天然ガス価格低迷などの影響もあり、435億円の減損損失を計上
伊藤忠:米シェール事業から撤退、保有株を1ドルで売却
Bloomberg 6月23日(火)12時55分配信
(ブルームバーグ):伊藤忠商事は多額の減損損失を計上した米シェールオイル・ガス事業からの撤退を決めた。同社は北米での天然ガス価格の今後の回復見通しなどを総合的に判断し、合弁会社の保有株式を1ドルで売却した。
事業主体の米石油・ガス開発会社サムソン・リソーシズは19日に米証券取引委員会に提出した資料で、伊藤忠が保有していたサムソン株すべてを1ドルで買い戻したと報告。伊藤忠広報部もブルームバーグの取材に対し、文書でこの売却について確認した。
米プライベートエクイティ(未公開株)投資会社KKRとともに2011年に100%買収し、伊藤忠は米子会社を通じて10億4000万ドル(当時のレートで約780億円)を出資し、サムソンの株式25%を保有していた。
ところが天然ガス価格低迷などの影響もあり、伊藤忠は前期(15年3月末)に同事業で435億円の減損損失を計上。前期までの累計減損額は1000億円超に達し、帳簿上の株式簿価を全額減損処理していた。既に損失を計上しているため売却に伴う損益への影響はない。
一方、税効果の影響で今期(16年3月期)の連結純利益を約330億円押し上げる要因になるという。期初の業績予想には織り込み済み。今期の連結純利益は前期比10%増の3300億円と2期ぶりの最高益更新を見込んでいる。
伊藤忠では「北米ガス価格の回復見込み、サムソン社の経営環境や今後の開発再開見通し等を総合的に勘案した結果、撤退を決定した」としている。今後のシェールガス・オイル事業への投資については「油ガス価格低下リスクや開発リスクなどの精査を尽くし、厳選して対応していく方針」という。
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