死骸の処理は、鳥獣保護法に基づき焼却施設に持ち込むか、穴を掘って埋めなければいけない。
シカ死骸放置、猟友会員を書類送検 県警、養老署
2015年10月20日09:35
岐阜県養老郡養老町の山中にシカの死骸や骨が大量に放置されていた問題で、県警生活環境課と養老署は19日、廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、同町の60代猟友会員を書類送検した。
書類送検容疑は、今年7月2日午前5時30分ごろ、同町柏尾の柏尾谷で、一般廃棄物にあたるシカ1頭の死骸約40キロを不法投棄した疑い。
同課によると、現場は林道脇の崖下約20メートルの谷。町の依頼を受けて、町内の県道で車にひかれて死んだとみられるシカを処分する際、トラックに積んで約3キロ離れた谷に捨てたという。
死骸は土に埋めるか、焼却施設に持ち込むことになっている。会員は「手間がかかるので人目につかない谷に捨てた」と容疑を認めているという。
現場には、シカ2頭の死骸のほか、21頭分の頭蓋骨が放置されていた。会員は「2013年7月以降に5、6頭捨てた」と話しているという。
◆死骸処理、甘い行政の管理
岐阜県養老郡養老町の山中にシカの死骸や骨が大量に放置されていた問題は、激増するシカに対して処分に多大な労力が必要であることや請け負う猟友会員の不足など、対応が追い付かない現状をあらわにした。ただ町は、12月から町の焼却施設で死骸を受け付けるよう調整しており、一定の対策が進むとみられる。地元の猟友会は町から依頼を受け、有害鳥獣の捕獲と処分を引き受けている。死骸の処理は、鳥獣保護法に基づき焼却施設に持ち込むか、穴を掘って埋めなければいけない。だが廃棄物処理法違反の疑いで19日に書類送検された猟友会員は、これまでの岐阜新聞の取材に「町には大型動物の焼却施設がない。埋設するにも労力がかかる」と語っていた。
県内では近年、シカが激増し、昨年の捕獲数は10年前の10倍以上となる1万7千頭を超えた。養老町でも昨年の捕獲数は、前年比30%増の555頭。地元の猟友会は町に大型動物の焼却施設を要請していたが実現の見通しはなかった。さらに猟友会員は高齢化と担い手不足が深刻化。会員は「仲間が年々減り、今や8年前の半数」と嘆く。
町が捕獲と処理を猟友会に任せすぎたという側面もある。市町村は猟師に報償金を支払うが、半数以上の市町村は死骸の処理を確認していない。養老町も尻尾の提出だけで確認が取れたことにしていた。担当者は「管理が甘かった」と話す。
町は確認方法について捕獲した有害鳥獣と埋設現場の写真の提出を義務付けた。12月からは、町のごみ焼却施設でも大型動物の焼却を受け入れる方向で調整中だ。
ただ、ある自治体担当者は「行政は捕れ捕れ、農家も捕ってくれ捕ってくれだけでは、今後も起きる。農家から埋設場所を提供してもらうなど、やり方は他にもある」と指摘する。
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20151020/201510200935_25952.shtml
2015年10月20日09:35
岐阜県養老郡養老町の山中にシカの死骸や骨が大量に放置されていた問題で、県警生活環境課と養老署は19日、廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、同町の60代猟友会員を書類送検した。
書類送検容疑は、今年7月2日午前5時30分ごろ、同町柏尾の柏尾谷で、一般廃棄物にあたるシカ1頭の死骸約40キロを不法投棄した疑い。
同課によると、現場は林道脇の崖下約20メートルの谷。町の依頼を受けて、町内の県道で車にひかれて死んだとみられるシカを処分する際、トラックに積んで約3キロ離れた谷に捨てたという。
死骸は土に埋めるか、焼却施設に持ち込むことになっている。会員は「手間がかかるので人目につかない谷に捨てた」と容疑を認めているという。
現場には、シカ2頭の死骸のほか、21頭分の頭蓋骨が放置されていた。会員は「2013年7月以降に5、6頭捨てた」と話しているという。
◆死骸処理、甘い行政の管理
岐阜県養老郡養老町の山中にシカの死骸や骨が大量に放置されていた問題は、激増するシカに対して処分に多大な労力が必要であることや請け負う猟友会員の不足など、対応が追い付かない現状をあらわにした。ただ町は、12月から町の焼却施設で死骸を受け付けるよう調整しており、一定の対策が進むとみられる。地元の猟友会は町から依頼を受け、有害鳥獣の捕獲と処分を引き受けている。死骸の処理は、鳥獣保護法に基づき焼却施設に持ち込むか、穴を掘って埋めなければいけない。だが廃棄物処理法違反の疑いで19日に書類送検された猟友会員は、これまでの岐阜新聞の取材に「町には大型動物の焼却施設がない。埋設するにも労力がかかる」と語っていた。
県内では近年、シカが激増し、昨年の捕獲数は10年前の10倍以上となる1万7千頭を超えた。養老町でも昨年の捕獲数は、前年比30%増の555頭。地元の猟友会は町に大型動物の焼却施設を要請していたが実現の見通しはなかった。さらに猟友会員は高齢化と担い手不足が深刻化。会員は「仲間が年々減り、今や8年前の半数」と嘆く。
町が捕獲と処理を猟友会に任せすぎたという側面もある。市町村は猟師に報償金を支払うが、半数以上の市町村は死骸の処理を確認していない。養老町も尻尾の提出だけで確認が取れたことにしていた。担当者は「管理が甘かった」と話す。
町は確認方法について捕獲した有害鳥獣と埋設現場の写真の提出を義務付けた。12月からは、町のごみ焼却施設でも大型動物の焼却を受け入れる方向で調整中だ。
ただ、ある自治体担当者は「行政は捕れ捕れ、農家も捕ってくれ捕ってくれだけでは、今後も起きる。農家から埋設場所を提供してもらうなど、やり方は他にもある」と指摘する。
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20151020/201510200935_25952.shtml