アメリカは、この連帯を、最大の脅威である中国に対抗するために使うかもしれません。
★「パリ同時多発テロ」で何が変わる?
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは。
北野です。
(●ついに最終回!
CGS動画、最終回は、「戦国時代に生きる私たちの心構え」について話しています。
是非ごらんください。↓
https://www.youtube.com/watch?v=0uyS-apZ7fQ
皆さんご存知のように、フランス史上最大、最悪のテロが起こりました。
今日は、これについて考えてみましょう。
▼何が起こったのか?
時事通信11月15日に、「何が起こったのか?」がよくわかる記事がでています。
長いですが、引用してみましょう。
↓
<30分間に7カ所襲撃=3チームで分刻みの犯行─パリ同時テロ
時事通信 11月15日(日)10時49分配信
パリ検察のモラン検事は14日の記者会見で、同時テロの推移を分刻みで説明した。
実行犯は三つのチームに分かれ、競技場とレストラン、バタクラン劇場をそれぞれ襲撃。
30分余りの間に7カ所を立て続けに襲う用意周到な犯行の様子が明らかになってきた。
ロイター通信などによると、最初の襲撃は13日午後9時20分。
フランス対ドイツのサッカー親善試合が行われていた競技場のゲート付近で、襲撃犯の1人が着用していた自爆ベストを起爆させた。
犯人が死亡したほか、近くにいた1人が巻き込まれ、一連のテロの最初の犠牲者となった。
その直後、カラシニコフ自動小銃で武装した複数の襲撃犯が、セアトの黒い車でパリ10区に出現。
同25分、レストラン2カ所のテラス席で金曜の夜を楽しむ人々に向かって乱射し、15人を殺害した。
同30分、最初の襲撃があった競技場で2人目の男が自爆死。
1人目と似た自爆ベストを着用していた。
10区に隣接する11区では同32分と同36分、レストラン2カ所が相
次ぎ銃撃され、計24人が死亡。
いずれの現場でも、黒いセアト車に乗りカラシニコフを持つ襲撃犯が目撃されており、10区と同じチームによる犯行とみられる。
同40分ごろには、男1人が11区にある別のレストランで自爆死。
巻き込まれた1人が負傷した。
同じ頃、襲撃犯3人がバタクラン劇場付近にフォルクスワーゲン
の黒い車で乗り付けた。
3人は劇場内に侵入すると、コンサートに熱狂する若者らに向かって銃を乱射。
89人を殺害して劇場内に立てこもった。
同53分、競技場付近で3人目の男が自爆。
最初の襲撃からここまで、わずか33分間の凶行だった。>
わずか33分の間に、7か所でテロ。
メチャクチャ組織的であることがわかります。
フランスのオランド大統領は、「イスラム国の犯行だ!」と断定しました。
そして、「イスラム国」は、「犯行声明」を出しています。
↓
<ISがビデオ声明「フランス人を眠らせるな」 空爆非難
朝日新聞デジタル 11月15日(日)7時23分配信
過激派組織「イスラム国」(IS)の広報部門のロゴが付けられたビデオ声明が14日、ネット上に掲載された。
仏語で「おまえたちは我々を抑圧し、宗教を攻撃し、預言者を侮辱した。
我々はいま、おまえたちのパスポートを信じない」などと述べた。
複数の男たちがフランスのパスポートを燃やし、アラビア語で「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と声をあげた。>
「動機」は何なのでしょうか?
「フランスが、シリアに介入したことだ」とテロリストは語っていたそうです。
↓
<パリ連続襲撃事件、実行犯は「シリア介入」が動機と語る
AFP=時事 11月14日(土)13時13分配信
【AFP=時事】仏首都パリ(Paris)で13日夜に起きた連続襲撃事件で、標的にされた場所のうち約100人が死亡したコンサートホール「バタクラン(Bataclan)」に立てこもった実行犯の1人は動機として、シリア内戦へのフランスの軍事介入を口にしていたと目撃者が語っている。
現場に居合わせたラジオ司会者のピエール・ジャナザック(Pierre Janaszak)氏は「彼らがはっきりと、オランド(仏
大統領)の誤りだ、おまえたちの大統領の誤りだ、シリアに介入すべきではなかった、と言ったのを聞いた」と話した。>
というわけで、
犯行 = イスラム国
動機 = フランスがシリアに介入したこと
(●フランスは、2014年9月からイスラム国への空爆に参加している。)
▼パリ同時多発テロ前の状況
以上、13日に起こったことを見ました。
しかし、状況をもっと深く理解するために、テロリストがいっている「シリアで何が起こったのか?」を知る必要があるでしょう。
中東、北アフリカ諸国で2010年ごろから「アラブの春」と呼ばれる革命運動が活発になりました。
実際にいくつかの国で、独裁政権が崩壊しています。
2011年末、独裁者アサドが支配するシリアでも、「革命運動」がおこってきた。
ロシアは、事実上の同盟国であるシリアのアサド現政権を支持。
一方、欧米は、「反アサド派」の支援を開始しました。
もちろん今回テロがあったフランスも。
この辺は、皆さんご存知ですね。
「イスラム国」は当時、欧米が「民主主義を求める善の勢力」と定義した「反アサド派」に属していました。
長くなるので、ここでは詳細に触れませんが、
「イスラム国」【驚愕の正体】については、こちらの記事をご一読ください。
↓
http://www.mag2.com/p/news/118892
欧米対ロシアの「代理戦争」と化したシリア内戦は激化していきました。
「なかなかアサド政権は倒れない!」
業を煮やしたオバマは2013年8月、「シリアを攻撃する!」と宣言します。
しかし、翌9月、「やっぱシリア攻撃やめた!」と戦争をドタキャン。
世界を仰天させます。
プーチンの説得により「化学兵器破棄」に同意したアサド。
誠実に約束を守り、政権を延命させることに成功しました。
アメリカの熱意が衰えてきたことで、「イスラム国」は「反アサド派」の枠にとどまらない活動を開始します。
2014年1月、「イスラム国」は「独立」を宣言しました。
同6月には、「カリフ宣言」。
そして、彼らは外国人を片っ端から捕まえ、身代金を要求。
「公開処刑」の動画をネット上に公開し、世界を震え上がらせました。
2014年8月、オバマは、「イスラム国」への空爆開始を宣言。
同年9月、今回テロがあったフランスが空爆参加を表明。
「有志連合国」の数は、どんどん増えていきました。
しかし、アメリカを中心とする空爆は、どうも「本気」が感じられません。
1年間空爆をつづけている間、「イスラム国」は弱くなるどころか、逆に支配領域を広げていった。
ロシアは、欧米の空爆について、
「本気ではない。
イスラム国をアサド政権打倒のための武器として使っている」
と考えています。
長びくシリア内戦。
支配領域を拡大していく、残虐な「イスラム国」。
結果、新たな大問題が起こってきました。
それが、「大量難民」の問題です。
テロが起こる前、欧州のメディアは、毎日「難民問題」がメインでした。
2015年9月30日、ロシアがシリア空爆を開始。
「共通の敵イスラム国を打倒するため」という建前ですが、本音は、親ロシア・アサド政権を守るため。
それで、「イスラム国」と「反アサド派」両方を空爆しています。
「イスラム国をアサド打倒のために利用したい」欧米の「なんちゃって空爆」と違い、ロシアは本気。
1か月半の空爆で、アサド政権は元気を取り戻しました。
アサド軍は現在、着々と失地を回復しています。
これが、「パリ同時テロ」が起こる前の状況です。
▼「パリ同時多発テロ」で何が変わる?
次に、「パリ同時多発テロ」で何が変わるかを考えてみましょう。
・フランス
まず、テロが起こったフランス。
オランドさんは、「イスラム国」に逆襲せざるを得ないでしょう。
つまり、いままでとは違って、真剣に「イスラム国」を空爆しなければならない。
ここでやめたら「イスラム国に屈した」ことになります。
・欧州全般
欧州はどうでしょうか?
欧州は、今回のテロを、「難民受け入れ拒否」の口実として使うでしょう。
というのは、テロリストの中に、「難民が含まれていた」という報道があるからです。
朝日新聞デジタル11月15日から。
↓
<検察は会見で、サッカー場で見つかった自爆テロの容疑者1人の遺体の近くから、シリアの旅券(パスポート)が見つかったと述べた。
旅券の人物はシリアで1990年9月に生まれ、現在は25歳になる。
だが容疑者が旅券の所有者本人かどうかは不明。
ギリシャ政府は会見に先立ち、この旅券の所有者が10月3日、トルコ国境に近いギリシャ東部レロス島で難民として手続きをとった記録があることを明らかにした。
ギリシャは指紋などのデータをフランスに送った。>
実際、「難民の中にイスラム国メンバーが混ざっていること」は大問題です。
「便衣兵」(=敵を欺くために私服を来た軍人)を大量に入れているようなもの。
というわけで、欧州が今回のテロで、「難民を規制しよう」となるのは、当然の流れですね。
(難民が欧州に来なくてもいいよう、シリアの安定化が急がれます。)
・ロシア
あまりよくない言い方ですが、事実として、「パリ同時テロ」で楽になるのがプーチン・ロシアです。
皆さん思い出してください。
「クリミア併合」で、プーチンが「世界の孤児」なったのは、1年8
か月前です。
今、「ウクライナ問題」を思い出す人は、ほとんどいません。
ロシアのシリア空爆は、当初「反アサド派を空爆している!」と非
難されました。
しかし、批判の声はどんどん小さくなっています。
「パリ同時多発テロ」を受けて、プーチンはこんな声明を出しまし
た。
毎日新聞11月15日
↓
< ◇ロシア
ロシアのプーチン大統領は14日、オランド仏大統領に弔意の電
報を送った。
露大統領府によると、プーチン氏は「野蛮なテロ」と非難し「この
悪との戦いには国際社会の真の協力が必要なのは明らかだ」と訴え
た。
シリア空爆を巡り、ロシアが欧米諸国と対立していることなどを念頭に置いた発言とみられる。 >
いつの間にか、「クリミア」「ウクライナ」問題は忘れ去られた。
そしてプーチンは、「欧米と共に、共通の敵イスラム国と戦う同志」になりつつあります。
1年前には、「ヒトラーの再来」と呼ばれた男が、見事ですね。
そして、「ロシアが欧米と和解にむかう」のは、RPEが3月に予想したとおりです。
・アメリカ
「パリ同時多発テロ」前、アメリカは影響力の低下に悩んでいました。
3月、「AIIB事件」が起こり、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国などが、
アメリカを裏切り、中国側についた。
世界は現在、「米中覇権争奪戦」を軸にまわっています。
しかし、勝敗は、「その他の大国がどっちにつくのか?」できまる。
アメリカにとって特に痛いのは、味方だと思っていた欧州諸国があきらかに米中間で揺れてい。
むしろ「中国側」に傾いている。
今回のテロで、アメリカは、「イスラム国との戦い」を名目に、欧州への影響力回復につとめるでしょう。
「敵の敵」は味方。
「イスラム国」という「共通の敵」を利用し、
アメリカ、欧州、ロシア
の連帯を構築しようとすることでしょう。
しかし、アメリカは、この連帯を、最大の脅威である中国に対抗するために使うかもしれません。
2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが起こりました。
そして、世界は大きく変わりました。
2015年11月13日、「パリ同時多発テロ」が起こった。
今回も、世界は大きく変わるはずです
●PS1 北野からお願い
皆さんにお願いがあります。
「まぐまぐ大賞2015」の投票がはじまりました。
もし、これを読んでおられるあなたが、
「ロシア政治経済ジャーナル、本当に役に立っています!」
とお考えであれば、一票入れていただけると、とてもうれ
しいです。
方法ですが、 http://e.mag2.com/1Mz8szv に入ります。
投票するための記載内容は、
・名前(●ニックネームOK)
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☆☆☆推薦するメルマガID
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(この数字をコピペしてください。)
・推薦理由
以上になります。
なにとぞよろしくお願いいたします。
●PS2
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これを読むと、あなた自身で、日本と世界の未来を予測でき
るようになります。
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●面白かったら、拡散お願いいたします。>
【北野幸伯の激面白本】
●日本自立のためのプーチン最強講義(集英社インターナショナル)
(詳細は→ http://tinyurl.com/nkam4c9 )
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最初から最後まで、徹底的に具体的・現実的!
これで、「日本が自立する方法」を完璧に理解できます。
09年9月、アメリカに嵌められたロシア・ベド大統領は、プーチン首相を解任した。
命の危険を感じたプーチンは、日本に政治亡命する。
日本柔道界に保護され、稽古に励むプーチン。
しかし、日本政界は、彼を放っておかなかった。
行列をなして彼のもとへ訪れる日本の政治家たち。
その中に、再起を誓う矢部元首相の姿があった。
プーチンは、90年代アメリカの属国だったロシアを、どうやって「自立」させることに成功したのか?
懇願する矢部に 、つ いにプーチンは口を開き、その「秘密」を語りはじめた。
「プーチン最強講義」の内容は?
・中国から尖閣・沖縄を守り、かつアメリカからの自立も成し遂げる方法とは?
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・難問TPPにどう対処すべきか?
・日本のエネルギー自給率を100%にする方法とは?
・日本経済を復活させ、財政も再建する方法とは?
・核兵器を保有すれば、日本は自立できるのか……?
さて、首相に返り咲いた矢部は、はたしてプーチンの秘策に従って「日本自立」を成し遂げられるだろうか……?
この本を読み終えたとき、あなたは「日本自立」までの道筋を、 完璧に理解できるようになっていることでしょう。
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★★★【北野幸伯の本】
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(詳細は→ http://tinyurl.com/8y5mya3 )
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<プーチン本はいろいろ出ているが、これが独特で面白い。>
(立花隆 「週刊文春」2012年7月12日号)
「100年に1度の大不況」はプーチンのせいで起こった?!
今明かされる驚愕の裏真実!(証拠つき)
2003年、フセイン政権を打倒したアメリカは、次にロシアの石油利権獲得を目指す。
ユダヤ系新興財閥ホドルコフスキーから、ロシア石油最大手「ユコス」買収の約束をとりつけることに成功したのも束の間。
プーチンはホドルコフスキー逮捕を命じ、ロシアの石油をアメリカに渡さない決意を示した。
しかし、ホドルコフスキーの後ろには、ロスチャイルド家、ネオコンの首領チェイニー米副大統領 が・・ ・。(証拠つき)
こうしてプーチン率いるKGB軍団と世界の支配者の壮絶な戦いが開始された。
08年のロシア-グルジア戦争でピークに達した米ロの争い。
なぜ両国は和解し、関係を「再起動」することに合意したのか?
プーチンとメドベージェフの対立。
そして、プーチンを裏切ったメドベージェフの背後にいた勢力とは?
大統領に返り咲いたプーチンは、どのようにアメリカに「とどめを刺す」のか?
豊富な資料と証拠で、あなたの世界観を一変させる真実の書。
「洗脳マトリックス」の心地よいぬるま湯につかっていたい方は、決して読まないでください。危険です。
●「プーチン最後の聖戦」 (集英社インターナショナル)
(詳細 は→ http://tinyurl.com/8y5mya3 )
【無料】
●世界一わかりやすいアメリカ没落の真実【北野幸伯著】
RPE発行者・北野幸伯が、「アメリカ没落の真実」を世界一わかりやすく解説します。
「住宅バブル崩壊」「サブプライム問題」「リーマン・ショック」等、一般的な説明ではありません。
「アメリカは、ドイツ、フランス、ロシア、中国等 『多極主 義陣営』に『意図的』に『没落させられた』」
山盛り資料 ・証拠つきで、真実を暴露していきます。
おかげさまで、「メルぞう」ニュース・情報源部門、【歴代NO1】。
第10回、11回Eブック大賞・優秀賞連続受賞。
第12回Eブック大賞・最優秀賞受賞。
まだ読んでいない方、いますぐ歴史の真実を知ってください。
【完全無料】です。
ダウンロードは↓
http://tinyurl.com/pnx6e2m
★編集後記
今回のような事件があった直後、冷静なフリをして記事を書くのは、
楽ではありません。
犠牲者の皆さまのご冥福をお祈り申し上げます。
RPEジャーナル
北野幸伯
○メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」
発行者 北野 幸伯
◎ロシア政治経済ジャーナル のバックナンバー
://archives.mag2.com/0000012950/index.html
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは。
北野です。
(●ついに最終回!
CGS動画、最終回は、「戦国時代に生きる私たちの心構え」について話しています。
是非ごらんください。↓
https://www.youtube.com/watch?v=0uyS-apZ7fQ
皆さんご存知のように、フランス史上最大、最悪のテロが起こりました。
今日は、これについて考えてみましょう。
▼何が起こったのか?
時事通信11月15日に、「何が起こったのか?」がよくわかる記事がでています。
長いですが、引用してみましょう。
↓
<30分間に7カ所襲撃=3チームで分刻みの犯行─パリ同時テロ
時事通信 11月15日(日)10時49分配信
パリ検察のモラン検事は14日の記者会見で、同時テロの推移を分刻みで説明した。
実行犯は三つのチームに分かれ、競技場とレストラン、バタクラン劇場をそれぞれ襲撃。
30分余りの間に7カ所を立て続けに襲う用意周到な犯行の様子が明らかになってきた。
ロイター通信などによると、最初の襲撃は13日午後9時20分。
フランス対ドイツのサッカー親善試合が行われていた競技場のゲート付近で、襲撃犯の1人が着用していた自爆ベストを起爆させた。
犯人が死亡したほか、近くにいた1人が巻き込まれ、一連のテロの最初の犠牲者となった。
その直後、カラシニコフ自動小銃で武装した複数の襲撃犯が、セアトの黒い車でパリ10区に出現。
同25分、レストラン2カ所のテラス席で金曜の夜を楽しむ人々に向かって乱射し、15人を殺害した。
同30分、最初の襲撃があった競技場で2人目の男が自爆死。
1人目と似た自爆ベストを着用していた。
10区に隣接する11区では同32分と同36分、レストラン2カ所が相
次ぎ銃撃され、計24人が死亡。
いずれの現場でも、黒いセアト車に乗りカラシニコフを持つ襲撃犯が目撃されており、10区と同じチームによる犯行とみられる。
同40分ごろには、男1人が11区にある別のレストランで自爆死。
巻き込まれた1人が負傷した。
同じ頃、襲撃犯3人がバタクラン劇場付近にフォルクスワーゲン
の黒い車で乗り付けた。
3人は劇場内に侵入すると、コンサートに熱狂する若者らに向かって銃を乱射。
89人を殺害して劇場内に立てこもった。
同53分、競技場付近で3人目の男が自爆。
最初の襲撃からここまで、わずか33分間の凶行だった。>
わずか33分の間に、7か所でテロ。
メチャクチャ組織的であることがわかります。
フランスのオランド大統領は、「イスラム国の犯行だ!」と断定しました。
そして、「イスラム国」は、「犯行声明」を出しています。
↓
<ISがビデオ声明「フランス人を眠らせるな」 空爆非難
朝日新聞デジタル 11月15日(日)7時23分配信
過激派組織「イスラム国」(IS)の広報部門のロゴが付けられたビデオ声明が14日、ネット上に掲載された。
仏語で「おまえたちは我々を抑圧し、宗教を攻撃し、預言者を侮辱した。
我々はいま、おまえたちのパスポートを信じない」などと述べた。
複数の男たちがフランスのパスポートを燃やし、アラビア語で「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と声をあげた。>
「動機」は何なのでしょうか?
「フランスが、シリアに介入したことだ」とテロリストは語っていたそうです。
↓
<パリ連続襲撃事件、実行犯は「シリア介入」が動機と語る
AFP=時事 11月14日(土)13時13分配信
【AFP=時事】仏首都パリ(Paris)で13日夜に起きた連続襲撃事件で、標的にされた場所のうち約100人が死亡したコンサートホール「バタクラン(Bataclan)」に立てこもった実行犯の1人は動機として、シリア内戦へのフランスの軍事介入を口にしていたと目撃者が語っている。
現場に居合わせたラジオ司会者のピエール・ジャナザック(Pierre Janaszak)氏は「彼らがはっきりと、オランド(仏
大統領)の誤りだ、おまえたちの大統領の誤りだ、シリアに介入すべきではなかった、と言ったのを聞いた」と話した。>
というわけで、
犯行 = イスラム国
動機 = フランスがシリアに介入したこと
(●フランスは、2014年9月からイスラム国への空爆に参加している。)
▼パリ同時多発テロ前の状況
以上、13日に起こったことを見ました。
しかし、状況をもっと深く理解するために、テロリストがいっている「シリアで何が起こったのか?」を知る必要があるでしょう。
中東、北アフリカ諸国で2010年ごろから「アラブの春」と呼ばれる革命運動が活発になりました。
実際にいくつかの国で、独裁政権が崩壊しています。
2011年末、独裁者アサドが支配するシリアでも、「革命運動」がおこってきた。
ロシアは、事実上の同盟国であるシリアのアサド現政権を支持。
一方、欧米は、「反アサド派」の支援を開始しました。
もちろん今回テロがあったフランスも。
この辺は、皆さんご存知ですね。
「イスラム国」は当時、欧米が「民主主義を求める善の勢力」と定義した「反アサド派」に属していました。
長くなるので、ここでは詳細に触れませんが、
「イスラム国」【驚愕の正体】については、こちらの記事をご一読ください。
↓
http://www.mag2.com/p/news/118892
欧米対ロシアの「代理戦争」と化したシリア内戦は激化していきました。
「なかなかアサド政権は倒れない!」
業を煮やしたオバマは2013年8月、「シリアを攻撃する!」と宣言します。
しかし、翌9月、「やっぱシリア攻撃やめた!」と戦争をドタキャン。
世界を仰天させます。
プーチンの説得により「化学兵器破棄」に同意したアサド。
誠実に約束を守り、政権を延命させることに成功しました。
アメリカの熱意が衰えてきたことで、「イスラム国」は「反アサド派」の枠にとどまらない活動を開始します。
2014年1月、「イスラム国」は「独立」を宣言しました。
同6月には、「カリフ宣言」。
そして、彼らは外国人を片っ端から捕まえ、身代金を要求。
「公開処刑」の動画をネット上に公開し、世界を震え上がらせました。
2014年8月、オバマは、「イスラム国」への空爆開始を宣言。
同年9月、今回テロがあったフランスが空爆参加を表明。
「有志連合国」の数は、どんどん増えていきました。
しかし、アメリカを中心とする空爆は、どうも「本気」が感じられません。
1年間空爆をつづけている間、「イスラム国」は弱くなるどころか、逆に支配領域を広げていった。
ロシアは、欧米の空爆について、
「本気ではない。
イスラム国をアサド政権打倒のための武器として使っている」
と考えています。
長びくシリア内戦。
支配領域を拡大していく、残虐な「イスラム国」。
結果、新たな大問題が起こってきました。
それが、「大量難民」の問題です。
テロが起こる前、欧州のメディアは、毎日「難民問題」がメインでした。
2015年9月30日、ロシアがシリア空爆を開始。
「共通の敵イスラム国を打倒するため」という建前ですが、本音は、親ロシア・アサド政権を守るため。
それで、「イスラム国」と「反アサド派」両方を空爆しています。
「イスラム国をアサド打倒のために利用したい」欧米の「なんちゃって空爆」と違い、ロシアは本気。
1か月半の空爆で、アサド政権は元気を取り戻しました。
アサド軍は現在、着々と失地を回復しています。
これが、「パリ同時テロ」が起こる前の状況です。
▼「パリ同時多発テロ」で何が変わる?
次に、「パリ同時多発テロ」で何が変わるかを考えてみましょう。
・フランス
まず、テロが起こったフランス。
オランドさんは、「イスラム国」に逆襲せざるを得ないでしょう。
つまり、いままでとは違って、真剣に「イスラム国」を空爆しなければならない。
ここでやめたら「イスラム国に屈した」ことになります。
・欧州全般
欧州はどうでしょうか?
欧州は、今回のテロを、「難民受け入れ拒否」の口実として使うでしょう。
というのは、テロリストの中に、「難民が含まれていた」という報道があるからです。
朝日新聞デジタル11月15日から。
↓
<検察は会見で、サッカー場で見つかった自爆テロの容疑者1人の遺体の近くから、シリアの旅券(パスポート)が見つかったと述べた。
旅券の人物はシリアで1990年9月に生まれ、現在は25歳になる。
だが容疑者が旅券の所有者本人かどうかは不明。
ギリシャ政府は会見に先立ち、この旅券の所有者が10月3日、トルコ国境に近いギリシャ東部レロス島で難民として手続きをとった記録があることを明らかにした。
ギリシャは指紋などのデータをフランスに送った。>
実際、「難民の中にイスラム国メンバーが混ざっていること」は大問題です。
「便衣兵」(=敵を欺くために私服を来た軍人)を大量に入れているようなもの。
というわけで、欧州が今回のテロで、「難民を規制しよう」となるのは、当然の流れですね。
(難民が欧州に来なくてもいいよう、シリアの安定化が急がれます。)
・ロシア
あまりよくない言い方ですが、事実として、「パリ同時テロ」で楽になるのがプーチン・ロシアです。
皆さん思い出してください。
「クリミア併合」で、プーチンが「世界の孤児」なったのは、1年8
か月前です。
今、「ウクライナ問題」を思い出す人は、ほとんどいません。
ロシアのシリア空爆は、当初「反アサド派を空爆している!」と非
難されました。
しかし、批判の声はどんどん小さくなっています。
「パリ同時多発テロ」を受けて、プーチンはこんな声明を出しまし
た。
毎日新聞11月15日
↓
< ◇ロシア
ロシアのプーチン大統領は14日、オランド仏大統領に弔意の電
報を送った。
露大統領府によると、プーチン氏は「野蛮なテロ」と非難し「この
悪との戦いには国際社会の真の協力が必要なのは明らかだ」と訴え
た。
シリア空爆を巡り、ロシアが欧米諸国と対立していることなどを念頭に置いた発言とみられる。 >
いつの間にか、「クリミア」「ウクライナ」問題は忘れ去られた。
そしてプーチンは、「欧米と共に、共通の敵イスラム国と戦う同志」になりつつあります。
1年前には、「ヒトラーの再来」と呼ばれた男が、見事ですね。
そして、「ロシアが欧米と和解にむかう」のは、RPEが3月に予想したとおりです。
・アメリカ
「パリ同時多発テロ」前、アメリカは影響力の低下に悩んでいました。
3月、「AIIB事件」が起こり、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国などが、
アメリカを裏切り、中国側についた。
世界は現在、「米中覇権争奪戦」を軸にまわっています。
しかし、勝敗は、「その他の大国がどっちにつくのか?」できまる。
アメリカにとって特に痛いのは、味方だと思っていた欧州諸国があきらかに米中間で揺れてい。
むしろ「中国側」に傾いている。
今回のテロで、アメリカは、「イスラム国との戦い」を名目に、欧州への影響力回復につとめるでしょう。
「敵の敵」は味方。
「イスラム国」という「共通の敵」を利用し、
アメリカ、欧州、ロシア
の連帯を構築しようとすることでしょう。
しかし、アメリカは、この連帯を、最大の脅威である中国に対抗するために使うかもしれません。
2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが起こりました。
そして、世界は大きく変わりました。
2015年11月13日、「パリ同時多発テロ」が起こった。
今回も、世界は大きく変わるはずです
●PS1 北野からお願い
皆さんにお願いがあります。
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なにとぞよろしくお願いいたします。
●PS2
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「日本自立本」の決定版!
最初から最後まで、徹底的に具体的・現実的!
これで、「日本が自立する方法」を完璧に理解できます。
09年9月、アメリカに嵌められたロシア・ベド大統領は、プーチン首相を解任した。
命の危険を感じたプーチンは、日本に政治亡命する。
日本柔道界に保護され、稽古に励むプーチン。
しかし、日本政界は、彼を放っておかなかった。
行列をなして彼のもとへ訪れる日本の政治家たち。
その中に、再起を誓う矢部元首相の姿があった。
プーチンは、90年代アメリカの属国だったロシアを、どうやって「自立」させることに成功したのか?
懇願する矢部に 、つ いにプーチンは口を開き、その「秘密」を語りはじめた。
「プーチン最強講義」の内容は?
・中国から尖閣・沖縄を守り、かつアメリカからの自立も成し遂げる方法とは?
・集団的自衛権と憲法改正。日本にとってなぜ前者は「天国」、後者は「地獄」になるのか?
・難問TPPにどう対処すべきか?
・日本のエネルギー自給率を100%にする方法とは?
・日本経済を復活させ、財政も再建する方法とは?
・核兵器を保有すれば、日本は自立できるのか……?
さて、首相に返り咲いた矢部は、はたしてプーチンの秘策に従って「日本自立」を成し遂げられるだろうか……?
この本を読み終えたとき、あなたは「日本自立」までの道筋を、 完璧に理解できるようになっていることでしょう。
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<プーチン本はいろいろ出ているが、これが独特で面白い。>
(立花隆 「週刊文春」2012年7月12日号)
「100年に1度の大不況」はプーチンのせいで起こった?!
今明かされる驚愕の裏真実!(証拠つき)
2003年、フセイン政権を打倒したアメリカは、次にロシアの石油利権獲得を目指す。
ユダヤ系新興財閥ホドルコフスキーから、ロシア石油最大手「ユコス」買収の約束をとりつけることに成功したのも束の間。
プーチンはホドルコフスキー逮捕を命じ、ロシアの石油をアメリカに渡さない決意を示した。
しかし、ホドルコフスキーの後ろには、ロスチャイルド家、ネオコンの首領チェイニー米副大統領 が・・ ・。(証拠つき)
こうしてプーチン率いるKGB軍団と世界の支配者の壮絶な戦いが開始された。
08年のロシア-グルジア戦争でピークに達した米ロの争い。
なぜ両国は和解し、関係を「再起動」することに合意したのか?
プーチンとメドベージェフの対立。
そして、プーチンを裏切ったメドベージェフの背後にいた勢力とは?
大統領に返り咲いたプーチンは、どのようにアメリカに「とどめを刺す」のか?
豊富な資料と証拠で、あなたの世界観を一変させる真実の書。
「洗脳マトリックス」の心地よいぬるま湯につかっていたい方は、決して読まないでください。危険です。
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「住宅バブル崩壊」「サブプライム問題」「リーマン・ショック」等、一般的な説明ではありません。
「アメリカは、ドイツ、フランス、ロシア、中国等 『多極主 義陣営』に『意図的』に『没落させられた』」
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おかげさまで、「メルぞう」ニュース・情報源部門、【歴代NO1】。
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★編集後記
今回のような事件があった直後、冷静なフリをして記事を書くのは、
楽ではありません。
犠牲者の皆さまのご冥福をお祈り申し上げます。
RPEジャーナル
北野幸伯
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発行者 北野 幸伯
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