■習政権「谷内氏厚遇」の理由ー「抑止力あっての外交」とは、まさにそういうこと | 日本のお姉さん

■習政権「谷内氏厚遇」の理由ー「抑止力あっての外交」とは、まさにそういうこと

~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ http://www.seki-hei.com

■習政権「谷内氏厚遇」の理由

今月中旬、訪中した
国家安全保障会議(NSC)の谷内正太郎局長に対し、
中国側は「ハイレベル」な連続会談で対処した。

16日には外交を統括する
楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)国務委員が夕食を挟み、
5時間半にわたって会談し、翌日午前には、
常万全国防相が会談に応じた。そして、その日の午後、
会談に出てきたのは党内序列ナンバー2で首相の李克強氏である。

外交上の格式を重んじる中国で
外国の「事務方官僚」へのこのような厚遇は前代未聞である。

それは谷内氏が単なる「一官僚」にとどまらず、
安倍晋三首相の信頼が厚く、日本外交のキーマンであることを、
中国側がよく知っているゆえの対応であろう。

そのことは、中国の指導部が今、
安倍首相を非常に丁重に取り扱おうとしていることの証拠だ。
安倍首相を粗末にできないと思っているからこそ、
「腹心官僚」の谷内氏を手厚く歓待したのである。

昨年11月、習近平政権下の
最初の日中首脳会談が北京で行われたとき、
習主席は客である安倍首相を先に立たせて、
自分が後になって出てくるという無礼千万な態度を取った。

今回の対応ぶりとは雲泥の差である。
この間、日中の間で一体何が起きたのか。

日本側の動きから見れば、まずは今年4月下旬、
安倍首相が訪米し、オバマ大統領との間で
日米同盟の強化で合意した。

5月21日には、安倍首相が今後5年間、
アジアに1100億ドルのインフラ投資を行う計画を表明した。
そして谷内局長訪中の当日、東京では、
安保法案が衆院を通過して成立のメドが立った。

この一連の動きは、中国側の目から見れば、
まさに習政権が進めるアジア太平洋戦略に
「真っ向から対抗する」ものである。

今、南シナ海問題をめぐって米中が激しく対立する中、
日米同盟の強化は当然、両国が連携して
中国の南シナ海進出を牽制(けんせい)する意味合いがある。

実際、常にアメリカと共同して
中国の海洋拡張を強く批判しているのは安倍首相だ。
そして、集団的自衛権の行使を可能にする安保法案が成立すれば、
今後日本は、同盟国や準同盟国と連携して、
中国の南シナ海支配を実力で封じ込めることもできるようになるのだ。

その一方、安倍首相が表明した「1100億ドルのアジア投資計画」は、
誰の目から見ても、まさに中国主導の
AIIB(アジアインフラ投資銀行)計画への対抗措置であり、
安倍首相による「AIIB潰し」ともいうべきものであろう。

つまり、習政権が進めるアジア太平洋戦略の要となる
南シナ海進出とAIIB計画に対し、
日本の安倍政権は今や「大いなる邪魔」となっているのである。

そして、安倍政権の今後の出方によっては、
習政権肝いりのこの2つの「目玉戦略」は
大きく頓挫してしまう可能性もあるのだ。

したがって習政権としては、安倍政権をそれ以上
「野放し」にすることはもはやできなくなった。だからこそ、
安倍首相と真剣に向き合って対話しなければならないと思ったのであろう。

今回、中国指導部は安倍首相の「腹心官僚」の谷内氏を
あれほど厚遇して、9月の安倍首相訪中を積極的に働きかけた。
楊国務委員が谷内氏と5時間半にもわたって会談したことは、
まさに中国側の本気さの表れである。

対話から何かが生まれるかは今後次第だが、
少なくとも、中国への日本の対抗力が強化されたことが、
習政権を日本との真剣対話に引き出したといえるであろう。

「抑止力あっての外交」とは、まさにそういうことではないのか。

( 石 平 )

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■PR号:中国で国家宗教化する孔子の儒教
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■Confucius says, Xi does
『the Economist 』(2015/07/25)

http://www.economist.com/news/china/21659753-communist-party-turns-ancient-philosophy-support-confucius-says-xi-does

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【無料動画】奥山真司の「アメ通LIVE」(20150721)
モルディブはインドが嫌。
中国さん、島、99年間お貸ししますよ~。(09:24)
http://www.nicovideo.jp/watch/1438338925

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おくやま です。

前回は中国がインド洋進出のための「ナショナリスト的な神話」として
「鄭和の海」という概念をここ十年くらいに
さかんに提唱しはじめたことを指摘しましたが、
今回のエコノミストの記事は、それと近いものです。

内容は、習近平が孔子のオリジナルである儒教を、
中国の国家宗教として活用し始めているというものです。

ところがここでみなさんもご存知の通り、儒教というのは中国共産党、
とりわけ毛沢東がマルクス主義という思想を持ち込むことによって
過去にわざわざ否定してきたもの。

共産党はそもそも伝統的な宗教や思想を否定するところに
党の思想的なバックボーンがあるので、
いまさら孔子の儒教を賞賛するのは都合が悪いはずなのです。

しかし自らの神格化を進める習近平は、
共産党の伝統を受け継ぎつつも、新たな国家宗教を必要としているのです。
そこで好都合だったのが儒教、となるわけです。

記事でも指摘されておりますが、さすがに現在の共産党は、
毛沢東のイメージの悪さもあって、中国の威信を世界に広めるために、
「毛沢東学院」ではなく、「孔子学院」を、
世界120カ国で475校もつくっております。
もちろん日本にも一部の大学に存在しますよね。

このようなニュースを見てつくづく思うのは、
色々と批判はされながらも、
やはり日本というのは伝統的にも思想的にも恵まれている、
ということです。

一度伝統を根絶やしにしてしまうと、
今回の習近平のように、
無理してつくりあげる必要が出てくるわけですから。

( おくやま )

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■-編集後記-(和田)■-----------------------------------■
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番組では何度か言ってますが、
日本はいろんなものの本場になってます。
仏教、儒教、漢方・・・。
日本人はこういういいモノは残してきました。
儒教についてももともとシナ大陸より研究が進んでいました。

中国では、孔子の教えなどもはやかけらもありません。
文化大革命で一旦すべてなくなったからではありません。
そもそも孔子の教えなんか、もともとシナ人に浸透してませんでした。

文化大革命ではじめて失ったわけでなく、
シナ人には儒教的センスはもともと定着していません。
もし、儒教センスにあふれるなら、焚書されたくらいで
消えるわけないですね。

日本人は米軍に日本の良さは焚書されたましたが、
日本人らしさは残っています。
むしろ他人に気を使いすぎる面と合わせられて
他国に遠慮しすぎるようになってしまったくらいです。

文化大革命以前からシナ人にとって儒教とは
単なる学問的なものであって一部のマニアのものでした。
なので焚書されたからといって、
革命前のシナ人と変わったところはほぼないでしょう。

そもそも殺伐とした地域からしか、
大宗教は生まれていませんしね。

( 和田 / https://twitter.com/media_otb )

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