中国は、今度は日本に接近することで日米分断をはかっている。ただそれだけのこと。
ロシア政治経済ジャーナル No.1224
2015/6/30
自民党勉強会での、「報道規制発言」。
情報戦の観点から見るとどうなのでしょうか?
★日中情報戦と、「報道規制発言」問題
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
昨日、今日と、この問題に関する質問をたくさんいただいておりま
す。
↓
<報道規制発言、批判相次ぐ…「おごりの結果」
読売新聞 6月27日(土)8時57分配信
*
*
自民党の保守系若手・中堅議員らで作る勉強会「文化芸術懇話会」
(代表・木原稔党青年局長)が25日に開いた会合で、報道機関へ
の圧力を求める発言が相次いだことが分かり、野党は「情報統制に
つながる」として批判を強めている。
政府・与党は、安全保障関連法案の国会審議への影響を最小限に
抑えるため、沈静化に追われた。>
皆さん既にご存知と思いますが、一応中身も見てみましょう。
<◆百田氏が講演
安倍首相に近い議員ら約40人が集まった25日の勉強会では、作家の百田尚樹氏が安保関連法案の必要性などについて講演した中で、「破廉恥とか売国とか、日本をおとしめる目的を持って書いているとしか思えない記事が多い」と報道機関への批判を展開した。
出席者によると、講演後の質疑で議員の一人が、「同感だ。マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番だ。
(百田氏のような)民間人が経団連に働きかけてもらいたい」と述べた。
井上貴博衆院議員も「子どもたちに悪影響を与えている番組のワースト10を発表し、(広告を)出している企業を列挙すればいい」などと述べた。>(同上)
・「反日的記事が多い」とマスコミを批判した。
・だから、マスコミを懲らしめよう。
・そのために、「反日マスコミに広告をださないよう」経団連に働きかけよう。
< また、出席議員から米軍基地問題などに関する沖縄県の地元紙、沖縄タイムスと琉球新報の報道姿勢を巡る質問が出され、百田氏は「沖縄の新聞社はつぶさなあかん」と語った。>(同上)
↑
「沖縄の新聞社はつぶさなあかん」。
これ、どうなんでしょうか?
▼日中情報戦の現状
RPEは、どんな話でも、
「世界で何が起こっているのか?」
「日本は、いまどこにいるのか?」
「日本は、どっちにむかっているのか?」
という視点から考えます。
全然関係ないような話に思えますが、世界で何が起こっているのか、はっきり理解しておきましょう。
08年9月、リーマン・ショックから、「100年に1度の大不況」が起こりました。
これで、「アメリカの一極時代は終わった」と思われている。
かわって、浮上してきたのが中国です。
中国は、世界の大国群がもっとも苦しかった09年、9%をこえる成長をはたし、ひとり勝ち状態になりました。
(正確にいうと、インドも勝ち組。)
それ、09年、「G2時代」、つまり「米中時代」という言葉がはやりました。
実際、中国はすでに、経済力(GDP)でも、軍事費でも世界2位。
「米中時代」という認識は、正しいといえます。
そして、中国は「増長」しました。
2010年9月、「尖閣中国漁船衝突事件」が起こった。
どう見ても中国が悪いのですが、この国は日本に対し過酷な制裁を課し、世界を驚かせました。
(例、レアアースの禁輸など。)
そして、中国は全世界にむけて、「尖閣は中国固有の領土であり、『核心的利益』である!」と大々的に宣言します。
領土要求は1970年代はじめからありましたが、ここまで大声でいったことはありませんでした。
2012年9月、日本政府は、尖閣を「国有化」しました。
中国はこれに激怒し、全土で大規模な「反日デモ」が起こった。
日中関係は、「戦後最悪」になってしまいます。
2012年11月、中国は、(事実上の同盟国)ロシアの首都モスクワで、今後の戦略を明らかにしました。
・中国、ロシア、韓国で、【反日統一共同戦線】をつくろう!
・日本には、北方4島、竹島、そして【沖縄】の領有権もない!
・反日統一共同戦線には、【アメリカ】も引き入れなければならない
(証拠はこちら↓
http://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2012_11_15/94728921/ )
では、どうやってアメリカを「反日統一共同戦線」に引き入れるのか?
「日本は、右傾化している!」
「日本は、軍国主義化している!」
「日本は、歴史の修正を目指している!」
と大々的にプロパガンダすることで。
なぜこれをプロパガンダすると、アメリカは「反日」になるのか?
アメリカ、ソ連(いまはロシア)、中国、韓国の「歴史観」は、
「日本は絶対悪、アメリカ、ソ連、中国は絶対善」
というもの。
これを、日本はひっくり返して
「日本は善。悪いのはアメリカ、ソ連(いまはロシア)中国」にしようとしている。
そうなると、「原爆投下」とか「東京大空襲」をしたアメリカは、「絶対悪」にされてしまう。
いままで「善人面」していたのが、「悪人」にされてしまう。
これは困るので、アメリカは「歴史修正」に反対なのです。
そして、中国のプロパンガンダは、大成功しつつありました。
2013年12月26日に安倍総理が靖国を参拝すると、「世界的大バッシング」が起こった。
靖国参拝を批判したのは、中韓だけではありませんでした。
アメリカ、イギリス、EU,ロシア、オーストラリア、シンガポール、台湾などが続々と安倍総理を非難した。
特にアメリカの怒りは異常で、ブルームバーグは、「安倍を懲罰せよ!」と呼びかけたものです。
これ、アメリカ自身も気づいていなかったわけですが、要は「中国のプロパガンダ」に乗せられたわけです。
小泉さんは総理大臣時代6回も靖国に参拝し、ほとんど問題視されなかったのですから。
2014年1月、安倍総理は、世界でもっとも孤立したリーダーになっていました。
しかし、2014年3月、総理を救う「神風」が吹きます。
それが、ロシアによる「クリミア併合」。
これでアメリカは、「ロシア制裁」を「効果的」にするために、日本を巻き込まざるをえなくなった。
それで、安倍さんは「許された」のです。
そして、2015年。
「戦後70年」の今年、中国は気合を入れて、「反日プロパガンダ」を行っていました。
ターゲットは、「安倍談話」と「憲法改正」です。
そして、中国はアメリカの議員たちを通して、「4月29日の安倍議会演説で、必ず中韓に謝罪するように」と日本に圧力をかけていました。
中国のプロパンガンダは、またもや成功しつつあったのです。
しかし、また3月に「神風」が吹きます。
それが「AIIB事件」。
イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、イスラエル、韓国などなど、
いわゆる「親米国家群」がアメリカの制止を無視し、
中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」への参加を決めた。
これは、世界に「アメリカの支配力低下と、中国の影響力増大」を示す「歴史的大事件」だったのです。
「歴史の終わり」で有名なフランシス・フクヤマさんは、この事件についてこうコメントしました。
「アメリカは屈辱的敗北を喫した」
「AIIB事件」は、「中国はアメリカがつくった体制内で台頭したいだけ。アメリカの脅威にはなりません」
というアメリカ・リベラルの迷信を粉砕しました。
中国は、「アメリカのつくった体制の外」に、「国際金融機関」(AIIB)をつくるのですから。
「AIIB事件」で、中国は、アメリカの「敵ナンバー1」に浮上。
それで、アメリカは、唯一同国を裏切らなかった(AIIBに入らなかった)大国日本にやさしくなった。
安倍米議会演説は、確かにすばらしい内容でした。
しかし、その前に、「アメリカが日本を歓迎する理由」があったのです。
これで日米関係は、とても良好になり、中国の野望は挫折しました。
そして、アメリカは、突然中国の「南シナ海埋め立て問題」を騒ぎはじめ、米中関係は最悪になっていった。
(中国の埋め立ては2013年からはじまっていたが、アメリカはあまり騒がず、事実上2年間放置していた。)
▼しかし、つづいている中国の戦略
日米関係が良好になると、突然中国が日本にすりよってきました。
習近平が日本の訪中団の前に現れ、にっこり微笑んで「朋あり遠方より来たる」といった。
これをもって、ナイーブな日本人は、「中国は日本との和解を願っている」と信じはじめている。
5年間あなたの悪口をいいつづけてきた男(中国)が、突如態度を激変させ、ニコニコしながら近寄ってきた。
そしたら普通、「なんか裏があるのかな?」と疑うでしょう???
中国は、日本と違って「戦略的」に動いている。
で、「戦略」とは何かというと、2012年の「反日統一共同戦線」。
「日米を分裂させよ!」
小鳩時代みたいに、日中が仲良くなれば、日米関係は最悪になる。
いままで中国は、アメリカで日本の悪口をひろげることで日米分断工作を行ってきた。
それがうまくいかなかったので、今度は日本に接近することで日米分断をはかっている。
ただそれだけのことなのです。
▼大局からみた「報道規制発言」問題
これまでの流れを振り返ってきました。
中国の基本的プロパガンダは、
・日本は右傾化している
・日本は軍国主義化している
・日本は歴史の修正を目指している
です。
これに対して安倍総理は、
・日本は、「『人権』『自由』『平等』など『普遍的価値』を大切にする『民主国家』です」とアメリカに信じてもらいたい。
アメリカはどうなのでしょうか?
これは、「日本が正しいのかな?」「中国が正しいのかな?」と常に揺れ動いているといえるでしょう。
そして、中国は大金を投じてプロパガンダをしているので、油断すると、すぐ中国側が優勢になってしまいます。
今回の「報道規制」発言。
これ、「報道統制大国」中国は、あまり批判できないでしょう。
しかし、アメリカの「親中派」は、喜んでネタにすることができます。
「ほらね!
安倍は、民主主義者のフリをしているが、実は報道規制をしようとしているよ」と。
(安倍総理は、この件について、
<首相は26日の衆院平和安全法制特別委員会で「事実ならば大変遺憾だ」と表明した上で、「自民党が企業に圧力をかけて、スポンサーを降りろとか、そんなことは考えられない」と釈明した。>
(同上)
だそうです。
まっとうな対応ですね。)
日本の政治家さん、議員さんは、官僚さんは、世界の大局を知り、中国のプロパガンダを助けるような発言には、ぜひ気をつけていただきたいと思います。
もう一度。
中国は、「日本は、右翼、軍国主義、歴史修正主義の国」と世界、特にアメリカに信じさせたい。
日本は、「わが国は、普遍的価値を重んじる民主主義国家だ」と主張している。
日本の、特にリーダーは、言行を一致させる必要があります。
一年365日、「私は普遍的価値を重んじる民主国家のリーダーだ」と自分に言い聞かせて生きる。
それでこそ、アメリカ、欧州、オーストラリア、インドなどとの関係が良好に保たれる。
そして、中国も尖閣や沖縄を侵略することが難しくなるのです。
2015/6/30
自民党勉強会での、「報道規制発言」。
情報戦の観点から見るとどうなのでしょうか?
★日中情報戦と、「報道規制発言」問題
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
昨日、今日と、この問題に関する質問をたくさんいただいておりま
す。
↓
<報道規制発言、批判相次ぐ…「おごりの結果」
読売新聞 6月27日(土)8時57分配信
*
*
自民党の保守系若手・中堅議員らで作る勉強会「文化芸術懇話会」
(代表・木原稔党青年局長)が25日に開いた会合で、報道機関へ
の圧力を求める発言が相次いだことが分かり、野党は「情報統制に
つながる」として批判を強めている。
政府・与党は、安全保障関連法案の国会審議への影響を最小限に
抑えるため、沈静化に追われた。>
皆さん既にご存知と思いますが、一応中身も見てみましょう。
<◆百田氏が講演
安倍首相に近い議員ら約40人が集まった25日の勉強会では、作家の百田尚樹氏が安保関連法案の必要性などについて講演した中で、「破廉恥とか売国とか、日本をおとしめる目的を持って書いているとしか思えない記事が多い」と報道機関への批判を展開した。
出席者によると、講演後の質疑で議員の一人が、「同感だ。マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番だ。
(百田氏のような)民間人が経団連に働きかけてもらいたい」と述べた。
井上貴博衆院議員も「子どもたちに悪影響を与えている番組のワースト10を発表し、(広告を)出している企業を列挙すればいい」などと述べた。>(同上)
・「反日的記事が多い」とマスコミを批判した。
・だから、マスコミを懲らしめよう。
・そのために、「反日マスコミに広告をださないよう」経団連に働きかけよう。
< また、出席議員から米軍基地問題などに関する沖縄県の地元紙、沖縄タイムスと琉球新報の報道姿勢を巡る質問が出され、百田氏は「沖縄の新聞社はつぶさなあかん」と語った。>(同上)
↑
「沖縄の新聞社はつぶさなあかん」。
これ、どうなんでしょうか?
▼日中情報戦の現状
RPEは、どんな話でも、
「世界で何が起こっているのか?」
「日本は、いまどこにいるのか?」
「日本は、どっちにむかっているのか?」
という視点から考えます。
全然関係ないような話に思えますが、世界で何が起こっているのか、はっきり理解しておきましょう。
08年9月、リーマン・ショックから、「100年に1度の大不況」が起こりました。
これで、「アメリカの一極時代は終わった」と思われている。
かわって、浮上してきたのが中国です。
中国は、世界の大国群がもっとも苦しかった09年、9%をこえる成長をはたし、ひとり勝ち状態になりました。
(正確にいうと、インドも勝ち組。)
それ、09年、「G2時代」、つまり「米中時代」という言葉がはやりました。
実際、中国はすでに、経済力(GDP)でも、軍事費でも世界2位。
「米中時代」という認識は、正しいといえます。
そして、中国は「増長」しました。
2010年9月、「尖閣中国漁船衝突事件」が起こった。
どう見ても中国が悪いのですが、この国は日本に対し過酷な制裁を課し、世界を驚かせました。
(例、レアアースの禁輸など。)
そして、中国は全世界にむけて、「尖閣は中国固有の領土であり、『核心的利益』である!」と大々的に宣言します。
領土要求は1970年代はじめからありましたが、ここまで大声でいったことはありませんでした。
2012年9月、日本政府は、尖閣を「国有化」しました。
中国はこれに激怒し、全土で大規模な「反日デモ」が起こった。
日中関係は、「戦後最悪」になってしまいます。
2012年11月、中国は、(事実上の同盟国)ロシアの首都モスクワで、今後の戦略を明らかにしました。
・中国、ロシア、韓国で、【反日統一共同戦線】をつくろう!
・日本には、北方4島、竹島、そして【沖縄】の領有権もない!
・反日統一共同戦線には、【アメリカ】も引き入れなければならない
(証拠はこちら↓
http://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2012_11_15/94728921/ )
では、どうやってアメリカを「反日統一共同戦線」に引き入れるのか?
「日本は、右傾化している!」
「日本は、軍国主義化している!」
「日本は、歴史の修正を目指している!」
と大々的にプロパガンダすることで。
なぜこれをプロパガンダすると、アメリカは「反日」になるのか?
アメリカ、ソ連(いまはロシア)、中国、韓国の「歴史観」は、
「日本は絶対悪、アメリカ、ソ連、中国は絶対善」
というもの。
これを、日本はひっくり返して
「日本は善。悪いのはアメリカ、ソ連(いまはロシア)中国」にしようとしている。
そうなると、「原爆投下」とか「東京大空襲」をしたアメリカは、「絶対悪」にされてしまう。
いままで「善人面」していたのが、「悪人」にされてしまう。
これは困るので、アメリカは「歴史修正」に反対なのです。
そして、中国のプロパンガンダは、大成功しつつありました。
2013年12月26日に安倍総理が靖国を参拝すると、「世界的大バッシング」が起こった。
靖国参拝を批判したのは、中韓だけではありませんでした。
アメリカ、イギリス、EU,ロシア、オーストラリア、シンガポール、台湾などが続々と安倍総理を非難した。
特にアメリカの怒りは異常で、ブルームバーグは、「安倍を懲罰せよ!」と呼びかけたものです。
これ、アメリカ自身も気づいていなかったわけですが、要は「中国のプロパガンダ」に乗せられたわけです。
小泉さんは総理大臣時代6回も靖国に参拝し、ほとんど問題視されなかったのですから。
2014年1月、安倍総理は、世界でもっとも孤立したリーダーになっていました。
しかし、2014年3月、総理を救う「神風」が吹きます。
それが、ロシアによる「クリミア併合」。
これでアメリカは、「ロシア制裁」を「効果的」にするために、日本を巻き込まざるをえなくなった。
それで、安倍さんは「許された」のです。
そして、2015年。
「戦後70年」の今年、中国は気合を入れて、「反日プロパガンダ」を行っていました。
ターゲットは、「安倍談話」と「憲法改正」です。
そして、中国はアメリカの議員たちを通して、「4月29日の安倍議会演説で、必ず中韓に謝罪するように」と日本に圧力をかけていました。
中国のプロパンガンダは、またもや成功しつつあったのです。
しかし、また3月に「神風」が吹きます。
それが「AIIB事件」。
イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、イスラエル、韓国などなど、
いわゆる「親米国家群」がアメリカの制止を無視し、
中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」への参加を決めた。
これは、世界に「アメリカの支配力低下と、中国の影響力増大」を示す「歴史的大事件」だったのです。
「歴史の終わり」で有名なフランシス・フクヤマさんは、この事件についてこうコメントしました。
「アメリカは屈辱的敗北を喫した」
「AIIB事件」は、「中国はアメリカがつくった体制内で台頭したいだけ。アメリカの脅威にはなりません」
というアメリカ・リベラルの迷信を粉砕しました。
中国は、「アメリカのつくった体制の外」に、「国際金融機関」(AIIB)をつくるのですから。
「AIIB事件」で、中国は、アメリカの「敵ナンバー1」に浮上。
それで、アメリカは、唯一同国を裏切らなかった(AIIBに入らなかった)大国日本にやさしくなった。
安倍米議会演説は、確かにすばらしい内容でした。
しかし、その前に、「アメリカが日本を歓迎する理由」があったのです。
これで日米関係は、とても良好になり、中国の野望は挫折しました。
そして、アメリカは、突然中国の「南シナ海埋め立て問題」を騒ぎはじめ、米中関係は最悪になっていった。
(中国の埋め立ては2013年からはじまっていたが、アメリカはあまり騒がず、事実上2年間放置していた。)
▼しかし、つづいている中国の戦略
日米関係が良好になると、突然中国が日本にすりよってきました。
習近平が日本の訪中団の前に現れ、にっこり微笑んで「朋あり遠方より来たる」といった。
これをもって、ナイーブな日本人は、「中国は日本との和解を願っている」と信じはじめている。
5年間あなたの悪口をいいつづけてきた男(中国)が、突如態度を激変させ、ニコニコしながら近寄ってきた。
そしたら普通、「なんか裏があるのかな?」と疑うでしょう???
中国は、日本と違って「戦略的」に動いている。
で、「戦略」とは何かというと、2012年の「反日統一共同戦線」。
「日米を分裂させよ!」
小鳩時代みたいに、日中が仲良くなれば、日米関係は最悪になる。
いままで中国は、アメリカで日本の悪口をひろげることで日米分断工作を行ってきた。
それがうまくいかなかったので、今度は日本に接近することで日米分断をはかっている。
ただそれだけのことなのです。
▼大局からみた「報道規制発言」問題
これまでの流れを振り返ってきました。
中国の基本的プロパガンダは、
・日本は右傾化している
・日本は軍国主義化している
・日本は歴史の修正を目指している
です。
これに対して安倍総理は、
・日本は、「『人権』『自由』『平等』など『普遍的価値』を大切にする『民主国家』です」とアメリカに信じてもらいたい。
アメリカはどうなのでしょうか?
これは、「日本が正しいのかな?」「中国が正しいのかな?」と常に揺れ動いているといえるでしょう。
そして、中国は大金を投じてプロパガンダをしているので、油断すると、すぐ中国側が優勢になってしまいます。
今回の「報道規制」発言。
これ、「報道統制大国」中国は、あまり批判できないでしょう。
しかし、アメリカの「親中派」は、喜んでネタにすることができます。
「ほらね!
安倍は、民主主義者のフリをしているが、実は報道規制をしようとしているよ」と。
(安倍総理は、この件について、
<首相は26日の衆院平和安全法制特別委員会で「事実ならば大変遺憾だ」と表明した上で、「自民党が企業に圧力をかけて、スポンサーを降りろとか、そんなことは考えられない」と釈明した。>
(同上)
だそうです。
まっとうな対応ですね。)
日本の政治家さん、議員さんは、官僚さんは、世界の大局を知り、中国のプロパガンダを助けるような発言には、ぜひ気をつけていただきたいと思います。
もう一度。
中国は、「日本は、右翼、軍国主義、歴史修正主義の国」と世界、特にアメリカに信じさせたい。
日本は、「わが国は、普遍的価値を重んじる民主主義国家だ」と主張している。
日本の、特にリーダーは、言行を一致させる必要があります。
一年365日、「私は普遍的価値を重んじる民主国家のリーダーだ」と自分に言い聞かせて生きる。
それでこそ、アメリカ、欧州、オーストラリア、インドなどとの関係が良好に保たれる。
そして、中国も尖閣や沖縄を侵略することが難しくなるのです。