パリ同時テロ 主犯格の男、残忍な素顔 ネット上で過激プロパガンダ | 日本のお姉さん

パリ同時テロ 主犯格の男、残忍な素顔 ネット上で過激プロパガンダ

パリ同時テロ 主犯格の男、残忍な素顔 ネット上で過激プロパガンダ
産経新聞 11月18日(水)7時55分配信

 【ベルリン=宮下日出男】パリ同時多発テロの主犯格として浮上したベルギー国籍のアブデルハミド・アバウド容疑者(27)は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」で、インターネット上のプロパガンダを行ってきたといわれる。シリアから今回のテロを指揮したとみられ、テロを実行・支援したフランス人の兄弟とも、イスラム系が多く失業率が高いベルギー・ブリュッセルのモレンベーク地区で接点があったようだ。あぶり出される「ベルギー・コネクション」を欧州メディアの報道を基に探った。

 「当局者に足止めされたが、刑務所への収監歴もあるのに何も起きなかった」。アバウド容疑者は2月、イスラム国のネット機関誌「ダービク」で語った。武器調達などテロ準備のため、ひそかにベルギーに渡航できたと豪語した。

 モレンベーク地区で育ったモロッコ系。イスラム教徒や貧困層が多く、過激派の「温床」と呼ばれる環境ながら、有名高校に通い、将来は明るいようにも見えた。だが、2013年にイスラム国に参加した。

 イスラム国の活動には、13歳の弟を説得して勧誘したほど熱心だったことで知られる。その残虐さが衝撃を広げたのは、昨年明るみに出たプロパガンダ用ビデオだった。

 「神のおかげだ。運んでいるのは背教者らだ」。そう語るアバウド容疑者が乗ったトラックには、いくつもの死体が積まれていた。

 このビデオを昨年、入手したフリージャーナリストはAP通信に、「何かカリスマ性がある若者だ」と印象を語った。

 アバウド容疑者は今年1月、ベルギー当局が阻止した同国内の大規模テロ計画に資金提供したとされるほか、4月のパリの教会に対するテロ未遂や、8月にオランダからパリへ向かう国際列車で起きたテロ未遂に関わったとの情報もある。

 「2人は普通の若者だった。洗脳されたのだろう」。モレンベークの一角のレンガ造りの建物。閉鎖された1階のバー近くで地元の青年が語った。

 「2人」とは実行犯のブラヒム・アブデスラム(31)、犯行に使われた車を用意したとされるその弟のサラ・アブデスラム(26)の両容疑者だ。

 アブデスラム兄弟とアバウド容疑者の接点も判明しつつある。アバウド容疑者は、サラ容疑者とともに2010年、強盗容疑で刑務所に収監されたという。イスラム国の活動に積極的なアバウド容疑者が、サラ容疑者を誘った可能性がある。

 兄弟が営んでいたバーは最近、閉鎖された。違法な麻薬が店内で使用されていたためだ。8月には家宅捜索も行われていた。

 パリの同時テロでは兄弟2人を含むフランス人らが過激思想に染まり、犯行に及んだ疑いが強まっている。知人らによると、2人はモスク(イスラム教礼拝所)に通うこともなく、たばこを吸っていた。そもそも2人のバーは宗教上、禁じられた酒を提供する場だった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151118-00000067-san-eurp

2015.11.18 10:10更新
【パリ同時多発テロ】
劇場襲撃犯はパン職人志望の地味な男 「敬虔なイスラム教徒ではなかった」 キリスト教の街に走る衝撃
同時多発テロのモステファイ容疑者が以前住んでいた住宅=フランス北部シャルトル(森浩撮影)

【シャルトル(フランス北部)=森浩】パリ中心部のバタクラン劇場で多数の観客を殺害し、その後に死亡したイスマイル・モステファイ容疑者(29)は、パリ南西の町、シャルトルで育った。性格は地味で、知人らは「テロに走るとは思ってもみなかった」と口をそろえる。モスク(イスラム教礼拝所)にもあまり顔を出していなかったモステファイ容疑者。パン職人を目指していた物静かな青年は、いつの頃からか過激思想に染まり、満員の観客に向け自動小銃の引き金を引いた。

■古都郊外に住む移民

「覚えているよ、同じモスクに通っていたから。青い目が印象的だったが、それ以外は特に記憶にない」

シャルトルのタクシー運転手でイスラム教徒のメディさん(38)は、モステファイ容疑者について振り返った。

シャルトルはパリ南西約100キロに位置し、市中心部にはシンボルマークであるキリスト教の大聖堂が建ち、フランスの古都という風格を保つ。

その一方で、少し車を走らせると景色は工業地帯に変わり、イスラム教徒ら移民が多数住む一帯となる。高級とはいえない住宅に、アラビア語放送を受信するためのパラボラアンテナがずらりと設置されている。

「この街では、みんな表では自由、平等、博愛を訴えるの」と話すのは、自身はカトリック教徒だというベロニク・デュボンさん(42)。「でも中身はみんな違う。イスラム教と聞くと身構えてしまう」。キリスト教徒とイスラム教徒が、奇妙な間合いを保ちながら生活する街といえる。

■「実態見て見ぬふり」

モステファイ容疑者は、パリ南部でアルジェリア系の5人きょうだいの1人として生まれた。その後、家族とともにシャルトルに引っ越した。16歳ごろまで学校に通い、やがて期間工として働き始めたという。パン屋で技能研修を受けていたこともある。
モステファイ容疑者が数年前まで住んでいた自宅は、長屋のように連なった住宅の角だった。現在は別人が住んでいる。付近は閑散としており、人の声もあまり聞こえない。

近くに住むアレクサンドラ・ルベックさん(21)は、姉がモステファイ容疑者と同級生だった。「物静かな青年で、あまり記憶にない。事件後に名前を聞いて初めて存在を思い出した」と話す。1985年から近くに住むというル・コグンさん(65)も「そんな人がいたことすら気づかなかった」と驚く。

地元メディアの報道によると、モステファイ容疑者は2013年にシリアに渡り、14年にシャルトルに戻ってきたとされる。そうした足跡すら把握している人はいなかった。

市内3カ所にモスクがあるが、熱心な信者でもなかったようだ。モスク関係者は「金曜日の礼拝にも、さほど顔を見せなかった。敬虔(けいけん)なイスラム教徒ではなかった」と明かす。

そんな地味な男をテロに突き動かしたのは何だったのか。タクシードライバーのメディさんは「理由は分からないが、犯行は彼の頭の中で何かが増殖されていった結果だろう」と推測し、こう続けた。「土木工事や炭鉱などの仕事を請け負い、フランスをつくったのはイスラム系移民だ。フランス社会は、そんな実態について見て見ぬふりをしてきた」。
http://www.sankei.com/affairs/news/151118/afr1511180005-n1.html

2015.11.17 21:38更新
【パリ同時多発テロ】
「ソフトターゲット」いかに守るか 日本も「超危険人物」の潜伏許した過去 多重対策目指す
フランスでは、パリ同時多発テロ10カ月前のイスラム過激派による銃撃テロを契機に、防御策が一層強化されていた。ただ、劇場や競技場、大規模ショッピングモール、飲食店などの「ソフトターゲット」は警備が行き届きにくいのが実情だ。無数に広がったテロ攻撃対象への被害防止について、日本も困難な状況に直面している。

「日本への国際テロの脅威が現実となっている」。警察庁の金高雅仁(かねたか・まさひと)長官は17日、来年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の警備担当者会議でこう強調し、入管当局などと連携してテロリストの入国阻止を徹底するよう指示した。

日本の警察当局には苦い経験がある。爆弾テロに関与したとして仏当局がICPOに手配を要請していた国際テロ組織アルカーイダ傘下組織の仏国籍の幹部が、2002年夏から1年あまり国内に潜伏していたことが、04年、同幹部が独で拘束された後になって判明。「危険性超一級の人物」(警察庁OB)の入国、長期潜伏を許していたのだ。
国際テロリストの動向把握の必要性を痛感した政府は来年4月、海外におけるテロ情報の収集・分析の強化を図るための対外情報組織「国際テロ情報収集ユニット」を新設する。諸外国の情報機関とのコンタクトや情報分析に精通した警察庁の滝沢裕昭・前外事情報部長をトップに抜擢。テロリストの動向監視や水際での入国阻止に役立てる方針だ。

しかし、警察関係者は「課題は山積み」と焦りをにじませる。流入テロリストだけではなく、国内で育つ「ホームグロウン」テロリストや同調者の動向把握が、極めて難しいためだ。

警察当局は、監視体制の物理的強化と共に「基本に立ち返る」ことも意識。対策として(1)インターネット上でテロを示唆する不審動向(2)販売店で爆発物の原材料となる特定薬品などを大量購入する行為(3)テロの扇動や同調者獲得を狙う動き-などの把握能力を強化。また特殊部隊の装備向上などで万一、入国や国内潜伏を許したとしても、テロ実行を直前で阻止するといった“多重対応”で防止を目指す構えだ。
http://www.sankei.com/affairs/news/151117/afr1511170035-n1.html

「特攻とテロはまったく違う」 実行犯「kamikaze」仏報道に元隊員憤り
2015.11.18 08:54

 パリで起きた同時多発テロ事件で、現地メディアが自爆テロ実行犯を「kamikaze」(カミカズ)=カミカゼの仏語風発音=と表現していることに、語源となった神風特攻隊の元隊員から憤りの声が上がっている。命をなげうち、祖国を守ろうとした特攻と、無辜(むこ)の民間人を犠牲にするテロを同一視するような報道に、元隊員は「国のために戦死した仲間は、テロリストとは全く異なる」と反発している。 

 「日本をなんとか救おうと、愛国心の一念から仲間は飛び立ち、命をささげた。テロと特攻を一緒にするのは戦友に対する侮辱であり、残念至極だ」

 福岡県豊前市の末吉初男氏(88)は17日、産経新聞の取材にこう語った。

 末吉氏は16歳で陸軍少年飛行兵に応募し、昭和18年に陸軍飛行学校に入校した。18歳だった20年4月28日、特攻隊として、4機5人と台湾の飛行場から飛び立ったが、約1時間後、隊長機にトラブルが起きて沖縄・石垣島に全機不時着した。再出撃の命令は出ず、そのまま終戦を迎えた。

 末吉氏は、爆弾を積んだ小型ボートで敵艦隊に突入する特攻に旧海軍が「神風」という言葉を用い始め、国内に広がったと記憶している。鎌倉時代の元寇の際に暴風が起きたことから、「日本が最悪の状況に陥ったときには神風が吹く、国を守るために神様が加勢してくれると信じさせてくれる言葉だった」と振り返る。

 戦後70年、亡くなった戦友のことは片時も忘れず、冥福を祈り続けた。

 今回、パリの事件を報道で知り、「無差別に人を狙う、こんな恐ろしいことが起こる世の中になった」と残念な思いでいた。
ところが、そんなテロの代名詞に「カミカゼ」が、誤って用いられている。

 特攻の攻撃対象は敵艦であり、乗っているのは軍人だ。無差別に一般市民を巻き添えにすることは決してなかった。末吉氏も、敵艦を攻撃するために特殊教育を受けた。

 航空母艦を標的とする際、鉄板の甲板に突っ込んでも空母は沈まない。格納している航空機の昇降口を狙うなど、課せられた任務を遂行するために、むやみな突入をしないことは絶対だった。

 「戦友は上司の命令に従い、国を守るため、天皇陛下のためと死んだ。特攻とテロが一緒にされるとは心外でたまらない。戦友に対して申し訳なく、はがゆい思いでいっぱいだ」

 自爆テロやテロリストを「カミカゼ」と表現する報道は、2001年9月の米中枢同時テロ以降、見られるようになった。今回テロ事件が起きたフランスでは、「3人の『カミカズ』のうち、1人がフランス人だ」「『カミカズ』が競技場に侵入しようとしていた」などの文言で報じられ、捜査を担当するパリの検事も記者会見で「カミカズ」と口にしている。
末吉氏は、これまで生き残ったことを申し訳なく思う気持ちから、戦争体験をほとんど語ってこなかった。だが、戦後70年を迎え、ようやく今年、生き証人として自らの経験を語り始めた。

 「話を聞く若い世代の中には、これから政治家や指導者になる人もいるだろう。ひとりでも多くの人に、真実を知ってもらいたい」と強調した。(高瀬真由子)
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/151118/wor15111808540005-n1.html

パリ同時多発テロ 自爆テロ犯は「カミカズ」仏報道で「神風特攻隊」を誤解?
2015.11.16 16:51

 「3人の『カミカズ』のうち、1人がフランス人だ」(仏紙リベラシオン)

 「『カミカズ』が競技場に進入しようとしていた」(フィガロ紙)

 パリで13日起きた同時多発テロを受けて、現地メディアが一斉に「カミカズ」という言葉を用いている。捜査を担当するパリの検事も記者会見で、何度も「カミカズ」を口にした。

 「カミカズ」とは自爆テロ犯の意味で、日常会話でも頻繁に登場する。実は、その語源は日本の神風特攻隊にあり、「カミカゼ」を仏語風に発音した。

 神風特攻隊があくまでも敵軍を相手にしたのに対して、自爆テロは一般市民を狙ったテロだ。英語圏では自爆テロ犯を「スイサイドボマー(自殺的な爆破者)」と呼ぶが、フランスでは日本からの外来語が誤解されたまま、「カミカズ」がまかり通っている。

 「1回きりで限られているから、楽しく精いっぱい生きる」というのが一般的なフランス人の人生観だ。近隣国から侵略を受け続けた歴史を持つフランスは、国家から個人まで生存本能の塊であり、任務を帯びたとしても、自殺行為はフランス文化と対立する概念なのだ。
 加えて、フランスは古くから東洋の文化を神秘的にとらえる傾向がある。このため、「理解しがたい」と「畏怖する」という二面性の意味合いが、「カミカズ」に込められている。

 ちなみに、今年1月にテロリストから襲撃された仏風刺週刊紙シャルリー・エブドの前身は、1960年創刊の月刊「アラキリ」。「アラキリ」を英語読みすると「ハラキリ」。これまた日本の「切腹」を意味しており、その内容は笑って腸がよじれるようなブラック・ユーモアで知られていた。(パリ 松浦肇)
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/151116/wor15111616510026-n1.html