中国人が認める中国の本質本。ースカウトされたことを同僚や上司に喜びながら伝えてくる中国人 | 日本のお姉さん

中国人が認める中国の本質本。ースカウトされたことを同僚や上司に喜びながら伝えてくる中国人

橘玲の中国私論---世界投資見聞録 単行本(ソフトカバー) – 2015/3/6
橘玲 (著)

内容紹介
作家・橘玲が世界を歩きながら、経済・金融・歴史などについて独自の感性と考察によりさまざまな事象に新解釈を加えていく新シリーズがスタート。今回は、日本の隣の国、中国がテーマ。尖閣問題など緊迫する日中関係。国家の成り立ち、社会構造が全く違うにもかかわらず、なまじ顔かたちが似ているせいで理解しがたい行動に不満が大きくなる。交流した現地の中国人、歴史、社会システムなどから、巨大な隣人の真実を大胆に解き明かす。経済・金融、人生論、社会批評まで幅広い活躍を続ける橘玲氏による独自の中国社会評論。

---中国各地に点在する世界史上稀に見る、鬼城ゴーストタウンの観光ガイド付き----

●「なぜ中国人はひとを信頼しないのか?」「なぜ反日なのか?」「なぜ中国は鬼城ゴーストタウンだらけなのか?」
中国共産党、中国人の精神構造、シャドーバンキング、史上稀に見る不動産バブルの実態、官僚腐敗、反日、日本の戦争責任など扱うテーマは多種多様。

●巻頭特集 中国鬼城観光案内
内モンゴル自治区オルドス、天津・浜海新区、海南島・三亜、河南省・鄭州、モンゴル自治区フフホト、安徽省・合肥、内モンゴル自治区・清水河、河南省・鶴橋、浙江省・杭州、上海・松江区

●はじめに 中国を旅するということ

●PART1 中国人という体験
1 ひとが多すぎる社会
2 幇とグワンシ
3 中国共産党という秘密結社

●PART2 現代の錬金術
4 経済成長を生んだゴールドラッシュ
5 鬼城と裏マネー
6 腐敗する「腐敗に厳しい社会」

●PART3 反日と戦争責任
7 中国のナショナリズム
8 謝罪と許し
9 日本と中国の「歴史問題」

●PART4 民主化したいけどできない中国
10 理想と愚民主義
11 北京コンセンサス
12 中国はどこに向かうのか

内容(「BOOK」データベースより)
「中国人はなぜひとを信用しないのか?」「なぜヤクザ組織がないのか?」「なぜ反日なのか?」「なぜ鬼城―ゴーストタウン―だらけなのか?」作家・橘玲が新視点から切り込む中国社会評論!

単行本(ソフトカバー): 280ページ
出版社: ダイヤモンド社 (2015/3/6)

なぜ中国でゴーストタウンが量産され続けるのかを解き明かした名著!
投稿者 かぬひもと 投稿日 2015/4/6
形式: 単行本(ソフトカバー) Amazonで購入
ゴミ投資家シリーズで名を馳せた橘玲氏が中国という魔物に全力で取り組んだ力作。例によって橘氏は中国各地を飛び歩いては実地踏査。返す刀で広範な範囲の書物を渉猟して、文字通り「中国とは何か」についての「私論」を絞り出している。その手法は、いつもながら「さすが」と言うほかは無い。彼が読んだ文献の多くは私も読んでいる。岡本隆司『中国「反日」の源流』、岡本隆司『中国近代史』、加藤徹『貝と羊の中国人』、何清漣『中国現代化の落とし穴』、関満博『現場学者 中国を行く』、李昌平『中国農村崩壊』、大泉啓
一郎『老いてゆくアジア』、木佐芳男『戦争責任とは何か』、横山宏章『中国の愚民主義』などである。いずれも「一流」とされた文献であり、キワモノの寄せ集めでは決してない。要するに本書がベースとする資料は、それなりの水準を維持しているのである。

さて、本書のキモは、本書の冒頭に掲載されている写真が表している通り、中国各地で起きている不動産バブルの惨憺たる有り様と、すでに不動産市場に先がないのが見えているにも関わらず、どうして中国では相変わらず粛々と鬼城が全国一律判で押したように作られ続けているのかという疑問と、それに対する答えである。

中国の税制は日本の税制とは大層異なっている。まず地方政府にはろくな財源がない。豊かな地方から貧しい地方に富を移転する地方交付税が中国には無い。この地方交付税と言うのは日本では誠に巨大なもので、法人税の3割、所得税の3割が「地方の取り分」として既得権化されている。その総額たるや15兆5千億円。日本財政全体の16%を占めている。これが中国にはないのである。あと地方財政のもうひとつの柱である固定資産税も中国にはない。あと、これは日本を見倣ってそうしたんだろうが、中国では中央政府の許可なしに地方政府が起債して資金を集めることは出来ない。地方政府が地方債を乱発した揚句返済不能に陥ると収拾がつかなくなるので地方政府の起債は厳格に規制されているのだ。だから中国の地方政府にはろくな財源がないのである。しかしインフラにしろ教育にしろ医療にしろ、こうした住民サービスの提供は地方政府とされている。財源がないくせに行政サービスの提供義務は全部地方に押し付けられているのだ。「一体どうしろというのだ」と普通の神経の持ち主なら叫びたくなるはずだ。ここに抜け穴があった。地方でインフラが整備されれば、当然周辺一帯の地価は上がる。この地上げ利益をまるまる独占出来るのが中国の地方政府なのである。中国の土地はすべて国有である。ただその利用権が国民に貸与されているに過ぎない。この利用権を、たとえば農民からただ同然で取り上げて、それを不動産開発会社(デベロッパー)に高額で転売すれば、その差額(地上げ利益)はまるまる地方政府の取り分になる。この濡れ手に泡の錬金術に13億の中国人が気がついたからたまらない。この錬金術を中国全土の地方政府がフル活用するようになったのだ。中国は今も社会主義経済であり経済は中央政府の強い統制下にあり市場原理はストレートには働かない仕組みになっている。何事も政府主導で、政府がやるといったらやることが基本とされている。だから日本ではとっくにバブルが崩壊してしぼんでいるはずの不動産開発も、中国では中央政府がバブル崩壊を認めない限りバブルは崩壊させいないまま、いわばブレーキの壊れたダンプトラック宜しく暴走を続ける仕組みになっている。これが中国全土で、誰も住む予定の無い高層マンションや、誰も出店を予定しない巨大ショッピングモールが今も建設され続けている理由なのである。橘玲氏は、これを「フィールドオブドリームス」と呼んだ。そのセンス、秀逸である。

それでも中国の人口が増え続けている間は、まだ良い。問題は中国では日本を上回る勢いで急速に少子化高齢化が進み、無限の錬金術に思われた不動産開発がいよいよ不可能になり「黄金の扉」が、あと少しで閉じられてしまうということだ。これを知った中国人は、しかし「もう危ない橋を渡るのはやめよう」とは思わない。そう思うのは金持ちの発想で、まだ富を手にしていない貧乏な中国人は「俺だけは黄金の扉が閉じる前に、向こう岸に渡ってやる!」と決意し、壊れかけたエンジンを更に全開にして地上げ利益を手にしようと暴走を続けるのである。

中国で今現在起きている不動産バブルは人類史上最大と言われている。バブルは必ず崩壊する。何時中国の不動産バブルが崩壊するのか。それは崩壊して初めて分かるのである。
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5つ星のうち 5.0反中でも親中でもなく「中国という大問題」に迫る
投稿者 横浜テニス研究所所長 投稿日 2015/3/7
形式: 単行本(ソフトカバー)
肩書きをつけにくい幅広い著者という印象があります。お金の動きから社会を読み解き、生活を防衛する(儲ける)方法を説く人というところでしょうか。イデオロギー的な色眼鏡ではなく、政治や経済の視点から、日本にとっての「中国という大問題」を浮かびあがらせています。反中でも親中でもありませんでした。この著者らしく、経営や投資のヒントも多く含まれていますが、そのへんの感度がにぶい私には、「国家同士のくだらない諍いを離れてつきあえる友ができたなら、これほど素晴らしいことはないだろう」という最後の一行が印象に残りました。
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5つ星のうち 5.0現代中国がよくわかる、マクロでもミクロでも
投稿者 1234543 投稿日 2015/9/17
形式: 単行本(ソフトカバー)
中国旅行記のようなところもあり、いろいろな中国が見られます。

また、著者の歴史観、中国観なども書かれているおり、かなり微妙な問題についても自分なりの考えを批判を恐れず書いています。

人民解放軍が共産党中央の命令に従わないこともあるとの記述は、怖く感じました。昔の日本軍と同じです。

そういえば、十年以上前のことですが、アメリカの軍艦が香港に寄港して乗組員に静養させようとしたとき、突然中国が約束をほごにして拒否したことがありました。アメリカ側は家族の多くも香港に集まって会えるのを楽しみにしていたのに、できず非常にがっかりしたようです。この時も中央政府は承認していたのに、軍がクレームを入れたのかもしれません。

ちなみに、この後米軍は日本に向かったと思うのですが、わざわざ台湾海峡を通って行きました。完全に中国に対する嫌がらせでした。

第1刷の間違い、でしょう。
66ページ 中国の範図 → 中国の版図
152ページ 万平方キロ → 平方キロ
254ページ エジプト → エチオピア これは他の方も指摘しています
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5つ星のうち 5.0極めて優れた中国経済論
投稿者 lexusboy トップ1000レビュアーVINE メンバー 投稿日 2015/8/30
形式: 単行本(ソフトカバー)
橘氏の著作はとかく批判があることも多いが、本書の質の部分では全く問題ないであろう。
多くの著作が読み込まれた痕跡があり、それは、近刊本の読書案内としての意味合いも持っている。
「私論」とあるが、論としては、実際の私的体験を盛り込みつつも、アカデミアでも通用する立派な著作であると思う。
私論とされているのは、自らの経験をそのままストレートに出している部分があるので、それを謙遜をこめて、そう言っておられるのであろう。

本書は、中国経済において起こっている現象を的確に説明していると思う。
なぜこんなに急激な成長が可能であったか、どこにリスクを孕んでいるのか、など明確に説明される。
また、腐敗がなぜなくならないかについての分析は明快であり、行動としての合理性、不可避性が説明される。

腐敗が生じるのは、公務員の給料が安いからであるという。では、給与水準を上げればよいかというとそうではない。
なぜなら、とにかく公務員の人数が多いので、僅か上げただけでも財政が破綻するという。
考えてみれば、中国には医療保険制度や年金制度が未整備である。今後いったいどうなるのだろうか?

また、共産党の正統性についての議論も面白い。要は建国の指導者がいなくなったのに、なぜ、共産党が統治しているのかについて常に答えを出し続ける義務を負っているというのは指摘のとおりだ。

共産党は地方すべてを鉄の規律でコントロールしていると思いがちだがそうでないとの指摘も重要だ。
省政府どころか政治局常務委員の指示ですら、市や県や郷鎮では無視されるという。
なぜそうかというと、改革開放というのは「共産党の支配を容認する代わりに自分たちの金儲けには口を出させない」という暗黙の契約の上に成り立っているからだという。

中国の歴史教育が偏向しているという点については、中国共産党、あるいは建国の歴史が、強大で邪悪な日本帝国に打ち勝ったことが神話化(建国神話)しているという。
偏向も何も、共産党の正当性そのものを語っている部分なので、大きく変わることは期待できないとのことで、それも全くその通りだ。

他にも、
・中国では、歴史的・文化的な要因から、社会的な資源としての「信頼=絆」が常に不足していた。
・理財商品の敷仕組みは闇銀行と同じで、高い金利でお金を集め、それを中小企業などに融資するのだ。
融資先の破綻リスクは理財商品を組成した信託会社が追うことになるが財務基盤がないため、最終的に販売した金融機関の責任が問われることになる。・・最終的には地方政府が尻ぬぐいする。
・無から有を生み出す錬金術のからくりは中国の急速な都市化にある。中国の地方政府は土地を販売することで巨額の利益を生み出している。

とにかく、随所に感心する内容が盛り込まれている。一読をお奨めする。
なお、つまらない指摘をしておくと、「エジプトのアジスアベバでは・・」という校閲漏れがあるのはご愛敬かと。
~~~~~~~~~~~~
タイトルを裏切らない私論
投稿者伊達政宗2015年6月7日

形式: Kindle版

本のサイズ、今、中国で話題のバブルの象徴とも
言えるゴーストタウン「鬼城」のカラー特集と、
思わず買ってしまったのに後悔。
買う気にさせるが、買って読んでみると後悔する本です。
昨今、中国に関する書籍が多く出版されていますが、
最も、考察が薄っぺらい分類に属するものです。
中国の素人が、タイトル通り私論を述べただけの内容です。
お金をかけて買う価値なし、出版する価値もなく、
せいぜい個人のブログででも述べるべき程度の私論です。

~~~~~~~~~~~

金の無駄でした
投稿者カスタマー2015年3月29日

これまでに岡田英弘、小室直樹等の中国本を読んだ人は内容が重複するため、読む価値なし。
歴史問題とやらについても、日本の軍隊が中国に居たことが間違いなどと言っているが、これも
その前の歴史的な経緯を無視した戯れ言に等しい。

中国人に受け入れられない日本国内向けの議論はしても意味がないなどとも書いているが、
これは要は中国共産党政府の意見をすべて受け入れろと言っているに等しい。

著者の書いた本は他にも購入したことがあるが、これほど金が無駄だと思ったことはない。百円でも
高いと思う。ある程度、「中国」本を読んでいる人は買う必要は<全く>ないです。

この程度の内容の本にこれほど高い評価が付いていることは怪しいと思う。
~~~~~~~~
中国人がやっと唯一認められる中国の本質本。
投稿者Amazon Customerベスト1000レビュアー2015年3月9日

形式: 単行本(ソフトカバー)

上海の友人が手に取り1日で読破し中国の内情をよく書き出している私に勧めてきた。内容を読むと私達が疑問に思う中国の民主化の問題から他国への不調和を一部で政策として維持する姿勢なども全てが理解できた。

例えば、多くの日本企業が中国人は優秀だが雇いたがらないのはシッカリと育てても給料がいい所にスカウトされればパッと転職するのだという。 しかも多くの方が同僚や上司に喜びながら伝えてくるがそういった態度からも日本人には奇異に見える。しかし、中国では上記のことがらは上司も同僚も一緒に喜ぶ様なことだと聞けば日本人は思考停止してしまうがこういったことも本書を読めば明快に理解できるようになる。

上海の友人とは5年の仲だが、初めて本を推薦して渡してくれた意味はこの本が照らしていなかった本質的な部分を明るくしたことである。

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最も参考になったカスタマーレビュー

57 人中、49人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0なぜ中国でゴーストタウンが量産され続けるのかを解き明かした名著!
投稿者 かぬひもと 投稿日 2015/4/6
形式: 単行本(ソフトカバー) Amazonで購入
ゴミ投資家シリーズで名を馳せた橘玲氏が中国という魔物に全力で取り組んだ力作。例によって橘氏は中国各地を飛び歩いては実地踏査。返す刀で広範な範囲の書物を渉猟して、文字通り「中国とは何か」についての「私論」を絞り出している。その手法は、いつもながら「さすが」と言うほかは無い。彼が読んだ文献の多くは私も読んでいる。岡本隆司『中国「反日」の源流』、岡本隆司『中国近代史』、加藤徹『貝と羊の中国人』、何清漣『中国現代化の落とし穴』、関満博『現場学者 中国を行く』、李昌平『中国農村崩壊』、大泉啓
一郎『老いてゆくアジア』、木佐芳男『戦争責任とは何か』、横山宏章『中国の愚民主義』などである。いずれも「一流」とされた文献であり、キワモノの寄せ集めでは決してない。要するに本書がベースとする資料は、それなりの水準を維持しているのである。

さて、本書のキモは、本書の冒頭に掲載されている写真が表している通り、中国各地で起きている不動産バブルの惨憺たる有り様と、すでに不動産市場に先がないのが見えているにも関わらず、どうして中国では相変わらず粛々と鬼城が全国一律判で押したように作られ続けているのかという疑問と、それに対する答えである。

中国の税制は日本の税制とは大層異なっている。まず地方政府にはろくな財源がない。豊かな地方から貧しい地方に富を移転する地方交付税が中国には無い。この地方交付税と言うのは日本では誠に巨大なもので、法人税の3割、所得税の3割が「地方の取り分」として既得権化されている。その総額たるや15兆5千億円。日本財政全体の16%を占めている。これが中国にはないのである。あと地方財政のもうひとつの柱である固定資産税も中国にはない。あと、これは日本を見倣ってそうしたんだろうが、中国では中央政府の許可なしに地方政府が起債して資金を集めることは出来ない。地方政府が地方債を乱発した揚句返済不能に陥ると収拾がつかなくなるので地方政府の起債は厳格に規制されているのだ。だから中国の地方政府にはろくな財源がないのである。しかしインフラにしろ教育にしろ医療にしろ、こうした住民サービスの提供は地方政府とされている。財源がないくせに行政サービスの提供義務は全部地方に押し付けられているのだ。「一体どうしろというのだ」と普通の神経の持ち主なら叫びたくなるはずだ。ここに抜け穴があった。地方でインフラが整備されれば、当然周辺一帯の地価は上がる。この地上げ利益をまるまる独占出来るのが中国の地方政府なのである。中国の土地はすべて国有である。ただその利用権が国民に貸与されているに過ぎない。この利用権を、たとえば農民からただ同然で取り上げて、それを不動産開発会社(デベロッパー)に高額で転売すれば、その差額(地上げ利益)はまるまる地方政府の取り分になる。この濡れ手に泡の錬金術に13億の中国人が気がついたからたまらない。この錬金術を中国全土の地方政府がフル活用するようになったのだ。中国は今も社会主義経済であり経済は中央政府の強い統制下にあり市場原理はストレートには働かない仕組みになっている。何事も政府主導で、政府がやるといったらやることが基本とされている。だから日本ではとっくにバブルが崩壊してしぼんでいるはずの不動産開発も、中国では中央政府がバブル崩壊を認めない限りバブルは崩壊させいないまま、いわばブレーキの壊れたダンプトラック宜しく暴走を続ける仕組みになっている。これが中国全土で、誰も住む予定の無い高層マンションや、誰も出店を予定しない巨大ショッピングモールが今も建設され続けている理由なのである。橘玲氏は、これを「フィールドオブドリームス」と呼んだ。そのセンス、秀逸である。

それでも中国の人口が増え続けている間は、まだ良い。問題は中国では日本を上回る勢いで急速に少子化高齢化が進み、無限の錬金術に思われた不動産開発がいよいよ不可能になり「黄金の扉」が、あと少しで閉じられてしまうということだ。これを知った中国人は、しかし「もう危ない橋を渡るのはやめよう」とは思わない。そう思うのは金持ちの発想で、まだ富を手にしていない貧乏な中国人は「俺だけは黄金の扉が閉じる前に、向こう岸に渡ってやる!」と決意し、壊れかけたエンジンを更に全開にして地上げ利益を手にしようと暴走を続けるのである。

中国で今現在起きている不動産バブルは人類史上最大と言われている。バブルは必ず崩壊する。何時中国の不動産バブルが崩壊するのか。それは崩壊して初めて分かるのである。
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5つ星のうち 5.0反中でも親中でもなく「中国という大問題」に迫る
投稿者 横浜テニス研究所所長 投稿日 2015/3/7
形式: 単行本(ソフトカバー)
肩書きをつけにくい幅広い著者という印象があります。お金の動きから社会を読み解き、生活を防衛する(儲ける)方法を説く人というところでしょうか。イデオロギー的な色眼鏡ではなく、政治や経済の視点から、日本にとっての「中国という大問題」を浮かびあがらせています。反中でも親中でもありませんでした。この著者らしく、経営や投資のヒントも多く含まれていますが、そのへんの感度がにぶい私には、「国家同士のくだらない諍いを離れてつきあえる友ができたなら、これほど素晴らしいことはないだろう」という最後の一行が印象に残りました。

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5つ星のうち 5.0現代中国がよくわかる、マクロでもミクロでも
投稿者 1234543 投稿日 2015/9/17
形式: 単行本(ソフトカバー)
中国旅行記のようなところもあり、いろいろな中国が見られます。

また、著者の歴史観、中国観なども書かれているおり、かなり微妙な問題についても自分なりの考えを批判を恐れず書いています。

人民解放軍が共産党中央の命令に従わないこともあるとの記述は、怖く感じました。昔の日本軍と同じです。

そういえば、十年以上前のことですが、アメリカの軍艦が香港に寄港して乗組員に静養させようとしたとき、突然中国が約束をほごにして拒否したことがありました。アメリカ側は家族の多くも香港に集まって会えるのを楽しみにしていたのに、できず非常にがっかりしたようです。この時も中央政府は承認していたのに、軍がクレームを入れたのかもしれません。

ちなみに、この後米軍は日本に向かったと思うのですが、わざわざ台湾海峡を通って行きました。完全に中国に対する嫌がらせでした。

第1刷の間違い、でしょう。
66ページ 中国の範図 → 中国の版図
152ページ 万平方キロ → 平方キロ
254ページ エジプト → エチオピア これは他の方も指摘しています
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極めて優れた中国経済論
投稿者 lexusboy トップ1000レビュアーVINE メンバー 投稿日 2015/8/30
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橘氏の著作はとかく批判があることも多いが、本書の質の部分では全く問題ないであろう。
多くの著作が読み込まれた痕跡があり、それは、近刊本の読書案内としての意味合いも持っている。
「私論」とあるが、論としては、実際の私的体験を盛り込みつつも、アカデミアでも通用する立派な著作であると思う。
私論とされているのは、自らの経験をそのままストレートに出している部分があるので、それを謙遜をこめて、そう言っておられるのであろう。

本書は、中国経済において起こっている現象を的確に説明していると思う。
なぜこんなに急激な成長が可能であったか、どこにリスクを孕んでいるのか、など明確に説明される。
また、腐敗がなぜなくならないかについての分析は明快であり、行動としての合理性、不可避性が説明される。

腐敗が生じるのは、公務員の給料が安いからであるという。では、給与水準を上げればよいかというとそうではない。
なぜなら、とにかく公務員の人数が多いので、僅か上げただけでも財政が破綻するという。
考えてみれば、中国には医療保険制度や年金制度が未整備である。今後いったいどうなるのだろうか?

また、共産党の正統性についての議論も面白い。要は建国の指導者がいなくなったのに、なぜ、共産党が統治しているのかについて常に答えを出し続ける義務を負っているというのは指摘のとおりだ。

共産党は地方すべてを鉄の規律でコントロールしていると思いがちだがそうでないとの指摘も重要だ。
省政府どころか政治局常務委員の指示ですら、市や県や郷鎮では無視されるという。
なぜそうかというと、改革開放というのは「共産党の支配を容認する代わりに自分たちの金儲けには口を出させない」という暗黙の契約の上に成り立っているからだという。

中国の歴史教育が偏向しているという点については、中国共産党、あるいは建国の歴史が、強大で邪悪な日本帝国に打ち勝ったことが神話化(建国神話)しているという。
偏向も何も、共産党の正当性そのものを語っている部分なので、大きく変わることは期待できないとのことで、それも全くその通りだ。

他にも、
・中国では、歴史的・文化的な要因から、社会的な資源としての「信頼=絆」が常に不足していた。
・理財商品の敷仕組みは闇銀行と同じで、高い金利でお金を集め、それを中小企業などに融資するのだ。
融資先の破綻リスクは理財商品を組成した信託会社が追うことになるが財務基盤がないため、最終的に販売した金融機関の責任が問われることになる。・・最終的には地方政府が尻ぬぐいする。
・無から有を生み出す錬金術のからくりは中国の急速な都市化にある。中国の地方政府は土地を販売することで巨額の利益を生み出している。

とにかく、随所に感心する内容が盛り込まれている。一読をお奨めする。
なお、つまらない指摘をしておくと、「エジプトのアジスアベバでは・・」という校閲漏れがあるのはご愛敬かと。
~~~~~~~~~~~~
タイトルを裏切らない私論
投稿者伊達政宗2015年6月7日

形式: Kindle版

本のサイズ、今、中国で話題のバブルの象徴とも
言えるゴーストタウン「鬼城」のカラー特集と、
思わず買ってしまったのに後悔。
買う気にさせるが、買って読んでみると後悔する本です。
昨今、中国に関する書籍が多く出版されていますが、
最も、考察が薄っぺらい分類に属するものです。
中国の素人が、タイトル通り私論を述べただけの内容です。
お金をかけて買う価値なし、出版する価値もなく、
せいぜい個人のブログででも述べるべき程度の私論です。
~~~~~~~~
金の無駄でした
投稿者カスタマー2015年3月29日

これまでに岡田英弘、小室直樹等の中国本を読んだ人は内容が重複するため、読む価値なし。
歴史問題とやらについても、日本の軍隊が中国に居たことが間違いなどと言っているが、これも
その前の歴史的な経緯を無視した戯れ言に等しい。

中国人に受け入れられない日本国内向けの議論はしても意味がないなどとも書いているが、
これは要は中国共産党政府の意見をすべて受け入れろと言っているに等しい。

著者の書いた本は他にも購入したことがあるが、これほど金が無駄だと思ったことはない。百円でも
高いと思う。ある程度、「中国」本を読んでいる人は買う必要は<全く>ないです。

この程度の内容の本にこれほど高い評価が付いていることは怪しいと思う。