと思ったの?
A 留学だけでは「本当の日本」を知れないと思ったから。学校って優しくて、外国人に興
味を持って話しかけてくれるけど、それって一般的ではない。目を向けてくれる人だけを介して日本を知るのではなくて、違う人の姿を見るのも大事だと気付いて、それなら社会に出ようと思ったのが就活を始めた原動力かな。
D 私もA君と似ています。日本で学生生活だけを過ごすのは「社会の芯」の部分に触れずに帰国することになってしまうと思って、就活を始めました。あと、中国の大都市で働いても日本で働くのとではストレスは変わらなさそうだけど、(中国は)生活は不便ですし。日本の方が生活環境は優しいよね。
C 私は将来、日中の間で起業したいと考えているんだけど、日本に関する知識と理解が圧倒的に足りないと感じて、日本のことをもっと勉強したいと思った。あと、中国に帰ろうと思えばいつでも帰れるから、若いうちに少しキツい道を歩いてみたいって。実は、当時日本に好きな人がいたから、それも理由の一つかな。
B 私もCさんと似ているなあ。中国にはいつでも帰れるから、若いうちにもっとチャレンジして頑張りたいと思ったんだ。
――仕事は忙しい? 残業は多いのかな。
A プロジェクトによるから波があるかな。定時が18時半なんだけど、2か月半くらい22時半から23時退社が続いたこともある。でも最近は18時にあがれる日があったりするよ。
B 定時は17時15分だけど、研修以外で帰れたことってないなあ。19時や20時で早い方で、21時や22時のときもあるよ。定時(退社)とか夢!
日本人の同僚は10分の仕事を1時間かけて残業
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営業のCさんはこの中で一番残業が多い
C 営業って目標があるから、残業多いよ。定時は18時だけど、20日間出勤するとしたら、12日くらいは22時以降の退社。夜に提案書とか作ってるよ。でも、みなし残業制を取っていて、30時間以上の残業はお金出ないんだよね。
D うちの会社の定時は17時半。私はまだ研修中だけど、(毎日)1時間くらい残業してるよ。部署によるけど、先輩たちは終電近くなる人もいるみたい。
――残業について、何か思うことってある?
C 文化が違うなって思うのは、日本人の頭の中での優先順位が「仕事、家庭」って順番になっている感じがするところ。中国だと、夕飯は家族と食べるのが当たり前だから。仕事が終わってないとしても、とりあえず家に帰って、その後にまたやる。
B 中国は、仕事と家庭が同じくらいだもんね。基本的に、日本って残業しない方がおかしいみたいな雰囲気あるね!
A 僕は、忙しかったら家族と食べれなくても別にいいんだけど、それは本当に仕事が忙しくて仕方がないとき。効率が悪いのに残業しているのは意味ないじゃんって思う。だって(日本人の同僚は)10分で片付けられる仕事に1時間かけてたりするよ。スマホいじりながらイヤホンしながらやってるからなんだけど。効率上がるならいいけど、下がるなら意味ないじゃん。
D うちの会社、夜の残業代はつくけど、朝早めに出勤して仕事をする場合はお金が出ないんですよ。「なんで?」って思います。
成果でなく「離席の時間」で評価が下がるのはおかしい
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メーカーで研修中のDさん
――残業以外に、働いていてこれ変だなってことは?
B うちの会社の雰囲気が堅いからかもしれないけど、トイレに行く回数とか数えられてる。「離席の時間が多い」って言われたり。「仕事できない」「仕事遅い」で評価されるのは分かるけど、トイレに行く回数が多いことが評価に加わるのはおかしい。ちゃんと成果は出してるのに「評価が下がる行動は取らないで欲しい」とか言われるよ。席にしょっちゅういない先輩だっているんだよ!「なんで私だけ?」って思う。
A ああ、あるね。うちの会社は日報を提出するんだけど、それが「内部告発」に使われてるらしい。「隣がしょっちゅうトイレに行ってる」とか。外に出たついでにコンビニ寄って、そのビニール持っていると日報に書かれて、翌日上司から呼ばれたり。
D え、入社のときに「トイレは控えて下さい」とか言われたりしないんだよね?
A・B それはない!
あわせてよみたい:20代中国人に聞く「ココが変だよ日本の会社」(中編)
20代中国人
「ココが変だよ日本の会社」前編では、中国人の若手社会人が日本で働く理由と、日本企業への違和感を取り上げた。続く中編でも引き続き、日本で働くうえで気になることについて様々な角度から語ってもらった。
外国人が多い職場では、日本人に近い東洋人と、見かけで大きく異なる西洋人とでは扱いが違うことが気になるようだ。厳しすぎる割に責任を果たさない上下関係や、行き過ぎた顧客第一主義についても首を傾げている。
「ガンダム」や「スラムダンク」が好きで日本に興味持つ
中国で大人気だったという「SLAM DUNK」(画像:INOUE TAKEHIKO ON THE WEB)
中国で大人気だったという「SLAM DUNK」(画像:INOUE TAKEHIKO ON THE WEB)
――話を聞いていて思うけど、みんな本当に日本語上手だよね。そもそも日本語を勉強しよう、来日しようと思ったきっかけって何?
A 中国に(普通の大学試験と別に)外国語系大学に入れるプログラムがあって、高倍率だけど受かったんだよね。専門を5か国語から選ぶことになって、親にはフランス語を勧められたんだけど、当時「(機動戦士)ガンダム」が好きだったこともあって日本語を選択したんだ。でも大学に行ってみると、4年生なのにカタコトしか日本語を話せない人がいて、話せている先輩に話を聞いたら1年間の留学経験者だっていうから「自分も行きたい」と思った。
B 中国の大学での専攻は日本語ではなかったんだけど、日本の大学との(複数の学位が取得できる)「ダブルディグリープログラム」があって。その担当が自分の論文指導の先生だったこともあって、興味が湧いて学部時代に一度留学したよ。プログラム自体は英語だったのもあって当時はあまり日本語を話せなくて、そのとき日本語を勉強し始めたんだ。
C アニメ、特に「スラムダンク」が好きなこともあって、大学で日本語専攻だったんだ。子どもの頃から(中国のテレビで)アニメがやっていたから日本語に馴染みもあったし。英語が好きだったから、もう一つ言語が出来たら世界は広がるのかなって思ったのも理由。それで、大学3年生のときに1週間、大阪にホームステイしたんだけど、みんな優しくて笑顔であいさつしてくれて。今まで日本に持っていた「堅そう」「歴史認識のズレがある」っていうイメージが変わって留学したいと思うようになった。
D 大学で日本語専攻だったんだけど、理由は日本語学部の寮がキレイだったから(笑)。来日のきっかけは、中国で大学3年生のときにインターンをしたときに「もっと世界を見たい」って思ったことかな。卒業後に留学するって決めて、色んな先輩から話を聞いたら「日本は治安が良い」って。費用もなんとかなりそうだったし。それで来日して、語学学校に半年通った後に大学院に行くことにしたんだ。
ハンコを押した人がちゃんと読んでいない不思議
押したところでちゃんと読んでるの?
押したところでちゃんと読んでるの?
――みんな結構勉強してるんだね。さっき、トイレの回数を数えられるって言ってたけど、ほかに何かおかしいところってあった?
C 上下関係が厳しいよね。それによるダブルスタンダードが、うちの会社はあるかも。打ち合わせが長引いて、次の予定に遅れたりするとき、すごい怒られる。でもその上司はバンバン(遅刻を)やってる。自分が待っていたときもいっぱいあるのに、そういうのがすごい嫌だなって思う。
B 自分が若手のときにそういう目に遭ったからって、下をいじめないで欲しいよね。
D あと、一つのことやるのにたくさんの人の承認が必要。いっぱいハンコを押さないといけないよね。紙信仰っていうか。
B ハンコを押した人が、必ずしも読んだとは限らないんだよね。後々問題があったら、結局責任を負うのは最初に書類を作った自分になる。「なんでそういう風に間違えたの?」って、でも「じゃあ読んだ人は何してたの?」って。私が押して、上司が押してって続いて行って、最後に部長のとこで引っかかって私のところに戻ってくる。で、もう一回作り直し。
A うちの会社はその点はマシかもしれないけど、効率の面でいえば確かに悪いな。例えば有休申請のシステムがあるのに活用されてない。システム上で申請しても確認していないから、総務部まで降りていって口頭でお願いしないとやってくれない。IT企業なのにね。日本企業は効率悪いのかも。
お客さんに「間違ってますよ」と言えないのはおかしい
C あと、日本って「お客さん第一主義」だよね。中国の場合はもう少し平等で、お客さんが間違っているのであれば「間違ってますよ」っていう風にやりとりできる。でも日本だと、先方の間違いでも「私たちの説明不足でした」って風に謝らないといけない。社内の人にお願いするときも謝っているから、基本毎日謝っているなぁ。
A 確かに。謝ることって多いね。
C あとは、やっぱりマナーかな。もう慣れたけど、お客さんを訪問後、絶対当日中にお礼のメールを出さなきゃいけないこと。最初分からなかったから怒られたよ。中国で半年インターンをしたことあるんだけど、中国ではそういうのは特にないんだよね。
それから去年、年賀状書くとき、3日間それぞれ3時間くらいかけて150枚の年賀状を書いたよ。それは自分が印刷の締切を過ぎちゃったから手書きっていう理由もあるんだけど(笑)。本当に礼儀正しくて、ていねいに仕事をしているからこその仕事量だけど、コア業務で本当に大事なことって半分くらいしかないんじゃないかな、って思っちゃう。年賀状は日本の文化だからしようがないとは思うんだけどね……。
西洋人が強く言うと「自己主張が強い」で通るのに
西洋人なら「自己主張が強い」で通るのに…
ヨーロッパの人には優しいよね
――外国人ということで、何か扱いが違うと思ったことってある?
B 敬語を間違えても怒られないってことはあるかも。先輩に厳しく言われることもあるけど、アドバイス的な感じ。
C え、敬語で怒られないのいいなあ! 私は基本、日本人扱い。かえって外国人扱いしてもらいたいときがあるかもしれない。仕事が営業だからだけど、コミュニケーション能力が求められて「今の言い方だとあなたの『申し訳ない』って気持ちが伝わらない」とか指摘をされる。日本人でもできてないところまで要求されることがあって、そういうとき、ちょっとイラッとするかも。
B でも、そのときのニーズによって日本人扱いや外国人扱いで分かれることはあるかも。
A そうだね! 採用のときそうだった。人事部の人はすごい海外志向強くて、「外国人採るんだ」って意気込んでて、外国人に「日本語全然喋れなくていいんですよ」って言うんだよ。だから同期に日本語カタコトな人とかいるんだけど、配属先の部署の人にはそういう思考がないから日本人扱いになって、「この人なんで日本語喋れないの? 外国人だとしてもコード書くのに日本語必要だし、ここ間違ってるんだけど」ってなる。それならそもそも、外国人採らなきゃいいじゃん、話が違うんだけどって思う。すごくムカついた。
B あと、外国人でも国籍によって扱いが違うっていうのがあるかも。西洋人が強く言うと「自己主張が強い」で通るけど、中国人が言うと「協調性がない」って言われる。
A 西洋人だと「そういう文化だから察してあげてね」っていう雰囲気があるっていうか。
C 中国人って、日本人と顔が似てるからかな。ヨーロッパの人には「外国人だからね」って優しくなったりするよね。ちょっとズルく思うときもある。
あわせてよみたい:20代中国人に聞く「ココが変だよ日本の会社」(後編)
に聞く「ココが変だよ日本の会社」(中編) なぜ私たちだけが「協調性がない」と言われるの?
2015.11.7
20代中国人に聞く「ココが変だよ日本の会社」(後編) 「まずは日本」でなく最初から世界をねらうべきだ
2015.11.8
日本企業で働く若き中国人に話を聞く「ココが変だよ日本の会社」の第3回は、日本が国際競争力を上げるために何をすればいいかについて尋ねた。これまでは日本市場にある程度の勢いがあったので、「まずは日本」という発想が主流だった。
しかし日本でうまくいったものが、世界でうまくいくとは限らない。参加者たちは「最初から世界をねらうべきだ」と指摘。社内のルールも、まずは日本流に従うべきという考え方に異論を投げかけている。
会社は本当に「新しい風」を求めているのか
――日本の会社は、外国人社員に何を求めてるんだと思う?
D 私はまだ研修中だけど、会社は外国人社員に「新しい風を吹かせてください」って言っています。
B それ、研修のときだけだから! 本当に新しい風吹かせようとすると「内部告発」(離席の回数を上司に密告されるなど。前編参照)される。入るときには人事部とかに、「自分の国の長所を生かして」って言われたんだけどね……。
A そう! 新しい風を吹かせようとすると目立つ。会社のシステムが日本のシステムだから、意味がないのかな。
C 会社は日本人の社員が当たり前に思っていることに、日本人とは違う「外国人の考え方」みたいなものを入れるのを期待して入社させたのかもしれない。でも私たちがやると「それは違うんだよ」「こういうのが当たり前だよ」って返される。期待されたとしても、日本人は自分たちのやり方が正しいと思ってるから、「それは間違ってるよ。まずは日本のやり方でやってみな」ってなるんだよね。
A 「ここは日本だから」って言われるね。人事部の思いが会社に広がっていないんだよね。
B 人事部は採って終わり。もちろん日本にいるから日本のルールに従わないと、っていう認識は持っているけど、もっと許容度を上げてくれてもいいと思うよね。当初の話と違うんじゃないっていうのはよくある。
社員食堂にはインド人が食べられるメニューがない
サラダしか食べられるものがない…
サラダしか食べられるものがない…
――社内のグローバル環境の整備って進んでないの?
A~D 進んでいない。
C 私は社に1人だけ(の外国人)だしね。
B 人だけ採って、社内の環境が整備されてないんだよ。社内用のポータルサイトとか、日本語と英語ってあるんだけど、英語の方を見てみると一部の内容しか翻訳されていなかったり。Eラーニングとかの勉強システムにも、英語の資料だけ用意されていなかったり。
A 社内用システムが翻訳されていないのは、あるある!
D 私の会社、インド人が多いけど(社員)食堂に食べられるものがないかも。
B うちの会社もないかな。言ったら準備してくれるのかもしれないけど。前、インド人のインターンを担当したら、その子がベジタリアンっていうのもあるけど、サラダしか食べていなかった。
A 採った後、放ったらかしって感じだよね。人事部と現場の意思伝達が出来てない。
――グローバル化を進めるためにはどうすればいいと思う?
C 公用語を英語にするのは一例だと思う。社内が日本語のままで、外から入ってくる人も日本語を喋っていたら何も変わらないかなって。自分たちから何か変えないといけない部分もあるんじゃないのかな。すべての業界でベストではないと思うけどね。
D 承認までを短くする。中国は結構若い頃から意思決定ができるんですよ。日本は意思決定までのプロセスが長いですよね。
「日本だけの考え方」を捨てて欲しい。保守的すぎる
B 私は言語の問題とかではなくて、社員の意識が大事だと思う。仕事では同じ扱いするけど、飲み会だけ除外されたりってあるし。でも自分が外国人を受け入れる立場だったら、同じことをやってしまうかもしれない。中国人だけで固まってしまうとか。文句っていうよりは、こういうことが起こってしまっているって言いたいかな。
A 注意喚起したいよね。すごく気にしているってわけではないけど、受け入れる側に問題があるって意識がないから。意識しないとそもそも解決できないんじゃないかなって懸念があるよ。
――日本が国際競争力を上げるためにできることってあるかな?
B 企業には日本だけのやり方を捨てて欲しい。みんな保守的すぎる。
A 確かに。まず日本市場を確保してから外に出る、ってなってるよね。
B そういう考え方ってダメだよね。日本でうまく行ったからって世界で通用するというロジックは成立しないと思うし。逆に日本でうまくいったのに、海外でうまく行かなかった例が多いんじゃないかな。もし世界で通用したいなら、「まずは日本」という考え方を捨ててもらいたい。逆に外国人が、ここ(日本)でビジネスをするのは難しいかも。考え方とか審査の水準が全然違うから。よくそれで外国人の上司と日本人の上司が議論してる。すべてにおいて「日本ルール」があるんだよね。
ここで出世は難しいけれど「もう日本で幸せボケしてるかも」
中国から日本に戻ってホッとしたそう
C あと、日本で働いても、外国人はあまり高い役職には就けなそうだよね。
B 外国人の出世は難しいよね。外部から採った人が役職高い場合はあるけど、下からどんどん昇進していく外国人って見たことがないな。
――やっぱり外国人が日本で働くのって苦労しそうだよね。将来のキャリアプランってどう考えてる? やっぱり中国に戻るのかな?
C 中国にはチャンスが多いし、給与も上がりやすいし、昇進もしやすい。今中国に帰って2年経過するのと、日本に留まって2年経過するのだったら中国の方が給料は上がると思う。でも、まだ日本にいたいかな。どこかのタイミングでは帰るかもしれないけどね。
A しばらくは日本にいるなあ。転職は当たり前の業界だから、会社は変わるかもしれないけどね。
B 私も今のところ戻るつもりはないですね。日本に残って仕事をするか、また違う国に行くかも。
D そこまで考えてないですけど、Bさんと同じで、日本から他の国に行くことはあるかもしれないです。
――みんな会社では色々あっても日本に残るんだね。それはどうして?
B 日本の生活環境が好きだからかな。もう日本人化してる、って思うことあるよね。
C そうそう!中国から戻ってきたときに、成田空港のトイレに入ってホッとしたよ! 感覚とか考え方も日本人寄りになっている。中国にいると、もっと疲れるんだよね。中国で営業やるなら、お酒飲めないと受注もらえないし。もっと複雑。日本の方がシンプルかも。
A 働くにあたって多少疲れはするけど、それは日本の卓越した生活環境で癒されてる。
D 私も環境が好きです。日本は幸せボケしているっていうか……。
C あと、ちゃんと中国で働いたことないもんね、私たち。中国で働く方がもっと大変かもしれないよね。
あわせてよみたい:20代中国人に聞く「ココが変だよ日本の会社」(中編)