中国が虎視眈眈と狙う尖閣諸島奪回、その作戦全貌
中国が虎視眈眈と狙う尖閣諸島奪回、その作戦全貌
JBpress 8月10日(月)6時5分配信
中国は、南シナ海では岩礁の埋め立て拡張工事を一方的に進め、東シナ海では、海底ガス田開発用の洋上施設を増設するなど、南シナ海と東シナ海における領域拡張を既成事実化する措置を強引に進めている。
このような行動は、明らかに国連海洋法条約に違反するか、その恐れのある行動であり、既存の国際秩序に対するあからさまな挑戦である。
中国のこのような行動の背景には、どのような軍事的原理・原則があるのかを、中国側から公表された文献に基づき分析する。
■ 1 習近平指導部の意図と中国の『国防白書』に示された離島作戦に対する国防戦略
習近平総書記は『光明日報』の2013年7月22日第1版に、「党の軍事指導理論の新たな創造の成果」と題して、軍事政策の基本方針を表明している。
その中で、「中華民族の偉大なる復興は、中国人民の偉大な夢であり、国防と軍隊の建設はこの最高の利益のための職務に必ず服従しなければならない」との方針を示している。また、「強軍」という目標を提示し、そのために、「軍隊の現代的な戦略配置と路線計画を実現すること」が党の方針として明確にされたとしている。
さらに、「強軍の魂」を堅持し、「党の軍隊に対する絶対的な指導を堅持」しつつ、「国家の主権と領土の無欠を守り抜き」、「部隊の情報化条件下での抑止力と実戦能力を絶えず向上すること」を要求している。
なお、2010年3月以来何度か伝えられた非公式発言に続き、2013年4月、中国外務省の副報道局長は記者会見で、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国の領土主権に関する問題であり、当然、中国の核心的利益に属する」と表明している。
このことは、中国の公式的方針に基づき、「領土の無欠」を守るためには、「核心的利益」である尖閣諸島が日本の施政下にある現状は、軍の任務の一環として、力をもってしても変更しなければならないことを意味している。
このような習近平指導部の方針のもと、今年4月17日に中国国務院新聞弁公室は『国防白書: 三. 国の主権、安全、独立を守る』(『中国的軍事戦略(2015年5月)』)を発表した。
その中では、「国際的なパワーバランスは世界の平和維持に有利な方向に向かい、国際情勢は平和、安定という基本的な態勢を保っている」と同時に、「局地的な情勢不安定やホットスポットをめぐる衝突が絶えない」との認識を示している。
また「一部の国はアジア太平洋地域での軍事同盟を深化し、軍事プレゼンスを拡大し、しばしば緊張状態をつくり出している。一部の隣国は、中国の領土主権や海洋権益にかかわる問題で、それを複雑化、拡大する動きに出ており、日本は釣魚島問題で紛争を引き起こしている」として、暗にアジア太平洋へのリバランシング戦略をとる米国に対する警戒感を示すとともに、尖閣問題を持ち出し、日本を名指しで非難している。
軍事戦略の基本方針としては、「積極防御のゆるぎない実行」をあげ、「侵略への備えと反撃の態勢を固め、分裂主義勢力を抑え込み、国境防衛、領海防衛、領空防衛を固め、国家の海洋権益と宇宙空間、サイバー空間の安全と利益を守る」としている。
また、「国家主権の護持と領土保全のために、断固としてあらゆる必要な措置とをとる」とも表明している。ここでも、領域護持のためには、「あらゆる措置をとる」との決意を強調し、威嚇を加えている。「あらゆる措置」には核威嚇、軍事力の行使も含まれるとみるべきであろう。
領域確保に関連した各軍種の運用については、陸軍では、全域機動型への転換、海上の島嶼に駐屯し島嶼を守る国境警備・海上防衛部隊などの機動作戦、陸軍航空部隊、特殊作戦能力の向上などがうたわれている。
海軍では、遠洋での機動作戦能力、遠洋での非伝統的脅威に協力して対応する能力の向上、戦略的抑止と反撃の能力強化をうたっている。
空軍では、攻防兼備、偵察早期警戒、指揮・通信ネットワークの整備、空中攻撃、戦略的投下輸送の構築、遠隔空中攻撃能力の向上を重視している。このように、陸海空軍ともに、遠洋での離島に対する統合作戦の実行能力向上に注力している。
公安国境警備部隊は、国境・沿海地域と海上の安全や安定の維持、犯罪の取り締まり、緊急救援、国境警備・保安などの多様な任務を担任している。海の国境を越える漁業活動にメスを入れ、海上の治安を保つためのパトロールや法執行を強化し、海上の違法犯罪活動を厳しく取り締まっているとしている。
また、民兵は、国境警備・海上防衛地域の軍隊・警察・民間による合同防衛、国境の防衛・警備に積極的に参加し、年間を通じて国境線や海上境界線でパトロールしているとしている。
なお、公安・国境警備の部隊は武装警察の系列に組み込まれており、戦時には人民解放軍に協力して防衛作戦を行うと規定されている。また「国境警備、海上防衛、防空面のパトロール勤務を綿密に計画・実施」し、「常に怠りなく戦闘準備状態を維持する」ことを、各軍種を通じて強調している。
以上から明らかなように、今回の中国の防衛白書は、中国が、尖閣諸島などに対する奇襲的な島嶼占領作戦を可能にする総合的な軍事力・警備力を整備する方針を国際社会に明示したものと解釈できる。
■ 2 中国『国防白書』に見る第二砲兵を中核とする「A2/AD戦略」実効態勢作り
特に、「A2/AD(接近阻止・領域拒否)戦略」を担う中核戦力の第二砲兵については、注目が必要である。
第二砲兵の装備体系としては、「東風」シリーズの弾道ミサイルと「長剣」巡航ミサイルを配備しており、「核兵器・通常兵器を兼ね備えた戦力体系を整え、迅速な反応、効果的な防御兵器、ピンポイント攻撃、総合的な破壊と生存防衛能力の強化」を重視しても整備している。
特に、「戦略的抑止と核反撃能力、通常兵力によるピンポイント攻撃能力は着実に向上している」との自信を示している。ここで、ピンポイント攻撃の最大の目標としているのは、米空母打撃群とみられる。
このように、「成熟技術を利用して重点的、選択的に現有装備を改善し、ミサイル兵器の安全性、信頼性、有効性を高め」、A2/AD戦略を実効あるものにするための各種ミサイル戦力の整備が進展している。
また第二砲兵の傘下に「大学・研究所」が含まれており、核・通常弾頭の各種の弾道ミサイル、巡航ミサイルの開発のためのイノベーションの担い手として、理系の頭脳集団を全面的に動員する体制がとられていることを示唆している。
第二砲兵については、「随時作戦可能」という原則を踏まえて、「国が核の脅威を受けた際は、中央軍事委員会の命令によって、警戒レベルを高め、核による反撃の準備を整え、敵を威嚇し、中国に対する核兵器の使用を抑止する」。また、「通常ミサイル部隊は平時と戦時の転換を速やかに完成し、通常の中長距離ピンポイント攻撃の任務を遂行することができる」と述べている。
訓練面では第二砲兵は、核・生物・化学兵器による威嚇を受けた場合の安全防護と操作技能の訓練に力を入れ、毎年多種類のミサイル部隊が実弾発射任務を遂行するよう計画しているとしている。また、偵察と対偵察、妨害と妨害対抗、ピンポイント攻撃と防護・反撃という対抗訓練も行っている。
これらの記述は、核抑止態勢が常に機能しており核恫喝に屈しないこと、また、通常弾頭による中距離ピンポイント攻撃任務への戦時態勢への切り替え、言い換えれば、A2/AD戦略の発動が随時可能であること示唆している。加えて米側の反撃、ピンポイント攻撃などに対する防護力、生存力の強化も図っている。
これらの文言は、第二砲兵の即応態勢と残存性の維持強化が、米国のアジア・太平洋域内への介入と核恫喝に対する抑止力及び阻止力の骨幹戦力であることを、中国が十分に認識していることを示している。
このような全般的な戦略態勢を前提として、陸海空その他の軍事戦略が組み立てられていると言えよう。逆に言えば、この点にどう対処するかが、対中戦略の最大の課題であると言える。
今回の白書では、「中国の武装力の多様な運用」の項目で、「国の主権、安全、領土保全に危害を加えるすべての挑発行為に随時対応し、断固として食い止め、国の核心的利益を断固として守る」としている。
先に述べたように、中国は、尖閣諸島を「核心的利益」であるとを公式に表明しており、今回の白書の言明に従えば、軍は、尖閣諸島を「断固として守らねばならない」。この任務は、習近平総書記から示された上記の国家戦略を、国防戦略として具現化したものであり、軍にとり至上命令に等しいと解すべきであろう。
この任務を果たすために、現実に中国軍は、上に述べたA2/AD戦略の傘の下で、尖閣諸島などの遠洋の島嶼に対する奇襲的な統合上陸作戦能力を発動できる能力を高めている。
国防白書でも述べているように、平時から海上国境地帯では、海上民兵や国境警備を担当する公安国境部隊がパトロールや取り締まりを行っている。尖閣諸島周辺のわが国領海、領空への中国公船等の侵犯事案が急増しているのも、その表れである。この態勢をそのまま利用して、尖閣諸島占拠といった既成事実を創ることは可能であろう。
訓練では、「情報主導、システム対抗、ピンポイント作戦、インテグレーション、共同で勝ちを制するといった情報化条件下での作戦理念を訓練の実践に融け込ませることを重視」している。
陸軍は地区にまたがる機動演習を行い、海軍は遠海における侵入阻止、長距離急襲、外洋における対潜哨戒、遠洋での航行護衛などの訓練を行っている。遠海訓練を通じ、島嶼・岩礁への急襲撃破などの実兵による対抗訓練も行っている。
特に2007年以来、西太平洋において20回近く、延べ90隻以上にのぼる遠海訓練を行ったとされている。空軍も、複雑な訓練環境下での対抗演習に取り組んでいる。
これらの中国国防白書が述べている訓練の実態は、わが国防衛省が把握している、中国軍の活動状況とも符合しており、中国軍の今回の発表は、訓練の実態をむしろ誇示して、A2/AD戦略実行のための実戦力を高めつつあることを示すことに狙いがあるとみるべきであろう。
■ 3 中国側文献に見る島嶼作戦の軍事戦略
軍事戦略面については、今年、北京の国防大学出版社から出された肖天亮主編集『戦略学』では、以下の諸点が指摘されている。
「島嶼作戦」は、各種の精強な戦力を総合的に運用して行われる、大型の海島又は島嶼・岩礁区域に対して行われる作戦であり、その目的は、重要な島嶼を支配下に置き、国家の統一と領土の無欠性を実現し、関連する海域に対する有効な支配権を実現することにあるとされている。
なお、島嶼作戦の特徴としては、以下の諸点が挙げられている。
(1)陸海空軍、第二砲兵を含む多軍種の精鋭な戦力と、人民武装警察、民兵予備役部隊及び地方のそれら戦力を含んだ連合作戦となること。
(2)戦場環境が複雑であること、渡海作戦になるが、天然の障害を克服しなければならないだけではなく、敵の連続的な海空軍と島嶼防衛部隊の襲撃阻止にも対処しなければならない。また大量の装備が必要なだけではなく、高度の技術装備が必要となり、作戦中指揮システムには大変な負担がかかりかつ電磁環境も複雑になる。
(3)作戦空間が多様になること。単に地上、海面、空中だけではなく、インターネット、電磁空間、情報支配にもわたり、制空権、制海権への依存度も大きくなる。
(4)作戦方式も多様である。地上、海上、空中での大規模な正規軍の交戦だけではなく、様々な規模の非正規作戦も生ずる。島嶼作戦には、市街地への侵攻、山地への侵攻、機動作戦など、様々の作戦様式が含まれる。
(5)後方保障(兵站・人事支援)への負担も大きい。島嶼作戦には多種類の戦力が必要とされ、各種の作戦物資を大量に消費し、各種の後方保障に対する要求度も高い。
作戦の様相としては、以下のように、その特色が述べられている。
島嶼の封鎖作戦は通常、連合した戦力、火力、障害物による立体的な封鎖作戦により行われる。上陸作戦では、敵が占拠する島に対し渡海侵攻行動を実施することになる。その戦闘空間は、島嶼への上陸作戦と珊瑚礁に対する上陸作戦に区分される。装備の技術的発展に伴い、島嶼作戦の空間と規模は拡大しており、作戦様式も多次元の空間にわたり発展している。
さらに、作戦上の要求として、以下の事項が挙げられている。
情報化装備の不断の発展と戦場での使用に伴い、戦争形態に重大な変化が生じ、島嶼作戦にも新たな挑戦をもたらしている。島嶼作戦の指導上、以下の事項を把握しなければならない。
(1)十分な準備を行い、周到な計画を立てること。
島嶼作戦は、困難な任務を複雑な状況下で、多くの制約要因の下で行い、敵の抵抗は激烈で、リスクが高く、準備作業により勝敗は決する。このため、十分に推移を予想し、行動中に予想される各種の状況にあらかじめ備え、数多くの計画を策定すること、柔軟性を発揮して、戦場で出現する各種の状況に応じ、適時に柔軟に対処すること。
(2)精鋭部隊を集中し、その優れた点を総合すること。
島嶼作戦では、その主目標となる島嶼の方向に、勝利をもたらすに足る優れた部隊と装備、特に海空軍と第二砲兵の精鋭戦力を集中し、量と質両面の総合的な優位を追求し、戦勝を確保すること。
(3)重点指向し、保障を有効にすること。
島嶼作戦は彼我の激烈な戦闘となり、大量の物資が消耗され、保障を実施することは常に困難になる。各種の保障能力を統一規格にし、各軍種、兵種の総合的な保障効果を発揮させ、地方の人的物的な戦力を動員利用し、軍民が一体となった統一性のある保証を実現しなければならない。
島嶼作戦の各段階、各作戦方向、作戦地域、作戦集団においては、全面的な保障の基礎の上に立ち、主要な攻撃方向、主な攻撃戦力、主要な作戦行動を重点的に保障すると同時、自らの防衛にも保障力を強化し、主要な作戦任務の完遂を確保しなければならない。
以上の記述では、島嶼作戦の困難さを十分に認識し、国家総力を挙げて周到な準備と計画の下に、一撃で目標とする島嶼を占領奪取しようとする、中国の軍事的意図とそのための能力整備の意思が、露わにされている。
特に、目標として、台湾のような大規模な島だけではなく、島嶼・岩礁区域も目標とされている点は看過できない。わが国の尖閣諸島や南シナ海の南沙諸島では、すでに実力による支配の既成事実化が進められている。その背景には、このような軍事戦略があることを認識しなければならない。
■ 4 中国側の文献に見る辺境地域の作戦における火力突撃作戦の教義
作戦教義面でも、遠距離ピンポイント攻撃重視の傾向が見られる。
孫建軍、鄭衛国編集『現代辺境作戦概論』(北京、藍天出版、2012年)では、「火力突撃作戦」という教義を提唱している。火力突撃作戦とは、部隊自らの総合火力を統一指揮するとともに、上級部隊がその火力部隊を増強・配属して、火力指揮システムの統一と調整の下に一体化し、敵に対して一連の火力打撃を行うという作戦行動を指す。
現代の辺境における火力突撃作戦では、危機を抑止し、局地的な戦局を支配することが極めて重要であり、局地の支配力の喪失が全般の戦局に直接影響を与えるとしている。特に、現代の火力突撃作戦では、遠距離からの、精度が高く、威力の大きい、多様な手段による、即応力のある、有効な高度の優位性を保持することが、最も重要であるとしている。
また、火力突撃作戦の成功は、作戦目的全般の達成に直接つながり、主要な戦略目標となる軍事闘争にとり、有利な戦場環境を創りだすことができると、その意義を高く評価している。
遠洋での敵空母に対する火力打撃や離島への上陸作戦は、このような火力突撃作戦として実施される可能性が高い。短期の局地戦であっても、その及ぼす戦略的な影響は甚大であり、戦略態勢全般に直接影響を及ぼすと言える。
そのために必要な戦力は、即応性の高い威力のある、多様な手段による遠距離からのピンポイント攻撃力である。正に、上に述べた、A2/ADのピンポイント作戦、あるいは尖閣諸島奪取のための離島作戦に適合した戦力整備と訓練に応ずる作戦教義と言える。
これらの戦力整備、訓練、作戦教義を踏まえれば、中国軍は、一例として以下のようなシナリオで、尖閣諸島の占領という任務を達成することを追求していると言えるかもしれない。
すなわち、平時からの各種ミサイル戦力と地上配備爆撃機などの傘の下で、まず、民兵などが、日本側の警備態勢のすきを突き尖閣諸島などに上陸して既成事実を作る。それに対し、日本側の海上保安庁などが逮捕その他の対応をとった場合、漁民保護または日本側の違法行動取り締まりの名目で、公安が進出し、海上保安庁の保安官や艦船を排除する。
日本側の航空自衛隊機の動きに対しては、防空識別圏を利用して先制をとり、海上自衛隊派遣に対しては、機先を制して中国の海空軍を増派して尖閣周辺海空域の優勢を確保して、尖閣諸島周辺を封鎖する。
その間に、大型の輸送機・ヘリも併用して地上軍の増援兵力を尖閣諸島に送り込み、短時間で島嶼に各種のレーダ、ミサイルを展開し、それらを掩護する防御陣地を構築、日本側の奪還を困難にする。
日本側の本格的な奪還作戦発動前に外交的な調停に持ち込み、尖閣諸島占領の既成事実を日本側に受け入れさせる。日本側が応じなければ、ミサイル発射により恫喝をかけるといった手法である。
中国軍にとり、島嶼の占領作戦は国家的な意思に基づいて発動される、何としても達成すべき任務である。ひとたび実行を命じられれば、周到な計画と準備の下に、あらゆる国家資源を動員し、一挙に島嶼を占領する態勢で臨んでくるものと予想される。
その侵攻様相は極めて複雑で多段階にわたるが、ひとたび行動に出れば、迅速主導的に行動しようとするであろう。
まず平時からの三戦(心理戦・輿論戦・法律戦)、サイバー攻撃、特殊部隊・工作員の浸透から始まり、日本国内の世論工作、政治工作を周到に行うとともに、外交、経済面から米国の対日介入意志の低下、日米の離間を画策するであろう。
これらの準備工作が効を奏し、侵攻の好機が来たと判断すれば、例えば上に述べたようなシナリオの作戦を発動し、日本側が判断と決断に迷い、自衛力行使を発令する理由と時間的余裕を与えないように、巧みな偽装・欺瞞をともなう奇襲侵攻と軍事的な迅速な既成事実化を図るであろう。
最終的には、日本側の本格反攻作戦、米国の介入に対して、核を含む各種ミサイルの発射による恫喝、攻撃など、A2/AD戦略の発動まで予期して、中国は行動すると思われる。A2/AD戦略の前段階とも言える、相手国近海に対するミサイル発射試験による恫喝という手法は、1995年から96年にかけて台湾総統選挙前に、中国がすでに行使している。
日本としては、次の島嶼侵攻作戦でもミサイル発射による恫喝が行使されることを予期して、備えなければならない。その場合、自衛隊の島嶼奪還部隊への火力打撃だけではなく、沖縄本島や首都圏などの政経中枢への直接的恫喝の可能性も排除できない。
以上のようなシナリオが実際に発動されるかどうかは、時の最高統帥部の決定に委ねられるであろう。しかし、人民解放軍が以上のような使命と運用教義を持ち、命じられたならば任務を遂行できる能力と態勢を備えようとしていることは確かであろう。
日本の核抑止力とミサイル防衛態勢の信頼性が真に問われる事態が生ずるであろう。中国のミサイル脅威は、北朝鮮のそれの比ではない。それに耐えられる備えと覚悟が日本には求められている。
注: 本論で使用した中国の『国防白書』は『人民网: 日本語版』人民日報社(2013年4月18日アクセス)による。中国語で出版された『中国的?事?略(2015年5月)』中?人民共和国国?院新聞?公室は、運用と配備の細部が省略されるなど、内容が修正され簡略化されている。なお、本文中の簡体字はすべて日本語表記にした。
矢野 義昭
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150810-00044471-jbpressz-bus_all&p=1
cad*****
| 2015/08/10
「奪回」ではないです。
過去一度も中国が支配したことはないため「武力侵略」です。
min*****
| 2015/08/10
もし中国が尖閣を取りに来たら戦うか?戦わず白旗上げるか?
戦争はイヤだがやる時はやらないとね!
tut*****
| 2015/08/10安保が通らなければ戦争は起きないなんてありません。
~~~~
チュウゴクは、盗りに来る。盗りに来る気満々やないかい。
自衛隊を直ぐに動ける組織にしておかないと、ぼやぼやしている間にチュウゴクに次々と島々を奪われる。安保は、まさに、チュウゴクに対抗して用意しておかねばならないものなのです。
違うかい?
JBpress 8月10日(月)6時5分配信
中国は、南シナ海では岩礁の埋め立て拡張工事を一方的に進め、東シナ海では、海底ガス田開発用の洋上施設を増設するなど、南シナ海と東シナ海における領域拡張を既成事実化する措置を強引に進めている。
このような行動は、明らかに国連海洋法条約に違反するか、その恐れのある行動であり、既存の国際秩序に対するあからさまな挑戦である。
中国のこのような行動の背景には、どのような軍事的原理・原則があるのかを、中国側から公表された文献に基づき分析する。
■ 1 習近平指導部の意図と中国の『国防白書』に示された離島作戦に対する国防戦略
習近平総書記は『光明日報』の2013年7月22日第1版に、「党の軍事指導理論の新たな創造の成果」と題して、軍事政策の基本方針を表明している。
その中で、「中華民族の偉大なる復興は、中国人民の偉大な夢であり、国防と軍隊の建設はこの最高の利益のための職務に必ず服従しなければならない」との方針を示している。また、「強軍」という目標を提示し、そのために、「軍隊の現代的な戦略配置と路線計画を実現すること」が党の方針として明確にされたとしている。
さらに、「強軍の魂」を堅持し、「党の軍隊に対する絶対的な指導を堅持」しつつ、「国家の主権と領土の無欠を守り抜き」、「部隊の情報化条件下での抑止力と実戦能力を絶えず向上すること」を要求している。
なお、2010年3月以来何度か伝えられた非公式発言に続き、2013年4月、中国外務省の副報道局長は記者会見で、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国の領土主権に関する問題であり、当然、中国の核心的利益に属する」と表明している。
このことは、中国の公式的方針に基づき、「領土の無欠」を守るためには、「核心的利益」である尖閣諸島が日本の施政下にある現状は、軍の任務の一環として、力をもってしても変更しなければならないことを意味している。
このような習近平指導部の方針のもと、今年4月17日に中国国務院新聞弁公室は『国防白書: 三. 国の主権、安全、独立を守る』(『中国的軍事戦略(2015年5月)』)を発表した。
その中では、「国際的なパワーバランスは世界の平和維持に有利な方向に向かい、国際情勢は平和、安定という基本的な態勢を保っている」と同時に、「局地的な情勢不安定やホットスポットをめぐる衝突が絶えない」との認識を示している。
また「一部の国はアジア太平洋地域での軍事同盟を深化し、軍事プレゼンスを拡大し、しばしば緊張状態をつくり出している。一部の隣国は、中国の領土主権や海洋権益にかかわる問題で、それを複雑化、拡大する動きに出ており、日本は釣魚島問題で紛争を引き起こしている」として、暗にアジア太平洋へのリバランシング戦略をとる米国に対する警戒感を示すとともに、尖閣問題を持ち出し、日本を名指しで非難している。
軍事戦略の基本方針としては、「積極防御のゆるぎない実行」をあげ、「侵略への備えと反撃の態勢を固め、分裂主義勢力を抑え込み、国境防衛、領海防衛、領空防衛を固め、国家の海洋権益と宇宙空間、サイバー空間の安全と利益を守る」としている。
また、「国家主権の護持と領土保全のために、断固としてあらゆる必要な措置とをとる」とも表明している。ここでも、領域護持のためには、「あらゆる措置をとる」との決意を強調し、威嚇を加えている。「あらゆる措置」には核威嚇、軍事力の行使も含まれるとみるべきであろう。
領域確保に関連した各軍種の運用については、陸軍では、全域機動型への転換、海上の島嶼に駐屯し島嶼を守る国境警備・海上防衛部隊などの機動作戦、陸軍航空部隊、特殊作戦能力の向上などがうたわれている。
海軍では、遠洋での機動作戦能力、遠洋での非伝統的脅威に協力して対応する能力の向上、戦略的抑止と反撃の能力強化をうたっている。
空軍では、攻防兼備、偵察早期警戒、指揮・通信ネットワークの整備、空中攻撃、戦略的投下輸送の構築、遠隔空中攻撃能力の向上を重視している。このように、陸海空軍ともに、遠洋での離島に対する統合作戦の実行能力向上に注力している。
公安国境警備部隊は、国境・沿海地域と海上の安全や安定の維持、犯罪の取り締まり、緊急救援、国境警備・保安などの多様な任務を担任している。海の国境を越える漁業活動にメスを入れ、海上の治安を保つためのパトロールや法執行を強化し、海上の違法犯罪活動を厳しく取り締まっているとしている。
また、民兵は、国境警備・海上防衛地域の軍隊・警察・民間による合同防衛、国境の防衛・警備に積極的に参加し、年間を通じて国境線や海上境界線でパトロールしているとしている。
なお、公安・国境警備の部隊は武装警察の系列に組み込まれており、戦時には人民解放軍に協力して防衛作戦を行うと規定されている。また「国境警備、海上防衛、防空面のパトロール勤務を綿密に計画・実施」し、「常に怠りなく戦闘準備状態を維持する」ことを、各軍種を通じて強調している。
以上から明らかなように、今回の中国の防衛白書は、中国が、尖閣諸島などに対する奇襲的な島嶼占領作戦を可能にする総合的な軍事力・警備力を整備する方針を国際社会に明示したものと解釈できる。
■ 2 中国『国防白書』に見る第二砲兵を中核とする「A2/AD戦略」実効態勢作り
特に、「A2/AD(接近阻止・領域拒否)戦略」を担う中核戦力の第二砲兵については、注目が必要である。
第二砲兵の装備体系としては、「東風」シリーズの弾道ミサイルと「長剣」巡航ミサイルを配備しており、「核兵器・通常兵器を兼ね備えた戦力体系を整え、迅速な反応、効果的な防御兵器、ピンポイント攻撃、総合的な破壊と生存防衛能力の強化」を重視しても整備している。
特に、「戦略的抑止と核反撃能力、通常兵力によるピンポイント攻撃能力は着実に向上している」との自信を示している。ここで、ピンポイント攻撃の最大の目標としているのは、米空母打撃群とみられる。
このように、「成熟技術を利用して重点的、選択的に現有装備を改善し、ミサイル兵器の安全性、信頼性、有効性を高め」、A2/AD戦略を実効あるものにするための各種ミサイル戦力の整備が進展している。
また第二砲兵の傘下に「大学・研究所」が含まれており、核・通常弾頭の各種の弾道ミサイル、巡航ミサイルの開発のためのイノベーションの担い手として、理系の頭脳集団を全面的に動員する体制がとられていることを示唆している。
第二砲兵については、「随時作戦可能」という原則を踏まえて、「国が核の脅威を受けた際は、中央軍事委員会の命令によって、警戒レベルを高め、核による反撃の準備を整え、敵を威嚇し、中国に対する核兵器の使用を抑止する」。また、「通常ミサイル部隊は平時と戦時の転換を速やかに完成し、通常の中長距離ピンポイント攻撃の任務を遂行することができる」と述べている。
訓練面では第二砲兵は、核・生物・化学兵器による威嚇を受けた場合の安全防護と操作技能の訓練に力を入れ、毎年多種類のミサイル部隊が実弾発射任務を遂行するよう計画しているとしている。また、偵察と対偵察、妨害と妨害対抗、ピンポイント攻撃と防護・反撃という対抗訓練も行っている。
これらの記述は、核抑止態勢が常に機能しており核恫喝に屈しないこと、また、通常弾頭による中距離ピンポイント攻撃任務への戦時態勢への切り替え、言い換えれば、A2/AD戦略の発動が随時可能であること示唆している。加えて米側の反撃、ピンポイント攻撃などに対する防護力、生存力の強化も図っている。
これらの文言は、第二砲兵の即応態勢と残存性の維持強化が、米国のアジア・太平洋域内への介入と核恫喝に対する抑止力及び阻止力の骨幹戦力であることを、中国が十分に認識していることを示している。
このような全般的な戦略態勢を前提として、陸海空その他の軍事戦略が組み立てられていると言えよう。逆に言えば、この点にどう対処するかが、対中戦略の最大の課題であると言える。
今回の白書では、「中国の武装力の多様な運用」の項目で、「国の主権、安全、領土保全に危害を加えるすべての挑発行為に随時対応し、断固として食い止め、国の核心的利益を断固として守る」としている。
先に述べたように、中国は、尖閣諸島を「核心的利益」であるとを公式に表明しており、今回の白書の言明に従えば、軍は、尖閣諸島を「断固として守らねばならない」。この任務は、習近平総書記から示された上記の国家戦略を、国防戦略として具現化したものであり、軍にとり至上命令に等しいと解すべきであろう。
この任務を果たすために、現実に中国軍は、上に述べたA2/AD戦略の傘の下で、尖閣諸島などの遠洋の島嶼に対する奇襲的な統合上陸作戦能力を発動できる能力を高めている。
国防白書でも述べているように、平時から海上国境地帯では、海上民兵や国境警備を担当する公安国境部隊がパトロールや取り締まりを行っている。尖閣諸島周辺のわが国領海、領空への中国公船等の侵犯事案が急増しているのも、その表れである。この態勢をそのまま利用して、尖閣諸島占拠といった既成事実を創ることは可能であろう。
訓練では、「情報主導、システム対抗、ピンポイント作戦、インテグレーション、共同で勝ちを制するといった情報化条件下での作戦理念を訓練の実践に融け込ませることを重視」している。
陸軍は地区にまたがる機動演習を行い、海軍は遠海における侵入阻止、長距離急襲、外洋における対潜哨戒、遠洋での航行護衛などの訓練を行っている。遠海訓練を通じ、島嶼・岩礁への急襲撃破などの実兵による対抗訓練も行っている。
特に2007年以来、西太平洋において20回近く、延べ90隻以上にのぼる遠海訓練を行ったとされている。空軍も、複雑な訓練環境下での対抗演習に取り組んでいる。
これらの中国国防白書が述べている訓練の実態は、わが国防衛省が把握している、中国軍の活動状況とも符合しており、中国軍の今回の発表は、訓練の実態をむしろ誇示して、A2/AD戦略実行のための実戦力を高めつつあることを示すことに狙いがあるとみるべきであろう。
■ 3 中国側文献に見る島嶼作戦の軍事戦略
軍事戦略面については、今年、北京の国防大学出版社から出された肖天亮主編集『戦略学』では、以下の諸点が指摘されている。
「島嶼作戦」は、各種の精強な戦力を総合的に運用して行われる、大型の海島又は島嶼・岩礁区域に対して行われる作戦であり、その目的は、重要な島嶼を支配下に置き、国家の統一と領土の無欠性を実現し、関連する海域に対する有効な支配権を実現することにあるとされている。
なお、島嶼作戦の特徴としては、以下の諸点が挙げられている。
(1)陸海空軍、第二砲兵を含む多軍種の精鋭な戦力と、人民武装警察、民兵予備役部隊及び地方のそれら戦力を含んだ連合作戦となること。
(2)戦場環境が複雑であること、渡海作戦になるが、天然の障害を克服しなければならないだけではなく、敵の連続的な海空軍と島嶼防衛部隊の襲撃阻止にも対処しなければならない。また大量の装備が必要なだけではなく、高度の技術装備が必要となり、作戦中指揮システムには大変な負担がかかりかつ電磁環境も複雑になる。
(3)作戦空間が多様になること。単に地上、海面、空中だけではなく、インターネット、電磁空間、情報支配にもわたり、制空権、制海権への依存度も大きくなる。
(4)作戦方式も多様である。地上、海上、空中での大規模な正規軍の交戦だけではなく、様々な規模の非正規作戦も生ずる。島嶼作戦には、市街地への侵攻、山地への侵攻、機動作戦など、様々の作戦様式が含まれる。
(5)後方保障(兵站・人事支援)への負担も大きい。島嶼作戦には多種類の戦力が必要とされ、各種の作戦物資を大量に消費し、各種の後方保障に対する要求度も高い。
作戦の様相としては、以下のように、その特色が述べられている。
島嶼の封鎖作戦は通常、連合した戦力、火力、障害物による立体的な封鎖作戦により行われる。上陸作戦では、敵が占拠する島に対し渡海侵攻行動を実施することになる。その戦闘空間は、島嶼への上陸作戦と珊瑚礁に対する上陸作戦に区分される。装備の技術的発展に伴い、島嶼作戦の空間と規模は拡大しており、作戦様式も多次元の空間にわたり発展している。
さらに、作戦上の要求として、以下の事項が挙げられている。
情報化装備の不断の発展と戦場での使用に伴い、戦争形態に重大な変化が生じ、島嶼作戦にも新たな挑戦をもたらしている。島嶼作戦の指導上、以下の事項を把握しなければならない。
(1)十分な準備を行い、周到な計画を立てること。
島嶼作戦は、困難な任務を複雑な状況下で、多くの制約要因の下で行い、敵の抵抗は激烈で、リスクが高く、準備作業により勝敗は決する。このため、十分に推移を予想し、行動中に予想される各種の状況にあらかじめ備え、数多くの計画を策定すること、柔軟性を発揮して、戦場で出現する各種の状況に応じ、適時に柔軟に対処すること。
(2)精鋭部隊を集中し、その優れた点を総合すること。
島嶼作戦では、その主目標となる島嶼の方向に、勝利をもたらすに足る優れた部隊と装備、特に海空軍と第二砲兵の精鋭戦力を集中し、量と質両面の総合的な優位を追求し、戦勝を確保すること。
(3)重点指向し、保障を有効にすること。
島嶼作戦は彼我の激烈な戦闘となり、大量の物資が消耗され、保障を実施することは常に困難になる。各種の保障能力を統一規格にし、各軍種、兵種の総合的な保障効果を発揮させ、地方の人的物的な戦力を動員利用し、軍民が一体となった統一性のある保証を実現しなければならない。
島嶼作戦の各段階、各作戦方向、作戦地域、作戦集団においては、全面的な保障の基礎の上に立ち、主要な攻撃方向、主な攻撃戦力、主要な作戦行動を重点的に保障すると同時、自らの防衛にも保障力を強化し、主要な作戦任務の完遂を確保しなければならない。
以上の記述では、島嶼作戦の困難さを十分に認識し、国家総力を挙げて周到な準備と計画の下に、一撃で目標とする島嶼を占領奪取しようとする、中国の軍事的意図とそのための能力整備の意思が、露わにされている。
特に、目標として、台湾のような大規模な島だけではなく、島嶼・岩礁区域も目標とされている点は看過できない。わが国の尖閣諸島や南シナ海の南沙諸島では、すでに実力による支配の既成事実化が進められている。その背景には、このような軍事戦略があることを認識しなければならない。
■ 4 中国側の文献に見る辺境地域の作戦における火力突撃作戦の教義
作戦教義面でも、遠距離ピンポイント攻撃重視の傾向が見られる。
孫建軍、鄭衛国編集『現代辺境作戦概論』(北京、藍天出版、2012年)では、「火力突撃作戦」という教義を提唱している。火力突撃作戦とは、部隊自らの総合火力を統一指揮するとともに、上級部隊がその火力部隊を増強・配属して、火力指揮システムの統一と調整の下に一体化し、敵に対して一連の火力打撃を行うという作戦行動を指す。
現代の辺境における火力突撃作戦では、危機を抑止し、局地的な戦局を支配することが極めて重要であり、局地の支配力の喪失が全般の戦局に直接影響を与えるとしている。特に、現代の火力突撃作戦では、遠距離からの、精度が高く、威力の大きい、多様な手段による、即応力のある、有効な高度の優位性を保持することが、最も重要であるとしている。
また、火力突撃作戦の成功は、作戦目的全般の達成に直接つながり、主要な戦略目標となる軍事闘争にとり、有利な戦場環境を創りだすことができると、その意義を高く評価している。
遠洋での敵空母に対する火力打撃や離島への上陸作戦は、このような火力突撃作戦として実施される可能性が高い。短期の局地戦であっても、その及ぼす戦略的な影響は甚大であり、戦略態勢全般に直接影響を及ぼすと言える。
そのために必要な戦力は、即応性の高い威力のある、多様な手段による遠距離からのピンポイント攻撃力である。正に、上に述べた、A2/ADのピンポイント作戦、あるいは尖閣諸島奪取のための離島作戦に適合した戦力整備と訓練に応ずる作戦教義と言える。
これらの戦力整備、訓練、作戦教義を踏まえれば、中国軍は、一例として以下のようなシナリオで、尖閣諸島の占領という任務を達成することを追求していると言えるかもしれない。
すなわち、平時からの各種ミサイル戦力と地上配備爆撃機などの傘の下で、まず、民兵などが、日本側の警備態勢のすきを突き尖閣諸島などに上陸して既成事実を作る。それに対し、日本側の海上保安庁などが逮捕その他の対応をとった場合、漁民保護または日本側の違法行動取り締まりの名目で、公安が進出し、海上保安庁の保安官や艦船を排除する。
日本側の航空自衛隊機の動きに対しては、防空識別圏を利用して先制をとり、海上自衛隊派遣に対しては、機先を制して中国の海空軍を増派して尖閣周辺海空域の優勢を確保して、尖閣諸島周辺を封鎖する。
その間に、大型の輸送機・ヘリも併用して地上軍の増援兵力を尖閣諸島に送り込み、短時間で島嶼に各種のレーダ、ミサイルを展開し、それらを掩護する防御陣地を構築、日本側の奪還を困難にする。
日本側の本格的な奪還作戦発動前に外交的な調停に持ち込み、尖閣諸島占領の既成事実を日本側に受け入れさせる。日本側が応じなければ、ミサイル発射により恫喝をかけるといった手法である。
中国軍にとり、島嶼の占領作戦は国家的な意思に基づいて発動される、何としても達成すべき任務である。ひとたび実行を命じられれば、周到な計画と準備の下に、あらゆる国家資源を動員し、一挙に島嶼を占領する態勢で臨んでくるものと予想される。
その侵攻様相は極めて複雑で多段階にわたるが、ひとたび行動に出れば、迅速主導的に行動しようとするであろう。
まず平時からの三戦(心理戦・輿論戦・法律戦)、サイバー攻撃、特殊部隊・工作員の浸透から始まり、日本国内の世論工作、政治工作を周到に行うとともに、外交、経済面から米国の対日介入意志の低下、日米の離間を画策するであろう。
これらの準備工作が効を奏し、侵攻の好機が来たと判断すれば、例えば上に述べたようなシナリオの作戦を発動し、日本側が判断と決断に迷い、自衛力行使を発令する理由と時間的余裕を与えないように、巧みな偽装・欺瞞をともなう奇襲侵攻と軍事的な迅速な既成事実化を図るであろう。
最終的には、日本側の本格反攻作戦、米国の介入に対して、核を含む各種ミサイルの発射による恫喝、攻撃など、A2/AD戦略の発動まで予期して、中国は行動すると思われる。A2/AD戦略の前段階とも言える、相手国近海に対するミサイル発射試験による恫喝という手法は、1995年から96年にかけて台湾総統選挙前に、中国がすでに行使している。
日本としては、次の島嶼侵攻作戦でもミサイル発射による恫喝が行使されることを予期して、備えなければならない。その場合、自衛隊の島嶼奪還部隊への火力打撃だけではなく、沖縄本島や首都圏などの政経中枢への直接的恫喝の可能性も排除できない。
以上のようなシナリオが実際に発動されるかどうかは、時の最高統帥部の決定に委ねられるであろう。しかし、人民解放軍が以上のような使命と運用教義を持ち、命じられたならば任務を遂行できる能力と態勢を備えようとしていることは確かであろう。
日本の核抑止力とミサイル防衛態勢の信頼性が真に問われる事態が生ずるであろう。中国のミサイル脅威は、北朝鮮のそれの比ではない。それに耐えられる備えと覚悟が日本には求められている。
注: 本論で使用した中国の『国防白書』は『人民网: 日本語版』人民日報社(2013年4月18日アクセス)による。中国語で出版された『中国的?事?略(2015年5月)』中?人民共和国国?院新聞?公室は、運用と配備の細部が省略されるなど、内容が修正され簡略化されている。なお、本文中の簡体字はすべて日本語表記にした。
矢野 義昭
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150810-00044471-jbpressz-bus_all&p=1
cad*****
| 2015/08/10
「奪回」ではないです。
過去一度も中国が支配したことはないため「武力侵略」です。
min*****
| 2015/08/10
もし中国が尖閣を取りに来たら戦うか?戦わず白旗上げるか?
戦争はイヤだがやる時はやらないとね!
tut*****
| 2015/08/10安保が通らなければ戦争は起きないなんてありません。
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チュウゴクは、盗りに来る。盗りに来る気満々やないかい。
自衛隊を直ぐに動ける組織にしておかないと、ぼやぼやしている間にチュウゴクに次々と島々を奪われる。安保は、まさに、チュウゴクに対抗して用意しておかねばならないものなのです。
違うかい?