半グレ集団「怒羅権」 組織の性格としては、半グレというよりむしろ“マフィア”と呼ぶのが相応しい。
【衝撃事件の核心】山口組、住吉会&チャイニーズドラゴン 振り込め詐欺で合従連衡のナゼ
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2015.6.17 17:30
住吉会・山口組という国内最大勢力の指定暴力団に、中国残留孤児2世らで構成される準暴力団「チャイニーズドラゴン」のメンバーが加わった詐欺グループが警視庁に逮捕された。異なる3つの組織がなぜ手を組んだのか。グループは20~30代の若手が中心で、捜査関係者は「旧来のしがらみに縛られず、金をどう獲得するかを一番に考える。今後もこうしたケースが増える可能性がある」と警戒を強めている。
■ドラゴンに憧れて…
警視庁組織犯罪対策2課に「振り込め詐欺に関与している人物がいる」と情報が入ったのは平成25年10月。これを足がかりに、同課は26年4~5月、詐欺の疑いで、いずれも33歳で住吉会系暴力団組員の男2人、当時19歳のチャイニーズドラゴンメンバーの元少年(22)らを逮捕した。
同課によると、男2人は中学の同級生。組員になっても親交が続き、振り込め詐欺などに使用する口座やキャッシュカードを調達する「道具屋」をしていた。元少年は中国残留孤児と関係はなかったが「チャイニーズドラゴンに憧れて入った」と供述。男らと同じく道具屋をしており、今回の犯行以前から顔見知りだったとみられる。
交友関係などの解明により、山口組系暴力団組員の男(37)がグループを立ち上げ、指示役を務めていたことが判明。同準構成員の男(40)が、被害者から現金を受けとる「受け子」をしていたことも分かり、26年10月、2人を関連の窃盗容疑で逮捕した。
■「御法度」もなんのその
そもそも、振り込め詐欺は、「任侠道(にんきょうどう)に背く」として暴力団らにとって“御法度(ごはっと)”とされる。だが同課によると、グループは少なくとも24年から活動を始め、被害総額は立件分だけで約1700万円に上る。
指示役の男らは暴力団の組織内での立場が低く、収入も少なかったとみられる。捜査関係者は「プライドなんて関係なく、どんな手を使ってもいいからカネを得ようとしている。別の組織の人間と組んだ方が、自分の組の幹部クラスにバレずに済むというメリットもあるのだろう」とみる。
■基本的には対立関係
一連の詐欺事件の逮捕者はこれまでに10人に上っている。受け子については、準構成員の男の元恋人らの関与も判明。だが、被害者宅に電話をかける「かけ子」の実態ははっきりしておらず、同課が全容解明を進めている。
ただ、それぞれの組織は現在も基本的に対立関係にある。
昨年7月には、東京都北区の繁華街で、山口組系組員ら3人とチャイニーズドラゴンのメンバー4人が通行上のトラブルで乱闘。同課が今年5月、傷害などの疑いで7人を逮捕した。
捜査関係者は「大半のメンバーが、反目している状態であることに変わりはない。今回の詐欺グループの結成は、1つの潮流ということだろう」と分析している。
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/150617/evt15061717300001-n1.html
暴力団元組長「年寄り騙す今の若い連中にはついていけない」
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2015.6.17 16:51
この6月に入って警察は関東最大のテキヤ組織で指定暴力団「極東会」(本部・東京都豊島区)の松山眞一会長(87)と、博徒系の指定暴力団「住吉会」(本部・東京都港区)の関功会長(69)を相次いで逮捕した。
警察による執拗な暴力団撲滅作戦は、ヤクザの金集めの手段(シノギ)を変質させているという。ジャーナリストの伊藤博敏氏が現状をレポートする。
* * *
バブル期に山口組系企業舎弟だった人物が懐かしむ。
「(1992年施行の)暴対法の前と後では様変わりした。それまでは債権回収、企業の倒産整理、地上げ、総会屋を使った企業からの金集め、歌手や格闘技の興行など、合法な仕事は山ほどあった。今はすべてが非合法で、ちょっと動けばすぐにパクられる」
暴排条例の施行もあり、暴力団関係者が手を出せる「表の商売」は事実上なくなった。すると、彼らは「裏の仕事」でしか稼げなくなる。
山口組が覚醒剤を扱うことを「御法度」にしているのはよく知られている。住吉会は2014年秋、会の規則に振り込め詐欺を禁止することを明記した。組員がそれらに手を染めれば破門になるという。
それでも今、暴力団のシノギは覚醒剤と振り込め詐欺の2つが中核で、恐喝、売春、ノミ行為、裏カジノなどの博打が続く。住吉会系元組長が嘆く。
「シマを持ち、シマ内のことなら揉め事や厄介事を体を張って阻止する。その代わりに、みかじめ料をもらって地域と共存共栄を図る時代には、まだ俺たちの存在意義があった。年寄りを騙して稼ぐなんて、今の若い連中のやり方にはとてもついていけない」
現在、警視庁組織犯罪対策課が内偵に注力しているのは、診療報酬不正請求事件だ。患者に治療を施した以上の診療報酬を国から詐取する組織犯罪で、中核は若手の暴力団構成員が多い。そこで、不正請求に協力するクリニックなどに患者を連れて行く役割を果たしていたのは、半グレと呼ばれる不良集団だ。
半グレは暴力団構成員ではないので警察からマークされにくいものの、暴力性やそのネットワークは暴力団組織にも劣らない。いまや振り込め詐欺や不正請求事件の中心といっていい。
資金力を増した半グレ勢力は都内の盛り場を中心に既存の暴力団と対立することもある。
昨年7月、東京・赤羽の路上で中国残留孤児の2世、3世らで結成する不良グループ「チャイニーズドラゴン」のメンバーと、山口組系の組員ら10数人が入り乱れて乱闘し、人数の劣る山口組系組員1人が重さ8kgの木の板で殴られ、頭蓋骨骨折など6か月の重傷を負った。この事件ではこの5月に双方で計7人が逮捕された。
警察の監視が厳しい暴力団構成員は組長ら幹部への波及を恐れて喧嘩できない。それに対して半グレには盃で縛る上下関係もなく、暴対法や暴排条例もないので当局による締め付けも厳しくない。半グレの中でも最大級のグループである関東連合のOBはこううそぶく。
「(構成員の)回状を回すとか、盃を交わすとかの決まりがないので、警察は我々1人ひとりを認定できない。だから風俗や飲食といった表の仕事もできる。
一番確実な儲けはインサイダー取引です。それにはゲームソフトやアプリ開発といった勢いのある企業に入り込めばいい。我々なら暴力を使ってトラブル処理もできる。暴力団員なら企業に入り込むことなんてできっこない。今時、暴力団に入るのはバカですよ」
「暴力団壊滅作戦」の次に警察権力が見据えるべきは一般人の顔をして犯罪に手を染める半グレ集団の取り締まりだろうが、今はまだ野放し状態といっていい。
前門には警察の執拗な睨みがあり、後門には台頭する半グレが控えている--狭間で揺れる暴力団はいよいよ追い込まれてきた。
※週刊ポスト2015年6月26日号
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/150617/evt15061716510032-n1.html
半グレ集団「怒羅権」組織名に日本への怒りや同胞団結込める
2013.08.25 16:01
暴力団と対峙することも躊躇わず、凶悪な事件を繰り返し起こしてきた半グレ集団。今年3月、警察庁は元暴走族の「関東連合」や中国残留孤児2世、3世から成る「怒羅権(ドラゴン)」を「準暴力団」と位置づけ実態解明に乗り出した。
今後、裏社会の勢力図にどのような変化が起きるのか。首都に群雄割拠する半グレ集団の実態に迫った。
池袋や新宿歌舞伎町を中心に活動する怒羅権メンバーの凶暴さは関東連合以上だ。グループの成り立ちは差別や貧困を背景にしたもので、組織名は日本社会に対する怒り、同胞の団結、権利の意味が込められているという。
「彼らは売春、クスリ、賭博、偽造、盗難車売買など、かつて暴力団の独擅場だった闇ビジネスに積極参入し、資金力を付けていきました。現在も合法・非合法のあらゆるシノギを持っています。
組織の性格としては、半グレというよりむしろ“マフィア”と呼ぶのが相応しい。一般人を狙った強盗や殺人未遂事件も幾度となく起こしています」(ジャーナリスト・丸山佑介氏)
最近では、東京・池袋の中国系ホストクラブで働いていた怒羅権メンバーが、「態度が気に食わない」と女性客に殴る蹴るの暴行を加え顔面骨折の重傷を負わせる事件も起きた。たとえ相手が一般人であろうと容赦なく牙を剥くのが半グレ集団の特徴だ。
現時点で東京では関東連合と怒羅権が2大勢力と言える。両者とも友好関係にあり、組織一丸となって活動することはほぼ皆無なので、抗争に発展することはない。
※SAPIO2013年9月号
http://www.news-postseven.com/archives/20130825_205347.html
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2015.6.17 17:30
住吉会・山口組という国内最大勢力の指定暴力団に、中国残留孤児2世らで構成される準暴力団「チャイニーズドラゴン」のメンバーが加わった詐欺グループが警視庁に逮捕された。異なる3つの組織がなぜ手を組んだのか。グループは20~30代の若手が中心で、捜査関係者は「旧来のしがらみに縛られず、金をどう獲得するかを一番に考える。今後もこうしたケースが増える可能性がある」と警戒を強めている。
■ドラゴンに憧れて…
警視庁組織犯罪対策2課に「振り込め詐欺に関与している人物がいる」と情報が入ったのは平成25年10月。これを足がかりに、同課は26年4~5月、詐欺の疑いで、いずれも33歳で住吉会系暴力団組員の男2人、当時19歳のチャイニーズドラゴンメンバーの元少年(22)らを逮捕した。
同課によると、男2人は中学の同級生。組員になっても親交が続き、振り込め詐欺などに使用する口座やキャッシュカードを調達する「道具屋」をしていた。元少年は中国残留孤児と関係はなかったが「チャイニーズドラゴンに憧れて入った」と供述。男らと同じく道具屋をしており、今回の犯行以前から顔見知りだったとみられる。
交友関係などの解明により、山口組系暴力団組員の男(37)がグループを立ち上げ、指示役を務めていたことが判明。同準構成員の男(40)が、被害者から現金を受けとる「受け子」をしていたことも分かり、26年10月、2人を関連の窃盗容疑で逮捕した。
■「御法度」もなんのその
そもそも、振り込め詐欺は、「任侠道(にんきょうどう)に背く」として暴力団らにとって“御法度(ごはっと)”とされる。だが同課によると、グループは少なくとも24年から活動を始め、被害総額は立件分だけで約1700万円に上る。
指示役の男らは暴力団の組織内での立場が低く、収入も少なかったとみられる。捜査関係者は「プライドなんて関係なく、どんな手を使ってもいいからカネを得ようとしている。別の組織の人間と組んだ方が、自分の組の幹部クラスにバレずに済むというメリットもあるのだろう」とみる。
■基本的には対立関係
一連の詐欺事件の逮捕者はこれまでに10人に上っている。受け子については、準構成員の男の元恋人らの関与も判明。だが、被害者宅に電話をかける「かけ子」の実態ははっきりしておらず、同課が全容解明を進めている。
ただ、それぞれの組織は現在も基本的に対立関係にある。
昨年7月には、東京都北区の繁華街で、山口組系組員ら3人とチャイニーズドラゴンのメンバー4人が通行上のトラブルで乱闘。同課が今年5月、傷害などの疑いで7人を逮捕した。
捜査関係者は「大半のメンバーが、反目している状態であることに変わりはない。今回の詐欺グループの結成は、1つの潮流ということだろう」と分析している。
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/150617/evt15061717300001-n1.html
暴力団元組長「年寄り騙す今の若い連中にはついていけない」
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2015.6.17 16:51
この6月に入って警察は関東最大のテキヤ組織で指定暴力団「極東会」(本部・東京都豊島区)の松山眞一会長(87)と、博徒系の指定暴力団「住吉会」(本部・東京都港区)の関功会長(69)を相次いで逮捕した。
警察による執拗な暴力団撲滅作戦は、ヤクザの金集めの手段(シノギ)を変質させているという。ジャーナリストの伊藤博敏氏が現状をレポートする。
* * *
バブル期に山口組系企業舎弟だった人物が懐かしむ。
「(1992年施行の)暴対法の前と後では様変わりした。それまでは債権回収、企業の倒産整理、地上げ、総会屋を使った企業からの金集め、歌手や格闘技の興行など、合法な仕事は山ほどあった。今はすべてが非合法で、ちょっと動けばすぐにパクられる」
暴排条例の施行もあり、暴力団関係者が手を出せる「表の商売」は事実上なくなった。すると、彼らは「裏の仕事」でしか稼げなくなる。
山口組が覚醒剤を扱うことを「御法度」にしているのはよく知られている。住吉会は2014年秋、会の規則に振り込め詐欺を禁止することを明記した。組員がそれらに手を染めれば破門になるという。
それでも今、暴力団のシノギは覚醒剤と振り込め詐欺の2つが中核で、恐喝、売春、ノミ行為、裏カジノなどの博打が続く。住吉会系元組長が嘆く。
「シマを持ち、シマ内のことなら揉め事や厄介事を体を張って阻止する。その代わりに、みかじめ料をもらって地域と共存共栄を図る時代には、まだ俺たちの存在意義があった。年寄りを騙して稼ぐなんて、今の若い連中のやり方にはとてもついていけない」
現在、警視庁組織犯罪対策課が内偵に注力しているのは、診療報酬不正請求事件だ。患者に治療を施した以上の診療報酬を国から詐取する組織犯罪で、中核は若手の暴力団構成員が多い。そこで、不正請求に協力するクリニックなどに患者を連れて行く役割を果たしていたのは、半グレと呼ばれる不良集団だ。
半グレは暴力団構成員ではないので警察からマークされにくいものの、暴力性やそのネットワークは暴力団組織にも劣らない。いまや振り込め詐欺や不正請求事件の中心といっていい。
資金力を増した半グレ勢力は都内の盛り場を中心に既存の暴力団と対立することもある。
昨年7月、東京・赤羽の路上で中国残留孤児の2世、3世らで結成する不良グループ「チャイニーズドラゴン」のメンバーと、山口組系の組員ら10数人が入り乱れて乱闘し、人数の劣る山口組系組員1人が重さ8kgの木の板で殴られ、頭蓋骨骨折など6か月の重傷を負った。この事件ではこの5月に双方で計7人が逮捕された。
警察の監視が厳しい暴力団構成員は組長ら幹部への波及を恐れて喧嘩できない。それに対して半グレには盃で縛る上下関係もなく、暴対法や暴排条例もないので当局による締め付けも厳しくない。半グレの中でも最大級のグループである関東連合のOBはこううそぶく。
「(構成員の)回状を回すとか、盃を交わすとかの決まりがないので、警察は我々1人ひとりを認定できない。だから風俗や飲食といった表の仕事もできる。
一番確実な儲けはインサイダー取引です。それにはゲームソフトやアプリ開発といった勢いのある企業に入り込めばいい。我々なら暴力を使ってトラブル処理もできる。暴力団員なら企業に入り込むことなんてできっこない。今時、暴力団に入るのはバカですよ」
「暴力団壊滅作戦」の次に警察権力が見据えるべきは一般人の顔をして犯罪に手を染める半グレ集団の取り締まりだろうが、今はまだ野放し状態といっていい。
前門には警察の執拗な睨みがあり、後門には台頭する半グレが控えている--狭間で揺れる暴力団はいよいよ追い込まれてきた。
※週刊ポスト2015年6月26日号
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/150617/evt15061716510032-n1.html
半グレ集団「怒羅権」組織名に日本への怒りや同胞団結込める
2013.08.25 16:01
暴力団と対峙することも躊躇わず、凶悪な事件を繰り返し起こしてきた半グレ集団。今年3月、警察庁は元暴走族の「関東連合」や中国残留孤児2世、3世から成る「怒羅権(ドラゴン)」を「準暴力団」と位置づけ実態解明に乗り出した。
今後、裏社会の勢力図にどのような変化が起きるのか。首都に群雄割拠する半グレ集団の実態に迫った。
池袋や新宿歌舞伎町を中心に活動する怒羅権メンバーの凶暴さは関東連合以上だ。グループの成り立ちは差別や貧困を背景にしたもので、組織名は日本社会に対する怒り、同胞の団結、権利の意味が込められているという。
「彼らは売春、クスリ、賭博、偽造、盗難車売買など、かつて暴力団の独擅場だった闇ビジネスに積極参入し、資金力を付けていきました。現在も合法・非合法のあらゆるシノギを持っています。
組織の性格としては、半グレというよりむしろ“マフィア”と呼ぶのが相応しい。一般人を狙った強盗や殺人未遂事件も幾度となく起こしています」(ジャーナリスト・丸山佑介氏)
最近では、東京・池袋の中国系ホストクラブで働いていた怒羅権メンバーが、「態度が気に食わない」と女性客に殴る蹴るの暴行を加え顔面骨折の重傷を負わせる事件も起きた。たとえ相手が一般人であろうと容赦なく牙を剥くのが半グレ集団の特徴だ。
現時点で東京では関東連合と怒羅権が2大勢力と言える。両者とも友好関係にあり、組織一丸となって活動することはほぼ皆無なので、抗争に発展することはない。
※SAPIO2013年9月号
http://www.news-postseven.com/archives/20130825_205347.html