中国は、2049年までに米国に代わって世界の支配国になることを目指している
今ごろ分かったのか。
アメリカ人もおめでたいのう。
~~~~
米の中国分析のベテランが告白 「自分の対中認識は間違っていた」
Wedge 6月15日(月)12時10分配信
米ハドソン研究所中国戦略センターのピルズベリー所長が、今年2月発刊の著書“The
Hundred-Year Marathon-China’s Secret Strategy to Replace America as the
Global Superpower”において、中国は、2049年までに米国に代わって世界の支配国になることを目指している、と述べています。
中国の空母を飛躍させる開発に成功? 「電磁カタパルト」は米中関係を変えるのか
すなわち、米国は、中国を支援し続けていけば、中国が民主的で平和な国家になり、地域や世界を支配しようなどと考えないだろうと想定していたが、完全な誤りであった。
我々は、中国内の強硬派の力を過小評価していた。
強硬派は、中国建国100年の2049年までに経済、軍事、政治のすべての面で世界のリーダーになるとの計画(100年のマラソン)を有し、毛沢東に始まる歴代の政治指導者に助言することで、建国当初からそれを実施に移していたのだ。強硬派は、300年前の中国、すなわち世界のGDPの3分の1を占める中国を復活させたいのだ。中国の強硬派は、天安門事件以降特に力を強めた。
2012年以降、中国人は、「中国主導の世界秩序」をおおっぴらに議論し、「中華民族の再興」とともに同秩序が訪れると信じている。最近になって、中国人は、私及び米国政府を最初(1969年)から騙していたと実際に語った。これは、米国政府史上最大のインテリジェンスの失敗である。
中国は、最初から米国を「帝国主義者である敵」と認識し、米国を対ソ連カードとして用い、米国の科学技術を吸収、窃取するつもりだったが、米国の中国専門家はこれに気づかなかった。
中国政府は公式に多極化世界の実現を主張しているが、実際には、それは、最終的に中国が唯一の指導国となる世界に至る途中段階に過ぎない。
米国は中国に多大の支援と協力をしてきたにもかかわらず、中国の指導者は、150年以上にわたり米国が中国を支配しようとしてきたと考えており、彼らは中国が米国を逆に支配するためにあらゆることを行うつもりである。
彼らにとって世界はゼロ・サムである。
このような意図を有していたにもかかわらず、中国は、欺瞞、宣伝、スパイ等を用いて、中国が後進国で、軍事的に不活発で、弱い支援対象国であるとの誤ったイメージを西側諸国の関係者に与え続けた。中国はまた、西側諸国内の中国専門家をモニターし、様々な手段で操作してきた。
中国は、「暗殺者の棍棒」と言われる非対照戦力をもって米国の通常戦力を破る作戦を考えている。
実際に、この非対照戦力は有効であり、ペンタゴンの戦争シミュレーションで米軍が初めて敗れたのはこの中国の非対照戦力に対してだった。
中国は、高い関税を課して重商主義的政策をとり、国営企業に補助金を与え、天然資源を直接コントロールしようとしている。
中国の国営企業は今でも国内GDPの4割を占め、市場に反応するのではなく、中国共産党の指示に従っている。
2049年に中国主導の世界秩序の中で中国が望んでいるのは、個人主義よりも集団主義を重んじる中国の価値、民主主義への反対、米国に敵対する諸国との同盟システムなどである、と論じています。
出典:Michael Pillsbury, The Hundred-Year Marathon - China’s Secret
Strategy to Replace America as the Global Superpower(Henry Holt and
Company, 2015)
* * *
本書は、『100年のマラソン』というタイトルや、その内容が一般の感覚では俄に信じがたいものを含んでいることから、いわゆる浅薄な「中国脅威本」の一つであると捉えられかねませんが、そういう類いのものとは全く異なります。米国の対中政策の転換に影響を与え得る書物です。
まず、著者のピルズベリーですが、1969年から、CIA、国防総省、米上院特別委員会等に勤務し、対中政策の基盤となる中国の対米認識分析や米国の対中政策選択肢提示を地道に続けてきた人物です。2006年頃までは、米国の対中関与政策を支持する「対中協調派」の中心的人物でした。本書の中でも明らかにしていますが、ピルズベリーは、ほとんどの対中国インテリジェンスや米国内の対中国政策をめぐる秘密文書にアクセスしてきています。本書の内容、主張は、ピルズベリーが直接入手した関係者からの証言や、これまでアクセスした文書に基づいており、その信憑性は高いと思われます。
ピルズベリーのような中国分析の大ベテランが、「自分の対中認識は間違っていた。中国に騙されていた」と本書で告白したわけですから、本書がワシントンの中国政策に関わる政府関係者や専門家に与えた衝撃は大きかったようです。
本書の影響はすでに現れているようであり、例えば、本年3月には、米国のシンクタンクである外交問題評議会(CFR)が『中国に対する大戦略の変更(Revising U.S. Grand Strategy Toward China)」という小
冊子を発表しています。同冊子は、米中関係は、戦略的ライバル関係になるとの可能性が高いとの前提で、対中政策をバランシングに重点をおくものに変更しなければならないと提言しています。米国の対中政策は南シナ海での中国の人工島建設などにより、強硬化しているように見えますが、今後どう推移していくか注目されます。
なお、ピルズベリーは、昨年9月にも、1949年以来西側の対中観が誤って来たのは西側が中国を希望的観測から見て来たからである、と論じた論説を発表しており、2014年10月27日付本欄で紹介しています。
岡崎研究所
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150615-00010001-wedge-int&pos=2
中国寄りの専門家さえついに唱えだした「中国大崩壊」の論拠
NEWS ポストセブン 6月11日(木)7時6分配信
米紙ウォールストリートジャーナルに掲載された、ある中国専門家の論考が大きな波紋を広げている。習近平政権発足以降、中国崩壊論は数多発表されたが、これまでそれが現実となることはなかった。「崩壊」というフレーズは陳腐化してしまった感もあるが、今回は、なぜ大きな関心が払われているのか。中国事情に精通する富坂聰氏が解説する。
* * *
ジョージワシントン大学のデービッド・シャンボー教授が今年3月10日に発表した〈終焉に向かい始めた中国共産党〉が話題を呼んだ。
タイトルの通り、中国共産党による支配が、今後〈終焉に向かうだろう〉ことを、理由を挙げながら指摘したコラムである。
これが世界的な話題となった理由の一つは、チャイナハンド(*注)と考えられた人物が中国の崩壊に警鐘を鳴らしたからである。中国に対するスタンスは本人も認めているようで、天安門事件後に体制崩壊と衰退が不可避だと主張する中国ウォッチャーがいるなか、より慎重な立場をとってきたとしている。
【*注:中国の立場を理解する外交官、ジャーナリスト、学者の総称】
つまり衝撃の正体は「あの中国にやさしい専門家さえ『危ない』といっている」という点にあるのだ。
では、シャンボー教授に心変わりを促した中国の“危うさ”とはいったい何だったのだろうか。教授が披露する五つの視点から一つを紹介する。
第一の視点は、人材の流出である。教授は、中国の富について研究している上海の胡潤研究院の数字、〈393人の億万長者――の64%は移民を実行しつつあるか、その計画を持っている〉(2014年に行った調査)ことや米国出産ツアーなどを取り上げて、最終的に中国を支えているエリートたちが、〈政権と国の将来に確信を抱いていない明確な兆候だ〉としている。
この問題は確かに共産党政権にとっては深刻だ。ただ人材流出ということよりも、むしろ富の流出という悩みだ。人材に関しては、サメの歯が下から下からと生えてくるように抜けた人材の穴はあっという間に埋まる。
だが、富の流出は低成長時代に入った局面では経済への打撃という側面だけでなく社会保障の財源、さらには社会不安という点からも放置することはできない。
昨年末から中国が「キツネ狩り」と称して外国に逃亡した元官僚たちを追い詰めているのは、このためだ。
中国の発展は、内陸部から沿海部に供給された安価な労働力によってもたらされてきた。だが、本来この発展の最大の受益者であるべき農村からの出稼ぎ労働者は貧しいまま放置され、外国企業や投資が流れ込んだ都市部の住民たちだけが不動産価格の高騰などのメリットを享受でき、世界の各地で“爆買い”するという現象を引き起こしているのである。
これこそ中国共産党が突かれたら最も困る最大の矛盾である。発展の富が一部に集中し、それを再分配できない中国共産党に対する怒りは、現状では専ら汚職官僚に対して向けられる。この点に関してシャンボー教授の指摘は正しい。
だが問題は、この大衆の怒りが〈終焉〉に向かうといったとき、はたして彼らの怒りを政治的な動きに変えることのできるリーダーもしくは強烈なスローガンが存在しているか否かという問題がある。 シャンボー教授のいうよ
うな「終焉」に直ちに向かってゆくのにはいくつかの条件が不足しているようにも思われるのだ。
※SAPIO2015年7月号