中共株式デタラメ狂想曲
中共株式デタラメ狂想曲
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平井 修一
姫田小夏氏の論考『「株はもっと上がる!」中国はまだまだ強気だった 次々に繰り出す共産党の“見えざる手”』(JBプレス7/14)から。
<(上海総合指数は)6月12日にピークを迎え、ついにリーマンショック以来最高水準となる5178ポイントにまでに上り詰めた。
しかし、この日を境に株価はじりじりと下落に転じる。7月8日に「暴落」が伝えられると世界中のマーケットが連鎖下落を起こした。
*身元不明のブローカーがうごめく信用取引の実態
これまでの株価の高騰は政府による景気刺激策の一環だったと言われている。現地では年が明けた早い段階から「今年は株が上がる」という情報が出回っていた。
一部の個人投資家は、意図的に仕組まれた「中国株バブル」が再来することを見通していた。
上海在住のある実業家A氏は、こうした噂を聞きつけていた1人だった。
A氏は春節と前後し、自己資金と両親のタンス預金とを合わせて300万元を株に投資した。
その結果、たった数カ月で1200万元を儲けた。日本円にすれば2億4000万円である。
A氏はまず、株式投資を運営する民間業者Xに300万元を預託。XはA氏に預託金の倍額である600万元を貸出し、合計900万元の枠で株式運用を開始した。
“民間業者”といっても会社組織ではなく、3人程度で動かしているブローカーのようなもの。
これがいわゆる中国における「信用取引」の実態なのである。
A氏はうまく売り抜けたが、その後の急落で、多くの個人投資家が預けた資金を失った。
現地の株式投資に詳しい貿易商B氏は「身元も定かでないこうした組織に資金を預けた個人投資家は多い。
今回の下落で“資金がゼロ”になった人も少なくない」と語る。
*自殺に殺人・・・混乱する社会
上海総合指数がわずか3週間で32%も大幅下落したことで、街中ではさまざまな事件が起きているようだ。
報道がこれまで以上に厳しく規制され実態が見えにくくなっているが、中国がパニックに陥っていることは口コミで伝わってくる。
財産を失い家庭が崩壊した者もいれば、政府の責任を追及する者もいる。
さらには、自殺した者もいる。
江西省南昌市では殺人事件があった。
自宅を担保にして高利貸しから借金、近隣からも借金して株につぎ込んだ妻が180万元(約3600万円)の大損を出した。
怒り心頭に発した夫が妻を殺したというのだ。
そもそも今回の株価上昇は異常だった。2015年1月から4月にかけて、株に上場する二千数百と言われる銘柄のほとんどすべてが上昇した。
財務状況に問題があるなど上場廃止リスクがある銘柄(いわゆる「ST銘柄」)ですら暴騰していた。
中国の製造業は生産停止や倒産が相次いでいる。
相場の動きは明らかに実体経済から乖離していた。
中国政府は下落防止の下支え策を矢継ぎ早に打ち出した。
大手証券会社に命じて1200億元以上を上場投資信託に投じさせたり、国営企業に自社株買いを要請したりするなど、なりふり構わぬ介入を行った。
大学教授のC氏はこの一連の出来事を冷めた目で見る。
「当局がやっていることはメチャクチャ。もともと不透明な部分が多く誰が操作しているかも分からない株式市場が、ますますおかしなことになっている。
これで民間の信頼を失えば、もう株価は戻らないだろう」
今後の動向が気になる上海株だが、人民銀行の内部から筆者のもとにこんな情報が流れてきた。
「下落は長くは続かない、再び上昇に転じるだろう。政府による株式市場への刺激策はまだ続くからだ。6000ポイントを超えることだってあり得る」
急落していた上海株は先週末に下げ止まり、反転上昇の気配も見せている。
共産党の“見えざる手”が、今後も上海株を上昇させるのだろうか。
まるで化け物のような市場である>(以上)
「化け物」どころか何でもありのデタラメ、政策なしの「行き当たりばったりのモグラ叩き」的後手後手対処療法だ。
武者陵司・武者リサーチ代表の論考「中国の公的介入が導く『株式市場の死』」から。
<[東京13日ロイター]中国の共産党政権がいよいよ本性をむき出しにしてきた。今回の株暴落局面で同国政府が繰り出した一連の相場テコ入れ策を見るにつけ、筆者はそうした思いを強めている。
むろん公的介入で株価が持ち直せば、帳簿上の富がある程度確保されるのは事実だが、本源的企業価値からはどんどん乖離してしまう。
株価は、言うなれば経済の体温計である。その「目盛り」を意図的に変えてしまうことは市場原理の否定そのものであり、グローバルな尺度で見て中国株式市場の死を意味しかねない。
資産市場への公的介入は、ある意味で、共産党一党独裁体制の宿命と言える。短期的な高成長路線を優先するあまり、資産バブルの膨張を許してしまった(あるいは暴落の恐れがあっても、資産効果に頼らざるを得ないほど、政策手詰まりに陥っていた)わけだが、いまさら崩壊するままに任せて、政治システムを揺るがすような社会不安を起こすわけにはいかない。
今後も弥縫策を繰り返すしかないだろう>(以上)
社会主義市場経済を標榜しながら、実態は中共独裁統制経済で、すべての市場に中共が手を突っ込んで価格や売買などを操作するのだ。
「株は買え、売りはダメだ」なんていう市場があるなんて、世界は唖然とした。
今回の騒動で一番注目すべきは、中共が国家経営でダッチロールをし始めたことを世界中に知らしめたことだ。
人民は爆発の機会を待ち望んでおり、株暴落を機に、その導火線に火をつけかねない人権派弁護士の大量拘束は、暴動を抑え込むための予防拘禁だ。
これまた世界は驚愕した。
人民が中共独裁に耐えているのは「昨日より今日、今日より明日はもっといい」とそれなりのリターンがあったからだ。
ところが今や、中共経済は低迷期に入ったから、中共は人民に「明るい明日」を説けなくなった。
アメがなくなり、ムチばかりになった。
今回の暴落騒動で個人投資家は平均で500万円から1000万円を失ったという見方もある。
人民は中共への不信と不安と不満を募らせている。
中共は遅かれ早かれクラッシュは免れない。(2015/7/15)
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平井 修一
姫田小夏氏の論考『「株はもっと上がる!」中国はまだまだ強気だった 次々に繰り出す共産党の“見えざる手”』(JBプレス7/14)から。
<(上海総合指数は)6月12日にピークを迎え、ついにリーマンショック以来最高水準となる5178ポイントにまでに上り詰めた。
しかし、この日を境に株価はじりじりと下落に転じる。7月8日に「暴落」が伝えられると世界中のマーケットが連鎖下落を起こした。
*身元不明のブローカーがうごめく信用取引の実態
これまでの株価の高騰は政府による景気刺激策の一環だったと言われている。現地では年が明けた早い段階から「今年は株が上がる」という情報が出回っていた。
一部の個人投資家は、意図的に仕組まれた「中国株バブル」が再来することを見通していた。
上海在住のある実業家A氏は、こうした噂を聞きつけていた1人だった。
A氏は春節と前後し、自己資金と両親のタンス預金とを合わせて300万元を株に投資した。
その結果、たった数カ月で1200万元を儲けた。日本円にすれば2億4000万円である。
A氏はまず、株式投資を運営する民間業者Xに300万元を預託。XはA氏に預託金の倍額である600万元を貸出し、合計900万元の枠で株式運用を開始した。
“民間業者”といっても会社組織ではなく、3人程度で動かしているブローカーのようなもの。
これがいわゆる中国における「信用取引」の実態なのである。
A氏はうまく売り抜けたが、その後の急落で、多くの個人投資家が預けた資金を失った。
現地の株式投資に詳しい貿易商B氏は「身元も定かでないこうした組織に資金を預けた個人投資家は多い。
今回の下落で“資金がゼロ”になった人も少なくない」と語る。
*自殺に殺人・・・混乱する社会
上海総合指数がわずか3週間で32%も大幅下落したことで、街中ではさまざまな事件が起きているようだ。
報道がこれまで以上に厳しく規制され実態が見えにくくなっているが、中国がパニックに陥っていることは口コミで伝わってくる。
財産を失い家庭が崩壊した者もいれば、政府の責任を追及する者もいる。
さらには、自殺した者もいる。
江西省南昌市では殺人事件があった。
自宅を担保にして高利貸しから借金、近隣からも借金して株につぎ込んだ妻が180万元(約3600万円)の大損を出した。
怒り心頭に発した夫が妻を殺したというのだ。
そもそも今回の株価上昇は異常だった。2015年1月から4月にかけて、株に上場する二千数百と言われる銘柄のほとんどすべてが上昇した。
財務状況に問題があるなど上場廃止リスクがある銘柄(いわゆる「ST銘柄」)ですら暴騰していた。
中国の製造業は生産停止や倒産が相次いでいる。
相場の動きは明らかに実体経済から乖離していた。
中国政府は下落防止の下支え策を矢継ぎ早に打ち出した。
大手証券会社に命じて1200億元以上を上場投資信託に投じさせたり、国営企業に自社株買いを要請したりするなど、なりふり構わぬ介入を行った。
大学教授のC氏はこの一連の出来事を冷めた目で見る。
「当局がやっていることはメチャクチャ。もともと不透明な部分が多く誰が操作しているかも分からない株式市場が、ますますおかしなことになっている。
これで民間の信頼を失えば、もう株価は戻らないだろう」
今後の動向が気になる上海株だが、人民銀行の内部から筆者のもとにこんな情報が流れてきた。
「下落は長くは続かない、再び上昇に転じるだろう。政府による株式市場への刺激策はまだ続くからだ。6000ポイントを超えることだってあり得る」
急落していた上海株は先週末に下げ止まり、反転上昇の気配も見せている。
共産党の“見えざる手”が、今後も上海株を上昇させるのだろうか。
まるで化け物のような市場である>(以上)
「化け物」どころか何でもありのデタラメ、政策なしの「行き当たりばったりのモグラ叩き」的後手後手対処療法だ。
武者陵司・武者リサーチ代表の論考「中国の公的介入が導く『株式市場の死』」から。
<[東京13日ロイター]中国の共産党政権がいよいよ本性をむき出しにしてきた。今回の株暴落局面で同国政府が繰り出した一連の相場テコ入れ策を見るにつけ、筆者はそうした思いを強めている。
むろん公的介入で株価が持ち直せば、帳簿上の富がある程度確保されるのは事実だが、本源的企業価値からはどんどん乖離してしまう。
株価は、言うなれば経済の体温計である。その「目盛り」を意図的に変えてしまうことは市場原理の否定そのものであり、グローバルな尺度で見て中国株式市場の死を意味しかねない。
資産市場への公的介入は、ある意味で、共産党一党独裁体制の宿命と言える。短期的な高成長路線を優先するあまり、資産バブルの膨張を許してしまった(あるいは暴落の恐れがあっても、資産効果に頼らざるを得ないほど、政策手詰まりに陥っていた)わけだが、いまさら崩壊するままに任せて、政治システムを揺るがすような社会不安を起こすわけにはいかない。
今後も弥縫策を繰り返すしかないだろう>(以上)
社会主義市場経済を標榜しながら、実態は中共独裁統制経済で、すべての市場に中共が手を突っ込んで価格や売買などを操作するのだ。
「株は買え、売りはダメだ」なんていう市場があるなんて、世界は唖然とした。
今回の騒動で一番注目すべきは、中共が国家経営でダッチロールをし始めたことを世界中に知らしめたことだ。
人民は爆発の機会を待ち望んでおり、株暴落を機に、その導火線に火をつけかねない人権派弁護士の大量拘束は、暴動を抑え込むための予防拘禁だ。
これまた世界は驚愕した。
人民が中共独裁に耐えているのは「昨日より今日、今日より明日はもっといい」とそれなりのリターンがあったからだ。
ところが今や、中共経済は低迷期に入ったから、中共は人民に「明るい明日」を説けなくなった。
アメがなくなり、ムチばかりになった。
今回の暴落騒動で個人投資家は平均で500万円から1000万円を失ったという見方もある。
人民は中共への不信と不安と不満を募らせている。
中共は遅かれ早かれクラッシュは免れない。(2015/7/15)