チュウゴクのババを掴んだ日本企業ー「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 | 日本のお姉さん

チュウゴクのババを掴んだ日本企業ー「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)8月20日(木曜日)
通算第4633号

人民元の小幅な切り下げでは「焼け石に水」
中国の個人投資家心理はパニック寸前
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人民元を小手調べのように切り下げてみたが、世界の通貨市場に動揺を与えて、中途半端なまま、輸出増大に直結したという現象はまだない。
人民元高は原油・ガス・鉄鉱石などの原材料の輸入に有利だが、すでに生産の低迷と在庫の積み上げで、あまり意味がない。
それより人民元安はインフレをまねく可能性が高い。

しかし、いま最も懸念されていることは外国資本のエクソダスであり、しかも加速度をつけて中国から大量の資金が逃げ去っている。

社債のデフォルトは太陽光パネルの超日太陽能科学技術集団が嚆矢となって以来、佳兆業集団(不動産開発)などへと続いているが、社債が紙切れになるというのは企業倒産である。

しかも後者の佳兆業集団は社債をオフショアで発行しているため、外国の機関投資家の落胆ぶりは激しく、中国経済への不信が欧米に一挙に広がった。

温州からはじまった企業倒産は中国全土に拡大しており、年末に償還をむかえる社債ならびに融資平台の償還、地方政府の固定資産税の急減により支払い不能状態になるのは目に見えており、現時点でGDP282%という債務は更に急速に増えていくだろう。

国有企業は16万社あるが、最後まで生き残れ、中国共産党がメンツをかけても守る国有企業は最悪の場合、130社でしかないという見方もある。


▲中国の企業倒産が日本にもたらしている悪影響はかなり深刻だ


すでに日本企業への悪影響は顕著にでてきたが、中国の取引先の倒産によって、連鎖倒産に追い込まれた日本企業が目立つようになった。

専門家の山口義正氏が書いた「中国バブル崩壊の足音」(『新潮45』、15年9月号)に拠ると、優良会社と評価の高かった「江守グループは中国現法が不正な取引で売上高を膨らましていたとこが発覚」し、倒産した。「前期末に225億円あった自己資本は、343億円の債務超過」となっていた。優良企業として調査会社がノーマークだったのに一夜にして奈落の底に沈んだのだ。

また「昭光通商も、顧客である中国の鉄鋼メーカーが支払い遅延を起したことで、大やけどを負った(中略)。売り掛け債権は回収困難であるとして128億円の特別損出を計上。自己資本の七割が消し飛ぶという深刻な事態に陥った」(親会社は昭和電工)。

住宅設備投資の大手LIXILは、「ドイツの子会社が過去に買収した中国企業で」不正会計が行われており、410億円にものぼる特別損出となって経営がふらつく。同社の株価は2900円台から2300円台へ急落した。

ことほど左様に、中国の経済破談は、日本経済に直截な破壊力をともなっており、日本株の上昇の可能性は当面、遠のいたと見るべきであろう。


(読者の声1)ラジオ日本からのお知らせです。きたる28日(金曜)1230からの「マット安川のずばり勝負」に宮崎正弘さんが生出演します。
出番は1252ごろから1358まで。テーマの中心は「上海株暴落、人民元切り下げ、天津大爆発とこれからの日本、中国経済」(仮題)です。
(番組担当者)


(読者の声2)貴誌4532号で話題となった不動産王のドナルド・トランプ氏ですが、ピエロ的役目を演じているに過ぎないという評価ですが、まだまた末端で強く、侮りがたいのではないでしょうか。
もし、彼が第三党を結成して、出馬すれば、1992年のロス・ペローの時のように、民主党に漁夫の利をさらわれると思いますが、いかが?
(KY生、埼玉)

(宮崎正弘のコメント)ロス・ペローの場合は、外交が生ぬるいとして、パパ・ブッシュへの批判票をかき集め、19%もの得票でしたが、トランプ氏の場合、争点がまだ不透明ゆえ、しかも、彼の支持者とて「第三党結成となれば支持しない」と立場を鮮明にする人の方が多く、独立候補としては戦わないと思います。もし予備選にも残って、それなりに善戦できれば、共和党政権で商務長官を狙うことはあるかも知れませんが。。

宮崎正弘の新刊~

宮崎正弘『アジアインフラ投資銀行の凄惨な末路』(PHP研究所、999円)
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――AIIBはうまく行くはずがない
――共産党が運転する?「このバスには乗らない方が良い」
――中国の在庫一掃処分のはけ口に利用される懼れ大
――英国はじめ独仏が加盟申請したのは打算と思惑がある
――ロシアは本気で参加しているのではない。中国の風下に立つだろうか?
――アジア外交の攪乱が目的の「銀行もどき」は政治工作の武器なのだ
――日米カナダの不参加は見識である
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――中韓の共闘も完全に失敗し、中国は日本にすり寄り、韓国は完全に見捨てられる!
今後の東アジア情勢の変化を両ウオッチャーが分析した決定版!
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宮崎正弘のロングセラー
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『中国大破綻 ついに失われる20年に突入する』(PHP研究所、1404円)
『日本と世界を動かす悪の「孫子」』(ビジネス社。1188円)
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『台湾烈々 世界一の親日国家がヤバイ』(ビジネス社、1188円)
『「中国の時代」は終わった』(海竜社、定価1080円)
『中国共産党、三年以内に崩壊する!?』(海竜社、1080円)
『中国バブル崩壊が始まった』(海竜社、1080円)
『中国 大嘘つき国家の犯罪』(文芸社文庫、713円)
『中国の反日で日本は良くなる』(徳間文庫、680円)
『世界から嫌われる中国と韓国。感謝される日本』(徳間書店、1026円)
<宮崎正弘の対談シリーズ>
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宮崎正弘 v 渡邊哲也『激動する世界経済!』(ワック、994円)
宮崎正弘 v 小川榮太郎『保守の原点』(海竜社。1620円)
宮崎正弘 v 大竹慎一『中国崩壊で日本はこうなる』(1512円。徳間書店)
宮崎正弘 v 室谷克実『仲良く自滅する中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 川口マーン惠美『なぜ中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
宮崎正弘 v 石平『2015年 中国の真実』(ワック、シリーズ第五弾)
宮崎正弘 v 西部遇『日米安保五十年』(海竜社)
宮崎正弘 v 黄文雄「世界が知らない中国人の野蛮」(徳間書店)
宮崎正弘 v 佐藤優『猛毒国家に囲まれた日本』(海竜社)
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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